stさんの映画レビュー・感想・評価

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THE COCKPIT(2014年製作の映画)

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世にも珍しい(?)DTMムービー。映画を観てるというよりは一緒に曲作りながら見守ってる感じで、エピソードから歌詞が紡がれ曲になっていくことが本人たちにとっても観客にとってもカタルシスとなる。コックピッ>>続きを読む

悪い男(2001年製作の映画)

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ちょいちょい無理あるストーリー展開に違和感はありつつも、ハンギとソナの行く末を見守ってしまっている自分に気付く。マジックミラー越しの視線交差。ストックホルム症候群。『THE DEPTHS』でカチ割られ>>続きを読む

受取人不明(2001年製作の映画)

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朝鮮戦争の記憶と、アメリカへの畏怖。常に外敵に向けて身を構える韓国の繊細さ。米兵に矢を放ち、赤いバスを燃やすのは韓国の対外独立のメタファーか? 混血のチャングク、隻眼のウノク、目を突かれたチフム。「ノ>>続きを読む

ディーバ(1981年製作の映画)

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鮮やかな色配置=トリコロールの赤青白に加えて黄やピンクなど原色の多用(→アジア系アフリカ系タレント起用にも表れる多様性意識?)と、80年代っぽいシリアス味のないオシャレサスペンス。ヒッチコックからヌー>>続きを読む

ダージリン急行(2007年製作の映画)

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『ダウン・バイ・ロー』みたいなオシャロードムービー。ウェスアンダーソン作品、どの映画も工芸品的な意味での完成度が高すぎて観終わると「すごかった…」レベルの脳死感想しか出ないけど、これは物語の着地もしっ>>続きを読む

残菊物語(1939年製作の映画)

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回り込むカメラワークと後ろで準備している役者との動線設計による作劇が巧妙。「2人での共同作業→別々の部屋へ→同じ空間に戻る」のをフィクスワンカットで表現しているスイカ切るくだり好き。その一方でラストの>>続きを読む

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

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2回目。やっぱ恐ろしいほどの怪作。全編に渡って全てが「象徴的」であり示唆的。予想の一歩先を行く脚本もそうだし、ポンジュノの変態的こだわりに追い付く制作サイドもヤバすぎる。あんな豪邸をセットで作ろうと普>>続きを読む

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

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公開当時ぶりに2回目みてもやっぱハイコンテクストすぎるなこれは… ワーニャ伯父さん(戯曲)、音の語り、登場人物それぞれのパーソナルな物語が少しずつ重なっては、ずれていくような感じ。"ごった煮"村上作品>>続きを読む

上海から来た女(1947年製作の映画)

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すげーーおもろい。オーソンウェルズの常に斜め上を見ている視線、エヴェレット・スローンの外斜視により正対しない視線、リタ・ヘイワースの正体を見せた瞬間に見せる冷徹な視線と、メイン登場人物が魅せる視線劇が>>続きを読む

マグノリア(1999年製作の映画)

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落ちる蛙は "汚い"が、話の落とし方があまりに"きれい"すぎてあんま響かず… 1匹だけちゃんと蹴り殺されてる犬とか、矯正どころかボロボロになってるであろう歯とか、なんか知らんけど目の前に落ちてくる銃と>>続きを読む

キングダム エクソダス〈脱出〉(2022年製作の映画)

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キングダム夏期講習最終日。冒頭からいきなりメタってんなー(笑)って思いながら観始めた。途中も観光客とか来だすし。脚本も半分くらいギャグ。アイロニカルさに磨きがかかってておもろいし、トリアーの同族嫌悪ぶ>>続きを読む

キングダム II 第3章/第4章(1997年製作の映画)

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めちゃくちゃ良いところで終わった… 立てたフラグは回収しきらないけど色んなとこに色んな角度でフラグを立てまくるのが上手すぎる(フラグ一級建築士、ラース・フォン・トリアー)。奇形児ウド・キアはまさかの母>>続きを読む

キングダム(1994年製作の映画)

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オープニング、何回観ても良い。ダークな世界観と謎に満ちてる感じが毎回そそるし奈落に沈んでいくようなカメラワークも良い。ハウスジャックビルドへも「落下」のベクトルは継承されてますね。最初の朝礼のシーン、>>続きを読む

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

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一見、母を失った少年のエディプス成長譚かと思いきや、「君生き」は"地獄"を生きる現代人への聖典『アヴェスター』だったのか。。。(以下、甘甘な独自解釈です。)

高台から火事を眺めるシーンから入るのが『
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逆転のトライアングル(2022年製作の映画)

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最高。。面白すぎて久々にレビューします。全シーン全カットに意味があるんだよな… 『パラサイト』を最初観た時みたいなシビれ方だった。以下ネタバレ含みます。

冒頭から早くもオストルンド節がピリピリと効い
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日本のいちばん長い日(1967年製作の映画)

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シンプルに脚本が面白くて良くできている(実話ベースだが…)。あと俳優豪華すぎ。笠智衆の首相頼りなさすぎるし黒沢年男若すぎて気付かなかった。三船敏郎はレジェンド。会議映画感は『シン・ゴジラ』の方が相当脚>>続きを読む

アドレノクロム(2017年製作の映画)

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『女神の継承』に続けてシネマートで観たけど、冒頭から色々キマりまくってて笑った。監督が製作・脚本・撮影・編集・主演ってトレヴァー・シムズの脳内どうなってんだ。。ベトナム戦争帰還兵の70年代西海岸モノか>>続きを読む

女神の継承(2021年製作の映画)

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なんだこのギャグモキュメンタリーは… 継承と憑依という点で言うと中島哲也『来る』にも通ずるような物語。霊媒師のワニー・ウトーンマまんま柴田理恵じゃんとか思いながら観てた。ミン(ナリルヤ・グルモンコルペ>>続きを読む

怒りの日(1943年製作の映画)

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魔女裁判にまつわるドロっとした嫁姑関係をドロっとした光と影で描く。鋭く光るリスベット・モビーンの目は、怒りと覚悟、あるいは時に慈愛と諦めに満ち満ちている。部屋の影からスッと姑を覗く(睨む)視線の鋭さよ>>続きを読む

裁かるゝジャンヌ(1928年製作の映画)

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クローズアップの美学とはこの事か。ひたすらにほくそ笑む審問官とひたすらに啜り泣くルネ・ファルコッティ。宗教裁判における非対称性をカメラポジの上下で表現してるのか、煽り・(目高・)俯瞰を使い分ける。火炙>>続きを読む

SHARING(2014年製作の映画)

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「目覚め」の映画。死んだはずの恋人の影を追いかける"夢"からの「目覚め」が徹底的に繰り返される(し、何ならその「目覚め」そのものを何度も連続して反復するシークエンスが途中存在する)ことからも、「目覚め>>続きを読む

第三の男(1949年製作の映画)

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フィルムノワール特有の乾いたような時間経過の裏で鳴り続くアントン・カラスの軽やかなチター演奏。サスペンスなのにカラッとしてると言うか、オーソン・ウェルズのイケオジな振る舞いがオシャレ感を出してるのかな>>続きを読む

見知らぬ乗客(1951年製作の映画)

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冒頭から明らかにヤバそうな乗客の部屋にあれよあれよと連れ込まれるあたりヒッチコック劇が炸裂してる。ファーリー・グレンジャーみたいないかにもボンボン感漂うテニスプレイヤーいそうだし、主人公なのになぜか感>>続きを読む

サッド ヴァケイション(2007年製作の映画)

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『Helpless』から印象的に多用されている、"弾く"ように響くビブラスラップの音。ラストカットのシャボン玉が"弾ける"に繋がっていたのか?とか勘繰ったり。そして画作りとノリがあまりにも『アカルイミ>>続きを読む

EUREKA ユリイカ(2000年製作の映画)

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画のルックが良い。セピアがかった色合いがどこか懐かしくもあり、きな臭くもある。まさに「サーガ」:"現在"から"過去"へと向かう視線。撮監田村正毅の癖なのか、室内の掛け合いから外に出て窓越しで屋外の掛け>>続きを読む

Helpless(1996年製作の映画)

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この時代の北九州のチンピラって本当こんな感じなんだろうな。手より先に脚が出る。むしろ脚しか出ないし、何なら片腕なくなってる。『ユリイカ』で役所広司の斉藤陽一郎への殴りかかり方も見て思ったけど、青山真治>>続きを読む

TITANE/チタン(2021年製作の映画)

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いかにも男性性を連想させるようなギラギラしたモーターショーに始まる導入部。”チタン”は剛性、”簪”は権威性のシンボルであることを思わせるごとく異常な「猟奇(的な強さ)」を見せるアレクシア(アガト・ルセ>>続きを読む

アニンガ(2013年製作の映画)

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生と死の連立。『ゼロ・グラビティ』がライアンの”生”を実感する物語であるとすれば、『Aningaaq』ではそのパラレルな世界(=同じ「空」の下)に老犬の”死”が存在することをありありと証明する。空をバ>>続きを読む

ゼロ・グラビティ(2013年製作の映画)

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脚本が面白い。地球への帰還直前にデブリ事故に遭って壊滅状態の中生還するという、いかにもハリウッドっぽい展開ではあるけど鋭い内面描写で魅せてくる。死を受け入れて中国の犬の鳴き声に共鳴するあたりとか良い。>>続きを読む

魔女の宅急便(1989年製作の映画)

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近代以前/近代以後の対比が様々な形で表れる。魔女/飛行船、森/都市、ウルスラ(絵に興じる)/都会の女(パーティに興じる)、動物/人間。ジジは森(・動物・自然)の言葉を翻訳し、キキに伝える。黒猫ジジが都>>続きを読む

エル・トポ(1970年製作の映画)

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生と死のイメージの往復と反復。
ガンマンとして死を迎えた後、地下洞窟から地上へ。部落(village)から町(city)へ。

「洞窟を出て町に来ることに何の意味があるか?」「洞窟よりひどい」「洞窟を
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華氏451(1966年製作の映画)

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焼く前に積み上げられる本、ボロボロこぼれ落ちてて笑った。あとオスカーウェルナー含めファイヤーマンたちが現場に向かう時、まあまあな速度の消防車に支えもなく直立してるのがシュールすぎる… 作品に通底するの>>続きを読む

さがす(2022年製作の映画)

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英題はMissing。描かれるは、喪失(Lost)ならぬ捜索(群像)劇。卓球のラリーが、①バディ(相手)を<見つけ出す>ことと、②相手と<向き合う>(=対話する)ことの象徴(あるいは装置)として用いら>>続きを読む

ハウス・ジャック・ビルト(2018年製作の映画)

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面白かった… ここ最近映画監督の恣意性と暴力性について日々話題になってますが、トリアーの作品かなり好きなんだよなあ… シリアルキラーが死体で家を作ったクソ寒い冷凍庫からクソ熱いマグマに落下していくとか>>続きを読む

胎児が密猟する時(1966年製作の映画)

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若松孝二×足立正生。梅雨で外の撮影ができないから密室劇撮っちゃおうっていうノリで作られたとは思えないほどには引き込まれた。山田玲司がエディプスものというか胎内回帰願望について語る時によく参照してて、ず>>続きを読む

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

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まず抱いた印象として、フェチズム的かつ懐古主義的なデータベース消費だなあと。いかにも庵野秀明が好きそうなモチーフ群、カット割と画角。禍特対のバッジ(とマスコットキャラ) が何度も象徴的に登場することに>>続きを読む

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