ロランさんの映画レビュー・感想・評価

ロラン

ロラン

傑作よりも、自分の人生にとって大切だと思える映画に、一本でも多く出会えますように。

Filmarksには未登録だけど好きな映画
・ガーボル・ボーディ『ナルシスとプシュケ』
・マリアーノ・リナス『異常な物語』
・バレンティン・ヴィノグラドフ『東部回廊』
・キラ・ムラートワ『調律師』

映画(893)
ドラマ(0)

監督・ばんざい!(2007年製作の映画)

2.5

このレビューはネタバレを含みます

暴力映画を封印することから始めるように、これまで撮ってきた静的な作風とは正反対の説明的な映画を(おそらく)意図的に撮っている。タイトル・クレジットの発射の衝撃。まさに「ばんざい!」なんだけど、あれは一>>続きを読む

コンドル(1939年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

『天使だけが翼を持つ』という詩的なタイトルを掲げたホークスのこの映画は、ある一つの土地における人々の人生模様を描いた映画として、ジョン・フォードの『静かなる男』やルノワールの『河』へと連なるような美し>>続きを読む

テルマ(原題)(2017年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

2017年度一番の期待作を思っていたよりも早く観てしまった…!正直に言って、まるでデヴィッド・リンチのような難解な映画を装った終盤も含めて凡庸な出来。それでも多少の欠点にも目をつぶりたくなるくらい好き>>続きを読む

ありふれた話(2009年製作の映画)

3.0

介抱や横たわる者への寄り添いといったテーマは、アピチャッポンの『ブンミおじさんの森』や『光の墓』に通じる。中盤以降にインサートされる映像も詩的だけど、個人的には世評ほどの映画に思えず。

心と体と(2017年製作の映画)

4.5

食肉解体工場で働く孤独な男女が同じ鹿の夢を見るという偶然から惹かれ合う物語。内向的で無表情、周囲に馴染めない主人公のマリアに感情移入せざるを得ない。

彼女が職場の食堂での彼との会話を、ひとり家でソル
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ルイ14世の死(2016年製作の映画)

3.0

ジャン=ピエール・レオが病床の国王を演じるというだけで感動的なはずなのに、傑作になり損なっている印象。レオは彼特有のアクションを封印して、ほぼ寝たきりの状態で、舞台も数カットを除いて室内に留まる。>>続きを読む

ビッグ・ビッグ・ワールド(2016年製作の映画)

3.0

見逃していたレハ・エルデムの新作だけど、独創性な『コスモス』や『歌う女たち』には及ばない出来だった。

無時間性の映画なので仕方ないとは思うものの、逃亡とサバイバルの物語にも関わらず緊迫感が皆無。どち
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世界(2004年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

「北京から世界が見える」。グローバリズムの波の中で息ができない人々。この感覚は痛いほど分かる。

ユー・リクウァイの撮影はもちろん、ワンカット内での人物の出入り、視点のスイッチ、画面外の演出が冴え渡る
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イレイザーヘッド(1976年製作の映画)

3.0

デヴィッド・リンチ特有の悪夢的なルックで描かれるシュールなコメディ。彼の映画は基本的に何回も再見しているけど、本人は以前に一度観たきり。『ツイン・ピークス』新シーズンの8話が本作を彷彿とさせるモノクロ>>続きを読む

砂の惑星(1984年製作の映画)

2.5

デヴィッド・リンチのファンでもこれは辛い…。ゼラチンに包まれたカイル・マクラクランが決闘する辺りで早くも冷めてしまう。ショーン・ヤングが登場するけど、『ブレードランナー』ではなく『スターウォーズ』系統>>続きを読む

豚小屋(1969年製作の映画)

1.5

パゾリーニの中で一番出来が悪いと思うけど、生の三部作のような下品な不愉快さはない。主題の批評性だけの映画で観念的ですらないと思う。役者にも空間にも必然性は皆無。現代のパートはキャスティングといい、ゴダ>>続きを読む

溺れゆく女(1998年製作の映画)

3.0

父親を憎んでいた青年が父になる物語だけど、そのきっかけとなったジュリエット・ビノシュが一人で奔走している印象。アンドレ・テシネの演出で120分は長すぎるし、脚本もつまらない。窓の外の雪と田園の美しさ、>>続きを読む

あさがくるまえに(2016年製作の映画)

3.5

臓器移植を巡り、提供する側とそれを受ける側、その過程に携わる医師たちを描いた群像劇。人工呼吸器の音のリズムや自転車を走らせる時の息づかいが脳死という横たわった生を物語る。鼓動する心臓の美しさ。

病院
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ザ・ゾーン/スワンの湖(1990年製作の映画)

3.5

同時代のロシア映画のように、ソ連崩壊前後という時代を記録しようという視点がある。ただし、映画の中心に鎌と槌の像があるように、象徴表現が露骨に思える。一度は死んだはずの主人公が赤い血を抜いて蘇生したり…>>続きを読む

ドクス・キングダム(1987年製作の映画)

4.5

母の死後、ニューヨークに住む息子がリスボンに住む父に会いに行く映画。遠くから父を思う息子と、異国から故郷を懐かしむ父の心情が重なる。

親子の映画ながら、大部分で二人が同一カットに収まらないのは『ウォ
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オンディーヌ 海辺の恋人(2009年製作の映画)

3.0

コリン・ファレル演じる漁師が人魚と出会う映画。ラブストーリーというよりも、彼の娘も含めた三人が家族になっていく過程が描かれる。アイルランドの港町を舞台にしたロケーションが素晴らしい。撮影はクリストファ>>続きを読む

長江 愛の詩(2016年製作の映画)

1.0

タルコフスキーを観て勘違いして撮ったかのような映画で、作り手のナルシズムだけが透けて見える。『ノスタルジア』の模倣には辟易とした。リー・ピンビンの撮影とロケーションは見事だけど、長江を船で渡るという物>>続きを読む

インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア(1994年製作の映画)

2.5

『ビザンチウム』のシアーシャ・ローナンは、人間ではない存在として生きることの孤独を体現していたけど、本作のブラッド・ピットが抱く殺人に対する葛藤は倫理的であまりに退屈。それに対するトム・クルーズの反論>>続きを読む

ビザンチウム(2012年製作の映画)

4.0

ヴァンパイアであることを隠しながら生き続ける少女の物語。『パーソナル・ショッパー』といい、孤独な少女の映画には感情移入せざるを得ない。

全編に渡って流れるベートーヴェンのピアノソナタが印象的だけど、
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テセウスの船(2012年製作の映画)

3.0

近年のテレンス・マリックや『アップストリーム・カラー』にも似た綺麗な映像で、病や死にまつわる物語を描くオムニバス。目を見張るショットもあるけど、大部分は弛緩しているし、何より脚本がつまらない。

盲目
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ウォーク・ザ・ウォーク(1995年製作の映画)

5.0

父娘のそれぞれの旅を通してヨーロッパの光景を映し出す。退屈な殺風景でもなく、しかし厳格な構図でもない、その中間を行くような感覚で撮られたショットの絶妙さは、ただひたすら格好良くて、まさに孤高の映画だっ>>続きを読む

夜の浜辺でひとり(2016年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

人物同士が話したりお酒を飲む場面が楽しいホン・サンスだけど、本作ではキム・ミニがタイトル通り独り佇むショットの方が素晴らしいように、寒々とした冬の街や海辺を彼女の心象風景として撮っている。

キム・ミ
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あなた自身とあなたのこと(2016年製作の映画)

3.5

彼女への愛が「真実」だと言い切る男にとっては、彼女の言葉が「嘘」かどうかなんて関係ない、ただ君と一緒にいられたらそれで幸せなんだ、という映画。好き。

彼女の真実か嘘か曖昧な言葉に翻弄される二人の男が
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密告の砦(1965年製作の映画)

2.5

処刑という決定的瞬間の描写を避けながら、その前後の駆け引きを描いた映画。軍隊式の演出で役者の動きをすべて統率しているので、大部分は退屈。人間を人間だと思っていないかのようなヤンチョーのあまりに冷徹な視>>続きを読む

ナポリ王国(1978年製作の映画)

2.5

戦後のナポリにおける人々の人生模様を描くクロニクルという試みはアンゲロプロスに近いけど、シュレーターの演出では緩慢なだけ。叙事詩的な規模は皆無で退屈。

死者からの手紙(1986年製作の映画)

2.5

核戦争後の荒廃した世界が舞台のSF映画。被写体とカメラの距離が近くて空間が演出されないので、人物の背後の世界を感じられない。本作と似た設定で同じく少数の人物しか登場しないタルコフスキーの『サクリファイ>>続きを読む

風の物語(1988年製作の映画)

4.0

死期迫るヨリス・イヴェンスが風にまつわる映画を撮るために中国へ渡る。時折咳き込みながら、砂漠で彼方を見つめるイヴェンスの表情と背中に感極まる。

ドキュメンタリーというよりも、イヴェンス自身の意識の映
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夜のダイヤモンド(1964年製作の映画)

2.0

二人の少年の逃亡劇を台詞や説明を最小限まで排して描いた、ジョセフ・ロージーの『雪崩』やスコリモフスキの『エッセンシャル・キリング』に連なるような映画。ただ、本作では主人公たちの空想とも記憶とも解釈でき>>続きを読む

狂気のクロニクル(1964年製作の映画)

3.5

例えば背景をアニメーションで描き、その前景で役者が動くといったように、この映画ではワンカットの中に実写とアニメーションが混在する。基本的にアップは実写、ロングショットは絵という設計で、アニメーションが>>続きを読む

白い鳩(1960年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

フランチシェク・ヴラーチルのデビュー作。車椅子に乗った少年と撃たれて瀕死の鳩、画家の男の交流を描いた映画。傑作。

タイトル通り鳩にまつわる映画にもかかわらず、中盤までは異様なほど不穏に撮られている。
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長い見送り(1971年製作の映画)

3.5

親元から離れようとする息子とそれを受け入れられない母の映画。切なかった…。

まず、劇中には登場しない父に電話をする息子のガラス越しに母の顔が映るショット、その後、母が部屋で独り父子の写真を映写機で映
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アヴェティック(1993年製作の映画)

1.0

おそらく自伝的な内容を前衛的に描いているけど、タルコフスキーの『鏡』とは歴然の差。静謐に語ればアート映画になると勘違いしている気がする。女性の扱いにも辟易。

灰色の石の中で(1983年製作の映画)

3.5

ブルジョワ一家の屋敷と中世のような廃墟で暮らす人々という対照的な二つの世界が同時進行する映画。二つ以上の音が同時進行するのも特徴。

その二つの空間を自由自在に行き来するのが一家の少年で、彼が屋敷から
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ロスト・シティZ 失われた黄金都市(2016年製作の映画)

3.0

前作『エヴァの告白』に続いて20世紀前半が舞台。ダリウス・コンジの撮影は素晴らしいけど、史実に忠実であるがゆえの鈍重さは否めない。

『アギーレ 神の怒り』を彷彿とさせるけど、アマゾンとイギリスを往来
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無気力症シンドローム(1989年製作の映画)

4.5

夫の死への喪失感に苛まれる女をセピアの画面に映した冒頭、それを劇中劇として虚構化し、映画はソビエト末期という時代の記録へと移行する。

この時代の解釈がフツィエフの『無限』やアラノヴィッチの『犬の年』
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