れじみさんの映画レビュー・感想・評価

れじみ

れじみ

ハウス・オブ・グッチ(2021年製作の映画)

3.3

結論から言えばグッチ家の顛末に興味が持てなかった。映像も力なく、凡庸なメロドラマでも観ているかのような物足りなさ。軽快に…と言えば聞こえは良いが、あまりやる気があるように感じ取れず。豪華役者陣の演技は>>続きを読む

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)

3.9

夢と家業の間で板挟みになる少女の成長と共に家族信仰の呪縛が薄れ、それでいてしっかりと家族愛を感じる脚本の運びが素晴らしい。主人公視点だけじゃなく聾唖者の目線に立ったあの演出には感涙。キャラの濃い登場人>>続きを読む

いとみち(2020年製作の映画)

4.0

津軽弁(限定的な言語)とメイド喫茶(限定的な文化)の相互理解を描くことで、ディスコミュニケーションに陥った現代人に向けたメッセージが浮かび上がる。魅力的なキャラクター、ハッとする台詞の数々、こじんまり>>続きを読む

白頭山大噴火(2019年製作の映画)

3.4

朝鮮半島崩壊級の大災害、核爆発、韓米中の対立と言ったシリアスな題材を扱っているわりにはどこか間の抜けた演出が目立つ。意図的なのだろうが題材とのギャップに戸惑いを感じた。とは言え芸達者の役者たちによる演>>続きを読む

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム(2021年製作の映画)

-

このレビューはネタバレを含みます

思い返せばスパイダーマン作品のヴィランはほんの僅かなボタンの掛け違いから生まれた者ばかりだった。過去の"救済"とスパイディの原点にある"人助け"を融合させ、ついにファン待望のマルチバースを本格実現。奇>>続きを読む

志乃ちゃんは自分の名前が言えない(2017年製作の映画)

3.4

話したいのに話せない、歌いたいのに歌えない、居場所を求めていた2人の少女が出会い化学反応を起こす。光の使い方が絶妙な路上歌唱シーンは出色だ。ある時点で多くの観客が想像するだろう結末を敢えて外してきた意>>続きを読む

ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦(2016年製作の映画)

3.7

ナチスNo.3の実力者ハイドリヒ暗殺遂行シーンがクライマックスに配置されているのかと思ったが本題はその後の展開にあった。恐怖統治がもたらす密告社会、大義名分のために失われる罪もない人々の命。後世を生き>>続きを読む

静かな雨(2020年製作の映画)

3.6

ほんのりと退廃的な空気、ピアノの旋律、人々の数だけ存在する"世界の話"。何気ない日常からある日突然非日常へと誘われていくような不思議な感覚に陥る世界観。相変わらず抜群な仲野太賀と多彩な表情で観客を魅了>>続きを読む

ミッチェル家とマシンの反乱(2020年製作の映画)

3.6

スパイダーバースを彷彿とさせる多彩なアニメーション表現と色彩豊かな世界観、そして映画愛に溢れる家族の修復の物語。ソーシャルメディアや過剰な技術発展への警鐘の側面もあり、あらゆる意味で優等生な作品。しか>>続きを読む

ハッピーアワー(2015年製作の映画)

4.5

コミュニケーションの断絶が招く人生崩壊への旅路を317分の長尺で描く。不思議と絶望感はなく、まさに幸せな時間を延々と味わえる極上の映画体験。30代で人生の岐路を迎えた女性4人の何気ない日常を生と性、そ>>続きを読む

大脱走(1963年製作の映画)

3.7

第二次大戦時の捕虜収容所を舞台にした作品としては驚くほど軽快な語り口。登場人物の快活さも気持ちが良い。それと同時に何故彼らが脱走を頻繁に繰り返すのかという部分に痛烈なメッセージが浮かび上がる。OPから>>続きを読む

スワン・ソング(2021年製作の映画)

3.7

果たして姿と記憶のみがその人間のアイデンティティを形成するのか。SF的設定を用いて観客に揺さぶりをかけるが、本作は人間ドラマにその軸足を置き、優しい眼差しでその存在を肯定する。近未来的な世界観やデバイ>>続きを読む

アメリカン・ユートピア(2020年製作の映画)

3.5

娯楽と芸術の融合、演者の肉体が躍動する圧巻のショーだった。加えて観客との一体感にはコロナ禍を経た観客の多くが羨望の眼差しを向けたことだろう。"理想郷"、スパイクリーらしくないが、本作においてはこれは皮>>続きを読む

パーフェクト・ケア(2020年製作の映画)

3.7

悪vs悪の対立構造の上に男性性に屈しない生意気な女性という構造を重ねることで、観客の深層心理にある"有害な男性性"を浮かび上がらせる手法が実に見事だ。冒頭でインパクトを与えた人生100年時代ならではの>>続きを読む

劇場版 呪術廻戦 0(2021年製作の映画)

3.7

歪な純愛vs歪な大義、最高峰の呪い愛を圧倒的な作画で魅せる。主人公乙骨優太の成長描写は意外なほど乏しいが、緒方恵美の演技力或いは碇シンジを彷彿とさせる乙骨の虜になる観客は多いだろう。京都組の参戦など原>>続きを読む

聖なる犯罪者(2019年製作の映画)

3.6

罪と罰、そして赦しの物語。人間の善良を形作るものとは果たして何なのか。なりすまし設定はコメディ映画で用いられることが多いが、それに由来する軽快さは残しつつ、罪を犯した青年の姿を通じて人間の多面性をこれ>>続きを読む

空白(2021年製作の映画)

3.7

メディアを通して視聴者が消費する事件の裏で無限に広がる負の連鎖。誰が悪いわけでもないからこそ誰を責めることも出来ない苦悩。ディスコミュニケーションが加速する現代社会で生きる難しさが全編に渡って描かれる>>続きを読む

マトリックス レザレクションズ(2021年製作の映画)

2.5

メタ視点でマトリックス世界を再構築する試み自体を否定する気はないが、やはり「なぜ今続編を作らなければいけないのか」という疑問に対する説得力が圧倒的に欠けている。魅力に乏しい新キャスト、目新しさのないア>>続きを読む

ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)

3.9

トランプ就任からコロナ禍を経て、人々はソーシャルメディア中毒に陥り、分断は深まり、科学を否定し、知性と秩序を失った。ディザスター映画を今の時代に描くならこれしかないという形に落とし込んだアダムマッケイ>>続きを読む

マトリックス(1999年製作の映画)

4.3

映画の世界観に衝撃を受けたことは何度かあるが、ネットもない時代の片田舎に住む当時14歳の自分が受けた衝撃は言葉では形容の出来ないものだった。どこまでも完璧なルック、東洋武術を取り入れた印象的なアクショ>>続きを読む

アス(2019年製作の映画)

3.5

物語の随所に散りばめられた暗喩をどれだけ正確に読み取れるかどうかが評価の分かれ目かもしれない。今ある幸福は誰かの犠牲によって成り立っていることを忘れるなというメッセージは強烈に伝わるが、物語そのものの>>続きを読む

サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~(2019年製作の映画)

3.7

イヤホンを使用して鑑賞したが、なるほどこれは聾者の世界を追体験したような感覚になる。ある日突然音が消えた世界に放り込まれる恐怖。難聴をハンデと捉えなかったり、主人公のように治療に望みを託したり、その選>>続きを読む

パワー・オブ・ザ・ドッグ(2021年製作の映画)

4.0

広大な土地で生きる人間の営みを精悍なショットで綴る。ほとんど何も起きない物語の中でその映像はかくも雄弁に人間の多面性を語りかける。大きな括りで言えばジャンルは西部劇だが、登場人物の変容と共にジャンルも>>続きを読む

フラ・フラダンス(2021年製作の映画)

3.7

観光誘致映画の側面がかなり強めなわりに肝心のフラダンスの魅力がそれほど伝わって来ないのは致命的な欠陥。ただ、新人5人が障害を乗り越えて成長していくというシスターフッドに満ち満ちた物語はステレオタイプ的>>続きを読む

彼女が好きなものは(2021年製作の映画)

3.0

家族を持って幸せに暮らしたいと願う根源的な制度への問いかけ、どこかの誰かの話ではなく自分が属するコミュニティにLGBTQ+がいたらという当事者性、どちらの視点においても優れた描写だ。しかし、彼の心の叫>>続きを読む

ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ(2021年製作の映画)

3.5

毒にも薬にもならない一昔前の娯楽に徹した作品だがそれこそがこのシリーズの魅力なのだ。エディ&ヴェノムの凸凹コンビのいざこざ→仲直りはもはやお約束の領域。何から何まで全て安心しきって身を任せられる最高の>>続きを読む

tick, tick...BOOM!:チック、チック…ブーン!(2021年製作の映画)

3.7

作曲家ジョナサンラーソンの半生をミュージカルで綴るのだが、劇中ではジョナサン自身が回想という形でさらにミュージカルを重ねると言う特殊な構造の作品。果たしてそれが効果的なのか?という疑問はさておき、魅力>>続きを読む

ミラベルと魔法だらけの家(2021年製作の映画)

3.4

特別な力を与えられた者と与えられなかった者、双方の機微をミュージカルによって炙り出していく構成は見事だ。多種多彩なアニメーションとラテン音楽が融合したその表現にディズニーの底力を見る。一方で高い理想を>>続きを読む

ハニーレモンソーダ(2021年製作の映画)

3.6

内気な少女がある出逢いをきっかけに高校生活を満喫していく様子がとても爽やかに描かれていて好感度が高いのだが、恋愛描写になると途端に炭酸が抜けたように野暮ったくなる。ラブストーリーにおいては致命的な欠陥>>続きを読む

フリーソロ(2018年製作の映画)

-

手に汗握るとはまさにこの光景。本番に至るまで幾度となく目にしたそれはロープの有無で全く別の光景と化す。先入観でこの手の挑戦をする人間は得てして命知らずなのかと思っていたが、本番を前に躊躇する姿は新鮮だ>>続きを読む

ボクたちはみんな大人になれなかった(2021年製作の映画)

3.6

コロナ禍の20年から平成絶頂期の96年へと時間を遡って描かれる主人公の半生。99年(大予言)で終わるはずだった世界はコロナ禍を経ても尚も続く。当時の音楽やファッション、携帯端末と共に綴られる青春の残り>>続きを読む

サイダーのように言葉が湧き上がる(2020年製作の映画)

3.4

田舎の象徴・ショッピングモールを舞台に独特なタッチで描かれるオリジナリティ溢れる青春劇。SNSの使い方、男女が抱えるコンプレックスの相互補完など上手さが光るが、肝心の本筋にあまり心が惹かれなかったのが>>続きを読む

スキャンダル(2019年製作の映画)

3.6

あまりにも悍ましい有害な男性性の一端を垣間見る…。しかし正しくこの告発は「一端」でしかなく、劇中ラストから半年後にトランプが大統領に当選したのがその証と言える。声をあげた女性のエンパワメントを力強く描>>続きを読む

BLUE/ブルー(2021年製作の映画)

3.7

挑戦、青春…青コーナーで闘う仲間たちの栄光と苦悩。Boxの熱量に当てられた人間の煌めきを描きつつ、闇の部分にも焦点を当てる。復帰後早々に存在感を示した東出昌大、観客の視点と同化した柄本時生も見事だが、>>続きを読む

グリーンランドー地球最後の2日間ー(2020年製作の映画)

3.7

ジェラルドバトラーが政府の要人でもなければ特殊能力もないただの一般人として地球滅亡級の天災に巻き込まれるという設定の勝利。アクション映画としては小粒な印象だが、アメリカの善と悪を通じて家族の物語に終始>>続きを読む

トップガン(1986年製作の映画)

3.4

被写体をクローズアップしながらカット割を頻繁に行うトニースコットの演出と戦闘機アクションの相性の悪さを感じてしまった。一方で、問題ばかり起こす訓練性と勝ち気な教官の焦ったい恋模様はなかなか魅力的。親友>>続きを読む

>|