ドン・シーゲルの職人的世界観がいわば結晶化したような作品。
前の『ダーティ・ハリー』では、勧善懲悪の世界観から抜け出して、追うイーストウッドも追われるアンディ・ロビンソンも、どちらも社会に対する怒りと>>続きを読む
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冒頭から、音楽が厳かなアリア風だけれども、実際の歌ではなく、女性歌手の声をサンプリングしてキーボードなどで弾いたものになっていて、何か紛い物のような良く言えばコメディのような雰囲気がある。
その後にシ>>続きを読む
この時代のフィルムは、画面がクリアすぎず粗すぎず、陰影に富んだ独特の味わいがあり惹き込まれるものがあるが、特に、このトリコロールの赤は、秋の日差しを基調にした光の美しさ、静物画の中にいるような対話シー>>続きを読む
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ガーンジー島の描写がとても美しい…というよりもちょっと美しすぎる??第二次大戦後間もなくの話だが、所々、色調や鳥の声など、ファンタジーな、悪く言えば人工的な味付けになっている。ゲームのウィッチャーを思>>続きを読む
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わかりやすく、かっちりとして淀みなく、素晴らしい映画なのだが、一つ頭を悩ませる点がある。
それは、タオに嫌がらせをし、スーを襲ったあの憎むべきギャング達を、なぜ同じモン族の少年達に設定したのかというこ>>続きを読む
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ドヴィッドはラビだけれども、師と違って、同性愛のことを悪し様に言うことは一切ない。彼はアライだ。つまり、彼の中には、師とは違う律法の解釈がある。それを言葉として自覚できるようになったのが、あのスピーチ>>続きを読む
青年が、親の敷いたレールから離れ、自分の人生を自分で掴もうとする。ダスティン・ホフマンがそうした主人公の変化の過程を鮮やかに演じ切っている。身体の関係を結んだ女性にさえ「Mrs.…」と呼ぶ様な、よそよ>>続きを読む
この映画は、自分にとっては何と言ってもラストシーン。全てを持っていかれてしまう。
そこまでは、ぶっきらぼうで、どんな方向に行くのかわからない、ドキュメンタリーのようなハラハラするテンポと気怠い空気が交>>続きを読む
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「神は人を自分に似せて創られた」と、ストリックランドはお馴染みの神人同形説を唱え、白人の自分こそが神により似ているのだと自信満々である。が、本当は神に似ていたのは人魚の方だった―これがこの作品のユニー>>続きを読む
我々は、明日の生活費のために今日も一生懸命働くのだけども、そういう我々の心を支えているのは、幾層にも重なる過去の思い出の厚みなのだと思う。主人公は、眼を開けながら夢を見ているような、現在を生きながら、>>続きを読む
80年代、あの時代だからこそ撮れた不思議な魅力の映画だと思う。尾道の一つ一つのカットがまず素晴らしい。坂道、海、寺の鐘。どれにも人の姿がある。BSで観たが、時代が経ったせいか画面が褪色していて、しかし>>続きを読む
米国は、かつて禁酒法時代有り、マッカーシー旋風と赤狩り有り。そしてこの映画ではタバコ問題。必ずしも個人の自由と責任が理想通りに尊重される国というわけではない。それでも、米国が優れているのは、この映画の>>続きを読む
主人公の二人は、片やスコットランド人であり、片やユダヤ系である。プリンスオブウェールズのような典型的なイングランド人からすればひどくはぐれ物の個人だけれども、走ることを通じてグレートブリテンを代表し、>>続きを読む
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「宝石泥棒が巻き込まれる」何て書いてあるから判りにくいが、要は、主人公は最初からスパイであって、スレイドに近づくためにわざと宝石泥棒の廉で有罪を得て刑務所に入り、一緒に脱獄するところまでは筋書き通りだ>>続きを読む