Ryosukeさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

ちひろさん(2023年製作の映画)

4.2

元風俗嬢であることをあっけらかんとした様子で話すちひろさん。
自然体な彼女に様々な人が集う。
孤独に溺れる人にそっと手を差し伸べて夜は敵ではないよと告げてくれるとても優しさに溢れた映画。

コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)

4.0

考古学のロマンに想いを馳せ、ペトログリフを拝みに寝台列車で相席した相手は粗野な男性だった。

デリカシーのなさ、散らかったつまみ、旅先で出会ったら真っ先に回避したい相手。
ビフォア・サンライズのような
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ブラック・ウィドウ(2021年製作の映画)

4.0

スパイファミリー
映画館で観たかった。
フローレンスピューの妹感がすごい。
スカヨハかっけぇわ

ボーンズ アンド オール(2022年製作の映画)

4.3

許されざる性質を産まれながらに持つことは、絶対的な孤独を宿命付けられることだ。
個人ではなく孤人。
一切の集団に帰属することのみならず、家族すら形成することも不可能に等しい「人を食らう」という欲求を持
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レギオン(2010年製作の映画)

3.5

天使版ターミネーター。
黙示録が始まり荒野のダイナー「ロストパラダイス」にて籠城戦。
多分マグダラのマリアをモチーフにしているだろう女性が人類の未来を背負う逞しい戦士へ。
銃火器より強力な羽をもいだの
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対峙(2021年製作の映画)

4.5

聖公会(プロテスタントとカトリックにおけるキリスト教の中庸組織であり、教派を超えた結束に積極的な会 Wikipedia)にて高校の銃乱射事件の加害者家族と被害者家族の対話が行われる。

理由と原因の追
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イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

3.7

1923年、アイルランド内戦が勃発している最中のすれ違う友情を巡る不条理な物語は、ミクロな個人の問題を映し出す。

孤島に住む人達の募る刺激への飢餓感。ミドル世代の危機感、不寛容で排他的な地域性。
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ザ・セル(2000年製作の映画)

4.0

精神科医のキャサリンが、シリアルキラーの潜在意識にダイブし次なる被害者女性の居場所を特定すべく、精神世界を彷徨う。

シュールレアリズムな精神世界に圧倒された。
過去に影響を受けた出来事や記憶が暗示さ
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NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

全然分かんなかった。なんなら観賞後はえ?面白いのか?と感じた具合だった。
しかし、たくさんの考察サイトを訪問して、映画の場面を照合しながらじわじわ来ている。

旧約聖書のナホム書が鍵となる。
虐げるも
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search/サーチ(2018年製作の映画)

4.5

デスクトップモニター上でデビッドキムの思考をライブしながら共に娘の捜査を追っていく劇場型犯罪ならぬ劇場型捜査。

デビッドが何を疑問視し何を考えているかをスピーディに、マウスによる視線誘導がなされ、S
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ノースマン 導かれし復讐者(2022年製作の映画)

4.5

父の仇を討つべく、広大な大海、大地を渡り復讐に一切合切を投じるアムレート。
神々が唆す因果、抗いがたい運命を突き進む男の結末は。。

土着的な祭宴に、神々との接触、「獣」に徹した血生臭い戦闘、闘争本能
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RUN/ラン(2020年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

ミザリーの再来。
毒親どころの騒ぎじゃねぇぞ。
ヒステリックな母親が、おいたが過ぎた娘をしつけるように平静な顔して注射器持って迫ってくるの怖い。

「生まれてきた未熟児が仮に生きながらえていたなら、数
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そして僕は途方に暮れる(2022年製作の映画)

3.9

何かに追いかけられているかどうかを気にするように後ろを振り返る裕一。
目の前の現実から逃げて逃げた先にある男の結末とは。

自分勝手に振る舞い、転がり込み先の相手によっては対応を変えるクズっぷり。
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SHE SAID/シー・セッド その名を暴け(2022年製作の映画)

4.0

#Metoo運動の発端。
映画界の重鎮プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインの性的暴行の事実を、記者ミーガン(キャリー・マリガン)とジョディ(ゾーイ・カダン)が追求する。

ミラマックス社及び、ワ
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離ればなれになっても(2020年製作の映画)

3.8

親友4人の40年間の邂逅。イタリアンな熱いキスと抱擁、情熱と愛で人生を紡ぎ出す。

1982年、16歳の青春時代から始まり、波乱で劇的な出来事1つから歳月を重ねる時の経過をシームレスに繋ぐ。
性急に感
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グッド・ナース(2022年製作の映画)

4.0

実話を基にした患者の不審死を追った医療サスペンス。 
色々とやばすぎ。 

大演技合戦。
エディ・レッドメインの憑依芸。
ジェスカ・チャスティンの寄り添う姿。
行き過ぎた優しさはエゴであり凶器である。
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ベルファスト(2021年製作の映画)

3.9

平和でささやかな日常に暴力の影が迫ることでバディ少年と一家は決断を迫られる。

父母の不和、祖父母の訓示、間違いを犯して強く叱られたあの場所も全てを含めて愛すべき我が故郷なのだ。
そして現状を冷静に許
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聖なる証(2022年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

骨組みの見えた舞台装置を映し、ご丁寧に登場人物から時代設定までナレーターが説明する。そして何より登場人物は役を信じているとのこと。
物語であることを自明のもとにした暗示的な導入。

1862年に移る。
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グッド・タイム(2017年製作の映画)

3.8

銀行強盗からの逃亡時に弟が捕まってしまった。
弟を保釈するべく1万ドルが入り用となる。今すぐに金を用意せねば。

1万ドル用意する。これだけのシンプルストーリーなのに、成り行きに成り行きが重なり、新た
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ボブという名の猫 幸せのハイタッチ(2016年製作の映画)

3.7

全体的に丸みを帯びたフォルム、主張し過ぎないお鼻。緑の眼が人間を静観する。その佇まいは怠惰でありながら優雅でもある。

ボブという名の猫。短い手でハイタッチするお姿はどんなわだかまりも解消する。

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ファーゴ(1996年製作の映画)

3.6

どこか間の抜けている犯罪劇。
ブシェミの安定の小悪党ぶりを観に来た。
フランシス・マクドーマンドが妊婦の警察官を演じていて、重いお腹を携えて鋭い洞察を発揮する可愛らしいキャラクターになっていたことがち
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ニトラム/NITRAM(2021年製作の映画)

3.8

社会生活に馴染めないマーティン。
顔つきと行動に幼さが残る彼が、嫌なことや憎いことに限らず、興奮時に過剰反応してみせる突発的な暴力がいつ何時現れるのかが分からず怖かった。
暴力というか発作というか。し
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クレッシェンド 音楽の架け橋(2019年製作の映画)

3.7

イスラエルとパレスチナの若者が和平交渉にも発展しうるコンサートに向け演奏をする。
良い演奏には団結心が欠かせない、お互いのコミュニケーションを図るために様々な交流方法を用いるが、互いが腹を割って出した
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アンテベラム(2020年製作の映画)

3.7

ユートピアの実現。悪夢の再興。
差別主義は鳴りを潜めてアンテベラムを待ち望む。そう今この時も。

ナイブズ・アウト:グラス・オニオン(2022年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

玉ねぎとモナリザ。
中心が空である象徴とオリジナリティの象徴。

あるように見せかけるインフルエンサー、マイルズ(バカ)が確かな汚名で世にインフルエンスする痛快さ。だがしかし世間に影響力を持つ「クソ頭
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ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密(2019年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

コメディ色もありクスッとしながら、しっかり巧妙な純ミステリーを堪能できて面白かった。
証拠をうやむやにしようと躍起になってたマルタがかわいくて笑った。
金に汚れた家族、優しさや恩義を利用し、都合が悪く
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ザ・ストレンジャー:見知らぬ男(2022年製作の映画)

3.8

実話を基にした少年誘拐事件の囮捜査。
捜査官と犯人と疑わしき人物の捜査模様を描く。
緊張に塗れた2時間。
音楽や画や間に至るまで眠気を誘発するような終始静かなトーンではあるが、捜査官達が平静を装いなが
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ほの蒼き瞳(2022年製作の映画)

4.2

重厚で冬ぴったりの上質ミステリー。

クリスチャンベールとハリーメリングの演
技にとても揺さぶられた。
ハリーポッターのダドリー役の強いイメージなど早々に消え去っていたし、詩を語りかけるエドガーアラン
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あのこと(2021年製作の映画)

4.5

望まない妊娠をした女性の顛末を追体験する映画。
思いがけない妊娠をしてしまうことが当時においてはどんな意味を示すのかが強く分かる。 
アンヌの孤独、身体的な変化、痛み。
長回しの場面は呼吸や息遣いに至
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タイラー・レイク -命の奪還-(2020年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

臨場感あってスッキリさっぱり。
死に場所を追い求めんと戦いに身を投じてきたタイラーの魂の救済の物語でもあり、もう1人の影の主人公サジュも同様に、何かを背負いながらも報われない漢達の生き様は潔し。手向け
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ザ・メニュー(2022年製作の映画)

3.8

シェフの冷徹で独断と偏見に満ちた見識により素材は入念に吟味され、刻み具合、焼き加減、痛ぶり具合が程よい塩梅でした。
極限下に置かれた素材本来の旨みも引き出されていて私は好みでしたが好き嫌い分かれそうで
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ある男(2022年製作の映画)

4.2

情報化社会で生きていく上の「名前」の機能性と「外見」による自己認識を存分に組み込んだ物語であり、平野啓一郎の「分人主義」が色濃く反映されていたように思う。
「インサイドヘッド」のように数多の「自分」が
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ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

ラブロマンス×ミステリー×大自然

沼と共に生きよう、会いにいくよ、モーターボートに乗って。

湿地の底知れぬ魅力と畏怖を前にしては人の価値判断も中立へ。人の価値基準を持ち込むこともおこがましい。
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冬の旅(1985年製作の映画)

3.8

本当の自由、楽に生きることはむしろ困窮に束縛される事が待ち受けているようだ。

冷静な視点でモナの自由を追っている。

自由を謳歌するはずの彼女の旅路は、寒さと飢えを凌ぐため行き当たりばったりで日銭を
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アテナ(2022年製作の映画)

3.7

弟が警官に殺されたと報じられ、その次兄を筆頭に群衆が警察相手に武装蜂起。
長回しが多用され、大混乱の渦中を進む。 

激怒。憤怒。
復讐に身を焦がすという言葉そのまま。
特に次兄のカリムに関しては他の
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