れじみさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

マーベルズ(2023年製作の映画)

3.4

前置きなし、タメなしの爆速テンポで駆け抜けるポップコーンムービー。冒頭できちんと作風とチューニング出来さえすれば"楽しむ"という行為においては多くの人がその恩恵を受けるはずだ。

しかしながら、これは
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正欲(2023年製作の映画)

3.3

観客自身に備わる無知や偏見がそのままミスリードに変換される作劇は非常に素晴らしい。嫌な言い方をするならば、この作品を観るという時点で多様な社会への理解はそこそこ高い方だと思うのだが、そういった観客に対>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

4.0

はっきり言って不満の方が多い。粗雑な脚本、説明的な台詞、人間味のない記号的なキャラクター、安易な感動演出等々、不満を言い出したらキリがない。何より浜辺美波を物語に添える花程度にしか考えていない山崎貴の>>続きを読む

ベネデッタ(2021年製作の映画)

3.3

正直なところ宗教への知識が皆無のため上手く感想を言語化出来ない。宗教批判、或いは宗教に盲信的な者への批判であり、現在も続く聖と性の不自由へのアンチテーゼと受け取ったが果たしてどうだろうか。時事的に語る>>続きを読む

ALWAYS 三丁目の夕日’64(2012年製作の映画)

3.8

1作目、2作目を好意的に観た人間からすれば、"結婚""出産""巣立ち"をテーマにした最終作に感動しないわけがない。特に六と鈴木オートのエピソードは涙無しには観られない。昭和が舞台なのだから昭和の価値観>>続きを読む

ベテラン(2015年製作の映画)

3.7

何と言っても印象に残るのは大企業の会長のバカ息子を演じたユ・アインの憎々しい表情と仕草だ。このバカ息子に何としても天罰を与えてくれと観客に思わせた時点で作劇としては文句なしなのだが、残念ながら少々天罰>>続きを読む

パリタクシー(2022年製作の映画)

3.3

首が回らなくなった主人公と、施設に入るために偶然主人公が運転するタクシーに乗車した老女の交流を描く心温まる物語…だと思っていたのだが、その実存外ヘビーな物語に面食らってしまった。
施設へ向かう道中での
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キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

3.5

上映時間206分、この地で起きた悲劇を細大漏らさずに語るには必要だったのかもしれないが、もう少し編集でどうにかならなかったものか…。とは言え決して退屈することはなく、密度の高い物語を堪能したのもまた事>>続きを読む

ドミノ(2023年製作の映画)

3.4

「ダークナイト」冒頭でジョーカーに翻弄される銀行支店長を演じたウィリアム・フィクナーの意趣返しとも言える序盤の展開に思わずニヤリ。よくよく考えれば主演のベン・アフレックも別作品ではあるがバットマンを演>>続きを読む

ALWAYS続・三丁目の夕日(2007年製作の映画)

3.7

世界観の広がりもなければ、大量の新キャラがいるわけでもない。1作目の延長線上にある物語でしかないが、それこそがこのシリーズに対して観客が望む正しい続編のあり方だろう。
お馴染みの街並みにお馴染みのキャ
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ALWAYS 三丁目の夕日(2005年製作の映画)

3.7

テレビの到着を心待ちにする少年たちと昭和の街並みを捉えた冒頭のワンカットに一瞬で心を掴まれた。世間を騒がすような大事件は全く起きず、あくまで自分の周り半径数メートルにいる人々の機微を丁寧に紡ぎ出した点>>続きを読む

極限境界線 救出までの18日間(2020年製作の映画)

3.5

911の報復を名目に始まった米軍及び多国籍軍によるアフガン侵攻。本作はその裏で起きていたタリバンによる韓国人拉致事件の顛末を描いている。タリバン戦士の釈放を人質解放の条件とするタリバン、釈放を決して認>>続きを読む

ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)

3.7

映画を評価する上で重要視する点は幾つか存在するが、映画という媒体においては映像が持つ説得力は殊更重要なのではないだろうか。その意味で、自身が撮りたい映像がきちんと頭の中にあり、それを100%、いや12>>続きを読む

新しき世界(2013年製作の映画)

3.8

生きたまま生コンを飲まされると言う韓国映画らしい暴力描写で幕を開ける物語。その悲惨さに思わず目を背けたくなるが、一転して、空白になった会長の座を狙う2人のマフィア、マフィアに潜入中の警察のスパイ、そし>>続きを読む

1987、ある闘いの真実(2017年製作の映画)

3.9

「KCIA 南山の部長たち」で描かれた大統領暗殺事件の混乱に乗じて新たに大統領に躍り出たチョン・ドファン政権に反旗を翻した勇気ある者たちの物語。本作に至るまでには「タクシー運転手 〜約束は海を越えて〜>>続きを読む

新幹線大爆破(1975年製作の映画)

3.7

戦後高度経済成長の犠牲になった人々が、その象徴たる新幹線に爆弾を仕掛けて一発逆転を狙うと言うストーリーが実に面白い。爆弾の恐怖と戦う新幹線パートと、犯人グループvs警察パートが並行して進行することでエ>>続きを読む

KCIA 南山の部長たち(2018年製作の映画)

3.5

現在公開中の韓国映画「ハント」のモチーフとなった光州事件。その光州事件のきっかけとなったのが本作で描かれる中央情報部(KCIA)部長による大統領暗殺事件である。暗殺の瞬間から物語が始まり、以降はそれに>>続きを読む

福田村事件(2023年製作の映画)

3.7

根拠のないデマやプロパガンダによるヘイト感情が引き起こした朝鮮人虐殺事件。本作はその内の一つである福田村事件を描いている。
先般の防災の日前後に政府がこの虐殺の記録が見当たらないとの見解を示したことに
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オペレーション・フォーチュン(2023年製作の映画)

3.4

靴音が次第に音楽とシンクロしていくOPの演出が素晴らしく、期待値が一気に上がったが、残念ながらその後は鳴かず飛ばず。潜入捜査のためにハリウッドスターをスパイにするという設定は本来であれば物語の核になる>>続きを読む

ハント(2022年製作の映画)

3.9

冒頭に80年代に着想を得たフィクションとのテロップが入るが、物語の背景にあるのは光州事件で間違いない。韓国映画を追っている人間ならば概要程度は知識としてあるだろうが、劇中では一切説明がないので注意が必>>続きを読む

マイ・ボディガード(2004年製作の映画)

3.7

「イコライザー THE FINAL」を鑑賞してふと本作を思い浮かべたので数年ぶりに再鑑賞。傷心を抱えた元軍人が旧友を求めて見知らぬ土地へ流れ着くという冒頭はイコライザーとほぼ同じ流れである。彼の傷を癒>>続きを読む

イコライザー THE FINAL(2023年製作の映画)

3.7

何秒で敵を倒すと言うようなエンタメ性はこのシリーズの本質ではない。困っている人を放って置けないロバート・マッコールの善性に寄り添った人情噺こそこのシリーズの肝なのだ。そう言った意味で、見知らぬ土地で人>>続きを読む

65/シックスティ・ファイブ(2023年製作の映画)

3.5

ありとあらゆるアイデアが出し尽くされたSF×偉大な先駆者がいる恐竜映画の組み合わせということで、さぞかし趣向を凝らした仕掛けが用意されているのだろうと期待したが、全編160Kmのストレートで勝負してく>>続きを読む

フローラとマックス(2023年製作の映画)

3.8

自分勝手な母と反抗期の息子、最初にこの2人に抱く好感度が低いほどラストに大きな感動が待つ構成だ。壊れかけの家族の絆を繋いだのは音楽の力。全編に渡って素晴らしい楽曲の連続で、音楽が紡がれていく光景に何度>>続きを読む

孤狼の血 LEVEL2(2021年製作の映画)

3.7

役所広司不在の穴を埋めるのは鈴木亮平。作品ごとにガラッと印象を変えるカメレオン俳優が今回演じるのは頭のイかれた極悪ヤクザで、その存在感に引っ張られて作品のバイオレンス度も前作より増した。松坂桃李演じる>>続きを読む

孤狼の血(2018年製作の映画)

3.8

冒頭から血生臭さ全開の描写に思わず面を喰らう。第一印象最悪の悪徳刑事・大上の深みのあるキャラクター性と、彼を演じた役所広司の圧倒的な演技が物語の大部分を支配している。他方で、大上の継承者となる日岡の陽>>続きを読む

エクソシスト(1973年製作の映画)

3.7

冒頭のイラクパートを筆頭に、物語の序盤は説明不足の描写が多く、正直あまりのめり込めず。ところがリーガンに異変が起きる辺りから俄然と面白くなる。悪魔祓いが題材でありながら人間の本質に迫っていく作風はウィ>>続きを読む

コンフィデンシャル:国際共助捜査(2021年製作の映画)

3.7

クール担当の北のエリート軍人と、コメディ担当の南のポンコツ刑事の凸凹コンビに爽やか担当のアメリカのFBI捜査官が加わり、前作以上にエンタメとしての完成度は高くなった。前作でコメディエンヌとして印象的な>>続きを読む

The Son/息子(2022年製作の映画)

3.6

精神的に不安定になった息子。そうなったと思われる原因はいくつか示唆されるが決して彼の心の内は提示されない。それはこの物語が主に両親の視点で描かれ、両親もその原因を全く理解出来ていないからだ。観客は両親>>続きを読む

ジュリア(s)(2022年製作の映画)

3.8

あの日あの時の行動が…という後悔は誰しもに経験があるだろうが、本作が描くのは人生の幸福度は瞬間的な選択によって左右されるのでなく、どんな選択をしたとしても幸せに満ちる時もあれば悲しみに暮れる時もあると>>続きを読む

ジョン・ウィック:コンセクエンス(2023年製作の映画)

3.7

3時間弱の長尺を感じさせない時点でエンタメとしての質は担保されている。武器、地形、撮影、あらゆるシチュエーションを駆使したアクションはシリーズでも随一。前作では完全な接待殺陣だったキアヌも今回は見違え>>続きを読む

ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー(2023年製作の映画)

3.3

日常パートの分量が増え、キャラ推し映画として正統進化を遂げゆるふわ感もアップ。特に髙石あかり演じるちさとは前作以上に魅力的なキャラになった。他方で、相手の殺し屋の格を無意味に下げたり、復讐劇として振り>>続きを読む

【推しの子】Mother and Children(2023年製作の映画)

3.8

不慮の死を遂げた主人公が推しアイドルの子どもに転生するという導入がとてもキャッチーだ。アクアとルビーのキャラが立ちすぎるせいでアイが不要に思えてくるのだが、一転して終盤になるとどうしようもなくアイが愛>>続きを読む

アリスとテレスのまぼろし工場(2023年製作の映画)

3.4

バブル経済崩壊後から社会を取り巻く閉塞感と、未来に希望を抱けない若者の焦燥という現代日本の縮図を作品の世界観と融合させた点は賞賛に値する。この期に及んでまだ大人たちがエゴを丸出しにする描写も面白い視点>>続きを読む

疑惑の影(1942年製作の映画)

3.2

敬愛していた叔父が殺人事件の犯人かもしれないという疑惑が徐々に増していくサスペンスだが、はっきり言って全く面白くない。何か起きそうで何も起きず、起きてもなんの捻りもない展開ばかり。家族に悩みを打ち明け>>続きを読む

グランツーリスモ(2023年製作の映画)

3.5

主人公の成長、挫折、勝利を卒なく描き、家族や友人、師匠との絆で物語に厚みを持たせ、サクセスストーリーとしては実に優等生的な作品で殊更悪く言うような点は見当たらない。強いて言えば「こういうので良いんだよ>>続きを読む