ノクタンさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

ノクタン

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生きる(1952年製作の映画)

3.8

見てなかったのでリメイク版の公開前にと鑑賞。
結構淡々と、というか冷徹な眼差しで進んでいったのがなんか意外だった。

モロに「市民ケーン」の影響を受けたお通夜のシーンが見応え抜群。人間に対する希望も諦
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祇園の姉妹(1936年製作の映画)

4.3

わきまえる姉とわきまえない妹。色んな方法で男性がひたすら権力を振りかざす映画だった。
戦前の日本でこの男女観はびっくり。今の世にも(情けないことに)充分響く内容。
撮影がやたら凝ってて映像も全然古びて
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捜索者(1956年製作の映画)

4.3

ジョン・フォード初体験。
スター・ウォーズファンとして、避けては通れない傑作。思った以上に映像の作りがスター・ウォーズっぽくて単純に娯楽映画としても楽しかった。
とにかく芸術的な域にも達してる画面の美
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グリーン・デスティニー(2000年製作の映画)

3.8

アン・リーの映像作家としての非凡な才能が遺憾なく発揮された良質エンタメだった。
脚本のキレのなさを補ってあまりあるインパクトが抜群の映像美でなかなかに楽しめた。

アクションはなんと言ってもミシェル・
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ギレルモ・デル・トロのピノッキオ(2022年製作の映画)

4.0

仄かに死の匂いが漂うダークなトーンで統一してるのはデルトロらしいけど、大人も子どもも楽しめるぐらいのバランスのよい怖さ。思ったよりちゃんと童話っぽい分かりやすさもあるし。
今っぽい感覚のラストも非常に
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

4.9

評判に違わぬ傑作だった!!!!
マルチバース、移民、アジア、セクシャルマイノリティ、メンタルヘルス、家族、などなど色んな要素をアグレッシブな映像表現で詰め込んだとってもエキサイティングな癒しの映画だと
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地上最大のショウ(1952年製作の映画)

2.1

「フェイブルマンズ」からの流れで見てみたがつまんなかった(苦笑)
映像には当時としてはかなり力入ってると思うけど、あまりにも中身が空っぽすぎませんかね...
最後の30分ぐらい以外は全く記憶にも残らな
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フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

4.3

生ける大巨匠ゆえの強靭な説得力を持った、監督自身の物語による映画論。
センチメンタルでありつつも、こんなにフレッシュな作品だとは。

テンポも構成も良いので単純に物語として面白くて2時間半あっという間
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A.I.(2001年製作の映画)

3.4

ロボット少年の設定とかロボット大虐殺とか、色んな意味で悪趣味全開で面白かったけど、正直スピルバーグのイノセントな部分がコンセプトを少し邪魔してる気がしちゃった。

「フェイブルマンズ」を見た後で振り返
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逆転のトライアングル(2022年製作の映画)

3.8

見た人だいたい全員の気分を害する最低な映画(褒め言葉)。ここまで露悪趣味全開だともう笑って見るしかないよ。

見てる間はハラハラして楽しいし、お下劣描写でもって薄っぺらいセレブ連中を徹底的にコケにする
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左様なら今晩は(2022年製作の映画)

3.6

素朴で趣深くて儚くて美しい作品だった。
久保史緒里が最高に久保史緒里してるというか、監督がめちゃめちゃ「分かってる」んだなっていう映し方で、ファンとしても大満足です。

レスラー(2008年製作の映画)

3.7

音楽ファンとしては、「ヘアメタルは最高、ニルヴァーナが全部ダメにした、90年代はクソ」っていうセリフ(大意)がすごーく印象に残った。伝統的な男性像を体現して80年代に取り残された彼の悲哀が端的に現れて>>続きを読む

恋は光(2022年製作の映画)

4.2

良い会話劇見れた~。坂元裕二がそういうのよくやってるけど、感情に理屈で答えを出そうとするけど結局溢れ出る感情に押し負けていく物語が好きすぎるんだよなぁ。

ややトゥーマッチというか、嘘臭く見えてしまい
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ベン・ハー(1959年製作の映画)

3.5

オスカー云々は置いといて娯楽大作として普通にそこそこ楽しめた。見る前に予想してた通りのマッチョで大味な映画だったけど、まあこれはこれで。

終盤のレース以降にダレなきゃもっと好きになれた気がする。
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ナッシュビル(1975年製作の映画)

4.5

ロバート・アルトマン初体験。PTAは眼差しにまだ多少の優しさを感じるけど、この人は怒りなのか諦観なのか、めちゃくちゃ手厳しくて笑えちゃうような笑えないような。こんなに人に希望を持てない映画ってある?>>続きを読む

灼熱の魂(2010年製作の映画)

4.4

いろんな要素が複雑に絡み合ったドラマに感情揺さぶられまくり。見終わって少し放心状態になった。
確かな怒りを圧し殺したナワルを演じるルブナ・アザバルが素晴らしすぎちゃってもうね。

ナワルの壮絶な人生を
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犬も食わねどチャーリーは笑う(2022年製作の映画)

3.1

ゆるーく見る分にはそこそこ笑えて楽しい。
でも同性婚ぐらいさっさと法制化しろとは思うけどありゃないよ。
あと最後の30分ぐらいほぼまるごといらなくね?あれならもっとじっくり夫婦の対話を見たかった気もす
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エデンの東(1954年製作の映画)

3.3

良かったけどなんかあんまピンと来なかったな。
この内容でハッピーエンド風に終わっちゃうあたりが「昔の」映画って感じですね。

私たちのハァハァ(2015年製作の映画)

3.9

クリープハイプのライブを見るために北九州からチャリで東京に向かう女子高生4人組のお話。

だいぶ安直な喩えなのは承知で、「JK版スタンド・バイ・ミー」みたいな、ワクワクと広い世界の恐ろしさを感じられる
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マイ・ブロークン・マリコ(2022年製作の映画)

3.4

演出もキャスティングもなかなかに攻めてるというか挑戦的でびっくり。
ただその演劇っぽい演出があんまり好みじゃなくていまいち乗り切れずに終わっちゃった。

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

4.3

2人の中年男性が喧嘩してるだけでなんなんだこの面白さは...
この喧嘩はまあ戦争のメタファーなんだろうけど、SNS社会で増大する分断を描いた作品にも思えた。歩み寄り大事。

誰が悪いとか誰が正しいとか
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西部戦線異状なし(2022年製作の映画)

4.2

1930年版も良い映画だけど僅差でこっちの方が好きだった。
停戦に向けた政治的な駆け引きの様子が盛り込まれてるのが1番の違いだと思うけど、生と死が紙一重の戦場の緊迫感を際立たせるのにすごく効果的だっ
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西部戦線異状なし(1930年製作の映画)

4.1

意気揚々と戦場に向かい壊されていく若者たちを、英雄化することなく、日常を送る様も死に様もありのまま映し出すことで、戦争の不条理さと恐ろしさを洗い出していく。後の戦争映画の雛型であり理想形が既にここにあ>>続きを読む

SHE SAID/シー・セッド その名を暴け(2022年製作の映画)

4.6

予習がてらに「大統領の陰謀」を見といて良かったと思うぐらいには影響受けてる作品だったと思う。新聞社が舞台になってるってだけでなく、抑制的な演出でもって記者のお仕事の地道さを伝えるあたり。

2人の記者
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ミリオンダラー・ベイビー(2004年製作の映画)

3.5

ヘヴィーなテーマを扱ってるだけあって見応え抜群な作品だった。
納得できない部分もあるものの、「生」と「死」のあまりに鮮やかな対比と残酷な真実を誠実に描ききっているところに好感を持てた。

大統領の陰謀(1976年製作の映画)

4.3

ジャーナリズム映画のもはや古典。分かりやすい大きな盛り上がりこそ薄いけれど、地道な取材を続けた実在の2人の記者へのリスペクトと、報道の自由と権力への抵抗を堂々と示すジャーナリズム精神はさすがの傑作。>>続きを読む

ザ・メニュー(2022年製作の映画)

3.8

レストランの構造を利用した権力関係と破壊。終盤の紛れもなく純粋な「食事」を見れただけでありがとうだよ。

ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)

3.9

大して見もせずに勝手に苦手だと思ってたけど、もしかしてぼく松居大悟の作品結構好きなのでは?

部屋の様子とか身なりとか2人の間の空気感の変化を、日常のちょっとした機微を掬い取ることで見せていく演出がお
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アバター:ウェイ・オブ・ウォーター(2022年製作の映画)

2.9

劇場で見てて早く終わらないかなと思ったのは意外と初めてかもな~。ダラダラ同じこと繰り返してるだけだし、結局は私怨の戦いなので、鯨とか親子の危機で厚みを持たせようとしてたとはいえ、前作と比べるとドラマ性>>続きを読む

マイ・ニューヨーク・ダイアリー(2020年製作の映画)

3.8

2023年1本目。
ストーリーは正直割とありがちな若者の成長物語ではあるけど、ニューヨークの街並みが素敵すぎるのと、マーガレット・クアリーがかっこかわいすぎたのと、途中でかかるエラスティカがかっこいい
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ホワイト・ノイズ(2022年製作の映画)

3.4

2022年ラストに見た映画はとんでもない怪作でした。

今まで以上にみんなが死の恐怖をリアルに感じたあの頃の混乱をパニックムービーに落とし込むアイデアは、この監督の作風からすると予想外すぎて面白かった
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ナイブズ・アウト:グラス・オニオン(2022年製作の映画)

4.3

前作が大好きな人間からすると、「予想を裏切って期待を裏切らない」の極みみたいな続編だった。それがどういう意味かは是非2作とも見ていただいて...

結構な裏切りというかそんなことやっちゃうのかって感じ
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カモン カモン(2021年製作の映画)

4.1

徹底して言葉の映画だったなという印象。すっごく思考が刺激された。
ぶっ刺さるほどではなかったけど、丁寧に紡がれる対話の数々が心地良い素敵な作品。
試行錯誤しながらもどうにか言語化と相互理解を目指す人々
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プラダを着た悪魔(2006年製作の映画)

3.5

ド定番中の定番映画ですがここに来て初見。とにかくテンポが良くてこの爽快感は大人気なのも頷ける。

ミランダの設定の巧さが良かった。成功するには「悪魔」になるしかなかった女性の悲哀と覚悟。そしてメリル・
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