1000さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

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ゴースト・ドッグ(1999年製作の映画)

3.5

ヒップな感じにリミックスしたメルヴィルの『サムライ』。
侍オタクの殺し屋が、ギャングに追われる話。言葉通じない友達とか、刀のような銃のしまい方とか、ディテールは見てられるものの、それっぽい雰囲気だけで
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ハム・オン・ライ(2019年製作の映画)

3.8

すごく徹底された雰囲気映画だと切り捨てるのは簡単だが、どこか煮え切らない、むず痒いところの残るビターな映画だ。

プロム?かなにかに備え着飾ったティーンエージャーたちが、「Monty's」という軽食店
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サバイビング・デザイアー(1991年製作の映画)

4.2

短編でも油ノリまくってるハートリー。冒頭のテンポよい小競り合いを見ると、あぁハートリーだという安心感がある。

発狂寸前の文学教授と小悪魔JD。自意識過剰な男の妄想が爆発し、伴奏もないのにhalf•a
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殺人!(1930年製作の映画)

2.0

だいぶ煮詰まった偏見の塊なのだが、きしょいやつみんな倒して美男美女でカップリング成功、というのはあんまりだろう。
急いで出かける準備するときのバタバタはよかった。

ダムネーション 天罰(1988年製作の映画)

4.3

ファスト映画版『サタンタンゴ』。シンボリズム的な強度は『ヴェルクマイスター・ハーモニー』に及ばないが、ミニマルにまとめ上げられたタル・ベーラで、最初の一本として圧倒的におすすめできる。

大したことは
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ブルジョワジーの秘かな愉しみ(1972年製作の映画)

3.6

今日も今日とて飯が食えん。
カチャカチャしてて可愛らしい佳作だが、なんだかそれ以上に思うところがなかった。執拗に反復するほど強度があるわけでもないので、20分ぐらいの短編でいいだろう。あるいはシンプル
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ビリディアナ(1960年製作の映画)

4.1

マザーの丸メガネが俺とまったく同じだった。

無駄がなく、パリッといじわるな映画だ。偽善者を全体に許さないという強い気概がある。
エロおじとの新婚さんごっことか、祈りと左官のモンタージュとか、絶妙にぞ
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ディーバ(1981年製作の映画)

3.8

誰もが誰かを追いかけている。支離滅裂というほどではないが、ギリギリ意味不明で、なんとももどかしい話だ。

クライム・サスペンスのフォーマットをとっており、ジャンルが破綻するほどの綻びもないのだが、どう
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リバー・オブ・グラス(1994年製作の映画)

3.6

逃避行もののはずなのに、どこにも行けない。レコードは売れないし、バスには乗れないし、高速料金も払えない。
ずっとホームビデオのようなゆるい映像が続くが、主題はけっこう重い。いいジャブはたくさんあったが
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天はすべて許し給う/天が許し給うすべて(1955年製作の映画)

3.8

未亡人おばさんとジェネリックエルヴィス・プレスリーのメロドラマ。

ひとつのジャンルの金字塔というのは、なんにせよジャンルが加速する瞬間がいくつかあって面白い。パーティに集う下世話な人々は強烈だったし
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イーダ(2013年製作の映画)

4.3

チェスしない『クイーンズ・ギャンビット』。

修道院育ちの少女が、自身の出生の秘密をたどるロードムービー。小さいながらも、強くて美しい映画だった。皮膚の裏側からゆっくりとひっくり返ってしまうような、そ
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ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

4.1

不倫してた奥さんに先立たれた旦那が、間男も仲間にいれてみんなで演劇祭準備。送迎ドライバー付き。
腑に落ちないことはたくさんあるが、3時間しっかり見どころのあるいい映画だった。村上春樹のたいして面白くな
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田舎司祭の日記(1950年製作の映画)

3.3

不健康だと信仰も立ち行かないという説得的な話。
主題といい、カメラの動きといい、ベルイマンとタルコフスキーが心底好きそうな映画だ。私にとっては、三者のめんどうくさいところを煮詰めたような作品で、ただた
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ガートルード/ゲアトルーズ(1964年製作の映画)

2.5

アホみたいに続く男女の堂々巡り。愛を語るメディアとして映画は向いてないな、とまで思ってしまった。正確には、映像ではなくセリフを通して愛を問題とする映画は、たいてい見てられない。見てられない理由は単純で>>続きを読む

MEMORIA メモリア(2021年製作の映画)

4.2

エリナンの昼寝が癖じゃ。

昔住んでいたアパートで、目と鼻の先に保育園を作るとのことで、朝っぱらからドンドンガンガンやっていたのを思い出した。それはまさに大地が奏でる音で、実存をぶっ叩く音だった。私は
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パリのランデブー(1994年製作の映画)

4.0

一話一話の息が短いので見やすかった。ロメールはこれでいい。

一話目の、ふてくされて浮気相手すら置き去りにして帰るメンも、二話目のヤリモクサブカルロン毛も、三話目のいちばんまともかと思いきやいきなりス
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あの夜、マイアミで(2020年製作の映画)

3.9

意識高すぎてサークルクラッシャーになっちゃうマルコムX(無職)が癖になる。物騒な人だが、もっと物騒な連中によっていいように使われていただけだと思うと、なかなか浮かばれない。いい意味で彼に対するイメージ>>続きを読む

怒りの日(1943年製作の映画)

3.5

いじわるな姑との確執からして、この若妻が告発されて火炙りになるオチは見えており、あとは冗長なやり取りが続く。
展開からセリフ回しまでたいして意外性がないため、緊張感が足りなかった。若妻が本性をあらわす
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青春神話(1992年製作の映画)

4.0

予備校通いで頭おかしくなったシャオカン。1コマ目から主役の目が死んでおり、好転の兆しはまったくない。たった一人で空気を変える、すげぇ役者だ。いきなりプルプルしだしたのびっくりした。

話も暗いのだが、
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街をぶっ飛ばせ(1968年製作の映画)

-

『ジャンヌ・ディエルマン』のアクションをぜんぶ逆にしたらこれになる。ハミングがきしょい。

ラストナイト・イン・ソーホー(2021年製作の映画)

2.0

ワー!からのドン!からのギャー!が無限に続く地獄。黒ひげ危機一髪を100回やったのとそう変わらん。その勢いで来られたら、鳩でも消しゴムでもビックリするわ。

怖いは怖いが、こちとらそういう怖いもの見た
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ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマン(1975年製作の映画)

5.0

マッチでコンロに火をつける、料理をよそう、髪をとかす、ベッドを整える、食器を洗う、服を畳む、靴を磨く。電気を点けては消して、ドアや窓を開けては閉める。言葉にするとこぼれ落ちていくばかりの「生活」がこの>>続きを読む

アンナ・マグダレーナ・バッハの日記(1967年製作の映画)

4.0

バッハのMV集。
伝記ものの体裁をとっているが、その一方で、グスタフ・レオンハルトと彼を中心とした古楽運動のドキュメンタリーという性格も強い。もはやディテールが定かではない過去を、representを
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他人の顔(1966年製作の映画)

4.8

飲んだら死ぬとかいうレベルではなく、嗅いだら即死レベルで毒々しかった。
個人的には『砂の女』における状況のホラーよりも、『他人の顔』における身体のホラーこそが、映画にとっての面目躍如に思われる。

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ひなぎく(1966年製作の映画)

2.5

食べ物をぐちゃぐちゃにして、服を汚しまくって、男の子にいじわるして、切って投げてこぼして割って……。物事を徹底的にスポイルすることの悦楽がガーリッシュさやらkawaiiの根底にはあり、そういう意味で、>>続きを読む

奇跡(1954年製作の映画)

4.0

キルケゴール読んで自分がキリストだと思いこんでしまった奴、ふにゃふにゃしててかわいい。おじいも、なんもうまく行かなくて豚小屋でしょんぼりしちゃうのがかわいい。
セットまでプロテスタント的というか、質素
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ペトラ・フォン・カントの苦い涙(1972年製作の映画)

3.7

心理的にはもうスプラッターとしてカテゴライズしてもいいぐらい、残忍でグロテスクな映画だ。
若いギャルに手を出した中年女がこっぴどくふられてガン萎えするだけの話なのだが、物言わぬ召使いの存在が映像を引き
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吸血鬼(1932年製作の映画)

4.2

ほれぼれするほど格好いい映画だ。ドライヤーは映画史そのものであって、本作もまた、多くの人が多くのものを負っている作品だろう。

幻想的な質をもたせるために選択されているソフトフォーカスは、ピクトリアリ
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シャイニング(1980年製作の映画)

4.6

2021/11/28
何度見てもいい映画だ。
五〜六歳児のダニーが当たり前のように止め足を使えるの、よく考えたらなんだか変だな。
その後、ジャックが「見破ったぜ」的な顔して追跡してたのに、ふつうに巻か
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緑の光線(1986年製作の映画)

3.8

集団だと馴染めないのに、一人だと寂しくて泣いちゃう。多かれ少なかれ誰しもそうだと思うのだが、この主人公のレベルで情緒不安定だと、もっと専門的なケアが必要なのではと心配になってくる。ともかく、ロメール映>>続きを読む

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019年製作の映画)

4.1

この物語に触れるのも初めてだったが、四姉妹はじめキャラが立ちすぎていて、こりゃ普遍的に愛されるのも頷ける。

ジョーとローリーが二人だけ抜け出して外で踊ってる画が完全にアナとハンスで、始終「Love
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満月の夜(1984年製作の映画)

2.5

浮気しそ〜〜〜なところをしなかったりしたりしなかったりを繰り返し、まったく頭に入ってこない事柄を喋っては喋りまくる、心底どうでもいい話。
ヤリモク妻帯者のなよなよ感がもう少し欲しかった。うざいときに尋
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悲情城市(1989年製作の映画)

4.3

侯孝賢の代表作にして、台湾映画の代表、スローシネマの代表……。ちゃらんぽらんのころに一度流し見したきりだったが、ちゃんと見れてよかった。

動乱の歴史と、その背景になっているつつましい暮らしのコントラ
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友だちの恋人(1987年製作の映画)

3.7

薄い人間関係と薄い会話がこれでもかと続く、渾身のロメール節。
友だちの恋人なんて言うから、もっと生々しくアンチモラルな話かと思えば、当の友だちとは付かず離れずでもう冷え切ってるカレと、友だち公認でお近
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