チッコーネさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

チッコーネ

チッコーネ

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マッチメーカー(2023年製作の映画)

3.5

サウジアラビアは中東エリアの大国で、隣国で紛争が発生した際、介入など不穏な動きを見せることも多いが、ここ20年間で映画産業も成長している様子。

本作の前半はフェリーニ『女の都』のようなプロット、しか
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#生きている(2020年製作の映画)

1.7

セクシュアル・マイノリティへの偏見が根強い韓国でお薬問題も起こしたため、復帰を絶望視する声さえ挙がるユ・アインの主演作。
『声もなく』と同時期の撮影なのか、体型がガチムチ。
作中ではイザベル・アジャー
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ドイ・ボーイ:路地裏の僕ら(2023年製作の映画)

3.5

10年以上政情不安が続くタイと、軍事政権 VS 少数民族武装勢力の対立が続くミャンマーの背景を、うまく脚本に取り込んだサスペンス、東南エイジアンノワールと呼んで差し支えない出来映え。
エンタメやアート
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犯罪都市 NO WAY OUT(2023年製作の映画)

3.5

1より2の方が面白かったシリーズものだが、先日話した韓国人女性が「2より3の方が面白かった」と言ったので、思わず「チンチャ?」とワクワク。
本作では日本人俳優も活躍しているのだが…、鑑賞後の個人的な感
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幻土(2018年製作の映画)

2.7

移民の国で、埋め立てにより国土を拡大してきたシンガポール。
同国へ出稼ぎに訪れるアジア人を「使う立場」であり、労働者がひとりやふたり消えたとしても誰も気に留めないという実情が、ミステリアスに描かれる。
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毒戦 BELIEVER 2(2023年製作の映画)

1.7

つまらない続編に成り下がり、全編幼稚な暴力場面の連続。
また要所に家族愛を持ち込む、類型的な脚本だった。
ジェフ・バックリィの曲を引っ張り出してきて延々垂れ流すエンドロールにも、うんざり。

先輩のジ
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テイル・フロム・ダーク1: 迷離夜(2013年製作の映画)

3.5

『香港怪奇物語』以前のオムニバス・ホラー。

1本目はいまのところ、サイモン・ヤム最初で最後の監督/主演作。
多角的でクリアなデジタル撮影、香港らしくカラフルな照明の画面をめまぐるしく編集している。
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監獄の首領(2016年製作の映画)

2.7

「決して捜査線上に浮上しない監獄の囚人たちが暗躍する」という設定は面白いのだが、犯罪のスケールが大きすぎるきらいあり。
コメディ演出も皆無なエンタメアクション路線で、リアリティは希薄。
『白熱』のキャ
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欲望の砂漠(1949年製作の映画)

3.5

都会でなく南アフリカのナミブ砂漠を舞台にしたノワールで、腹に一物を秘めた登場人物たちが化かし合いを展開するほか、バート・ランカスターがサディスティックな拷問に苦しむ場面も。
フランスから「ディードリヒ
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三人の女 夜の蝶(1971年製作の映画)

3.0

監督の前作『女の意地』が面白かったので期待したのだが、本作は「こんな女に誰がした」と言わんばかりの正調メロドラマ。
演出や編集、街中でのロケ、そして役者と共に動くカメラのすべてがスムースでないところは
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隣人-The Neighbors-(2012年製作の映画)

3.5

団地に潜む連続殺人鬼の正体が序盤から明示されたユニークな脚本で、彼と住人の攻防が時に悪役目線でスリリングに、時に被害者目線でウェットに、そして時にユーモラスな庶民感覚で描かれる。
「地下室付きの団地1
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未亡人の殺人計画(1953年製作の映画)

3.2

前半は警察の捜査を追う場面が意外に多い。
中盤からサスペンスフルなメロドラマへと雪崩れ込み、最後まで予断を許さぬ展開。
決定的場面を挟まず結果を語る凝った脚本だが、俳優に気遣ったがゆえの演出ではという
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囁く怨霊(2000年製作の映画)

2.5

画面サイズは4:3のままだし、ロケオンリーで何より照明が暗いと、低予算モロ出しなのだが(OV作品なのだろうか?)、どんよりとした川崎工業地帯のイメージカット(中でもフレアスタックは執拗に挿入)、女性の>>続きを読む

女の意地(1971年製作の映画)

4.0

脚本の大筋は「銀座の夜の蝶たちの栄枯盛衰物語」なのだが、ポルノとサイケの時代を意識した場面づくりが功を奏し、保守的なメロドラマへの陥没を防ぐ。
メインキャラクター・異父姉妹の居室は色の氾濫が悪趣味だが
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街の野獣(1950年製作の映画)

4.5

神経質そうなウィドマークがあまり好きではないので先送りにしていたが、いざ観てみたらものすごく面白いノワール。
特に前半、ナイトクラブの店長室で繰り広げられる3人のキャラクターの駆け合い場面は、カリカチ
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The Witch/魔女(2018年製作の映画)

2.7

ヒーローではなくヒロインを採用したパク監督の作品なので期待したのだが、大衆および子供向け。
SF要素が加味されているため、アクション場面も非現実的な画面加工に終始、その割に物語の核心は台詞で語ってしま
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ファストフード店の住人たち(2019年製作の映画)

2.5

香港社会に一定数存在するホームレスな人々の群像劇。
近年発生した「24時間営業のマクドナルドで、ホームレス女性が死亡」といった事件も下敷きとなっている様子。

最も心が広いのは、定期清掃時以外、客を追
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シークレット・ミッション(2013年製作の映画)

3.2

主要キャラクターが北朝鮮人、中盤までコメディ演出が優勢だが、クライマックスはセットとロケの混在したアクションとなる、凝った作品。
スパイの脅威はもちろん『脱北者の粛正部隊』という設定が、なさそうであり
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バイ・ジュン さらば愛しき人(1998年製作の映画)

3.5

監督にとっては30代を迎える直前の処女作で、どこか自叙伝のような雰囲気あり。
モデル出身なユ・ジテの俳優デビュー作でもある。
若者による若者のための青春映画といった趣、自暴自棄でありながら悲観に傾かず
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絶壁の彼方に(1950年製作の映画)

3.0

本作製作当時のボスニアは旧ユーゴスラビア連邦の一国、共産主義国であったはずだが「軍部によるクーデター発生前夜」といった雰囲気で描かれている…、どこまでが実情を反映しているのか、いま観ると判別しがたい巻>>続きを読む

V.I.P. 修羅の獣たち(2017年製作の映画)

4.5

久々にドシンと来た韓国映画。
サスペンスにサイコホラー要素をプラスした作風が面白い…、また敵国・北朝鮮との関係が巧みに織り込まれ、韓国にしか撮れないスリリングな内容に仕上げられている。
「中央集権国家
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テーラー 人生の仕立て屋(2020年製作の映画)

2.2

「自分で服が作れたらどんなに良いかなぁ」と妄想し、職人を尊敬している私は、仕立て屋をメインキャラにした映画をつい観たくなってしまうのだが、満足した試しがない。
「その仕事ぶりを丹念に描くだけでは、ドラ
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ミセス・ハリス、パリへ行く(2022年製作の映画)

2.5

バイタリティに溢れた労働者階級の英国おばさんが、主人公。
ディオールのドレスを求める彼女のパリ珍道中を、戯画的に描く。
あらすじだけ観るとさもつまらなさそうだが、欧州主導ゆえ、デティールはそれなりに大
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ウエディング・ゲスト 招かれざる客(2018年製作の映画)

2.5

パキスタンから広大なインドへ向かうサスペンス調のロードムービー。
『聖者の食卓』で紹介された食堂を併設するパンジャーブ州の黄金寺院周辺から首都デリー、そして入植した西洋文化が薫るゴアとロケ地が移り変わ
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LUCK-KEY/ラッキー(2016年製作の映画)

2.5

VODでまとめて配信中の『三色ごはん』にハマったため、ユ・ヘジンの出演作が観たくなった…、本作は名脇役な彼の初主演作。
お世辞にもハンサムと言えない極東顔の彼をどう魅せるかは思案のしどころだが、二の線
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ブラザーフッド(2004年製作の映画)

4.0

兄と弟の歩みを通し、朝鮮戦争の行方を追う壮大な映画。
超大作を経験済みの監督ゆえ、全編を通し世界水準のクオリティを保証、残虐で凄惨な戦闘/暴力場面はやや多過ぎるほどだった。
爆破を伴うロケ現場で、役者
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クリムゾン・リバー2 黙示録の天使たち(2004年製作の映画)

3.2

ヒットした前作の続編で、ジャン・レノのみ続投。
テコ入れの意味で採用されたのか、リュック・ベッソンによる脚本は宗教を核とする暴力スリラーで、ドイツやイタリアをも巻き込む不穏な内容に仕上がっており、それ
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マルモイ ことばあつめ(2018年製作の映画)

3.0

鬼畜な大日本帝国の支配下で、自国の言語を守るべく抵抗した朝鮮の人々の姿を描く、史実ベースの作品。
題材が題材なだけにきっちりと破綻なくまとめられた作風、義務教育の現場でも上映可能であろう。
重苦しい展
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楽園(2023年製作の映画)

3.5

「外ではいいけど、ここではダメ」という台詞が印象に残る。
もはや映画の中でも、特殊な舞台装置なしには現代ゲイの純愛を描けなくなってきているということだろうか(先進国では)。
聞き分けなく刹那に生きる若
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