SPNminacoさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

  • List view
  • Grid view

殺意の夏(1983年製作の映画)

-

復讐に囚われたエル、家に閉じ込められた養父、被害者である母親。エルと家族はみな身体の尊厳と自由を奪われている。3人の復讐相手、3兄弟、ドイツ、フランス、イタリアの因果。犠牲になるのは女。エルを迎え入れ>>続きを読む

ウーマン・トーキング 私たちの選択(2022年製作の映画)

-

監督としてサラ・ポーリーはガチだけど決してセメントはやらず、ロマンティシズムもあって、でもそこがまたやっぱガチ。削ぎ落としてソリッドな脚本。最近出版した回顧的エッセイ本が“Run Towards th>>続きを読む

バード・オン・ワイヤー(1990年製作の映画)

-

証人保護プログラムによって15年間別人として転々としてきた男、彼を忘れられない女。再会した2人のアクション・コメディ・ロードムービーは、失った恋人を取り戻そうと時間を遡る旅だ。
車からはみ出た脚の件が
>>続きを読む

ハウス・オブ・トゥモロー(2017年製作の映画)

-

バックミンスター・フラー思想の祖母に「未来の館」で育てられたセバスチャン、重病を抱えてノー・フューチャーなジャレット。2人はパンクを通じて未来を選ぶ。
教会牧師の父に反抗的なジャレットだが、セバスチャ
>>続きを読む

シャドウ・イン・クラウド(2020年製作の映画)

-


飛行中の爆撃機を密室に見立てた極限状況サヴァイバルで、極秘任務には真実の混じった嘘があって、そこに襲い来る未知の生物。…って、殆ど『10クローバーフィールド・レーン』じゃないか。しかも最初から片腕使
>>続きを読む

夜ごとの美女(1952年製作の映画)

-

街の騒音や人々の喧騒に悩まされるしがない音楽教師が、夢の中へ逃避。そこでは夜ごと美しいオペラと美女が待っている。いや、音楽か美女かどっちかにしろや!
タイムトラベル要素もあるファンタジーで、美男ジェラ
>>続きを読む

アンナの出会い(1978年製作の映画)

-

パリからドイツへ、ドイツからブルージュを通ってまたパリへ。映画監督であるアンナの旅。
そこで出会った人々は行きずりだったり偶然だったり、微妙に噛み合わなかったり親密だったりする関係。特に相手がずっと自
>>続きを読む

ボイリング・ポイント/沸騰(2021年製作の映画)

-

全編ワンカットで縦横無尽に動き回るカメラ。でも混雑したレストランの密度とか、活気や熱はあまり感じない。見せるのはそういう、エネルギッシュなワンシチュエイション群像劇じゃなかった。料理でもない。
それよ
>>続きを読む

デリシュ!(2021年製作の映画)

-

公爵お抱えだった誇り高き料理人と、訳あって彼に弟子入りした女性がやり直すために始めた旅籠。それがレストランのはじまりに。18世紀フランスでジャガイモやトリュフは食材としてまだ定着してなかったとか、興味>>続きを読む

きみがぼくを見つけた日(2009年製作の映画)

-

時空を超えて全裸男性に付きまとわれる話…ではなく、多少無理はあるけどとてもロマンティックなSFロマンス映画。前に観て泣いた。
タイムトラベル自体が「もうそういうことなんで」と話が早く、愛し合うのも「も
>>続きを読む

女は二度生まれる(1961年製作の映画)

-

パパさん、おとうさん、年下坊やに紳士…男たちを渡り歩く若尾文子の幸せはどこに。家族も学歴も芸もなけりゃ、芸者からバーのホステス、お妾さんとして生活を男に頼るしかない。そんな文子は男にとっては理想の女。>>続きを読む

私、君、彼、彼女(1974年製作の映画)

-

1人きりで過ごす部屋に「あなた」はいないが、その後ヒッチハイクでトラック運転手と、やがて女性2人の部屋へと。タイトル通りの構成で、とてもシンプルな一人称の旅だった。
どれも長いショットで断続的に場面が
>>続きを読む

バッドガイズ(2022年製作の映画)

-

タランティーノ・タッチのオープニングから、オーシャンズ11やバットマン、ルパン三世まで?犯罪映画のオマージュたっぷり。ダンディに渋いバッドガイをキメてもワルになりきれないワル、ウルフはサム・ロックウェ>>続きを読む

しとやかな獣(1962年製作の映画)

-

団地のセット、シュールな長い階段!小窓や柵越しから覗き見する見切れた姿は、あたかも団地を人間動物園に見立て、狭い室内で右往左往する小悪人たちを見物するようだ。カメラはあらゆるアングルでその場の関係を切>>続きを読む

ダンサー そして私たちは踊った(2019年製作の映画)

-

まずジョージア舞踊がすごい。激しく複雑な足さばき、アクロバティックな跳躍、鍛錬された身体、磨り減った床、消耗する体力。厳しいレッスンに耐えながら、メラブはじめ若いダンサーたちの生活は苦しい。とはいえ、>>続きを読む

ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)

-

殺人容疑で裁かれるカイアの壮絶な半生を紐解いていくのだが、事件だけでなく、何故みんなカイアを残して去ってしまったのか、なぜ残るのか。それがもう一つのミステリー。
逃げるしかないこともある。父の暴力に耐
>>続きを読む

トゥモロー・モーニング(2022年製作の映画)

-

サマンサ・バークスとラミン・カリムルー、2大ミュージカルスターが見事に歌い上げるほど映画としては陳腐さが目立って白けてしまった。
女を主人公にした結婚式前日と男を主人公にした離婚の前日が並行する構成だ
>>続きを読む

悲愁物語(1977年製作の映画)

-

スターに祭り上げられた女性ゴルファーの悲劇。序盤の特訓とかは確かに梶原一騎原作ぽいのだが…。
マスメディア=男の操り人形となった若い女が、やがて同性にも人形のように魂を抜かれ囚われていくサイコスリラー
>>続きを読む

エル プラネタ(2021年製作の映画)

-

スペインの冬の海辺、街を歩くのはお年寄りばかり。世間の冷たい風に吹かれながら、お腹を空かせた娘と母は分厚いコートを脱いで愛想笑い。愛猫がここにいたらいいのに、お菓子だけ食べて生きられたらいいのに。
>>続きを読む

ワン・プラス・ワン(1968年製作の映画)

-

とりあえずストーンズのレコーディング風景、スタジオの衝立や壁とメンバーの衣装、そのカラーコーディネイトが完璧じゃないか。そして延々刻む同じリズム、ぐるぐる回るカメラ。それはリーディングのリズム、前衛芝>>続きを読む

アフリカン・ウエディング(2013年製作の映画)

-

自慢のカスタムカーは理解されず独身で肩身が狭い白人アフリカーナーの男ファニーと、大学出で進歩的なズールー族の女ディッキーが結婚しようとしたら。2013年作だけどアフリカーンス語とズールー語と英語が行き>>続きを読む

MEN 同じ顔の男たち(2022年製作の映画)

-

赤い部屋と緑の屋敷。木から落ちるリンゴと落下する男。
主人公ハーパーがトラウマと対峙していて、この村と男たちが死んだ夫とミソジニーのメタファーで、ここまでして男の求めるものを聞いてやらなきゃないのかと
>>続きを読む

スザンヌ、16歳(2020年製作の映画)

-

フランスでまた少女の通過儀礼映画か…とありきたりなものを思わせるけど、ちょくちょく笑わせもして意外と面白かった。スザンヌがとにかく真面目な子なのが良い。
同級生には馴染めずぼんやり物思いにふけるスザン
>>続きを読む

シング・ア・ソング!~笑顔を咲かす歌声~(2019年製作の映画)

-

以前ギャレス・マローンのドキュメンタリー・シリーズで観た、軍人の妻合唱団。その映画化はオリジナルストーリーで、英国お得意のハートウォーミングなチーム映画に。
ウザいほど張り切る大佐の妻、やる気なかった
>>続きを読む

WEEKEND ウィークエンド(2011年製作の映画)

-

親しい友人のホームパーティから、クラブで出会った他人と過ごす週末へ。友人に囲まれた場所では少々よそゆきの顔、2人きりの家では濃密な時間。日頃ゲイはオープンにセックスを話さないし誰も聞きたがらない(職場>>続きを読む

恋の骨折り損(1999年製作の映画)

-

ケネス・ブラナーお得意のシェイクスピア戯曲を往年のハリウッド・ミュージカル仕立てで。タイトルクレジットとモノクロの幕開けからすべてが様式美!
オール・スタジオセット、テクニカラー風に赤青黄緑のドレス、
>>続きを読む

TITANE/チタン(2021年製作の映画)

-

フェティッシュでヌメヌメぐちゃぐちゃにグロテスクなボディホラー監督ジュリア・デュクルノーは、デヴィッド・クローネンバーグの後継者?(いや、息子ブランドン・クローネンバーグがいるけどさ)なにせ今回はクル>>続きを読む

アフター・アワーズ(1985年製作の映画)

-

深夜のNYで不条理な出来事に遭遇し帰れなくなる男。タイトルクレジットから急ぎ足で、最初だけロマコメみたいに始まるが、ロザンナ・アークウェットはじわじわ変だし、ほんの脇役も濃すぎるし、何故かひと気のない>>続きを読む

わたしは最悪。(2021年製作の映画)

-

三人称なのに、なんで邦題を一人称にしたんだろ?
コミック作家である一回り年上の彼氏アクセルと違って、何者でもない自分に自信がないユリヤ。オスロの狭く小さな世界でパーティから別のパーティへ、今の男から新
>>続きを読む

ジャネット(2017年製作の映画)

-

信仰深いからこそ戦争や略奪支配に誰より心痛め苦しむ少女。神に委ねるだけでは変わらない(それがカトリックだけども)と、立ち上がるまでのジャンヌ・ダルク伝説プロローグ。『ジーザス・クライスト・スーパースタ>>続きを読む

別れる決心(2022年製作の映画)

-

刑事と被疑者、眠れない男と眠らない女。すぐにシンクロする視線と動作。青く深いエメラルド色の海と山、原発とよく似た形の岩山。翻訳機を介した韓国語と中国語、お互いの声や文字は、手がかりを残しては消え、読み>>続きを読む

靴ひものロンド(2020年製作の映画)

-

奇しくも『AIR/エア』に続いて、これも靴と契約の話だった。夫から突然浮気を告白された妻、修羅場と泥沼…ってどうしてもベルイマン『ある結婚の風景』を重ねずにいられない。でも80年代はじめから時間は流れ>>続きを読む

AIR/エア(2023年製作の映画)

-

一種のチームスポーツものの面もありつつ、早口大量のダイアローグでコメディタッチに展開する会話劇だけど、アーロン・ソーキンとは趣が違う(ソーキンなら歩きながら喋る)。地味に太った中年男ソニーを中心にナイ>>続きを読む

セイント・フランシス(2019年製作の映画)

-

高齢出産ギリギリとされる34歳ブリジットは、引け目があってもミレニアム世代ほどエモくなれず、かといって自分の親世代ほど前向きにさばけず、現代的価値観と古い価値観の狭間世代。彼女を中心に描かれる各世代、>>続きを読む

ネクスト・ゴール!世界最弱のサッカー代表チーム0対31からの挑戦(2014年製作の映画)

-

あの歴史的大敗は知ってるけど、その後もまたドラマか漫画を地でいくような熱く爽やかなドキュメンタリーだった。タイカ・ワイティティによる映画化も納得。
ブラジルW杯予選に挑むアメリカ領サモア代表チーム、そ
>>続きを読む

レディ・マクベス(2016年製作の映画)

-

シェイクスピア「マクベス」を下敷きにした小説原作。大まかな展開に沿いながら、自らが暴君となるマクベス夫人がアンチ・ヒーローみたいに見える。
裕福な商家に嫁いだキャサリンは「室内飼い」の犬同然だが命令に
>>続きを読む