pandaさんの映画レビュー・感想・評価

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ビューティフルデイズ(2018年製作の映画)

3.2

互いに多くを語らない。
無駄にさえずり、主張する今とかけ離れた静かな世界があった。

不平不満をぶちまけこともなく、不遇を呪って泣き叫ぶこともなく。
ただ子と夫への深い情が奥底で消えずにあった。

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Mr.ブルックス 完璧なる殺人鬼(2007年製作の映画)

3.0

「乾き」を癒すために人を殺す。
その「乾き」が一時だけ癒される。
人間の欲も趣向も多様ということだろうが、それは異常としか言えない。

とは言え、人間なんて本来残酷で身勝手。
刺激を常に求め、感覚は簡
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ミステリと言う勿れ(2023年製作の映画)

4.4

「乾く前のセメント」
ある心理学者の言葉。
子どもはもちろん、いくつになっても乾き切らない部分を持ち合わせている気もする。

遺伝による髪質や肌の色。
これを基準に選択してことをなしてきた非科学さに驚
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ミッドナイト・ランナー(2017年製作の映画)

3.4

出会いから、つるむようになっていくいきさつが微笑ましい。

若さの象徴かと思える真っ直ぐさと熱さ。
文句なしに良い。

臓器売買もおどろおどろしいが、卵子売買なんてことまで行われているとは。

ヤン教
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食われる家族(2019年製作の映画)

3.4

虫が殺虫剤で神経がやられるように、人間だって薬物には簡単に心身やられる。

邪な人間による洗脳にも弱い。
心の隙間にじっとり入り込んでくる様が気色悪かった。

主人公、心身ともにやられながらも、ある時
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コンフェッション 友の告白(2014年製作の映画)

3.7

何事にも、始まりがあれば終わりがあるとは言え、無邪気だった3人を想うと、その末路が悲しい。

音楽プレーヤー。
誤解を解く時間は与えられず。
とどめの言葉にも聞こえてしまい、切ない。

腐れ縁で確かに
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依頼人(2011年製作の映画)

3.7

これだから、人間を信用するのが怖くなる。
確かに犯罪からするとサイコパス。
サイコパスとそうでない人の線引きってどこだろう?
線引きも見分けもできそうもない。

小道具の死体紛失に違和感を覚えながらも
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ありふれた悪事(2017年製作の映画)

3.7

空恐ろしい取り調べ。
真実を明らかにする場とは程遠い。
でっち上げ。
権力をもってすれば、白が黒に簡単になる。

一昔前のことと思いたい。
かつては日本も。
でも、今もどこかで。

人間の社会に平等な
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藁にもすがる獣たち(2018年製作の映画)

3.7

包丁は、人を殺すための道具かと思えた。

渡り歩くバッグ。
それを手にした者は、よからぬことしか思いつかない。
 
お金をたくさん手にして楽に暮らしたい。
お金はあるに越したことはない。
これって、誰
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少年の君(2019年製作の映画)

4.3

まだ子どもなのに。
感じた孤独と恐怖と苦痛を思うと辛い。

二人の発する言葉が極端に少ない。
それだけに、無言で流す涙にその時々の感情が詰まっていて胸が詰まる。

陰湿で執拗ないじめには苛立ちしかない
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生きる LIVING(2022年製作の映画)

4.5

「生きる」と「生きている」
生への力強さが違う気がする。

終始淡々と進む。
無駄がない。
古臭いようで、それを感じるより、整然とした美しさがある。

ずかずかと入り込んで来ないのがなんとも心地よい。
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アイ・アム まきもと(2022年製作の映画)

3.7

融通が利かない。
人の話を聞かない。
察するという能力に欠ける。
いわゆる「空気の読めない人」

効率性や合理性、スピードを重視し、能力主義で甲乙付けられる現在では、ほぼ敬遠される人物だ。
実際関わる
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

3.9

話について行くのに必死。
それでも理解に至らず、映像がただただ目に飛び込んでくる。
置いてけぼり状態のままそれを受け止めているだけのような鑑賞だった。

人生は選択の連続。
その選択ひとつ一つ、正しか
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きっと、またあえる(2019年製作の映画)

4.5

心の眼があるとしたなら、その視野は簡単に狭くなる。
人生イコールそれではないはずなのに、思考は広がらず自己否定の悪循環に陥るのは悲しい。

寮生活の彼らは破茶滅茶で、うぶで、それでいて生真面目。
互い
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犬も食わねどチャーリーは笑う(2022年製作の映画)

3.6

無機的な冷たさを感じやすい「システム」。
人間が寄れば、これがないと収拾がつかないけれど。

結婚もそれの一つだと思うと味気ない。
でも実際はそれ。
人間のこしらえたシステムは長続きしないものが多い。
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夜の来訪者(2015年製作の映画)

3.8

世間は意外と狭いもの。
繋ぎ合わせたストーリーから、一人の女性の人生が垣間見える。

持てる者と持たざる者。
同じ時代に生きながら、住む世界を別にしている。
傲慢さが溢れ出た姿は醜い。

疑問は残る。
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私はあなたのニグロではない(2016年製作の映画)

4.0

その個人のそこそこの人となりを知った上での好き嫌いは仕方ない。

でも人種や国籍など何かで一括りにして差別をすることは、恥ずかしいことであるという認識に至らないものか。
女性差別、ジェンダー平等など少
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優しい嘘(2014年製作の映画)

3.8

ニットを解きながら走る笑顔が思い出される。
聡明で、最期まで人を思いやれる子だった。

人ひとりが関わる世間なんて狭い。
ましてや子どもなら学校がほとんどを占める。

仲間はずれを楽しんでいたクラスメ
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顔のないヒトラーたち(2014年製作の映画)

4.2

ホロコーストの代名詞ともとられがちなアウシュヴィッツ。
アウシュヴィッツを知らない世代がいたことに驚いた。

どれだけ悲惨な出来事であっても、月日が経てば風化する。
記憶が薄れていく。
身をもってその
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娘は戦場で生まれた(2019年製作の映画)

4.0

戦争ほど悲しいものはないとつくづく思う。
街は瓦礫の山と化して、見るに堪えない。
精神も病む。
映像の生々しさに、苦しくなる。

人間は何をどう学べば、戦争をしなくなるのか。
皆目見当がつかない。
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沈黙のパレード(2022年製作の映画)

3.8

悲しみと怒りと憎しみ。
理不尽な事件の被害者家族が持つ復讐心は否定できない。
幾年月日が経とうとも、暗闇を引きずる。

一人の体ではないと聞いた上でも、突き飛ばしてしまう短絡的な行動。
そこまで逆上し
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さかなのこ(2022年製作の映画)

3.5

心底好きなもの、長いこと夢中になれるものがあることは羨ましい限り。

好きなことに専心することと子の個性を認め見守る母親像は素晴らしい。
でも、現実ではなかなか難しい。
行く末の結果が良ければ賞賛もの
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エルヴィス(2022年製作の映画)

3.6

大勢の前で浴びる脚光は、実は空恐ろしいものなのかもしれない。
得られる高揚感は他に代わりがなく、求め続ける。

人間の一生に光と影はつきものだろうが、一世風靡した人たちの光の輝きはとてつもなく、影をよ
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ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

3.7

「ベイビー・ブローカー」という言葉はどこかおどろおどろしい。
だが、それを裏切るかのように、彼らは優しい。

人が寄れば不思議な連帯感が生まれたりする。
その連帯感が温かい。

身近なところを見ても、
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異端の鳥(2019年製作の映画)

4.0

剥き出しになった人間の顔と姿。
見てはいけないものを見たような気になる。
そもそも人間なんて、いくらでも残酷になれる醜い生き物なのかもしれない。
普段は幾重ものお面で隠しているけれど。

人が寄ればい
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いわさきちひろ 〜27歳の旅立ち〜(2012年製作の映画)

3.7

優しさとかわいらしさ。
それと同時に物憂げで儚げで。
どこか懐かく、しかし色褪せてない。

望まぬ結婚の終局や戦争。
我が子の成長。
知り得ていなかったいわさきちひろの人生に驚きながらも、絵に込められ
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メタモルフォーゼの縁側(2022年製作の映画)

4.1

人とのこんな出逢いがあるから人生は楽しい。
そう思わせてくれる映画だ。

うららと雪を始め、登場するすべての人が温かい。
BL漫画の中の2人を応援するうららと雪を、観る者たちがいつしか応援してしまう。
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グッバイ、リチャード!(2018年製作の映画)

3.6

人間は必ず死ぬ。
間違いなく自分も死ぬ。
何事かなければ、死を忘れて生きていられる。

余命宣告をされた時の感情はいかばかりか。
これまでの人生を思い起こし、残された人生どう過ごすか、とにかく哲学的に
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さがす(2022年製作の映画)

4.0

自殺は悲しい。
ならば、安楽死はどう捉えたらいいのだろう。
わからない。
日本ではまだタブー視されて、議論が進んでいるのかいないのか。
安楽死の制度が整ったとしても、死を望む全ての人が恩恵に預かれるわ
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Swallow/スワロウ(2019年製作の映画)

3.7

孤独を感じる心が増幅すると健康な思考ができなくなる。
幸せなフリで自分をどうにか誤魔化そうと頑張るけれど。

異食症という表立ってこない病。
命の危険に関わる。
それでも抑えがたい衝動はどうすることも
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パピチャ 未来へのランウェイ(2019年製作の映画)

3.8

内戦時代のアルジェリアを描いたもの。
今からおよそ30年前を描いたものだが、宗教や思想、風習などによる女性への弾圧、女性の自由を許さない抑圧は各地で行われている。

現状を受け入れ、その不自由さに気づ
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幼い依頼人(2019年製作の映画)

3.8

恐怖と孤独と痛み。
怯えて暮らす子どもたちを思うと心が痛む。

助けての声をあげても、その声を掬い上げる大人がいない。
声が届いた時には、時遅しと悲しい結末を迎えることが少なくない。
その声や異変に気
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存在のない子供たち(2018年製作の映画)

4.5

「両親を訴えたい、僕を産んだ罪で」
我が子から、こうもはっきり「親失格」を言い渡される。
こんな情けないことはない。
「世話できないなら産むな」
子ども側からのこの言葉も全く真っ当だ。

出生届は、こ
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カモン カモン(2021年製作の映画)

4.0

子どもは大人が思う以上に機微に聡い。
狭いながらも自分の住む世界の状況や身近な人の感情を事細かに肌で感じ取る。
その中でどう立ち振る舞うべきかの型を察知する。

一方、世間の事情や醜聞を見聞きして理解
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ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえり お母さん~(2022年製作の映画)

4.3

自分の父に、母に姿が重なる。
行き着く自分の先の姿も思い描く。
いつか迎えるそれぞれの時までに、どう生きていくのが良いのかと考えさせられる。
作り物ではない本物は心に訴えるものが強い。

美しく老いる
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ロスト・ドーター(2021年製作の映画)

4.1

十月十日の間、身に抱え出産する分、女性の方が親としての自覚が芽生えやすいのは確か。
それでも、実際の育児は想像以上にストレスを与え、心を乱すことは多々ある。

母性という言葉で、あるべき母親の姿を括る
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