pherimさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

熱のあとに(2023年製作の映画)

4.1

愛するホストを刺した女が、出所後“ふつうの生活”を試みるも、ホストの妻が現れ愛炎上、情念地獄へ。

常に直滑降なこの橋本愛、『美しい星』の橋本愛だよ最高でした。お見合いで🦞を🦐と勘違いして貪る仲野太賀
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違う惑星の変な恋人(2023年製作の映画)

3.9

『違う惑星の変な恋人』🪐

クセの強めな男女4人が、片思い矢印の円環を描く四角関係。

テンポの良い舞台劇を観るような感覚は、『階段の先には踊り場がある』に通じる木村聡志監督作。綱啓永演じる挙動不審青
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白日青春 生きてこそ(2022年製作の映画)

4.2

香港人タクシードライバーの男が衝突事故を起こし、パキスタン難民の命を奪ってしまう。

政府批判から台湾移住したアンソニー・ウォンゆえの凄演。男の息子は刑事であり、難民の息子を非合法に助ける男と対立する
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カラフルな魔女~角野栄子の物語が生まれる暮らし~(2024年製作の映画)

3.6

いたずら描きみたいな人生ね。

元気一杯な『魔女の宅急便』原作者88歳の暮らしは彩度MAXで、結婚後のブラジル移住経歴が児童文学へと結実する展開も鮮やか。恩人との60年ぶり再会は素朴に感動。

ナレー
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コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)

4.6

9歳の寡黙な少女が味わう夏の煌めき。

騒々しい大家族から老夫妻の元へ送られ浸る無音の孤独と、地から滲み出すように少女を包み込む慈愛の深さ。

クレア・キーガン原作の丁寧な描写を漏れなく汲み取ろうとい
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サウンド・オブ・サイレンス(2023年製作の映画)

3.0

音が鳴る間だけ姿を現し、襲い来るゴーストとの対決。👂

聴覚へ焦点化する一軒家完結の閉鎖系ホラー展開はドント・ブリーズ、謎の幽霊が導く点はブラック・フォンを想わせる。序盤のドキドキから次第に哀愁漂うイ
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ザ・ガーディアン/守護者(2022年製作の映画)

2.8

出獄ヤクザが、娘を人質に殺し屋から命を狙われる。
大作主演常連のチョン・ウソンによる初監督&主演作。

娘を護る逆襲物語より、見せ場の数珠つなぎ感が前面にでる粗さ目立つも、弾丸でなく釘を放つ機関銃+コ
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海街奇譚(2019年製作の映画)

2.9

離島を訪れ、失踪した妻を探す写真家の男。

物語は夢幻的に錯綜する反面、カブトガニ仮面団の儀式、夜闇に舞う魔性の女、台湾ニューシネマ引用などしたいことはわかりやすい。張弛/チャン・チー監督は1987年
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BAD LANDS バッド・ランズ(2023年製作の映画)

3.8

詐欺組織の現場隊長演じる安藤サクラがハンパない。

ヤクザ/警察とも台詞にキレがあり、賭場や大阪・西成の隠れ家など魅せ場を心得た舞台設定の連続で飽きさせない、『日本のいちばん長い日』の原田眞人監督作。
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サン・セバスチャンへ、ようこそ(2020年製作の映画)

3.7

妻に同伴した熟練映画評論家による、
スペインの映画祭探訪と老いらくの恋路。📽️

ウディ・アレン監督自身のスキャンダルで陣容の派手さ消えるも洒脱さ健在。無闇な欲望に取り憑かれた個人が切なさを醸す点ブル
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緑の夜(2023年製作の映画)

3.5

韓国の港で保安検査員として働く女が、奔放な“緑髪の女”との出逢いを経て、暴力夫から離れ永住権獲得を模索する。

黄海を隔てた中韓の距離で描き出される異国感と、浮遊する夜の映像に見入る。『アデル、ブルー
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AIR/エア(2023年製作の映画)

4.0

マイケル・ジョーダンをNIKE社が口説き落とすまで。👟

アルゴ/夜に生きる以来のベン・アフレック監督作、この質実さは良くて、いずれイーストウッド級の名監督入りする予感。兼任のナイキ社長役も聞き分けい
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VESPER/ヴェスパー(2022年製作の映画)

3.4

崩壊世界の森の片隅に暮らす少女が、生命資源の秘密へ迫るディストピアSF。🦠

エリジウム的超格差社会の末端で、“蟲愛づる姫”の生物実験室からプロメテウスばりに神話へ引き上げる試みは既視感凄いが、リトア
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ノーウェア:漂流(2023年製作の映画)

3.6

難民の妊婦が隠れるコンテナが、嵐で海へ落ちて始まる洋上閉鎖系サバイバル。

近くを漂流していた夫の隠れるコンテナが沈みだし聴こえる阿鼻叫喚、そして激しくなる陣痛。物資を工夫し排水とか、基盤を分解し手術
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しあわせのパン(2011年製作の映画)

3.4

北海道の洞爺湖ほとりでパン屋カフェを営む夫婦の日々。🍞

原田知世と大泉洋の浮遊感に、矢野顕子&忌野清志郎の歌が乗るやきたて雲状パン感覚なごむ。🥖

2012年1月公開の三島有紀子監督&脚本作で、明示
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幼な子われらに生まれ(2017年製作の映画)

3.8

『幼な子われらに生まれ』

すれ違う家族の心が軋みをあげる中、お腹の子は育ちゆく。義妹の誕生を畏れる長女、元夫を恐れる妻。

浅野忠信と田中麗奈の緊張孕む夫婦演技を、元妻/寺島しのぶ、元夫/宮藤官九郎
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ジュラシック・ワールド(2015年製作の映画)

4.0

合板製の恐竜骨格キットやゾイドシリーズに心ときめかせた幼児体験をもつ身としては、記憶の古層に棲まう彼らがヌメヌメ走り飛び吼える姿にもう感涙。娯楽映画の粋を堪能させてくれた感。バンコクトヨタIMAX3D>>続きを読む

怪物はささやく(2016年製作の映画)

3.7

追い詰められた少年が、巨樹の怪物を友として試練に立ち向かう。パトリック・ネスの英国児童文学名作を原作とする、感情表現の繊細さと瑞々しさで魅せるダークファンタジー。現実と幻想は世界の表裏で、両者のせめぎ>>続きを読む

雪山の絆(2023年製作の映画)

4.3

アンデス山中の墜落事故に伴うサバイバル実録物。🏔️Netflix

人肉食への強いタブー反応からの、「氷で包むと食べやすい」とか摂食描写の淡白さが生々しい。鑑賞後、スマトラ沖地震津波描くナオミ・ワッツ
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ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り(2023年製作の映画)

3.9

女戦士ミシェル・ロドリゲス&悪徳貴族ヒュー・グラントって座組の鉄板感パない。🐉

剣と魔法の映画は(ゲームやる方が楽しいから)敬遠しがちだけど、迷宮&🐲まんまのギミック再現とか、クエストいじりネタとか
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弟は僕のヒーロー(2019年製作の映画)

3.6

ダウン症の弟を“特殊能力者”と思い込んで育った少年が、思春期に入り弟の存在を恥じ隠し始める。

大人のようには割り切れない心の揺れを、繊細に表現する脚本&演出に見入る。弟の兄に対する愛を《ナチの鉤十字
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レオノールの脳内ヒプナゴジア(半覚醒)(2022年製作の映画)

4.1

元アクション映画監督の72歳お婆が、脚本賞応募を思い立つもTVに頭をぶつけhypnagogia=半覚醒となって始まる奇想天外。

アピチャッポン初期作『アイアン・プッシーの大冒険』『真昼の不思議な物体
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ビヨンド・ユートピア 脱北(2023年製作の映画)

3.9

“脱北者”を扱うドキュメンタリーは数多い中、北朝鮮から中国→ベトナム→ラオス→タイ→韓国へ至る逃亡ルートへ密着する点で本作は際立つ。

メコンを渡河した瞬間にお婆ちゃんがみせる安堵の表情、韓国の発展を
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ガザ・サーフ・クラブ(2016年製作の映画)

4.4

未来のみえない毎日、サーフィンだけが魂を自由にする。🏄‍♀️

汚染されゆくガザの海。青年はハワイ修行を夢みるもビザが下りない。少女は周りの目を恐れ、海へ出るのをやめていく。若者にサーフィンを教え続け
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ニューヨーク・オールド・アパートメント(2020年製作の映画)

3.5

不法滞在で暮らす双子のペルー人兄弟が、英語学校で知り合うクロアチア人女性に恋して直面するリアル。🏙️

低賃金で働く母やヒロイン女性の身辺描写に移民社会の厳しさが象徴され、無視される“透明人間”と自嘲
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ヴィクラムとヴェーダ ヒンディー語版(2022年製作の映画)

3.6

泥棒と警察による善悪迷宮物語。🔪

インド説話集/屍鬼二十五話に基づく同題タミル語映画の役者を換えたリメイクで、アーナンド先生(↓)を演じたリティク・ローシャンのヴェーダ役が、不敵に笑う阿部寛インド版
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シャクラ(2023年製作の映画)

3.7

拳と剣、そして愛。

ドニー・イェンが、仲間からも少林寺からも敵視された四面楚歌のもと、陰謀を嗅ぎつけ闘い抜く。

金庸小説をノワール基調でアクション映画化。漢族でなく契丹人の出自ゆえ疎外される物語が
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BLOODY ESCAPE -地獄の逃走劇-(2024年製作の映画)

3.0

改造人間vs吸血鬼デスバトル。ゲーテッド化した新宿クラスタなど、東京メインの終末世界描写が良い。🚄

谷口悟朗監督代表作のコードギアス群では長尺台詞もネタ的な持ち味だったけど、本作で3分に1度は動きの
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彼方のうた(2023年製作の映画)

4.3

穏やかな出逢い、偶然のすれ違い。
漂う不思議な空気と、不穏の気配。

映画でこその密やかな描写を磨く杉田協士監督作。小川あんのジト見に『天国はまだ遠い』が想起されると、濱口竜介『偶然と想像』の音が流れ
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レザボア・ドッグス(1992年製作の映画)

4.7

ガンギマリ傑作なの知ってて再鑑賞、どちゃ糞カッコ良くて驚いた。

狡くて最高スティーヴ・ブシェミ🔺、近年の深化甚だしいティム・ロス🍊精悍、そして盤石ハーヴェイ・カイテル🥛etc. すでに限界突き破って
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レザボア・ドッグス デジタルリマスター版(1992年製作の映画)

4.8

ガンギマリ傑作なの知ってて再鑑賞、どちゃ糞カッコ良くて驚いた。

狡くて最高スティーヴ・ブシェミ🔺、近年の深化甚だしいティム・ロス🍊精悍、そして盤石ハーヴェイ・カイテル🥛etc. すでに限界突き破って
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ただ空高く舞え(2020年製作の映画)

3.7

掃除婦やリキシャ運転手を飛行機に乗せたい。
インド初の格安航空会社を立ち上げた元空軍男の一代記。🛫

航空大手や政治家や官僚がスクラム組んで潰しにかかる理由が、《飛行機は富裕層のもの》という固定概念な
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ある天文学者の恋文(2016年製作の映画)

3.4

ジュゼッペ・トルナトーレ監督エンニオ・モリコーネ音楽で、死んだはずの恋人から届く声に導かれてヒロインが各地を旅する贅沢な観光映画。開幕ミステリーでかましつつ風光明媚&オルガ・キュリレンコ眼福安定。>>続きを読む

モリコーネ 映画が恋した音楽家(2021年製作の映画)

4.1

凄まじい出演陣。エンニオ・モリコーネをトルナトーレが撮ることでのみ為しえた、戦後映画史を体現する70名超の顔ぶれに圧倒される。

映画音楽の道を迷い恥じたという驚き。ハンス・ジマーらが解析する旋律の革
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ジャンゴ 繋がれざる者(2012年製作の映画)

4.5

単純に楽しかった。この「単純に」を引き出すべく張り巡らされた手管へ意識を向かわせないことが、ある種の人にとってはたぶん肝要。次のシーンで何が起こるかわからない、そのワクテカだけでエンドロールまで行ける>>続きを読む

ヘイトフル・エイト(2015年製作の映画)

4.3

タランティーノによる楽しすぎるウェスタン密室劇。

オタク的に娯楽映画を極めるとこうなるっていう理想形で、いつもの面子のいつも通りを速度超過で突き破る。🐎

嗜虐諧謔詭弁緊縛抱腹激おこ全部盛り。🏔️
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