63さんの映画レビュー・感想・評価 - 10ページ目

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街の上で(2019年製作の映画)

4.2

『街の上で』のほほん感に溢れた下北沢の自然体な日常に鑑賞中ずっとニヤニヤ浸っていられる心地良さ。1人の青年が4人の女子と交わし合う群像エピソードが伏線となって〝彼氏か?彼女か?〟の問題に終息する修羅場>>続きを読む

ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)

4.2

『ドント・ルック・アップ』巨大彗星が地球に衝突する人類滅亡の危機が信じてもらえず。アルマゲドンな英雄譚になるはずが政府もメディアも腐敗して脱線の茶番劇へ。超豪華俳優陣が演じるコメディは全く飽きることな>>続きを読む

子供はわかってあげない(2020年製作の映画)

4.3

『子供はわかってあげない』沖田修一監督が多様した長回し演出の中には青春のキラキラした思い出の欠片が情報過多に詰まってる。ふじきみつ彦脚本が描いた初対面の人と人が打ち解けてく距離感の縮まり方にニヤニヤが>>続きを読む

GUNDA/グンダ(2020年製作の映画)

4.3

『GUNDA/グンダ』豚が乳を飲む、鶏が一歩ずつ進む、牛が寝て立ち上がる、ただの動物の生態がモノクロ接写映像と誇張された環境音でスリリングかつドラマチックに目が離せない。ラストは現実に戸惑いつつ子を思>>続きを読む

ファーザー(2020年製作の映画)

4.5

『ファーザー』誰?いつ?何故?どこ?の情報が本編中に錯綜する。編集された時間軸と不確定な配役とAホプキンスの名演により観る者を混乱させるスリリングな認知症の擬似体験。服装、間取り、オペラを手掛かりに改>>続きを読む

空白(2021年製作の映画)

4.6

『空白』車に轢かれて娘を亡くし本性が露呈するモンスター親父役に古田新太は最適すぎる。思い詰める松坂桃李、押し付ける寺島しのぶ、謝罪する片岡礼子、全俳優が上手い。取り返しのつかない事に対して遺族や加害関>>続きを読む

JUNK HEAD(2017年製作の映画)

4.7

『JUNK HEAD』そのディティールから開始数分で顕著になるホンモノ感。題名の意味が解ると同時に次の展開への期待が膨らんで最後には何語か分からない会話も聞き取れる気がしたほど超没入。殆ど堀貴秀の名が>>続きを読む

ボストン市庁舎(2020年製作の映画)

4.7

『ボストン市庁舎』「皆さんを救うのが我々の仕事です」と言葉を重ねる市長は多様性を認めて対話を重要視する。饒舌な喋りと街の景観の合わせ技でドキュメンタリーながら釘付け。特に大麻施設に関わる集会は議論が白>>続きを読む

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

4.8

『ドライブ・マイ・カー』亡き妻が台詞練習用に録ってくれたカセットテープを女性運転手が愛車を走らせる中で聴く。原作を軸にチェーホフ戯曲の劇中劇やロードムービーの要素を脚色し〝偽りを演じる自己からの解放〟>>続きを読む

ニューオーダー(2020年製作の映画)

3.2

『ニューオーダー』本作を評する際でマイナスワード「惨い・酷い・最悪・最低」は褒め言葉だ。富豪が一瞬で奴隷にまで転落する地獄を描いて分断された全体主義の思想が行き着く先の危険性を90分弱に凝縮し象徴化す>>続きを読む

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

3.2

『すずめの戸締まり』人の縁で繋がって災禍を封印する追いかけっこは百万人と一人を天秤にかけても想いを貫く一途な恋物語へ。歴史を風化させない為に少女を主人公に強烈なビジュアルで映画を作り続ける新海誠は戦争>>続きを読む

大怪獣のあとしまつ(2022年製作の映画)

3.2

『大怪獣のあとしまつ』壮大なスケールの特撮に相反して随所に挟み込まれる三木聡テイストの小ネタ。シン・ゴジラが描いた迫真なる政治劇場は絵空事と言わんばかりに本作の閣僚会議を脱力系コントに仕立てた。全力を>>続きを読む

ジャンヌ(2019年製作の映画)

3.3

『ジャンヌ』少女を主人公としてジャンヌ・ダルクを描く二部作の(敗北から審判に焦点を絞った)後編。子供が鉄鎧を纏って采配する姿は戦争の幼稚さを風刺する。子供が裁きを受けて刑に処される様は法廷の不条理さを>>続きを読む

ジャネット(2017年製作の映画)

3.3

『ジャネット』少女を主人公としてジャンヌ・ダルクを描く二部作の(成長から決心に焦点を絞った)前編。戦争への嘆きや祈りをメロディに乗せて歌とダンスで感情表現する。メタルやヘドバンが逆に聖なる無垢さや熱き>>続きを読む

復讐は私にまかせて(2021年製作の映画)

3.3

『復讐は私にまかせて』気に食わない奴には容赦せず。ストレートな愛情表現は拳術で。過去にケジメを付ける暴力映画ながら不甲斐ない自分に悩む純愛映画である。二人が恋に落ちるまでのシーンも華麗なアクションで魅>>続きを読む

三姉妹(2020年製作の映画)

3.3

『三姉妹』機嫌取りで薄幸な長女、信心深く裕福な次女、酒に溺れ自堕落な三女、彼女たちは厄介な家庭と問題を抱えながらも懸命に生きる。モノクロで回想する過去のトラウマを知った上で思いをブチ撒ける修羅場を乗り>>続きを読む

スピリットウォーカー(2020年製作の映画)

3.3

『スピリットウォーカー』自分を誰だか分からないまま午前0時と午後0時に外見だけが他人とシャッフルする設定は一瞬でも気を抜くと物語から脱落しかねない。特殊撮影技術でもガンアクションでもハリウッドに肩を並>>続きを読む

ハウス・オブ・グッチ(2021年製作の映画)

3.3

『ハウス・オブ・グッチ』またもやリドリー・スコット84歳が若々しく精力的に漲る。ガガ熱演の嫁パトリツィア視点で描く映画は誰目線で観るかで更に味わいを増すか。自分は不憫すぎる禿ダメ息子パオロに他人事と思>>続きを読む

ドンバス(2018年製作の映画)

3.4

『ドンバス』フェイクニュースの撮影現場、ドイツ人ジャーナリストとの接触、地下シェルターでの暮らし等、まだ開戦前のロシアとウクライナが挟むドンバス地区での挿話集。軍兵や爆撃と共存する日常に込めるアイロニ>>続きを読む

猫は逃げた(2021年製作の映画)

3.4

『猫は逃げた』不倫カップル2組の行く末を傍観者かつ仲介役のキーキャットとして担うカンタが芸達者すぎる。浮気も家出も全真相がバレた後に全員着席で責任を擦り付け合う長回し修羅場シーンは吹いた。ドロドロの愛>>続きを読む

ポゼッサー(2020年製作の映画)

3.5

『ポゼッサー』他者の身体と人格を乗っ取り完全犯罪な暗殺を遂行する近未来スリラー。やはりクローネンバーグ家の遺伝子を継ぐ息子ブランドン監督も前衛的かつ刺激的。寄生と侵入で見失う自意識を直感でイメージさせ>>続きを読む

なまず(2018年製作の映画)

3.5

『なまず』愛のレントゲン写真を撮られた男女は誰か?落としたプラチナのペアリングは何処か?謎が謎を呼ぶ〝人を信用する〟に関した物語。注射器ダーツ、巨大な穴、ゴリラの捕獲、鮮烈なイメージを残しながらシュー>>続きを読む

白い牛のバラッド(2020年製作の映画)

3.5

『白い牛のバラッド』都合良く〝神の思し召し〟を利用しすぎでは。冤罪で夫を処された未亡人の運命と過ちの判決を下した判事の贖罪は女性の地位が低く死刑制度が常態化するイラン社会を炙り出す。映像は緊迫感を与え>>続きを読む

アネット(2021年製作の映画)

3.5

『アネット』妻への愛情を見失い我が子の類い稀な才能に翻弄させられ道を踏み外すショーマンの悲運。ほぼ台詞はスパークス作曲によるメロディに乗せた歌唱で劇的に盛り上げる。奇跡の存在であり父の操り人形となる娘>>続きを読む

宮松と山下(2022年製作の映画)

3.5

『宮松と山下』記憶喪失の自分を忘れて誰かを演じるエキストラに生き甲斐を持つ宮松いや山下の物語。彼の私生活へ没入し始めた頃にカット!の声で撮影現場だったかと騙されては虚実と回想が入り混じり謎が解けてく面>>続きを読む

TITANE/チタン(2021年製作の映画)

3.5

『TITANE/チタン』車との情事(カーセックス)という奇天烈な起点からは想像し得ない性別も異形も越えた父から子へ母から子への愛の物語に着地する。痛みに屈せず衝動のままに突き進むアレクシアという難役す>>続きを読む

ブラックボックス:音声分析捜査(2021年製作の映画)

3.5

『ブラックボックス:音声分析捜査』神経過敏なオタク気質の主人公は狭い視野でワンマンに突っ走るため観る側が心配するほどで耳を駆使する究明は次第に人間関係の信用問題に転ずるも彼の性格だからこそ次々と新証拠>>続きを読む

林檎とポラロイド(2020年製作の映画)

3.5

『林檎とポラロイド』蔓延する記憶喪失症を患った男は忘れた過去に執着せず新しい未来を築く更生プログラムをこなす。課題の指示はカセットテープから流れて行動の記録はポラロイドをアルバムに収める媒体のアナログ>>続きを読む

リコリス・ピザ(2021年製作の映画)

3.5

『リコリス・ピザ』〝二人でウォーターベッドを売る〟というボーイミーツガールをPaul Thomas Andersonが軽やかに爽やかに撮る。父譲りの演技力なCooper Hoffmanと縦長の早見あか>>続きを読む

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

3.6

『シン・ウルトラマン』ウルトラQをベースに過去シリーズにオマージュを捧げつつ現代へのアップデートを成し遂げた上で因縁の宿敵との対決に集約する胸アツな展開。常人離れした斎藤工と山本耕史の存在感が空想特撮>>続きを読む

大河への道(2022年製作の映画)

3.6

『大河への道』測量風景も製図作業も志の輔らくごで聴いたイメージが明確化した。噺の核となる伊能忠敬の秘められた3年間を膨らませる脚色が見事。安定の中井貴一と飄々の松山ケンイチ他キャストが現代劇と時代劇で>>続きを読む

LOVE LIFE(2022年製作の映画)

3.6

『LOVE LIFE』死が別れから縁を戻すも遠のく心を再び繋ぐまでの距離感。視線、手話、団地、オセロ、ツールやアイテムを生かして主要人物の行動原理を秀逸に伝える。黄色い風船と並んで雨に立ち尽くす絶望感>>続きを読む

FLEE フリー(2021年製作の映画)

3.6

『FLEE フリー』あるゲイの男性が難民として過ごした壮絶な半生を人物の匿名性を保つため抽象的なアニメで再現する。実録風な生々しさは中和され低解像度な分だけ想像力が補完し自然に感情移入できる効果も。皆>>続きを読む

君を想い、バスに乗る(2021年製作の映画)

3.6

『君を想い、バスに乗る』計画通りにいかないからこそ人生は味わい深い。長距離の旅に出る目的と動機を明かさず物語が進むロードムービー。回想場面で夫婦の過去に想像力を膨らませては妙に親切がられる訳や鞄に執着>>続きを読む

あのこと(2021年製作の映画)

3.7

『あのこと』中絶は違法とされた時代に望まない妊娠をした女子大生(原作者アニー・エルノー)が手詰まる姿を週刻みで追う。常に主人公へ寄り添うカメラワークで彼女の受ける辛さ苦しさ惨さが観る者に響く。女性だけ>>続きを読む

マッドゴッド(2021年製作の映画)

3.7

『マッドゴッド』創造と破滅を永遠に繰り返す地獄の堂々巡りを描いた黙示録か。目が慣れる隙を与えず未知なるモノが続々と現れて脳の処理が追い付かない。ゼロから混沌の異世界を構築したフィルティペットの名は改め>>続きを読む