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映画『99.9-刑事専門弁護士- THE MOVIE』。この作品がヤバいのは、日本の刑事司法が持つ構造的な欠陥を、エンタメの皮を被せてグイグイえぐり出している点なんですよ。
これ、やってることは完全に>>続きを読む
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映画『沈黙のパレード』。これ、東野圭吾のミステリーという皮を被った、現代日本の「正義の不在」を描く、極めて社会派な風刺劇として見るべきでしょう。
警察も司法も完全に機能不全に陥り、法で裁けない悪を、市>>続きを読む
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映画『コンフィデンスマンJP 英雄編』。これは、要するにハリウッドの古典的詐欺映画の文法を、日本のコメディとして再構築してみせた、問答無用の快作。
何が面白いって、観客を「だます」という行為そのものが>>続きを読む
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映画『BLUE GIANT』。これ、原作の「音が出ない」という最大の難題を、見事にクリアどころか、ブチ破ってみせた怪作でしょう。
何がヤバいって、まず演奏シーンの「画」の説得力がとんでもないことになっ>>続きを読む
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映画『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』は、もはや「ミステリ」の枠に留まらない、巨大な「コナン・システム」の更新作業である。この作品の主題は、いかにして怪盗キッドと服部平次という二大人気キャラクター>>続きを読む
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映画『国宝』観てきました。
これは見事に「構造の勝利」と言っていいでしょう。単なる伝統芸能の世界を美しく撮った作品で終わってないんです。
主人公の立花喜久雄が、歌舞伎という超ドメスティックなジャンルで>>続きを読む
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映画『キングダム 大将軍の帰還』は、ただのすごい歴史映画じゃない。これは、日本のみんなが求める「最高に面白いお約束」の枠組みを、完璧に守って動かすための「巨大な仕組み」として作られている。この作品の一>>続きを読む
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映画『SPY×FAMILY CODE: White』を見て、まずお伝えしたいのは、これは、ただの楽しいスパイごっこではないということです。舞台になっているオスタニアとウェスタリスという国は、冷戦時代の>>続きを読む
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映画『室井慎次 敗れざる者』。
最高に熱い、まさに「真の警察官」の物語がここにあります。柳葉敏郎さん演じる室井さんの魅力が、もう爆発しています。
今回の映画は、室井さんが自分の信じる正義を貫くために、>>続きを読む
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映画『スオミの話をしよう』 これはもう、最高にゾクゾクする、予測不能のミステリーエンターテイメントですよ。
物語は、主人公の周りで起こるちょっとした「変なこと」から始まります。最初は「何の話」って思う>>続きを読む
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映画『室井慎次 生き続ける者』。前作の「敗れざる者」を経て、今回の焦点はまさに「生き続ける」という、このヘビーなテーマにあります。ただの熱血ドラマじゃなくて、これは「公務員とは何か」を深く問いかける、>>続きを読む
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『リボルバー・リリー』、期待値が高かっただけに、まずはその「タメ」の長さに唸りました。綾瀬はるかさん演じるリリーのクールな佇まい、大正浪漫な美術は最高にエモい。しかし、肝心の銃撃戦と肉弾戦の繋ぎが、ど>>続きを読む
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映画『ミステリと言う勿れ』、これは原作が持っていた「語りの構造」が、映画というフォーマットでどう機能したか、という点がポイントになってきますね。
まず、主人公・久能整(ととのう)の膨大な独白。これが原>>続きを読む
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「超大作」というより「超体験」。
ジェームズ・キャメロン、恐るべし!
前作で森の部族と化した主人公一家が、今回は"水の民"と邂逅する。その海洋世界の造形たるや、もう言葉を失うレベルです。特にハイフレ>>続きを読む
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『レジェンド&バタフライ』。これはもう、「スター映画」としての潔さと、その長尺ゆえの"もたつき"が同居した、非常に批評しがいのある一作と言えるでしょう。
まず何と言っても、主演二人の「華」と「顔力」が>>続きを読む
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この映画、まさに「続編の最適解」ですよ。前作の成功体験に溺れることなく、「茶番をいかに壮大に、そして丁寧にやるか」という一点に、潔く全リソースを投入している。
舞台を関西に移したことで、ローカルディス>>続きを読む
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これはもう、是枝裕和監督と坂元裕二さんのタッグによる「異種格闘技戦」として、それだけで勝負あり、という感じでした。
まず素晴らしいのが、重層的な語り口の構造です。視点を切り替えるごとに、登場人物への印>>続きを読む
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まず「邦画の商業エンターテイメントとして、一つの頂点を極めた」と言っていいでしょう。
原作の壮大で、しかも際どい政治的・思想的テーマを、現在の技術でどこまで映像化できるのか、という一点に尽きるわけです>>続きを読む
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映画『帰ってきた あぶない刑事』。これは単なる懐かしの同窓会ムービーじゃなくて、ちゃんと「今」の映画として成立させている点がすごいんです。
タカとユージ。この二人のコンビがスクリーンに戻ってくる、とい>>続きを読む
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映画『PERFECT DAYS』。これは、一見地味に見えるかもしれませんが、とんでもない批評性と強度を持った傑作ですよ。
役所広司さん演じる主人公の平は、東京の公共トイレ清掃員。彼の毎日が、朝起きて、>>続きを読む
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劇場版『名探偵コナン 黒鉄の魚影』。これは単なる夏のエンタメではなく、シリーズの根幹を揺るがす「超重要作」として語り継がれるべき一本です。今回の最大の焦点は、我らが灰原哀、そのルーツである黒の組織との>>続きを読む
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宮崎駿監督の『君たちはどう生きるか』。この映画、本当に事前情報がゼロのまま観客に放たれた、それ自体が事件のような作品です。これはもう、通常の意味での「物語」や「エンタメ」の枠を超えている。これは宮崎監>>続きを読む
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映画『鬼滅「鬼滅の刃」絆の奇跡、そして柱稽古への刃』のこの劇場版は、前の話と新しい訓練の話をつなぐ、ちょっと変わった構成になっていますね。
まず、この映画がずっと見せつけてくる「柱稽古」という名の地獄>>続きを読む
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映画『変な家』は、ただの間取りのパズルを解くだけのホラーではありません。この作品には、日本社会の一番恐ろしい部分が詰まっていると思います。
まず、あの不自然な間取りは、誰にも知られてはいけない家族の「>>続きを読む
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映画『ルックバック』は、ただの「漫画家になる話」だと見てはいけません。これは、日本の社会に今も残る、とんでもない「暴力の毒」を描いている作品だと思います。
主人公の藤野と京本は、仲良く漫画を描く夢を追>>続きを読む
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『怪盗グルーのミニオン超変身』は、グローバル資本主義が作り上げた、「承認の快楽」に満ちた極上の消費コンテンツだ。しかし、これほど「内輪ウケ」に徹した作品も珍しい。
この映画の主役であるミニオンたちは>>続きを読む
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『ちひろさん』は、今の日本社会が失った「共同性から自立した、弱い個人同士のつながり」の可能性を描いた、貴重な作品。
主人公のちひろさんは、過去に風俗嬢だったという「社会の規範」からはみ出した存在だ。>>続きを読む
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『すずめの戸締まり』は、東日本大震災という「現実の痛み」を、新海誠らしい美しい虚構で包み込んだ作品だ。しかし、僕はここに「力のある虚構」が失われつつある時代の空虚さを感じる。
この映画のテーマは、「>>続きを読む
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徹底した様式美と、それを破壊するカタルシス。タランティーノは今回も「映画の文法」を極限まで弄んでいる。
冒頭のタイトルデザインからしてニヤリとさせられるマカロニ・ウエスタンへの愛情が、全編に渡って画>>続きを読む
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正直、これは福田雄一監督の「シチュエーション・コメディ」としてどうか?という点に尽きるでしょう。
古典落語の『芝浜』を下敷きに、ホストクラブのバックヤードという「縛り」の中で、菅田将暉やムロツヨシら>>続きを読む
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これはもう映画監督タランティーノが、映画とハリウッドへ捧げた、甘美で残酷な「ラブレター」だ。
1969年のハリウッドの「空気」を、ここまで生々しく、それでいてノスタルジックに切り取る映像の力にまず舌>>続きを読む
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ディエイジング技術の是非はさておき、スコセッシの到達点としての映像作家の執念を感じた。この映画は、もはやマフィア映画の皮を被った「時間の映画」だ。
3時間半という長尺は、むしろフランク・シーランという>>続きを読む
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これはもう、「逆襲のシャア」の結末という、重すぎる課題に真正面から向き合った、非常に意欲的な映像化作品だと感じました。
まず圧倒されるのは、モビルスーツ(MS)の描写です。これまでのアニメ作品に見ら>>続きを読む
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福田雄一監督の「ワンシチュエーション・コメディ」の初期衝動が詰まった一作。
本作は、冬の海の家という「極端な閉鎖空間」に、「マドンナからの手紙」という、これ以上ないほどベタな動機で集められた「馬鹿な>>続きを読む
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『パラサイト 半地下の家族』は、現代の「格差社会」という理不尽な現実を、これ以上ないほど生々しく、残酷に描き出した社会派エンターテインメントの傑作。
この映画は、貧しいキム一家が金持ちのパク一家に寄>>続きを読む
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『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス』は、「シビュラシステム」という、AIによる完璧な管理社会の矛盾を突きつけ続けたシリーズの、まさに「総決算」。
この映画が描いているのは、「自分の心の色」>>続きを読む