じょせふさんの映画レビュー・感想・評価

じょせふ

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デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.3

クリストファー・ノーランの後にハンス・ジマーが選んだのは、押しも押されぬドゥニ・ヴィルヌーヴ。資本もスタッフも、演者も、最高のSFを作るための準備は整い、ドゥニ・ヴィルヌーヴはそれらを調理した。
映像
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十二人の怒れる男(1957年製作の映画)

4.4

IMDb5位の本作、敢えて敬遠してた。舞台は見たことがあって、古くて、あらすじも全部細かく覚えてて、、でも関係ない、本物の名作を見た。
陪審員の議論が終わるまで、部屋の外の世界も、12人以外の登場人物
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.5

好奇心が、責任が、やりがいが、国が、羨望が一人の男を悪魔に変えてしまった。
創造は脅威となり、懺悔は水面に散る。悪魔のレッテルを貼られた男は不可逆性を歴史に刻んでしまった大罪を背負い、密かに表舞台から
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パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

4.4

なんの因果が彼らの運命はまた重なり合う、この残酷なマルチバースを描いた本作は何よりも無垢で、そして美しい。全編のスクリプトを読み漁りたい、Before Sunriseみのある傑作だった。
彼は韓国人す
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TAR/ター(2022年製作の映画)

3.8

ケイト・ブランシェットは凄い、本物の美人だから凋落がよく似合う。
ただ全体としては中だるみ感は否めなかった。ウィップラッシュの向こう側を描いた話だけど多分現実はこうはならないからちょっとリアリティが欠
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ビール・ストリートの恋人たち(2018年製作の映画)

3.7

映像がひたすらに綺麗な映画だった、多くの映画がTo kill a mockingbirdに挑む中本作もこれに近かった。

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.4

簡単にものに溢れることができ、幸せもサービスとしてある程度享受できる時代、資本主義的な社会で誰もが羨まないような生活の中に「完璧な生活」が存在する。
彼の目覚め、人間関係、ルーティン化かれた生活の中に
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.2

あくまでも女性が主役、ただそこに女性性はない。性別がどちらかもわからない個体が女性社会に埋め込まれ、そしてその曇りなき眼が人間社会を観察する。ゼロから見た女性社会は明らかに不平等でその不平等さに迎合し>>続きを読む

ラ・ジュテ(1962年製作の映画)

3.9

怠惰で作品に制約をつけるのではなく、ワンカットのために敢えて白黒、パワポスライド方式にした本作。
アルバムのジャケットのような珠玉の一枚たちが並ぶ展開は、画としての芸術における本質を捉えており、ある種
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つぐない(2007年製作の映画)

3.9

愛故に人は何年でも誰かを想い、そしてそれは結ばれる。
そう、これはフィクションの話であり現実では愛は簡単に引き剥がされ、そして憎悪となって牙を剥く。愛する2人を引き剥がした少女は大人になり、そして2人
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千年女優(2001年製作の映画)

4.7

これはアニメにおけるシネマトグラフィーの到達点、コマ間のトランジション、妥協のない視点の切り替え、だからこそこの作品にはある意味アニメらしさがない。
鏡に写った亡霊は自分であり、老いと戦う彼女は千年の
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ノクターナル・アニマルズ(2016年製作の映画)

3.8

Dear Susan、冒頭のこの一説で彼の復讐は完成していたのかもしれない。
もしかしたらそう有るべきはずだったシナリオを破壊的に描いたリチャード、その強さは繊細で弱かった彼は死に、文体から迫力と変化
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ブルーバレンタイン(2010年製作の映画)

4.0

心を壊される、失恋映画みたいなもので紹介されていた本作。ライアン・ゴズリングとミシェル・ウィリアムズの本気はものすごかった。
ディーンがシンディをいかに深く思い、激しく愛し、心の底から尽くしてきたかの
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枯れ葉(2023年製作の映画)

4.1

諦め続けて、負け続けて、希望なんて何もない相対的貧困に生きる2人。簡単に手からスリップしてしまいそうな希望を今度こそ掴もうと藻掻き苦しむその姿勢こそが現代に生きる我々に必要な希望なのだと思う。
小津安
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夕陽のガンマン(1965年製作の映画)

4.2

ドル箱三部作を逆走で見る自分、最後まで大佐を悪役だと思ってみてしまう。ごめん、大佐。
50年ほど演出も音楽もこすられ続けた本作は西部劇の枠を超え、映画としてフレームワークを完成させた。ハードボイルドを
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オアシス(2002年製作の映画)

4.1

誰よりも真っすぐで、何よりも不器用な男のラブ・ストーリー。誰とも違う世界を共有している2人が奏でるOasisは救いのないくらい切なく、それでいて愛に満ち満ちていた。
役者さん達の演技で、本当にフィクシ
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パーフェクトブルー(1998年製作の映画)

4.6

クリストファーノーランやデイビッド・フィンチャーの映画を見ているかのような展開の複雑さ、そして今敏特有の不気味さ、アニメという制約とポテンシャルがフルフルで詰まった異次元の80分。
無呼吸症候群になり
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

4.4

R.E.M、Blur、Queenの楽曲が挿入歌として正しすぎて聴くだけでaftersunの光景が浮かんでしまう程のインパクトを持つ本作。
大人になりたい11歳の娘と31歳になる父親、兄妹に間違えられる
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憎しみ(1995年製作の映画)

4.4

シティ・オブ・ゴッドを見たときの衝撃に近い、社会的な悪と個人の信条の絶妙に噛み合わずあぶれ者が更に社会から離されていくその感覚が味わえる。
それに加え歴史的傑作である本作はプロットだけではなくその圧倒
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悪魔を見た(2010年製作の映画)

3.8

韓国映画のこの手の作品は悪い訳がない、事実物凄い。復讐という物を究極的に禍々しく描いた本作は、歪で救いの一切ない愛憎を煮詰めたような嫌悪感。
ラストシーンに込められた意味と監督の意図は、リアル過ぎても
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キートンの探偵学入門/忍術キートン(1924年製作の映画)

4.0

まず、映像凄い。メタ的で当時の限界に挑戦したクリエイティビティは時代を超える。
スタント、信じられない。面白おかしい映画だが現場の緊張感はミッションインポッシブル並だろう。
たった50分で一通り笑わせ
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正欲(2023年製作の映画)

4.4

鑑賞後、10分でも20分でもその場にいたいような衝撃、毒と解毒剤を同時に打ち込まれ続けるような重厚でピュアな愛の形。
ノーマルだってアブノーマルだって案外外から見ればなんてことはない、ただ社会と己がそ
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ザ・キラー(2023年製作の映画)

4.0

頼む、もっと劇場で公開してくれ、これは遥かに前評判が悪すぎる。
ストーリーがどうのとかではなく、プロフェッショナリズムを追求した本作はアップテンポでリアルでデイビッド・フィンチャーのエッセンスが凝縮さ
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キッド(1921年製作の映画)

3.9

素晴らしき哉、人生!はこれをちょっとモチーフにしたのかな、愛っていいもんだなって改めて思わせてくれる素敵な作品。
声も色もないのに綺麗な情景が浮かぶ今作を見ると、チャップリンが我々に見せてくれる世界観
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アデル、ブルーは熱い色(2013年製作の映画)

4.3

心打たれる。ストレートじゃないし女性だし自分よりも若いペルソナ、なのに心情描写をどんどんと掘り進めていくから感情移入を彼女から外す余白がない。
ストーリー展開もジェンダー問題を孕みながら人間関係の本質
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キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

4.2

数十年に渡っての映画史を牽引してきたディカプリオとデニーロの正面衝突。
どちらも全くターンを譲らない高濃度の210分は例えればThere will be bloodの様な、Breaking badの様
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アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

3.8

狂ったストーリーの傍ら、キューブリックもびっくりな狂気じみた構図が展開される。一点透視にこだわり柱は必ず垂直に、消失点は狂いなく画面の中央に配置、可愛らしい世界観に時々挟まれる毒はウェス・アンダーソン>>続きを読む

バーレスク(2010年製作の映画)

3.0

やっぱハマらんかった。登場人物(ジャックとか)が基本まともじゃないからドラマ部分に魅力が出てこないし、ジャックの最後の歌ストーリー通して色々あったうえで本当にあれでいいのかって思う笑
クリスティーナ・
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ファンタスティック・プラネット(1973年製作の映画)

3.8

シュルレアリスムを拡張したみたいな世界観で自分が全く理解できないフランス語と相まって、奇妙さが輪をかけている。
一本間違えたらギャグ漫画日和なタッチとストーリー、なぜこれが最高品質の芸術に見えるのか自
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不安は魂を食いつくす/不安と魂(1974年製作の映画)

3.6

初ファスビンダー、演技力があるキャストと不自然な展開があわさってなんとも言えない魅力に変わっていた。
すれ違いまくって幸せな展開が殆どない映画で、なおかつ人間の絶妙に嫌な部分を抽出してくる描写も多いが
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CLOSE/クロース(2022年製作の映画)

4.3

一年前と同じ、薄暗い暗闇を抜け走り抜けたら美しい花畑が広がっている。一点違うこと、それはそこに彼は居ないということ。
自転車、アイスホッケーと疾走感のある寄りのカットで心情描写を行い、横顔の微妙なニュ
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スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(2023年製作の映画)

4.3

前回のしつこいくらいのドット調を丸々伏線に使う離れ業、油絵タッチGwenパートの鮮烈スタートはこのサーガが今回も特別であると開始30秒で決定づけた。
庵野さんが「Air/まごころを君に」で実現しようと
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晩春(1949年製作の映画)

3.5

小津作品は普通すぎて難しい。当時の社会が持ってるジェンダー感とか、演技の感じが一切ない日常を描く感じとかが繊細すぎて、ハリウッド慣れした自分は展開が少ないと感じてしまう。
ただ、徹底的にキャラクターに
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天才マックスの世界(1998年製作の映画)

4.1

凄みはあるけどいけてない奴が、自分と他人と向き合って凄いやつに変化する。完璧じゃなくていい、わざわざ敵対なんてしなくていい、人間関係が鏡のような関係性であることを裏付けるようなメッセージ性を持った作品>>続きを読む

ジャッキー・ブラウン(1997年製作の映画)

4.0

この疾走感、このキャラクター構成、久しぶりにタランティーノ見たけどやっぱりセンスが凄くて長いのに全く冗長さを感じさせない。
寡黙なやつ、饒舌なやつ、悪いやつ、全く信用のできないやつ、あほなやつ、この分
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