63さんの映画レビュー・感想・評価

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ディア・ドクター(2009年製作の映画)

4.6

『ディア・ドクター』スクリーン映えする笑福亭鶴瓶が主演を務めて一輪花の如き存在の八千草薫が助演で並ぶ配役のバランスも白衣と田園の色彩のコントラストも絶妙。無医村の現状や無免許医師を扱った社会派ドラマと>>続きを読む

クモとサルの家族(2022年製作の映画)

3.3

『クモとサルの家族』W宇野祥平?を始め豪華な謎キャスティング、中国人子役たちが頑張る忍術アクション、出演者がアフレコする過剰な音響演出、前例のない時代劇を撮ろうと試行錯誤した監督の意欲がヒシヒシと伝わ>>続きを読む

Sin Clock(2023年製作の映画)

3.3

『Sin Clock』一念発起する後半までフラストレーションが溜まった分だけ三人の計画がミスらないように応援した。前半に登場するオッサン達の自然すぎるウザイ関西弁の名演技は窪塚洋介をも凌駕する。意味の>>続きを読む

福田村事件(2023年製作の映画)

3.4

『福田村事件』差別意識が源のデマに煽られて諌める者をも飲み込んだ人災を百年後の今に知らしめる。凶行のスイッチが入ると同時に胸糞悪く和太鼓劇伴が響き渡る虐殺の末に苛まれる防げた筈の取り返しの付かない良心>>続きを読む

波紋(2023年製作の映画)

3.4

『波紋』様々な社会問題を織り混ぜ作風を変えてきた荻上直子は今の日本に怒り心頭なのか。夫をロクデナシに描き新興宗教にハマるも仕方なく思わせる前半と妻の異常性を暴き自らの解放に至る後半で登場人物の印象は反>>続きを読む

ガール・ピクチャー(2022年製作の映画)

3.5

『ガール・ピクチャー』スムージースタンドの仲良しバイトがスランプ中のフィギュアスケーターと出逢う少女3人の青春群像図。ファッションや音楽でポップに彩られた思春期の恋や友情や性問題を悶々と切実に悩み傷付>>続きを読む

唄う六人の女(2023年製作の映画)

3.5

『唄う六人の女』いや、唄わない。かつて石橋義正が手掛けたバミリオンの同名コーナーはシュールさを残したまま自然保護を訴える水木しげる風幻想スリラーに転じた。「守る」竹野内豊と「荒らす」山田孝之と寡黙な美>>続きを読む

クライムズ・オブ・ザ・フューチャー(2022年製作の映画)

3.6

『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』〝内なる美〟体内で臓器が増殖する男の摘出手術はアートに成り得るか。痛覚を失いプラ素材を食す世界で新たな価値観と倫理観を問う。観る者の神経が麻痺する域の残虐描写に生>>続きを読む

終末の探偵(2022年製作の映画)

3.6

『終末の探偵』往年のVシネマを想起させる徹底して高純度なハードボイルド。依頼を通じて炙り出される令和の日本において外国人とヤクザが抱える現状。やさぐれ人情肌な連城新次郎を演じる北村有起哉が1作だけでは>>続きを読む

エンパイア・オブ・ライト(2022年製作の映画)

3.6

『エンパイア・オブ・ライト』映画館は寛容な場所である。観客は勿論それは従業員にとっても。心を病もうが黒人だろうが時代の社会的弱者を鳩が再び飛び立てるほどの優しさで救う。お仕事人情ドラマながら映像はシン>>続きを読む

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

3.6

『シン・仮面ライダー』本作を観る上で必要な情報は緑川父娘が説明台詞で教えてくれる。日曜朝では考えられない量の血飛沫が飛ぶ暴力描写が生々しい。正義の味方としての葛藤を池松壮亮が体現しポーズも決めれば珈琲>>続きを読む

小説家の映画(2022年製作の映画)

3.6

『小説家の映画』書けない女性作家が映画に創作意欲を見出すものの物語はモノ作り自体を描かない。出逢う人に〝撮りたい〟とただ願望を伝える作品誕生までの過程がほぼ本編を占める。監督の自己投影ぽい会話劇を長回>>続きを読む

ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー(2023年製作の映画)

3.6

『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』当時に遊んだキャラやアイテムやコースを活かす物語は展開の盛り上がりに合わせてゲームの劇伴もSEも奏でられて思わず興奮してしまい懐かしさと新しさが同時に刺激され>>続きを読む

別れる決心(2022年製作の映画)

3.7

『別れる決心』容疑者の女未亡人の魔性に惚れて困惑し執着し捜査どころか振り回されてしまう男刑事と同じく、構図と編集の映像テクで妄想や回想を操り二転三転する事件を演出したパクチャヌクの変態的手腕に観客も翻>>続きを読む

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

3.7

『イニシェリン島の精霊』「口を聞きたくない」「縒りを戻したい」島の雄大な自然と対照的に男の些細な仲違。意地の張り合いが紛争の縮図として痼を残しながら顛末までを老婆は預言して動物は寄り添う。水ダウのおぼ>>続きを読む

マルセル 靴をはいた小さな貝(2021年製作の映画)

3.7

『マルセル 靴をはいた小さな貝』コマ撮りアニメとモキュメンタリーの讃えるべき融合。マルセルの撮影&協力者として意志を尊重し過剰な手助けを避けるディーンの距離感が正しい。おばあちゃんとの共同生活にはポジ>>続きを読む

EO イーオー(2022年製作の映画)

3.7

『EO イーオー』主演:ロバ。手綱を外し己の自由意思で行く当てもなく歩き出した非ドナドナ旅物語。愛され、運ばれ、崇められ、その黒く澄んだ瞳は人間が一体どう見えるのか。動物映画特有の癒しとは相反した壮大>>続きを読む

春画先生(2023年製作の映画)

3.7

『春画先生』原作漫画が存在するかの如し官能オリジナルストーリー。春画学として変態的に講じる映画自体やがて変態性を伴って春画化する。嫉妬も性癖も交じり溺れるキャラ立ち四角関係愛憎劇が可笑しい。悶絶立腹の>>続きを読む

658km、陽子の旅(2023年製作の映画)

3.7

『658km、陽子の旅』見切り発車のヒッチハイクが亡き父からの試練のように一期一会の触れ合いで徐々に心を解き放つ。ロードムービーでも脚本と編集に予定調和感が無く本当どうなるか先行き不安なまま見守った。>>続きを読む

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

3.7

『フェイブルマンズ』フィルムに没頭するサミー少年の成長物語にスピルバーグが人生を投影する。映画哲学や芸術論は年配者に語らせてユダヤ系いじめも家族との別離も原体験として描く。最後ラストカット1秒のカメラ>>続きを読む

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

3.7

『アステロイド・シティ』清々しくシンメトリー、砂漠と宇宙の親和性、流暢で情報過多な台詞、褪せた赤土と青空、コマ撮りアニメの効果、戯曲を映画化する多重構造、メッセージやカタルシスなど度外視でウェス・アン>>続きを読む

トリとロキタ(2022年製作の映画)

3.8

『トリとロキタ』生きるため姉弟と偽って犯罪まで手を染めるビザを取得できない幼き移民。か弱き体格の大きな少女がしっかり者で小柄な少年を頼る友情関係はドラマを呼ぶ。善意や慈悲の欠片もない安直な着地を避けた>>続きを読む

さよなら ほやマン(2023年製作の映画)

3.8

『さよなら ほやマン』俳優アフロの誕生。爽やかな地声と坊主頭がアキラという人物に魂を吹き込んだ。他キャストの好演もバカ正直兄弟と訳アリ漫画家の関係に説得力を与える。コメディはトラウマ克服物語に転じて殴>>続きを読む

(2023年製作の映画)

3.9

『首』会話劇を重視し始めたアウトレイジ以降の北野映画で新たな群像大作。衆道を絡ませて芸人ビートたけしらしさも垣間見せる大河ドラマが描かない着眼点。年齢設定の不具合は加瀬亮を筆頭に配役と好演のキャラ立ち>>続きを読む

ザ・ホエール(2022年製作の映画)

4.0

『ザ・ホエール』その巨体ゆえ歩行や笑う事さえままならず食事が自傷行為に見てとれる死を自覚した男チャーリー。自らが太った原因も部屋を訪れる理由も徐々に明らかになる人物背景に密室劇ながらも魅入った。救うは>>続きを読む

コカイン・ベア(2023年製作の映画)

4.0

『コカイン・ベア』ラリった熊なんぞ退治できるわけもなく。ましてや絶対ヒーローに不向きなタイプの駄目アメリカ人ばかりなので太刀打ちできず襲われて時に自滅までする始末。ちゃんとエグいグロ描写、しっかり笑え>>続きを読む

怪物(2023年製作の映画)

4.1

『怪物』親心、隠蔽、無垢から生じた偏見という謎を実母、教師、子供という3つの多角的視点で解き明かすミステリー。耳に残る坂元脚本を役者陣の自然な怪演と熟練な域の是枝演出が中和させるリアル。誤解が払拭され>>続きを読む

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

4.2

『君たちはどう生きるか』宮崎駿の鳥。戦争が絡む説教話と思いきや摩訶不思議な千と千尋的トンデモ冒険譚へ。無数に群れるキャラも皮膚のイボイボも緑に苔生す石壁も描き込みは健在どころか盛り盛りな老狂イマジネー>>続きを読む

リバー、流れないでよ(2023年製作の映画)

4.2

『リバー、流れないでよ』登場人物の記憶は失われず地続きのまま時間だけリセットする設定が従来のタイムループ作品とは異なる。たかが2分されど2分の制限時間内で旅館から幾つもの可能性の限界を探るドタバタSF>>続きを読む

CLOSE/クロース(2022年製作の映画)

4.3

『CLOSE/クロース』恋人疑惑を生むほどの仲だから突き放した時に生じた傷の深さ、無関係な事象だけど呼び水となり胸の奥から湧き出る辛さ、まだ幼いあまり心を整理するまでに費やす時間の長さ、痛いくらい解る>>続きを読む

市子(2023年製作の映画)

4.3

『市子』川辺市子とは何者か?周辺人物の関係を探りつつ聞き込み捜査の如く紐解かれる謎。この生き方しかできなかった市子に訪れる普通の幸せが終盤で改めて胸を打つ。称賛の杉咲花を筆頭に今の若手俳優陣で人間ドラ>>続きを読む

エゴイスト(2023年製作の映画)

4.5

『エゴイスト』色香の鈴木亮平と純真な宮沢氷魚が徹底して官能を演じ抜く称賛すべき覚悟。ゲイならではゲイだからでなく稀有なカップルの一例で存在する恋愛の形。若しくは貫き通すワガママで相手の母親まで思い遣る>>続きを読む

絶唱浪曲ストーリー(2023年製作の映画)

4.5

『絶唱浪曲ストーリー』世話されつつ暮らす小柳婆さんが木馬亭で聴かせる圧巻な高座のギャップ萌え。芸の魅力を目一杯に凝縮した浪曲入門編(親切な字幕付き)であり、芸の引き際と引継ぎに密着した師弟関係の人情ド>>続きを読む

対峙(2021年製作の映画)

4.6

『対峙』被害者遺族と加害者遺族に話す場が設けられた。探り探りの言葉は感情を堪えながら核心に触れゆく。回想場面の無い4人の密室会話劇でも迫真の演技合戦の表情を捉えるカット捌きで事件の凄惨さが見えるほど没>>続きを読む

オオカミの家(2018年製作の映画)

4.6

『オオカミの家』未だ誰も成し得ないアニメーション技法があったとは。まず被写体として動く人形や絵が実寸大という狂気。理解不能なアート系映画でなく主人公の恐怖と妄想を的確な表現演出で観客にトラウマを残す。>>続きを読む

ファースト・カウ(2019年製作の映画)

4.7

『ファースト・カウ』こっそり牛から拝借したミルクで作るドーナツが評判を呼ぶ物語を無駄を削ぎ落とす丁寧な演出でスクリーンに魂を宿らせる。全カットを見逃すまいと映画館内と同化する暗闇のシーンも目を凝らして>>続きを読む

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