pherimさんの映画レビュー・感想・評価

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映画(331)
ドラマ(1)

イサドラの子どもたち(2019年製作の映画)

4.6

イサドラ・ダンカンが遺したダンス譜《母》。記号が踊る譜面を見つめ、その源へと遡行を試みる若きダンサー。

あるダウン症少女の踊りから、ダンカンと同じく2人の子を失くした母が受け取るもの。

物語が進み
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Daughters(2020年製作の映画)

3.7

中目黒でルームシェアする女性ふたり。妊娠しシングルマザーとなる決断下す彩乃と、親友を支えながらわだかまる小春。

主演の三吉彩花&阿部純子、姐御的に導く役柄演じる大塚寧々や黒谷友香らが各々に瑞々しい。
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スパイの妻(2020年製作の映画)

4.5

黒沢清監督新作が、満州の謀略描くスパイ物で濱口竜介脚本、かつ蒼井優&高橋一生のW主演。

しかもこの座組だけでうなぎ登る期待値を、遥かに超えた面白さ。
神戸の近代建築から衣装小道具まで緻密な再現は眼福
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建築と時間と妹島和世(2020年製作の映画)

3.4

大阪芸大新校舎の構想から実現まで追う、ホンマタカシ監督作。

模型の功罪めぐる妹島の語りが興味深い。基礎工事から竣工まで捉えるタイムラプス映像の質感にホンマ色あり、別の妹島建築を撮る監督へ半日随伴した
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東京バタフライ(2020年製作の映画)

3.8

ど直球の青春音楽映画。業界の洗礼に抗って空中分解したバンドの面々が歩むその後を丹念に描くことで、音楽への情熱の一様でない在りかたが浮かび上がる様は感動的。

主演白波多カミンの存在感ゆえなのか、202
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ジャズ喫茶ベイシー Swiftyの譚詩(2019年製作の映画)

3.5

岩手一関で、半世紀に渡り研磨された音の哲学と実践の軌跡。

レコードの真価や数値へ還元不能の“良い音”めぐる語り自体の心地良さに、場のもつ強度を考えさせられる。Bluetooth鑑賞、サブスク配信、ス
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風の教会(2018年製作の映画)

3.1


神戸・六甲。安藤忠雄設計のコンクリート打ちっ放しで知られるこの礼拝堂の改修模様を、コミッションワークとして記録映像に収めた一篇。

堂内へと差し込む陽光の鋭さ、滴の跳ねる水音、十字架のつくる陰翳。ガ
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FLASH(2014年製作の映画)

3.7

『FLASH』2015

サラエボからザグレブへの列車車窓。古びた列車窓には抽象画のような汚れが載り、ときに逆側の窓景色が、ときに乗客である小田香自身が映り込む。

テロップが初めの手の記憶を語りだす
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トロールズ ミュージック★パワー(2020年製作の映画)

3.7

歌と踊りに明け暮れるポップ村の村人達、世界征服たくらむロック村船団、世の音楽統べる5本の弦。

このシリーズ、3作目で初の日本劇場公開と知り驚く。ヒット曲を贅沢に使用し親子で楽しめ、K-POPとレゲト
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新しい街 ヴィル・ヌーヴ(2018年製作の映画)

3.4

墨絵調の描写によりレイモンド・カーヴァー短篇「シェフの家」を翻案、1%差で破れた’95年ケベック州独立運動を盛り込む風変わりなアニメ作品。

アル中の自身、家族関係、ケベックと折り重なる再定義の契機。
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鉱 ARAGANE(2015年製作の映画)

4.4

自転公転を続けるこの地上から取り残された坑道の奥でそれは滴り、それは煌めく。闇へ作動音を響かせる重機群、蠢く坑夫の肉体群。坑内深部へ女性監督が分け入ることの珍しさも、ボスニアの炭鉱で日本人の若手が撮る>>続きを読む

ノイズが言うには(2010年製作の映画)

3.5

小田香というと『鉱 ARAGANE』の無機質さとタル・ベーラ師事の東欧的異色感、『セノーテ』授賞式等での寡黙さがイメージとして先立つ。

そのため性的少数者の告白巡る家族との交錯を生々しく描き、母撮る
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おらおらでひとりいぐも(2020年製作の映画)

3.6

夫に先立たれた75歳の桃子さん、その一見平凡で孤独なひとり暮らしは46億年の地球史に連なっていて、無数の心模様にとり囲まれる。

田中裕子と蒼井優が桃子さんの今昔を演じ分け、がむしゃらでへこたれない姿
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こんなに近く、こんなに遠く(2004年製作の映画)

4.3

家庭をなおざりにしてきたベテランの脳神経外科医が、星を観に砂漠へ旅立った息子を追うなかで、様々に未知の世界を経験しゆくロードムービー。

恐ろしく詩的な構成により、信仰/医学、伝統/近代、辺境/都心と
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ペインティングプール(2013年製作の映画)

4.2

知的障害もつ若い父と母、わが家の“ふつうでなさ”に苛立つ少年。

仲睦まじく息子を愛してやまない父母が、子に反発されて戸惑す姿は本当に切ない。集合住宅の暮らしから製薬会社での労働、ピザ作りまで全ての描
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ハラール・ラブ (アンド・セックス)(2015年製作の映画)

3.5

精力絶倫夫に疲れたアワーテフは2人目の妻を探し始める。念願の離婚を果たしたルブナーは、一時婚の慣習により意中の男との同棲を実現させる。

腐れ縁模様や安易に放逐される若妻などイスラーム法と現代的価値観
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インセプション(2010年製作の映画)

5.0

IMAXレーザーGT上映

記憶の果実を盗み、時の神へ背く人々。

垂直方向へ現実感が折り重なる世界に圧倒された初見時に対し、マリオン・コティヤール演じるゴーストの鋭利な危うさに今回は怯えまくった。漆
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スペシャルズ! 政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話(2019年製作の映画)

4.0

『最強のふたり』のナカシュ&トレダノ監督コンビが、福祉系NPOで働く2人の男に焦点化。ヴァンサン・カッセルと共にレダ・カテブがW主演抜擢され極私的にも喜悦の極み。演技素人の自閉症児たちのダンスが完成さ>>続きを読む

ジャングル ギンズバーグ19日間の軌跡(2017年製作の映画)

3.3

ダニエル・ラドクリフ主演、ボリビアの密林で遭難したイスラエル人探検家Yossi Ghinsbergの手記に基づく実録物。

序盤の天然薬物トリップから密林生存による変貌までスイスアーミーマン味あるカッ
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ホテルローヤル(2020年製作の映画)

3.8

釧路湿原の寂れたラブホテル。お城タッチの佇まい全てが切ないその内側で織りなす人間模様。

家業継ぐ二代目娘の居心地悪さ、親から着信拒否される女子高生に扮する伊藤沙莉など見どころ多く、なかでも家事と介護
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マティアス&マキシム(2019年製作の映画)

3.9

友人の撮る映画のためキスした30歳男子ふたりが、互いを意識し始めもう止まらない恋路のゆくえ。

《感情の肉弾戦》たるグザヴィエ・ドラン節健在ながら、美しき婚約者あり海外転居ありの距離感演出に、過去にな
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エマ、愛の罠(2019年製作の映画)

4.1


チリ発、あるダンサーの稀有なる野望描く秀作。

人知れず火炎放射器で世界を焼くエマのダンスが全編の基調を生み、南米現代史映すパブロ・ラライン監督過去作『NO』『ネルーダ』の系譜が美学的飛躍を遂げる。
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ミッドウェイ(2019年製作の映画)

3.7

豊川悦司の山本五十六役が驚きのガチ嵌り。真珠湾からの苦渋に満ちた舵取りを熱演、浅野忠信&國村隼の対立構図も痺れる。

ウディ・ハレルソンら扮する米側将兵が無論主役ながら、変な日本語皆無の構成に名匠ロー
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スイス・アーミー・マン(2016年製作の映画)

4.0

ダニエル・ラドクリフが《オナラを排出することで推進力を生み洋上を滑走する死体》を演じ、ポール・ダノがその死体に乗って海駆ける超絶怪作。

娑婆への帰還演出まで笑える充実感。あと死体の躍動には、どうして
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チィファの手紙(2018年製作の映画)

3.9

“你好、之華”

時を隔てた初恋相手との邂逅。光も音も純然たる岩井俊二ワールドの中、現代中国映画を牽引する名優達が躍動するアジア新世紀感。

とりわけ周迅(ジョウ・シュン)の存在感は圧倒的で、香港娯楽
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千と千尋の神隠し(2001年製作の映画)

4.6

BESTIA上映鑑賞

予想できなかった質の面白さ。鑑賞何度目かわからないのに受けとるものが全く異なり、初見時より感動してたかも。

とりわけ湯屋の絢爛豪華な多彩色。銭婆が操る式神やカオナシの憑依がも
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風の谷のナウシカ(1984年製作の映画)

5.0

BESTIA上映鑑賞。

生きた風の谷へ分け入るような、想像超える体験。

例えばコルベットから見あげた雲間にキラリ光る物あれば、それはペジテのガンシップに決まっていて、んなこと百も承知なのに大興奮。
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パヴァロッティ 太陽のテノール(2019年製作の映画)

3.8

なんとハリウッド娯楽映画の帝王ロン・ハワードが、ルチアーノ・パヴァロッティの生涯追う質実作を監督。

知られざる前半生、中国にオペラを普及させ3大テノール揃い踏みからダイアナ妃との交友まで豪華すぎる中
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82年生まれ、キム・ジヨン(2019年製作の映画)

3.9

二重人格を取り込む超絶技巧により、多面的な女性の生きづらさを一個の物語へ編み上げた一篇。

主人公の逼迫の端源を解きほぐすように、時系列を激しく往還して描かれる家族と心の歴史は説得的。親族の目から会社
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ファナティック ハリウッドの狂愛者(2019年製作の映画)

3.6

ジョン・トラボルタ主演新作は、惨劇起こすストーカーへと変貌しゆく純真な映画オタクを熱演、ハリウッドの狂瀾を鋭く風刺する。

偏愛する当人の前で挙動不審となり警戒されるコミュ障あるあるは物悲しく、正常/
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おかえり ただいま(2020年製作の映画)

3.5

名古屋闇サイト殺人事件を扱う、東海テレビ製作映画。

被害者女性視点で描く前半ドラマでの情感的な溜めが、犯人の死刑を求める母を追う後半ドキュメンタリーで活きる良構成。

あと序盤でヨーヨー片手の斉藤由
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オフィシャル・シークレット(2018年製作の映画)

4.0

スパイである私は何のため働くのか。政府か、国民か、家族か。

嘘に基づくイラク戦争開戦の気運の下、己が責務に逡巡しリークへ至る英国諜報部員演じるキーラ・ナイトレイの、繊細な声音と強靭な瞳に惹き込まれる
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イクロ2 わたしの宇宙(そら)(2019年製作の映画)

3.5

裏山の天文台から、舞台はインドネシア国立宇宙機関(LAPAN)やロンドンへ。人気俳優も続々出演し、少女アキラの成長と共に娯楽映画の正統進化を遂げてる感。

「人類最初の宇宙飛行士はムハンマド」の挿話が
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ふたつのシルエット(2020年製作の映画)

3.8

別々の人生歩むかつての恋人同士が、海沿いの町での7年ぶりの鉢合わせから船出する、束の間の心の旅路。

《そうであったかもしれない時間》との交錯、気づけば入れ替わる心模様の影姿を、ふたりが共に生きた時代
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存在のない子供たち(2018年製作の映画)

4.4

レバノン、自分を生んだ罪で両親を訴える12歳の少年。そこへと至る道のりで少年は怒り絶望し、遁走し無慈悲を知り諦観する。癒えない困窮、難民や不法移民の逼塞、児童婚の実態、映像は流転する。母としてアラブ人>>続きを読む

私たちはどこに行くの?(2011年製作の映画)

4.0

レバノン、砂漠の小村でムスリムとクリスチャンの男達が諍い合う。女達は対立の兆しを村から遠ざけようとする。だが燻る火種は容易く発火する。女達の下した笑撃的慈愛の決断。黒海対岸から舞い降りた白人美女集団が>>続きを読む

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