夜な夜な映画祭さんの映画レビュー・感想・評価

夜な夜な映画祭

夜な夜な映画祭

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ザ・ビーチ(2000年製作の映画)

3.7

15年くらい前に観たときとだいぶ印象が違う。

くだらないB級映画としてみると最高に面白いことを今更ながら知った。

葉っぱで頭をクラクラさせながら、60年代後期のフラワームーブメントで描かれた理想郷
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永い言い訳(2016年製作の映画)

4.2

レコードの溝に録音された演奏を繰り返すほどに、そこにノイズを伴っていくように。

毎日の風景が沈殿して、気付けば幾重にもなった時間の層を背負いながら、私たちは生活している。

描かれているのは、そんな
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言の葉の庭(2013年製作の映画)

3.6

きれいな映像。
雨のシーンの美しさに驚きました。

ストーリーは、すごいテンポで進んでいくもんだから、前半でこんなにまとまっちゃって、後半どうなんの!?と思ってたら、エンドロールが、、

短編映画とは
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君の名は。(2016年製作の映画)

4.2

夢から覚めたら妙に胸が高鳴っていること、初めて見たはずなのに既視感を覚えること、誰もが抱いたことあるだろうそんな感情をピースにして、美しく組み上げた作品。

心にぽっかり開いた穴は、気付いたら日々のあ
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ハイ・ライズ(2015年製作の映画)

3.5

憂鬱なアドレッサンスの残り香を不意に思い起こすような作品。

全てが無くなってしまえばいいのにと、どこかの誰かが(あるいは、1度は誰もが)夢想し、引き出しの奥に隠した終末図のようだ。

ストーリーは意
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怒り(2016年製作の映画)

3.8

良くできた脚本で見応えある1本。実在する事件を引用することで、フィクションの世界から生々しい視線で現実を覗かれているような気持ち悪さを演出している。

ハッテン場に潜伏、日雇い現場で偽名で労働、ホクロ
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湯を沸かすほどの熱い愛(2016年製作の映画)

4.0

干からびるんじゃないかと思うほど泣いた。

前半の双葉(宮沢りえ)の底抜けにかっこいい生き方や、ぶっ飛んだラストの突き抜けた感覚含めてすごく好きな質感。

熱い愛、温まった~。

ヒップスター(2012年製作の映画)

4.0

2つ、とても印象的なシーンがあった。

1つ目は、冒頭、主人公が出演したラジオでうまくいかず、ラジオDJと口論になって帰ってしまった後、1人ブースに残ったDJが「どうすればよかったんだ」と吐くシーン。
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二ツ星の料理人(2015年製作の映画)

3.8

うまい料理を作りたいという信念に突き動かされる人々の話。「人々」の話だと言うところが、面白かった。

全財産つぎ込んだり、嫉妬したり、裏切ったり、勝つためには(あるいは相手を蹴落とすためには)手段を選
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愛を語れば変態ですか(2015年製作の映画)

3.9

途中から積み上げたものが崩れる感じ、思いきったなと思う。あるいは、思い切り崩すつもりで積み上げたのか。

ここで語られる愛は、突拍子もないことのようでいて、しかし確かな真実であると、とても信じることが
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at Home アットホーム(2015年製作の映画)

3.0

ウーマンラッシュアワーの村本さんが出てるので観賞。

なかなかゲス演技で、期待以上。しっかりと嫌悪感抱きました。さすが。

ゼロ・グラビティ(2013年製作の映画)

3.9

この映画は、宇宙との距離が近い。宇宙は既に未知の世界ではないんだな、ということに驚いた。

今や時代は、個人が宇宙まで風船を飛ばして写真撮影することが可能なんだという、先日観たテレビ番組を思い出した。
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WE ARE Perfume WORLD TOUR 3rd DOCUMENT(2015年製作の映画)

3.7

90年代、日本の音楽業界がバブル絶頂期だった頃、ブリブリに勢いのあったJ-popのアーティストたちが、「次は海外進出を」みたいなことをテレビや雑誌でよく発言していたように思うけれども、いったい誰かがそ>>続きを読む

草原の実験(2014年製作の映画)

3.6

約90分を通して、穏やかな風景の中に生きる歓びを描く。この映画から伝わってくるのはその一点のみ。どれだけ尊いものが奪われたのか。

映画のメッセージ性や作りの斬新さも興味深いが、私はカザフの広大な風景
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撤退(2007年製作の映画)

3.8

こんな映画、何も語れない。というのが不勉強な私の素直な言葉だ。私は日本人だと、迷いなく話すことができる私には、到底語る言葉が見つからない。

長回しのカットが印象的で、特に冒頭、列車でタバコを吸うとこ
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聖の青春(2016年製作の映画)

3.8

私にとって生き方がカッコいい職業といえば棋士だ。手振らでやってきて、将棋を指して、去っていく。どこか流浪のようでもある。

村山聖の生涯は、まさに棋士だった。負けたくない、その一点に拘り、まるで何かに
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裁かれるは善人のみ(2014年製作の映画)

3.8

邦題はリヴァイアサンのままで良かったのでは。個人が抵抗することができない災い・自然の象徴、である。

バレンツ海沿いの海岸町の冷たい風景を眺めるだけで私は満たされた。冷たく広大な海に感じるのは、自然へ
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ヴィクトリア(2015年製作の映画)

4.0

映画の中で、徐々に夜が明けていく。それだけのことに、私はこれほど興奮したことはない。

140分ワンカットという制約の中で、役者たちの魅力が溢れ出してる。
それはワンカットという制約があってこその面白
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おとぎ話みたい(2014年製作の映画)

4.0

この映画で描かれる田舎の匂いが、なんだか懐かしい。自分の肌感覚に近い。

監督の出身地が私の地元だと知ったのは、映画のエンドロールに地元の中学校の名前がクレジットされていることに気づいたからだ。

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LOVE【3D】(2015年製作の映画)

4.1

映画の中にセックスシーンがあることは珍しくないけれど、ほぼセックスシーンしかない映画は初めて観た。

だからといって、これがアダルトビデオだとは全く思わなくて、これが映画然としているのは、映画を映画足
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ノウイング(2009年製作の映画)

3.9

2009年公開当時、この映画の中でフィクションとして描かれたはずのスーパーフレアは、しかしその後に、NASAのケプラー衛星の太陽型星の観測により、起こりうる事実として発見された。

スーパーフレアによ
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海街diary(2015年製作の映画)

4.0

鎌倉のこの家に4人が暮らした記憶は、いつか遠い将来、4人がいなくなったあともずっとこの家に残るんだろう。

この家には、過去からの時間が丸ごと漂い、姉妹はその大きな時間に包まれて暮らしている。

映画
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シェフ 三ツ星フードトラック始めました(2014年製作の映画)

3.8

この映画のミソは、なんといってもスカーレット・ヨハンソンだ。ジョン・ファヴロー演じる腕はいいが性格的に問題ありなシェフに、私はあなたを応援するわと寄り添ってみせることで、あぁこのデブ(ファヴロー)いい>>続きを読む

Mommy/マミー(2014年製作の映画)

3.5

不器用な愛を堪能した。

根詰まりした感情に愛を注ぎ会うことで、萎れかけた植物が再び太陽に向かって葉を持ち上げかけたかのような、それがどんなに歪な姿でもそこに愛の力強さを確かに感じた。

肯定的に言う
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ボーダレス ぼくの船の国境線/ゼロ地帯の子どもたち(2014年製作の映画)

3.9

痛烈に心に残る。

この映画の中で戦場の悲惨さは、極めて静かなトーンで描写される。

戦争により人生を奪われた少年と少女と、兵士。国境のない廃船上で、必死に生にしがみつく。

少年は場面によってあどけ
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ひつじ村の兄弟(2015年製作の映画)

3.8

アイスランドの広大さに魅了された。

幾重にも重なった時間の厚み中で生きる村人と、ひつじ。

ひつじを守る兄弟の姿は、過去から受け継がれた時間そのものを守ろうとしているかのように見える。二人は、個より
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南極料理人(2009年製作の映画)

4.1

飯が美味そうだっ!!

先日のテレビ再放送の録画で観た。めちゃくちゃ好きな映画だ、というのは今回の感想で、5年前に観た当時はあまりピンと来てなかった。食べ物とか仕事とか家族とか、若いうちはそういうアン
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マリーゴールド・ホテル 幸せへの第二章(2015年製作の映画)

3.5

続編と知らずに観た。
が、単独でも楽しめます。

人生を楽しむって、こういうことなんだよなと、ぐっと響いてくる映画。

青春の時期を終え、大人になって、仕事にヘトヘトになりながら余暇を楽しむ我々とは、
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ニンフォマニアック Vol.2(2013年製作の映画)

4.0

完璧な作品。

vol.1の奔放な躍動感が、vol.2ではさらに制御性を失っていく感じ。

vol.1を観て、面白かったらvol.2も借りればいいかと思って1本しかレンタルしてこなかった自分を後悔し、
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私たちのハァハァ(2015年製作の映画)

4.0

たとえばそれがミック・ジャガーでも
アンティークの時計でも
どこかの安いバーボンのウィスキーでも
そうさなにかにこらなくてはダメだ
狂ったようにこればこるほど
君は一人の人間として
幸せな道を歩いてい
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スイミング・プール(2003年製作の映画)

3.5

南フランスのプール付きの別荘で、創作活動に打ち込みつつ、年の離れた娘に自分の欲望を重ね、解放していく。

という映画と思って観ていると、途中、画面の違和感から「そうじゃない」ことに気づく。

妄想を塗
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ニンフォマニアック Vol.1(2013年製作の映画)

4.0

天才だよ、この監督。

表現としての既成の枠からはみ出して、それ自体に気負いを感じさせず、あたかも自然に、尺度に縛られてない自由な(新しい)映画を作ってしまう。

将棋やチェスのような複雑なルールや法
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クロスロード(1986年製作の映画)

3.7

ブルースの世界に言い伝えられる「十字路で交わす悪魔との契約」を、この映画では白人とのビジネス契約に置き換え、ブルースという黒人の魂が白人に搾取されていく様を描く。

売り渡された魂(ブルース)が金の価
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みんなのいえ(2001年製作の映画)

3.8

三谷幸喜作品の中でも一番見返したのがこれ。たまに観たくなる。

家を建てる大変さを、大袈裟におもしろおかしく描いているんだと思っていたが、自分が家を建てたとき、ほんとこんな感じだった。

同じ図面でも
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アンヴィル!夢を諦めきれない男たち(2009年製作の映画)

3.7

夢を追うという言葉が、なんて陳腐に聞こえることか。

彼らのバンドに向かう姿は、まるで何かを信じて(あるいは何かに憑かれて)突き動かされているようで、それは神に祈る敬虔な信者のようでもある。

夢なん
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東京公園(2011年製作の映画)

3.8

青山監督の作品としてはキレイ過ぎて、初見は拍子抜けた。

しかし、監督の過去作のイメージじゃないというだけで受け入れられないなんていうのは、受け手の怠慢、作品に対しての暴力じゃないかと思う。

『東京
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