honobonさんの映画レビュー・感想・評価

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パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

4.1

サヨナラは別れの言葉じゃなくて

冒頭のシーンでグッと鷲掴みされる。
いくらA24だからといってあまり触手が伸びそうにないタイプの魅力がうまく乗ってこない雰囲気がたち込んでいたのが嘘のようで、終わって
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リンダはチキンがたべたい!(2023年製作の映画)

3.9

纏う衣が解ける瞬間

『大人のためのグリム童話 手をなくした少女』で見たあの絵が色合い鮮やかで表現が豊かになる。

物語は二の次でいいかなってならざるを得ないけれど、『地下鉄のザジ』と同じようにストラ
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フォロウィング 25周年/HDレストア版(1998年製作の映画)

4.0

巨匠と呼ばれるまでの一歩目

『メメント』以降、彼の長編作は見ることはできているのに、触れられなかったのはこの作品だけ。
なんとか見るために久々に朝イチから映画を見ることに…。

つける男と盗む男の出
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デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章(2024年製作の映画)

3.4

メガネフレームトランスフォーマー

『オッペンハイマー』と同じタイミングてこれか!と驚きが冒頭にあったのは確かだし、人間の善行と憎悪の表裏性の描き方も抜群にいい。
ストーリーはあっちこっち行きながらも
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ペナルティループ(2024年製作の映画)

3.8

廻り廻ってオマエだったのか!

見る前からキノフィルムズの地味ながら傑作なやつなのかな?と思っていたらまさにそう。
加えて公開規模がシネクイントだったら『人数の町』の雰囲気と思っていたら荒木伸二監督が
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ゴーストバスターズ/フローズン・サマー(2024年製作の映画)

3.6

やり残したものをやり切るとき、本線になる

舞台はあのニューヨークの消防署跡に移ったスペングラー家ことゴーストバスターズの物語になり、オリジナルの4人へのアクセスが容易になる。

コメディとしてのルッ
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.4

神はサイコロを振らない≠重力によって振れない。

初日にIMAXLaser/GT方式にて鑑賞。
一週間後にDolbyCinemaにて鑑賞。

ロバート・オッペンハイマーが見てきた量子力学と戦略的な戦争
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ARGYLLE/アーガイル(2024年製作の映画)

4.0

エリー・コンウェイの脳内ヒプナゴジア

マシュー・ボーンを期待して見に行ったら想像以上のモノを見せられた。というか、爆笑スパイアクションだったとは。

終盤、目の行き場がすごく厄介になることを除けば何
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ビニールハウス(2022年製作の映画)

3.4

寸止めカット選手権

プロットはすごくいいのに、どこからかPFFぽさが見えてくる映像の見え方。

韓国の作品で言えば『パラサイト 半地下の家族』を想起するものの、いやいやこれは『下女』だ!と頭がよぎる
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デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.2

リサーン・アル=ガイブ!

IMAX with LaserGT方式にて鑑賞

物語がしっかりと動く2作目。冒頭からボールの成長したな!と親目線のような上から目線のような。

2年半前に前作を見てそれ以
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12日の殺人(2022年製作の映画)

3.8

男は、火を点ける。女は、殺される。

『悪なき殺人』でハッとさせられたドミニク・モルは未解決事件から浮き上がってくる新たな一面。
'この作品は何を語ろうとしているのか?'というミステリーであれば、そう
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関心領域(2023年製作の映画)

4.0

隔たれた壁の…

先行上映にて鑑賞。

今年のアカデミー賞はWW2に関わる受賞があった。去年の後半、立て続けのように日本でもそうであったように。

1940年台前半にありそうな裕福な方の暮らしをただ見
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ソウルメイト(2023年製作の映画)

3.9

エンタメの韓国映画、芸術の香港台湾映画がよく分かるリメイク合戦

見に行く前にオリジナルを流し見して、物語の結末というよりは、構造的な「これがしたいのね」が強く伝わってしまいハードルは高くなってしまっ
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

3.8

気付かせ、誘惑し、想像させる。

転落死の真相を巡るミステリーと思えば想像以上の法廷劇で呼吸をする余裕の無いように会話が進む。

物語の脚本を考えれば凄いと感じることができるけれどトータルでこれがパル
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

3.8

「何を見ているんだ…!」が正しくアリ・アスターに賛辞を贈ることができる感想なんだろうな、と。

『空飛ぶモンティ・パイソン』…否、
『未来世紀ブラジル』のような夢の物語。
作品の構造を考えていくほど頭
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ミツバチのささやき(1973年製作の映画)

4.1

ビクトル・エリセの新作を見るために一作でも目にしておかなければというコンセプトのもと。

物語として突然「移動映画上映がやってくる」というどういう作風なのだろう?に戸惑いが拍車をかけるものの、語らずと
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瞳をとじて(2023年製作の映画)

4.0

映画を旅する、映画。

ビクトル・エリセ31年ぶりの新作ということもあれば映画のために映画を作る不思議な構成。
直前に見た『ミツバチのささやき』のように映画から紡がれる映画の機能と受け取りながら、アナ
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夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.5

夜についてのメモ

この作品を見終わって癒やされるとか優しいというものは感情として受け取れた感覚がなく、沁み渡り溶け込んでいくような鑑賞後の感覚。

映画を見に行くというよりは、映画へおじゃましに行っ
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すべて、至るところにある(2023年製作の映画)

3.7

託されたもの

リム・カーワイ監督、川和田恵真さんのアフタートーク付きにアデラ・ソーさんも。

バルカントリロジーの最終章、と言われても2作を見ていない。更には、リム監督はバルカン半島のイメージはあっ
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オン・ザ・フロント・ライン 極限戦線(2023年製作の映画)

3.2

ウクライナで作られたと考えるとなんてリアリティのある。と思ってしまうところにバイアスがかかってしまうところではあるけれど、、、
ウクライナのバックアップのもと2023年制作として作られた。嘘でしょ?撮
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葬送のカーネーション(2022年製作の映画)

3.6

映像で魅せるものと周囲の声から訴えるものと。

愛する人を故郷に埋葬するため移動する"だけ"。
であるにしても、この作品で語られるもの、の先にある背景を考えるととても重く、そしてラジオから流れる言葉に
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犬人間(2022年製作の映画)

3.1

恐怖のお尻ペンペンマシーン

未体験ゾーンの映画たち2024にて鑑賞。
今年は…。と思っていたけれど、前日に鶏犬を見てしまったらこれは行くしかないよね。

彼女の"選ばなかった"というものは、どんなも
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.3

輪廻転生による再構築

魚眼レンズ酔という言葉を作った進歩と、ベラ、いや。エマ・ストーンから発せられるエンパワーメントには参った。

ベラとバービーが主演女優賞を争っては何か不都合があったのか。そう感
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サン・セバスチャンへ、ようこそ(2020年製作の映画)

3.3

一言で、うるせぇ。

色々とあった中、ウディ・アレン作品で冒頭からお久しぶりと伝えたくなる。
スキャンダルが出るまではほぼ毎年のように日本で見れていたものが、少しの休止を経て見ることができる。これが最
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みなに幸あれ(2023年製作の映画)

3.6

『唱う六人の女』よりわかりやすく、『リゾートバイト』より物足りず。

下津優太監督、古川琴音さん、松大航也さんの舞台挨拶付きにて鑑賞。

こういうエッジのあるホラー作れるのか!と感心する反面、中盤から
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レオノールの脳内ヒプナゴジア(半覚醒)(2022年製作の映画)

4.0

フィリピンから来た『君たちはどう生きるか』

チャーリー・カウフマンらしさとか、森田修一らしさとか、"スタジオジブリ最新作"らしさとか。色々と思い浮かぶ文言は出てくる。

好き嫌いははっきり分かれそう
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カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

4.0

白熱かああああ!

バカテンポと評する作品はあれど、この作品はバカリズムだな。

……バカリズム?
そっちじゃなくて。

ストーリーの構成としてはよくありそうなもので、更にはトレーラーで『カラオケ行こ
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彼方のうた(2023年製作の映画)

3.9

上田の偶然と想像は川の音の誘い。

杉田協士監督、荒木知佳さん、伊東沙保さんの舞台挨拶付きにて鑑賞。

杉田協士監督らしい作風と、見覚えのある景色。そして、人。
ポレポレ東中野で見るここ最近の作品たち
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映画 ○月○日、区長になる女。(2024年製作の映画)

-

投票率が前回比5.5%上がり、187票差で決着した区長選。

ペヤンヌマキ監督と能條桃子さんのトークショー付きにて鑑賞。

この選挙に一票を投じた当事者として見ておく必要があった。
監督がカメラを回し
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笑いのカイブツ(2023年製作の映画)

3.8

おかしくて何が悪いんじゃ。最高の褒め言葉じゃ

一目散に今年の最初の公開ですぐに見たかった訳では無いがタイミングを信じた結果、役者陣に圧倒される作品だった。

ツチヤタカユキという笑いのカイブツから見
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ハロー!?ゴースト(2023年製作の映画)

3.9

今年の一本目。この作品を見終わったあとにいろんなことが起こり始め……。

申し訳ないけれど、韓国で作られた作品を台湾がリメイクした時のバッチリハマる加減は何なんだ?このあとにオリジナルを見ると呆気にと
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ブラックベリー(2023年製作の映画)

3.8

アメリカのエンタメご意見番であるバラク・オバマ氏が2023年のリストに入れている一作。

『Air』とは真逆に位置する商品に対する物語。
サクセスストーリーではあっても、そこにあるものは欲望を超えた強
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僕が宇宙に行った理由(2023年製作の映画)

-

「なにか変わりましたか?」

月に行くと宣言したあと、知らない間に宇宙に行っていた前澤友作氏。月じゃなくて、ISSに行っていたんだな、それはそれですごい。

『約束の宇宙』を見ておけば見ているもののイ
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TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー(2022年製作の映画)

3.7

見えない誰かと失った誰かを繋ぐもの

プロットだけで進んでいくホラーに思わせておいて、お節介な人が一言言うだけですべてひっくり返ってしまう怪奇と社会を行き来する作品に。

怖い映画として見て貰うための
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ポトフ 美食家と料理人(2023年製作の映画)

3.7

初めて途中退出したくなると思ったかも…
悪い意味ではなく。

とにかく広々としたキッチンで料理を作る。それをあれやこれや話しながら夕餐会の食事。
これだけで羨ましい、そしてお腹が鳴りすぎる。

頭でレ
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ショーイング・アップ(2023年製作の映画)

3.7

実はもう…。

ケリー・ライカートの特集上映をしているわけではないのに年末の纏めにかかっているタイミングはやめて!

そうはいっても映像から映し出される時代や状況は大きく違う。

「こうしてあげている
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