NFAJ「発掘された映画たち2022」より。自分には映画の基礎教養が決定的に欠けていて、あの川端康成原作のアヴァンギャルド映画として有名な『狂った一頁』もこういう機会がないと、なかなか観ることがなく、>>続きを読む
青森まで行って、またしても港町無国籍アクション。腐っても中平と言ったら怒られるか?
離れ離れに心中する方法。十年前に観たにも関わらず、十六歳の少女中川ゆきと法学部の学生峰健二(峰岸徹)の切羽詰まった恋愛の疾走に涙が止まらなくなってしまった。もし六本木映画というジャンルがあるならベスト>>続きを読む
少年院を脱走する山下敬二郎(金語楼と親子共演)守屋浩、ミッキー・カーチスのロカビリー・トリオ。その他、ジェリー藤尾、坂本九、水原弘にスパイダースの面々と人気歌手勢揃いで賑やかこの上ない。それに国際諜報>>続きを読む
実は初めて観た。
今更ながら、不吉で不穏で凶々しく低くノイジーで暴力的に病室や廊下といった空間に満ちる音響デザインが圧倒的。冒頭の売春婦殺人のイカれた音楽も最高。だだっ広い病室、窓外に煙漂うバスの後部>>続きを読む
ユーロスペース公開以来。上映前に監督挨拶。古谷伸、青木富夫、青山真治への感謝の辞。
あれは砂丘なのか丘陵なのか、二回現れる。最初は変調をきたした妻が逃走する車を寺島進が追う場面として。二度目に現れたと>>続きを読む
十年ぶりの再見。こんなに傑作だったかと唸りながら観た。重厚にしてシャープ。厳格にして見事な陰影の広がる画面。誰もが思うだろうが内藤昭の美術がすばらしすぎる。長谷川一夫の円熟、天知茂の狡猾、柳永二郎の極>>続きを読む
全員が血まなこになって探す三巻の柳生武芸帳はあくまでマクガフィン。柳生十兵衛・戸上城太郎が印象薄く何とも残念。歌舞伎界からの中村扇雀や岩井半四郎の名前がすぐ浮かばず歯噛みする。若君に子役の山内賢。
現在のリンダはパーキンソン病で以前のように歌うことが出来ない。
映画はカントリーから出発し、ロックンロール、オペラからジャズ、そしてマリアッチまで。素晴らしい声のカラーで新たな歌の次元を染め上げる過程>>続きを読む
チェーホフの「櫻の園」を準備する女子高の演劇部員たち。部員の喫煙事件から中止になる可能性が。自分もその一員なったつもりで事の顛末を見守るしかない。やがてそれが集団劇から中島ひろ子と白島靖代、そしてつみ>>続きを読む
前にどこで観たかも思い出せないほど久しぶり。1972年の日本映画の流れ『女囚さそり』『子連れ狼』など劇画の映画化ブームに位置する作品。
初めて観た時は、これはヒドい。中平ともあろう監督がと絶望的気分を>>続きを読む
女子大生・佐久間良子らがぽんこつ屋の江原真二郎と交通事故をテーマに8mmカメラとテープレコーダーを駆使して卒論を書く。スラップスティックにサイレント風演出とさまざまな手法とアイデアを織り込んだチャーミ>>続きを読む
数年前初めて観たときは、夏木陽介の幼なじみ星由里子が東京で不良になっていて振り向きざまのチリチリパーマ頭のどぎつい化粧にたまげてしまったが、今回は落ち着いて鑑賞。恩地日出夫デビュー作にしてこんなに優れ>>続きを読む
デビュー作には、監督のその後のすべてが宿っていると言うけれど、これはその典型。小坂一也と平尾昌晃のロカビリー映画の体を装いながら、娯楽と観念の交錯する松竹ヌーヴェルヴァーグ。笑顔ひとつないヒロイン牧紀>>続きを読む
政治家の父とジャズマンの息子の闘争娯楽映画。東宝スリー・ガイズとして夏木陽介、佐藤允、瀬木俊一の出演。瀬木の扱いの低さはどうしたものか。
新文芸坐の大スクリーンと新しくなった音響の素晴らしさに冒頭から拍手喝采!東部からやって来た女が、ストリップ小屋の踊り子からベガスのトップダンサーにのし上がるまで。毳毳しく低俗で悪趣味の仮面を剥がせば友>>続きを読む
雨の日はいつも以上に首肩腕が痛む。それを我慢してシネマヴェーラでアイダ・ルピノ『二重結婚者』『暴行』。両作に脚本プロデューサーとして関わったコリアー・ヤングという48年から51年までルピノと結婚、その>>続きを読む
雨の日はいつも以上に首肩腕が痛む。それを我慢してシネマヴェーラでアイダ・ルピノ『二重結婚者』『暴行』。両作に脚本プロデューサーとして関わったコリアー・ヤングという48年から51年までルピノと結婚、その>>続きを読む
潰れかけた舞踏団を辞めたルシル・ボールとモーリン・オハラ。ボールは色気を売り物にバーレスクの人気者に。オハラは彼女のショーにスカウトされる。引き立て役として踊るオハラの鬱屈とした姿が何とも虚しいが、男>>続きを読む
再見ながら『俺は待ってるぜ』の裕次郎と北原三枝の並んだときの憂いを帯びながら、これが映画だという美しい立ち姿にはため息を洩らすしかない。日活モダン。最高の脇役陣、松山崇の最高のセット美術。
四年二組に新任の先生、渡辺篤史がやって来る。次に転校生山上玲子も。マイ武田一成ベスト3に入る日活児童映画の傑作。クラスのガキどももすばらしければ、葦原邦子から貰ったかいこをみんなで育てる光景もすばらし>>続きを読む
ひょっとしたら劇場で観るのは並木座以来かも。素晴らしかった!4Kの鮮明さ及び新文芸坐の大スクリーンの迫力もさることながら、これまでけっして良好な音声とは言えなかった細かい台詞の数々が耳をそばだてなくて>>続きを読む
まるで歌謡曲の題名みたいな『熱海ブルース』の軽やかな男と女の温泉宿の光景。これはオムニバス『二十歳の恋』の一編かと思うほど惹かれる。下駄の鼻緒は切れるべくして切れ、女のスカーフは海に舞い、男が拾うもの>>続きを読む
以前ラピュタで観たときはスター女優団令子がここまでやるのかと面食らったが、南原宏治を「あの時」互いに愛してしまった団令子と楠侑子の物語として感動。
上映前に恩地夫人星埜恵子さんが舞台挨拶。本来なら最終>>続きを読む
不意に放たれる銃弾、ポラロイドカメラの光とフライパンの鈍い殴打の暴力はざらざらした不穏に幾許かの懐かしさも滲む。昔の友人はやくざにもなりオタクにもなり再会する。辺境でもなく都会でもない山と海峡の北九州>>続きを読む
自動車工員・黒沢年雄とベアリング店員・酒井和歌子のうぶな恋愛を彩るような風景はどこにも存在しない。
あるのは、ごみごみした川崎工業地帯、雑多な駅の構内、人混みの海水浴場、それぞれの貧しい家庭の抑圧。>>続きを読む
親の反対を押し切って乙羽信子はシナリオライターの宇野重吉と結婚する。乙羽の撮り方が半端ではない。これは惚れてるな、と思うが映画としては単調。
何という心地良い驚き。松林監督デビュー作は当時の市川崑を思わせるキュートで洒脱な都会派コメディ。丹阿弥谷津子がバスの中でスリと間違えた男は就職先の社長だった。ピカいちチャーミングな丹阿弥谷津子!朴訥上>>続きを読む
素晴らしかった!
活動歴50年のスパークスの膨大なフッテージを見事に散りばめ捌きながら、あの人もこの人も登場の巧みなインタビュー構成。さらに切り紙アニメや線アニメが、全体に統一されたデザイントーンを与>>続きを読む
ボロアパートに住み着いたアジア系外国人対立退を迫るやくざのカオスな闘い。大友初の実写映画。何のことはない団地をボロアパートの廊下に置き換えた『童夢』。廊下宇宙に展開するとぼけた大友ワールドを、ケレン味>>続きを読む
高峰三枝子・有馬稲子の母娘が一つ鏡を覗き、もう少し口紅の色を濃くしたらと言う冒頭から映画の風格が漂う。その日は娘の出版社の面接試験。鎌倉近代美術館での藤木悠の登場の仕方はその後二度とないエレガントさを>>続きを読む
再見。雪山への銀行強盗団の逃亡劇から凄い撮影の山岳ドラマに。高堂国典、若山セツ子、河野秋武のヒュッテがいい。