金木犀さんの映画レビュー・感想・評価

金木犀

金木犀

メタモルフォーゼの縁側(2022年製作の映画)

4.8

ずっと観るのを楽しみにしていた映画。
当初うららはBLを恥ずかしいものとして隠していたが、この物語にはそれを批判する人は全く出てこない。
好きな作品を介して年の離れた友人ができること、そして有名作家が
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映画 五等分の花嫁(2022年製作の映画)

4.7

アニメしか観ていないから、劇場版を楽しみにしていた作品。
姉妹5人がみんな可愛いのはもちろん、風太郎も含め人間的に成長してく姿に感動した。

四葉が「自分の存在価値」「五つ子としてのアイデンティティ」
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流浪の月(2022年製作の映画)

3.9

原作がとても好きで楽しみにしていた作品。
映画では少しストーリーが異なり抽象的なシーンが多く、見応えがあった。

愛も生きることも、出発点は一人称であるはずなのにいつの間にか他者が知ったように語ってし
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僕の好きな女の子(2019年製作の映画)

3.7

又吉原作で気になっていた映画。
最後にかなり驚かされた…
渡辺大知のもどかしい仕草も、奈緒の惹きつけられる言動も良かった。

好きなのに何も告げずに友達関係で居続ける時間って、直接的には傷付かないから
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余命10年(2022年製作の映画)

3.8

劇場で予告を見て以来、気になっていた映画。
一年かけて撮影された映像は四季折々の美しさと、時間経過の儚さが描かれていた。

ありきたりの内容ではなく、余命がある故の主人公の葛藤が描かれていた。
恋を頑
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ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)

5.0

ずっと気になっていた映画。
観ている映像を途中から物語に思えなくなるほど、役者の内側から出てくる演技に引き込まれた。
絶望的な状況から一果がバレエに出会うことができて良かったと思う反面、凪沙の終わりの
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あのこは貴族(2021年製作の映画)

5.0

とても面白かった。
雨の中淡々と行われる「貴族」の儀式のシーンと騒々しい空気感に包まれる「庶民」のシーンの対比が見事だった。

その階層に応じて「家の縛りから来る辛さ」や「自由である辛さ」など、人には
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ノマドランド(2020年製作の映画)

3.7

旅をしながら車で生活をするノマド達。
辿り着いた地で仕事をしながら生き、時折ノマド仲間で募っている様は悠悠自適に見える。
しかし、彼らは大切な人との別れを経験した後にこの生活を選んでいる。
一人で広大
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コーダ あいのうた(2021年製作の映画)

5.0

最初は「自分の夢と家庭環境の両立」という多くの人がぶつかる壁を描いている映画だと思った。
でも感覚を揺さぶるコンサートの演出を見た時、私は狭い視野でものを見ていたことに気付かされた。

音楽が耳だけで
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ツレがうつになりまして。(2011年製作の映画)

4.3

宮崎あおいも堺雅人も好きなので、気になっていた映画。鬱病になったツレと、妻であり漫画家のハルさんの話。

仕事のストレスは勿論、毎日選ぶネクタイのルーティンが決まっているなど完璧主義の側面がツレを追い
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劇場版 呪術廻戦 0(2021年製作の映画)

5.0

原作未読で鑑賞。予想以上に面白かった…
最初は乙骨憂太が碇シンジすぎてエヴァと重なって見えたけど、いつのまにか引き込まれていた。
物語を通して、愛と思想ほど人間を苦しめ、また救うものはないなと思った。
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ディア・エヴァン・ハンセン(2021年製作の映画)

4.5

「王様のブランチ」での紹介を観て気になった映画。

物語は一人の青年コナーの死と、主人公が咄嗟についた「嘘」から始まる。
死者は何も語ることはできないから、残された人々が善意や偽りで塗り固めてしまう危
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DESTINY 鎌倉ものがたり(2017年製作の映画)

4.2

着物姿で作家をしている堺雅人……良い……
タイプすぎてびっくりした………
高畑充希も可愛くて、終始二人に癒された。

三丁目の夕日を彷彿とさせる古き良き日本と、ファンタジックな黄泉の国の相性がいい。
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甘いお酒でうがい(2019年製作の映画)

4.0

大九監督作品らしく、ずっと白昼夢の中を漂っているような映像だった。
とにかく台詞の言い回しが素敵で、小説としても読み直したい気持ちに。

松雪さん演じる40代女性の日記の言葉は、微笑ましさもありながら
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恋は雨上がりのように(2018年製作の映画)

4.8

気になっていた映画。様々なシーンで悲しくも美しい雨が降っていたのが印象的。
映像の撮り方が素晴らしく、邦画の良いところを守りながらも漫画のような迫力のある構図もあり、飽きずに観ることができた。

豪華
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はちどり(2018年製作の映画)

4.7

柔らかな風と対比するように描かれる理不尽な出来事の数々。
14歳の繊細な視点でそれを追体験した感覚になった。

家父長制、裏切り、暴力、学歴社会、差別、死など、ここまで畳みかけるかと思ってしまうほど最
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ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

4.1

本作を楽しみにしていたので、原作は未読で鑑賞。
主人公・家福を演じる西島秀俊の話し方や佇まいがなんとも村上春樹的。
また三浦透子の存在感と手話を使う韓国人俳優の演技も素晴らしく、世界観に引き込まれた。
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私をくいとめて(2020年製作の映画)

3.5

『勝手にふるえてろ』が好きなのもあって、楽しみにしていた映画。
のんが演じるみつ子のお一人さまっぷりが面白く、共感する部分もあった。

しかし脳内に作った架空の人物"A"に話しかけ続けるうちに、ついに
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竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)

4.8

突き抜ける中村佳穂の歌声。歌唱力に加えて鈴の心の揺らぎまで演じ切っていたのは、素晴らしかった。

声にならない声、欠けたコップ、吐き気がする現実、流れの戻らない川。
細田監督は、絶望を感じている時の描
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星の子(2020年製作の映画)

3.8

原作の小説と共に気になっていた映画。
「新興宗教」という社会的にも扱いにくい題材を丁寧に映像化した勇気に脱帽。
狂った集会や祭壇、人の様子がとてもリアルだった。

まともな時は"偶然"症状がよくなった
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マチネの終わりに(2019年製作の映画)

4.7

映画と小説、どちらを観るか迷った作品。
まず映画を通して、切なくも美しい音楽と喜怒哀楽を"表情"という台詞で表現していた石田ゆり子の演技が観れて良かった。

「今日の悲しみが、明日の出会いによって良い
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ピーターラビット(2018年製作の映画)

4.2

いたずら兎と人間の掛け合いが面白く引き込まれた。
アバウトタイムをオマージュしたシーン(雨の中笑い合うところ)があったのが個人的にテンション上がった。

そしてやっぱりドーナル・グリーソン好きだなと実
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ペット(2016年製作の映画)

4.0

マックスとデュークがバナナマンすぎる。

あとギジェットの一途で真っ直ぐな愛が眩しかった。恋する女は強え。

「留守番している時、ペットは何をしているのか」という想像を題材に広げていたから身近で面白か
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HOKUSAI(2020年製作の映画)

3.8

俳優陣の演技力がとにかく光る映画だった。青年期の柳楽優弥は勿論、写楽役の表現力にも見入ってしまった。そして何より老年期の田中さんの声の迫力に圧倒された。

かの有名な葛飾北斎も、売れる絵と好きな絵の狭
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二重生活(2016年製作の映画)

5.0

気になっていた作品。自分がソフィ・カルの研究を論文に加えようとしているのもあって、感情移入してしまった。

教授に勧められ、修士論文の題材として"理由なき尾行"を始める主人公。
しかし物語が進むにつれ
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ブリット=マリーの幸せなひとりだち(2019年製作の映画)

4.7

63歳にして生活が一変したブリット=マリー。毎朝同じ時間に起きて掃除をすることは、彼女の過去を払拭するためのルーティンだった。
しかしいくら掃除をしても、人生は飛び散ったガラスのように元に戻せないこと
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二郎は鮨の夢を見る(2011年製作の映画)

4.7

授業でプレゼンを聞いて以来、気になっていた作品。
一食3万円からという高級寿司店に立つ職人の佇まいは美しい。
外国人監督の目線から見える、スローモーションの東京や輝く寿司の映像には見惚れた。

そして
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まともじゃないのは君も一緒(2020年製作の映画)

4.3

最初は「高校生の頃って普通について考えるよね…」と思って観ていたが、大人になっても不安になると"普通"の答えを探してつい調べてしまっていたなと徐々に気付かされてゆく。

大きな展開よりも会話に長く尺を
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静かな雨(2020年製作の映画)

3.9

原作の小説を持っていたので気になっていた映画。

静かな生活から成る映像と豊かな音楽が素晴らしい。
『おおかみこども』と同じく高木正勝さんが音楽を担当されていたと知り、サントラも聴いてみようと思った。
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シン・エヴァンゲリオン劇場版(2020年製作の映画)

5.0

世界、そして人類を描きながらもどこまでも個人的な親子の物語だった。
それはシンジ君だけでなく、ミサトさんを始めとする全ての登場人物においての。

ずっと本当の意味での「父親殺し」とは何かを問いかけ続け
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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q(2012年製作の映画)

4.0

破から14年の月日が経った後の世界。
変わらないのは自分だけという虚しさ。
生物学的な流れを模した人類補完計画とカヲルくんの存在、母・ユイの重要性については理解できたが、説明のない箇所も多く謎が残る。
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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破(2009年製作の映画)

4.8

絶望的なシーンで希望に満ちた楽曲を敢えて流すところや世界を巻き込みながら結局個人的な感情で戦うあたりが「00年代のセカイ系」って感じがして最高だった。

シンジくんやレイは例え寂しさだろうと感情の矛先
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おおかみこどもの雨と雪(2012年製作の映画)

5.0

中学生の頃、細田監督作品が大好きで楽しみに劇場へ行った思い出。
今改めて観ると、主人公・花の10年以上に渡る日々を一緒に歩んだような気分になれた。

花の根本にある優しさと、どんな時も本を読んで直向き
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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序(2007年製作の映画)

5.0

鬱々とした内容と、戦闘シーンの盛り上がりのギャップが最高。地元近辺がたくさん出てくるので個人的にも興奮した。

テレビ版の復習も兼ねて改めて観るとシンジくんの置かれている状況が理不尽すぎて、これは精神
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花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)

5.0

ずっと楽しみにしていたから、早起きして公開初日の初回を観に行った。

坂元裕二さんの作るものはここまで脚本家の色が出るのかってくらい台詞やの各所にらしさが出ていてニヤけてしまう。
劇中の「はじまりは、
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ロマンスドール(2019年製作の映画)

4.8

不思議な恋の落ち方ではあるけど、蒼井優の「不器用だけど優しいところ」に惚れたと言う台詞は共感できる。
主人公と相川さんのコミカルなやりとりから「永遠に続くものはない。永遠に手に入らないものがあるばかり
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