うべどうろさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

うべどうろ

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(1974年製作の映画)

3.1

 いやぁ、これはわからない。色々と「察してほしい」ことはわかるのだけれども、流石に哲学がすぎるというか、これを芸術というのだという考えもあるのだと思うけれど、僕にはついていけない世界だった。映像も確か>>続きを読む

アンドレイ・ルブリョフ 動乱そして沈黙(第一部) 試練そして復活(第二部)(1969年製作の映画)

4.6

 あぁ、なんという傑作か!映画とはこういう作品を指すに違いない。「目が離せない」とは、この作品に相応しい表現だと思う。三時間を超える上映時間、一瞬たりとも飽きることなく齧りついて観た。でも同時に面白い>>続きを読む

ハタリ!(1962年製作の映画)

3.6

 やっぱりCGが普及したことで、損なわれてしまった映画の強みというか、映像の迫力のようなものがあると確信してしまう。車載カメラで撮られた臨場感溢れるサイの映像は、「野生」という言葉の意味をこの作品に持>>続きを読む

教授と美女(1941年製作の映画)

3.6

面白い。まず設定がシンプルなんだけど、それでいて歪で、だからこそ面白い。昔から言われる、一番遠いものを掛け合わせると面白いという格言が、こういう作品から出自するのだと強く思った。百科事典を編纂する>>続きを読む

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法(2017年製作の映画)

3.4

 やはりショーン・ベイカーは優しい。とてもいい人なのだと思う。登場人物が皆、ギリギリ「嫌な人」ではない程度に過激に描かれつつも、どう見たって子供はかわいいし、母親たちには同情したくなる。その描き方こそ>>続きを読む

暗黒街の顔役(1932年製作の映画)

3.5

 久しぶりのTSUTAYAレンタル。ハワード・ホークスの手がけた、「マフィア映画」の名作。やはり面白い。何よりもテンポがいい。「三つ数えろ」と同じように、最初は登場人物の多さに頭がクラクラしてくるのだ>>続きを読む

ホーリー・モーターズ(2012年製作の映画)

3.1

 カラックスの2012年の作品。いやぁ、さすがにこれは“わからない”。鑑賞中から、おそらくカラックス自身の振り返り作品でもあり、新しい映画への皮肉と、そこに対してあまりにも無力なカラックス自身への戒め>>続きを読む

ポンヌフの恋人(1991年製作の映画)

3.6

 レオス・カラックス、アレックス三部作の最終章。たしかに、この映画にあこがれる人が多いこともよくわかる。橋の上での花火のシーンなんかは、本当に圧倒的に美しく、続く水上スキーのシーンなんかも、はっきり言>>続きを読む

汚れた血(1986年製作の映画)

3.6

 カラックスのアレックス三部作の第二弾。素晴らしい作品だった。「疾走する恋心」…。はぁ、なんて美しい表現なのかと、ドキドキと、心が高鳴る音が身体のなかを疾走した。アレックスが駆けるシーンも、アンナが駆>>続きを読む

ボーイ・ミーツ・ガール(1983年製作の映画)

3.1

 カラックスの、アレックス三部作の最初。やはり初期の作品ということだけあって、全体的な完成度はやや低く、会話で済まされる長いシーンに少し嫌気がさしてしまった。その一方で、映像的にはとてつもなく美しいカ>>続きを読む

チワワは見ていた ポルノ女優と未亡人の秘密(2012年製作の映画)

3.3

 初ショーン・ベイカー。きっとこの人は優しい映画を撮る人なんだろうなと予感させる心地の良い作品だった。何より、主人公が絶対的にいい人だった。自分自身にも、友人にも、そして未亡人にも、徹底的な「優しさ」>>続きを読む

未来よ こんにちは(2016年製作の映画)

3.2

 静かでいい映画だったのだけど、でもやっぱり「普通」すぎるかなあ。あと、どうしたって、イザベル・ユペールに監督が負けてしまっていて、彼女の存在感を超える演出というものが見られなかったような・・・。
 
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EDEN/エデン(2014年製作の映画)

2.4

 今年のカンヌコンペにも選ばれたミア・ハンセン=ラヴ一本目。いやぁ退屈すぎる。これ絶対90分の映画でしょ。二時間超える内容ではないよ・・・。さらに言えば、大切な部分、というか「変化」の部分はジャンプさ>>続きを読む

エル ELLE(2016年製作の映画)

3.4

 ヴァーホーヴェンの復帰作としてカンヌでも評判の良かった本作。確かに、ヴァーホーヴェンらしさがあって、エロスもありつつ、サスペンスもありつつ、バイオレンスもあるという盛り沢山の内容だった。
 そしても
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氷の微笑(1992年製作の映画)

3.4

 なんじゃこの危ないセクシーな作品は。やっぱり環境問題もセクシーに解決しなきゃいけないなと痛感するほどに、セクシーの大切さを思い知る本作だった。セクシー万歳。シャロン・ストーン万歳。ヴァーホーヴェン万>>続きを読む

脱出(1944年製作の映画)

3.5

 ハワード・ホークス四本目。ハンフリー・ボガートとローレン・バコールが初共演したという本作。やはりなんといっても、その魅力は二人の演技に違いない。このときローレン・バコールが19歳!?妖艶すぎやしませ>>続きを読む

赤い河(1948年製作の映画)

3.4

 アメリカの雄大な原野を背景に繰り広げられる西部劇は見応えがあった。牛たちの大移動の迫力は凄まじく、これが1948年に作られたということに圧倒される。この作品が持つ「パワー」は絶対CGには成せないリア>>続きを読む

風が吹くまま(1999年製作の映画)

3.1

 キアロスタミが持つイランの自然美への賛歌がある地点に到達した作品だと思う。この作品は、「わざわざ」電波の通じにくいという設定を敷いてまで、その絶景を何度も何度も往復する。ともすれば、かなり退屈な反復>>続きを読む

桜桃の味(1997年製作の映画)

3.6

 キアロスタミの作品というのは一貫して、「繰り返す問答」と、そこから見えてくる「人生の意味」を表現しているのだと僕は思う。その極地にあるものがこの作品ではないだろうか。
 自殺(しようと思っている、と
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花様年華(2000年製作の映画)

4.2

 この映画、なんと美しいことだろう。衣装、美術、撮影技法、さらには建築。そのどれをとっても美しく、語られる物語、および感情の、静けさと完璧にマッチしていると思った。「不倫」「恋愛」という、気を抜くと力>>続きを読む

欲望の翼(1990年製作の映画)

3.3

ウォン・カーウァイの初期作。この時から、すでにクリストファー・ドイルとのコラボは始まり、空間設計や雨の美学など、その映像的特徴がはじまっている気がする。にしても、この人の作品では皆傘ささなすぎじゃない>>続きを読む

ノートルダムの鐘(1996年製作の映画)

3.1

このレビューはネタバレを含みます

 こんな話なのか!こんなに歌うのか!名作と名高い作品だと思うのだけれど(少なくとも僕はそう聞いていたのだけれど)、ようやく初めて観ました。うーんなんだろう。とっても素敵なことはわかるのだけれども、色々>>続きを読む

あの夏のルカ(2021年製作の映画)

3.2

 ピクサーお馴染みの異郷地的な成長物語。何度も繰り返されるテーマだけにやや既視感があったのだけれども、「モンスター」と称される主人公たちのマイノリティと、それが故に生まれる友人との葛藤は見応えがあった>>続きを読む

息子の部屋(2001年製作の映画)

4.2

 ナンニ・モレッティの最高傑作。息子を失った父親と家族の、幸せと喪失の時間を静かでありながら、感動的な筆致で確かに描き出す。また何度も涙してしまった。娘の試着室での涙はやばい。親に見られたくない涙、そ>>続きを読む

鬼火(1963年製作の映画)

3.1

 ルイ・マルの1963年の作品。これはもう完全にヌーヴェル・ヴァーグの影響下にあって、鏡に映り込むマイクが表しているように、「外ロケ」「移動撮影」に主眼が置かれ、そのテーマもまた他のヌーヴェル・ヴァー>>続きを読む

死刑台のエレベーター(1958年製作の映画)

3.2

 名前は聞いたことあるけど観たことのなかったルイ・マルのデビュー作。1958年公開のフランス映画ということで、かつ確かに外ロケの多用など、「ヌーヴェル・ヴァーグ」としての位置付けも可能な作品だと思うの>>続きを読む

パリ、恋人たちの影(2015年製作の映画)

3.6

 あれ?フィリップ・ガレルめっちゃいい!ミニマリストとも称される監督の短尺ながら、巧みで凝縮されたプロットと、少ない言葉で感情へと導きゆく会話シーンの美しさ、とっても感じ入ることができた。ベルリン映画>>続きを読む

ロゼッタ(1999年製作の映画)

3.5

 物語は単純で、貧しい少女が生きるために仕事を探すという短いプロットを、ダルデンヌの十八番「超・目線カメラ」によって執拗に追い、強制的に観客に同一視を強いるような内容であった。まず冒頭のバイトをクビに>>続きを読む

息子のまなざし(2002年製作の映画)

4.2

 個人的にはダルデンヌベスト。
 この作品も徹底的にセリフが省かれる。必要最低限の台詞のほかには、5つくらいの短い小話が入るだけ。あとは、「木工現場」という特殊な空間の特殊な音響が作品を支配し、そのテ
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COLD WAR あの歌、2つの心(2018年製作の映画)

4.5

 あぁ、なんという傑作に出会ってしまったのだろうか。脚本、演出、演技、そして何より「カメラワーク」というより「構図」の美しさと言ったら、、、あぁ傑作だ、宝石だ、完璧な作品でした!もう特に前半なんか、全>>続きを読む

三つ数えろ(1946年製作の映画)

3.7

 完璧なハリウッド的エンターテイメント映画ですね。サスペンスあり、ラブストーリーあり。素直にめちゃ楽しめた。ハリウッド黄金期を支えた名匠、ハワード・ホークス。「紳士は金髪がお好き」しか見たことなかった>>続きを読む

僕はイエス様が嫌い(2019年製作の映画)

2.0

 最悪の映画だった。つまり、「祈り」をテーマにしているにもかかわらず、この映画には一つも「祈り」がない。おそらく監督は、意図的に「祈り」を排除しているのだとは思うのだけれど、その対となる「祈り」を描け>>続きを読む

走れ、絶望に追いつかれない速さで(2015年製作の映画)

3.5

 雑なんだけど、二つだけ良いシーンがあった。1つは、当然屋上のカット。薫と漣が飲み明かした朝焼けを望む。ちょっと乱暴に「良いカット」を撮ろうと思って、太賀が移動したり、薫が指をさしたりするんだけれど、>>続きを読む

ベイビー・ドライバー(2017年製作の映画)

3.4

 エドガー・ライトの作風には大きく分けて2つのタイプがあると思うんです。1つは、ホット・ファズとかに代表される「アクション先行型」のバイオレンス万歳で、勢いで攻めていくタイプの脳死映画。   
 もう
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スナッチ(2000年製作の映画)

3.2

 確かに、群像劇としては面白いのかな…?ただこの作品が2000年の公開であることを考えると、1994年のパルプ・フィクションや1996年のトレインスポッティングへの憧れが強過ぎて、これだけを単体で評価>>続きを読む

T2 トレインスポッティング(2017年製作の映画)

2.7

 20年後、中年になり果てた彼らの物語。うーん…。なんともいえない、つまらなさ。まだ前作は90分台と短い尺だったので見切ることが可能だったが、こっちの作品は120分近くもあって、辟易とする。垂れ流され>>続きを読む