ゴローさんの映画レビュー・感想・評価

ゴロー

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親密さ(2012年製作の映画)

4.0

「言葉とエンパシー」

舞台までの時間を追った前半と実際に「親密さ」という演劇本番を映す後半で構成される計255の大作。圧倒的なテキストと、しかしその一方での人間同士の決定的なすれ違い、それがフィクシ
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オアシス(2002年製作の映画)

4.0

「前科」持ちでうまく社会に馴染めず、家族からも疎まれている青年と脳性麻痺を患う女性の恋愛を描いた作品。二人の社会的弱者は自分に初めてちゃんと向き合ってくれる相手と出会い、奇妙だが確かな愛を育む。しかし>>続きを読む

ドンバス(2018年製作の映画)

4.0

<現実と虚構>
フィクションとドキュメンタリーの区別は無意味であるという意見を最近よく目にするが、本作はその典型的な例ではないだろうか。劇映画という体裁をとっているが、実際見せられているのは「現実」が
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ボストン市庁舎(2020年製作の映画)

4.0

<中央>と<周辺>という問題

4時間以上ボストンのあらゆる問題とそれへの取り組みを浴び続けるという稀有な映像体験。

論点は多岐に渡り、人それぞれ異なる着眼点を持つであろう。個人的には、民主主義にお
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逃げた女(2019年製作の映画)

3.9

相変わらずのホン・サンスの独特なリズム

キム・ミニ演じる女性は、3人の女性を訪ねる。それぞれが自分の人生を歩んでいるかのように見えて、男性の登場によって不穏な空気を醸し出す。そしてそれを監視カメラ越
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トゥルーノース(2020年製作の映画)

4.0

北朝鮮の強制収容所をアニメーションで描くという意欲的な作品。
 
「この問題についてどう考えればいいのか。自分には何ができるのか」というのがこの手の映画の鑑賞後の典型的な感想だが、こと北朝鮮の人権問題
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自由が丘で(2014年製作の映画)

3.8

加瀬亮を主演に据え、基本英語での会話が交わされているがそれでもホン・サンス独特の時間の流れ、リズムは健在だった。

本作は特に時間という概念を巡る物語でもあり、時系列がバラバラの一直線上ではない映像を
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国葬(2019年製作の映画)

3.7

スターリンの葬式を描いた映画。当時の映像を使用してドキュメンタリー的に「再構築する」という映画だと勝手に想像していたが、もっと抑制的で、当時の貴重な映像記録を淡々と振り返るスタイルであった。

個人的
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聖なる犯罪者(2019年製作の映画)

4.0

この映画を考える際2つの視点があると思った。

1つは、善や正しさを掲げる宗教、その信者の空虚さである。それは事件を巡る一連の反応を見ても明らかだろう。事件の被害者に対するダニエルの意味不明な祈りを真
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帰れない二人(2018年製作の映画)

4.0

山河ノスタルジアでも見られた長いタイムスパンの中で、変化する社会のもと生きる男女を描いた作品。

世渡人という言葉にあるようにどう変化する社会と折り合いをつけながら生きるかという部分において男女の対比
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タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜(2017年製作の映画)

4.0

光州事件という韓国の民主化過程において重要な出来事をその悲劇性を失うことなく、同時に映画の活劇として描き切っていた。

主人公が実際に光州に行く前は軍による弾圧を知らず、また新聞を通してしか情報を得ら
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ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019年製作の映画)

4.0

恥ずかしながら原作を読んだことがないがそれでも十分楽しめる作品だった。

この作品の中心にあるジェンダーの視点はまさに現在にこそ当てはまる問題だろう。
この作品では主に女性が女性であるがゆえにするべき
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はちどり(2018年製作の映画)

3.7

1994年、韓国が経済成長を遂げて行く中で生きる少女を映した作品。高度経済成長の中で人々が信じる普遍的価値の崩壊がよく捉えられていた。
主人公の少女は人生に希望を見出せたのか。1994年以降、さらにグ
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無防備都市(1945年製作の映画)

4.1

ネオレアリズモの先駆的作品という評価を受けている本作だが、その言葉通り圧倒的な存在感を放つ映画であった。

その理由には1945年という時代背景が当然あるだろうが、その当時の"現実"をそのままカメラフ
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ドリーマーズ(2003年製作の映画)

3.5

イタリアのヌーヴェルヴァーグという評価のされ方を耳にしたが、いざ視聴してみるとそういう類の映画ではないという印象を受けた。

ただこの映画の意図することの一つとしてヌーヴェルヴァーグへのオマージュがあ
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