透明な存在でなく確かな居場所を探す無登録移民の母子。思春期のティトとポール兄弟は英語学校で知り合ったクロアチア美女クリスティンに夢中だが、クリスティンと母ラファエレ、女性の立場はまた違う。透明というよ>>続きを読む
物事はいつも中断されるし、人生は予期しないことばかり、でもガムシャラに進む。料理は食べたら無くなる、でも生み出したものは残る。時計を気にするトヴァイアスは長期的時間の流れを生きていて、時を選ばないアル>>続きを読む
小学校やカフェやネットはあるけど、白い雪と黄色い枯れ草しかない。教師サメットはこの村に辟易し、そのうち出ていくつもり。そりゃあ教員が宿舎でも同居では息苦しいだろうが…なかなか傲慢で利己的な奴である。映>>続きを読む
夫を突然亡くしたヒロインが、人生を開拓していく。黒人と白人、綿花畑、大恐慌と貧困、竜巻、信仰…如何にも南部らしいモチーフが詰まってる。マーク・トウェインを思わせるような綿花の出荷競争も、とてもアメリカ>>続きを読む
ろう者のための大学で、ろう者の候補2人を差し置いて新学長に選ばれたのは聴者。学生たちはデモとストライキで徹底抗議する。そこには差別を引き受けねばならなかった親世代とその親世代、124年間聴者学長しかい>>続きを読む
最高の波を求めて常夏のハワイから灼熱のアフリカへ、世界を旅するサーファー、マイクとロバート。黄昏の海とサーフボードを抱えたシルエットのイメージで、センチメンタルな叙事詩的ドキュメンタリーかと思ってたら>>続きを読む
カラフルなセロファン越しのように降り注ぐ光が森を万華鏡にする。その光は太陽であり、月。テクノロジーを駆使するクラエと超自然的精神を持つブルーオが出会い、やがてお互いを調和させてゆく。危機に瀕した森を巨>>続きを読む
老いた大工マリオと若い女マルタの物語をつなぐ栗のモチーフ。落ち葉、髪、着るもの、お茶やコーヒー、パン、棺桶…どれも栗色。それは取り残された土地と顧みられない人々の営み。ノスタルジックなお伽噺は棺の中。>>続きを読む
いつも命令ばかりしてるCEOだけに、そういう性癖になるのかしら…或いは、まるで女性が権力を持つとストレスが伴うみたいな。いやしかし、『ナインハーフ』を思い出す男女のパワーバランスよりも、クィアな欲望を>>続きを読む
とある山奥に棲む野生サスカッチ(UMA)の知られざる生態に密着した88分。といっても擬似ドキュメンタリーの体裁にはせず、俳優が着ぐるみで演じる4頭のドラマだ。毛モジャ好き向け。
直立歩行で道具も使うが>>続きを読む
人は1人では生きられない。特に、ダークウェブのゲームでハンターに命を狙われる者には。
ジェイク・ジョンソン監督脚本主演のインディ映画なので、突飛な設定を借りつつ人生の孤独を描いてる。「常に誰かと一緒で>>続きを読む
男性中心社会と家父長制に怒りの空中回し蹴り!仲良し姉妹や富豪との結婚といった物語のベースはジェイン・オースティン風、そこにムチャクチャな設定とアクションを加えた結果『高慢と偏見とゾンビ』みたいになって>>続きを読む
残された日記やインタビュウ映像、元恋人たちや親族のコメントというオーソドックスな作りだが、焦点を当てるのはレズビアンとして歩んだ人生。そこに映画化作品の場面をシンクロさせる。
数多く恋人がいたことは、>>続きを読む
もはや人形劇一座か紙芝居みたいになってるウェス・アンダーソンのスタイルが、そのまま雑誌の掲載記事の体裁に。モノクロのグラビア、活字ナレーション、漫画アニメでページをめくるように綴られたエピソード。
フ>>続きを読む
前作でめでたく結ばれた二人羽織どつき漫才コンビは、引き続きメキシコからラスベガスへとハネムーン。そしてネバダで死が2人を分つまで。
うっかり家族っていいな…なんて場面があるもんだから、お前ら子どもまで>>続きを読む
映画は自閉症のジェイソンくんの立場になって、彼の視点で生きるとどうなのかを教えてくれる。マイルールを侵されたときの混乱と不安、騒がしい音や接触する恐怖、意味不明な会話…日々あれこれがどんだけ大変なスト>>続きを読む
罪を背負い、死で報いる。暗殺を請け負う初老のフィンバーとそのターゲットもIRAも、誰もが誰かの隣人で家族で友、罪人であり聖人だ。種や苗と弾丸はその象徴(亡妻の名もマーガレット)。子どもに手を差し伸べる>>続きを読む
これぞゲイでキャンプでクィア!当事者だからこそやれるムチャクチャさ。下品なだけであらすじはファミリーもの古典が下敷きだし、聴かせるナンバーと魅せるダンスアンサンブルがあって、ミュージカルに手を抜かない>>続きを読む
のっけからミイラが怖すぎるヘルツォーク先生版。お話は古典どおりだけどスローペース。古城やドラキュラはそこだけモノトーンのパートカラーみたいに見える。帆船の空撮や地平線のスケールがさすが半端ない。
険し>>続きを読む
仲睦まじいバーニーとレネ夫妻がはなればなれになるのは戦争と、この脱走旅だけ。行き先は2度目のノルマンディ。どちらも行くのはバーニー、帰りを待つのはレネ。
バーニーの旅と共に若き日の、戦時下の2人がフラ>>続きを読む
結構複雑なストーリーだったから、こんなに間が空くと色々忘れちゃったよ!なんとなくベンアフが弟でジョン・バーンサルが兄貴だと思ってたよ。
続編は兄弟バディものだ。あれ以来距離も時間も離れてたベンアフとバ>>続きを読む
のっけからクサい芝居と陳腐な台詞、大仰な演出になんじゃこりゃ、これが大映調?いや、どうやらこの時代の安っぽくどぎつく扇情的なパルプフィクション・ノワールの「型」をやってる気がする。
クズ男に尽くしては>>続きを読む
昔気質の愚直な発射責任者コールと嘘ハッタリで時代の最先端をゆくPR担当ケリーに恋の炎が点火して、やり方は違えど月を目指して共に飛び立つ。こういうクラシックでウェルメイドなロマコメは大好物よ。
カオスな>>続きを読む
精神科医の妻アンは万引きを目撃した催眠術師コルボに弱みを握られ、操られて殺人犯に仕立てられる。
抑圧から生じた自分の盗癖を夫に打ち明けられないアン、彼女の孤独に寄り添うふりでガスライティングするコルボ>>続きを読む
生意気で恐れ知らずな10代、ベストセラー作家となった20代、やがて失踪した30代。3つの時間軸を並行させながら炙り出すのは、彼とサバービアの抱えた暗い秘密だ。
シドニーが書いた小説は、周囲の人を突き動>>続きを読む
恋した相手が幽霊だったジョーディは、彼女のやり残したことリストを一緒に叶えていく。そのゴールは別れを意味してた。ガール・ネクスト・ドア版『ゴースト』、或いは学園版『天国から来たチャンピオン』みたいな。>>続きを読む
宇宙から派遣された害虫駆除チームは任務を終え解散後も地球に住み着いてソロ活動してたが、再び害虫退治のためリユニオン。華麗な見た目に反して、実はしがない派遣社員みたいなエターナルズである。(てか、各々ス>>続きを読む
ハイダルと妻のムムターズ、ダンサーのビバ。ゲイ男性と女性とトランス女性、更には高齢者まで視野に入れた抑圧の構図が生々しく痛々しい。絶対的な家父長制の下では、男に生まれても女に生まれても悲劇。
逃げ出し>>続きを読む
ビートルズと麻雀、どちらも4人組。バンドは解散するが、麻雀はなかなか抜けられない。レッドフィッシュ、ホンコン、リトルブッダは資本主義、帝国主義のマチズモでミソジニーなゲームでジャラジャラと手牌を回す(>>続きを読む
詩人・作家ジャネット・フレイムに限らず、女性を丹念に見つめる映画だった。ジェーン・カンピオンはもじゃもじゃ赤毛のジャネットをエキセントリックなイメージで描かず、むしろしっかり地に足つけようとしてる。>>続きを読む
変わりゆくリトル・イタリーを、ヴァイオレントな緊張感ではなく、ローカルでミニマムな視点で描写する若きスコセッシ。腐れ縁ボーイズクラブ、金と酒と喧嘩に殺人。そこに贖罪を求めるチャーリー(ハーヴェイ・カイ>>続きを読む
悪い男を追い払ったら、また別の悪い男が強請りに来る。娘が殺人容疑者となったルシアは秘密を抱え、一人で家庭を守らねばない。隠蔽工作、お金の工面、更にクリスマスの準備。なのに主婦には自由に使えるお金がなく>>続きを読む
最も環境に悪影響を及ぼす産業の一つであるファッション業界で、サスティナブルな革命を起こす英国人デザイナーのエミリー・パウニー。ファッション・デザイナーのバイオニックではなくて、現代社会科見学ドキュメン>>続きを読む
弟は行き先を知らなくても、観客はこれが別れに向かっていることがわかる。深刻な面持ちのお兄ちゃんは、その先へ行くのを恐れてる。
ユーモラスなやり取りの奥で父母は涙を見せちゃいけない、平穏を演じなきゃない>>続きを読む
シャンタル・アケルマン自身が出演し、『ジャンヌ・ディエルマン~』にも繋がりそうな、習作みたいな短編。調子っぱずれな鼻歌ハミングで生活を豪快に放り出す。この煩わしい日常と家事への破壊衝動!
夫から逃げ子連れで工員寮に身を寄せたユリと、寮長のマリ。寮は家であるべきだとマリは言うが、果たして女性がいる場所=家なのだろうか。或いは、夫不在の家は家といえないのだろうか。モンゴルへ移住しようとする>>続きを読む