正直、目を覆いたくなるようなシーンの連続だったし、現在の基準を過去の作品に当てはめる愚は心得ているつもりだが、それでも、受け入れられないという評価をするつもりでいた。それでもラスト10分でひっくり返っ>>続きを読む
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なんだろう、この面白かったと言いたいのに言い切れない感じは。監督の腕はある。深夜の家におけるアクションの人物配置やレストラン爆破の反復など唸るところも多い。西部劇へのオマージュだって嬉しい。おそらくは>>続きを読む
なかなか楽しめた。アニメ映画は、とにかく小さいものが大量に動いていればそれだけで眼福。スウィンギングロンドン文化のパッチワークも良い。
大林の最良の部分を抽出したような、爽やかな風が吹く映画。部屋の暗さがよかった。
コロナ禍を舞台にした映画では間違いなく最高峰。しかしそういった言葉で飾ることに一抹の罪悪感がある。
ラストの苦味はなんだろう。
正直に言えば、城定秀夫監督向きの企画ではなかった。
所謂、完成されていないスタイルの人に惹かれていく感じの表現はすごくよかったし、誰もいなくなった島でやりまくる夏なんてのは正に城定監督の独壇場とも思え>>続きを読む
面白かったけど、「説明」に足を取られている印象は強い。いや、谷口悟朗作品というのは、説明だけで構成されていてなお面白いというのが特長ではあるのだけれども、そこにまでは至らなかったと言おうか。
この手のZ級映画の楽しみ方を心得ていないだけの可能性はあるが、まず一見しての感想は、意外とつくりがちゃんとしている。室内に舞台を絞っているから美術も良く見えるし、70年代ホラーへのオブセッションを感じ>>続きを読む
何だろうか、これ。どう見ても戦後の懐かしみさえ覚える風景を未来と言って提示するコンセプト。思念をプロジェクターで投影する手法。口だけ動く洞口依子。随所に見られる反骨精神。舞台とのシームレス化。そして、>>続きを読む
良かった。神話体系とかそういったものを調べて読み解きたくなるくらいには良かった。
ただ、一本の映画として完成度が高い分、細部があまり印象に残っていないのが正直なところ。『君の名は』の瑞々しさとか、『天>>続きを読む
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なんかね、単純に好きなんですよ。中年に差し掛かった人々のドラマなきドラマ。
路地裏で、野球場で一升瓶を出して飲み始める女、それだけでドラマに引き込まれる。なぜか、私たちの心の中にも仁絵がいるからだ。そ>>続きを読む
この手の紹介系ドキュメンタリーも馬鹿にしたもんじゃないな。既存の映像アーカイブと当時の音楽、それに新規インタビューに場合によっては再現ドラマを差し込んで一本の作品にする構造はヒップホップ的だし、取り扱>>続きを読む
信頼している人が誉めていたので鑑賞。とても良かった。紋切り型の評し方を許さないような、自分の言葉で語らなくてはいけない気持ちにさせられるかたちの作品。
まず、始まり方がいかにもな日本の青春映画といっ>>続きを読む
ミステリなのかホラーなのかわからない状態で進んでいく。室内の美術が素晴らしい。そして起こる惨劇。段々、この映画は美しい部屋の中で美女が殺されるところを撮りたいだけなのではと恐ろしくなる。しかし、マニキ>>続きを読む
質が高いのは前提で、ちょっと気になるところあり。
ファミリー映画の側を借りて、ビッグバジェット映画作りやショウビズの闇を描いているのかと思ったり。
バスター・ムーンは果たして良いプロデューサーなんだ>>続きを読む
理解できているとは言い難いが、富野監督の描く宇宙に変わらないものを感じたところ、終戦後の希望をラストに据えたところがよかった。
個人的には、映画の画面に求める陰影や奥行きの要素が乏しいと感じたが、有無を言わせぬ何かがあるのも事実。
ある事件を撮影のリハーサルと称して何度も異なる演技アプローチで繰り返すことで浮かび上がるもの。虚構である(実際に起こったことではない)と強調すればするほど浮かびあがる真実性。超絶。
本当にちょうどよいスクリューボールコメディ。誕生から60年経っても立ち戻る型があるこのジャンルの強さよ。
意外と画面構成がしっかりしていて、冒頭のメグ・ライアンが飛行機を恐れるシーンで足を突っ張るとこ>>続きを読む
陰謀論だとかブラックエクスプロイテーションだとかを考慮に入れる必要はあるけれど、それを差し引いても70年代的如何わしさが画面に充満していて素晴らしい映画経験だった。SF的なシーンに移った時の飛躍も良い>>続きを読む
過去に囚われながらも過去によって生かされてきた二人の20年。20年が経ちながらも、舞台は時間が止まったような街。郷愁さえ否定した無時間的な白く何もない画面。その中で描かれる人生劇場。悲劇か喜劇か?
両さんか!と思う瞬間もありつつ考えたのが、自由人であるにも才能が必要であり、その才能の果てがラストのあれなのだということ。
この映画にリアリズムが感じられない、と言えるようになる世界はいつ来るのだろうか。行き過ぎたフェミニズムを描いているように見えて、実は真っ当なフェミニズムだったと思わせられる構成。とても悲劇的なのに爽快>>続きを読む
世界一オシャレな映画。60年代パリがなぜこうもオシャレ心を刺激するのかは考えていきたい
スパイ映画としての地についた演出の延長としての航空アクション。面白かったのだけれども、イーストウッドというのはこう思想的に危い作品に限って演出がキレキレなのは評価に困る。
時代の空気は知れるけど、面白くはない。これ一本でタモリ(という被写体)が映画に向いていないかどうかは判断できず。
悪くない。普通のコメディだが、ナイジェリアの特性なのか我が儘ボディで派手な服装の女性が闊歩する様子が興味深い。
えっ、これをこんなに長く撮るのという感覚。時間感覚を麻痺させる点でまさに映画的。だが、一方でカメラを向ける暴力性に対する無頓着さが気になる
サマー・オブ・ラブのなれの果て。反体制と自由恋愛の空気がかろうじて残る時代に通俗な不倫が職業成功を引き寄せる。そのシーンでフィルムを投げる運動が見事。
焼けぼっくいに火がつくパターンの映画であるが、>>続きを読む
作家性は抑え気味。どうしても原恵一版と比べてしまうと分が悪いし、瀬田なつき作品を期待すると肩透かしを喰らう。中盤のあることが起きる前後のカットバックくらいか。
瀬田なつきはうつろいやすい青年期の若者>>続きを読む
2022年公開。ある表現技法が作り手自身の手で汚された時に、心ある作り手に求められるのはその表現技法を正しい主張側に取り戻すこと。佐々木勝己監督は残虐ホラーを『テルマ&ルイーズ』や『デス・プルーフ』の>>続きを読む
美術が素晴らしい。端正に構成された映画そのものが壊れ出す「怪異」。とってつけたようなハッピーエンドが逆に怖い。