主人公の言う「この世界に脇役は存在せず、皆がそれぞれの物語の主人公である」という哲学を、劇中劇の構造を使って(=主人公を演じる人物を劇中に複数用意することによって)映画の枠組みで表現する入れ子構造の面>>続きを読む
初めてアルトマンの名前を耳にしたのがポール・トーマス・アンダーソンが薫陶を受けた作家としてだったから群像劇を得意とする監督の認識でいたけど、初期のへんてこ演出スリラーが今のところ全部面白くて、アルトマ>>続きを読む
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ライアン・レイノルズが閉じ込められるだけの奇妙な映画より展開が捻ってて飽きなかった。
Twitter時代のバズではなく2ch全盛期のお祭りの方が雰囲気は近い。主人公のネカマ感は30代男性の考えた若い女>>続きを読む
失踪した息子が猿になって帰ってきても誰もたじろぐことなく平然と会話が続くスピリチュアル映画。時間軸を直線でなく円環のように捉えるアピチャッポン独自の感覚が全ての監督作に通底しているのかはまだ知らないが>>続きを読む
『バウンス ko GALS』や『ラブ&ポップ』のような若さを売り物にする女子高生のガールフッドを安易に想像すると、中盤以降の展開の横滑りに戸惑いまくること必至。久石譲的なノスタルジックな劇伴のバイアス>>続きを読む
金の在り処を探るために窓ガラスぶち壊しまくるのはさすがに見つかるわけなくて笑った。最後手榴弾を投げ込むヤケクソ感にも笑った。
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反社会的人間の生きづらさを照射する上で、物語の中盤までで触れられたジャーナリズムの歪み、例えば、「撮ったものを発信する」のでなく、「発信したいものを撮る」、劇中の長澤まさみの姿勢に焦点を絞って話を展開>>続きを読む
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のぞき部屋的な施設で妻と主人公が数年ぶりの再開を果たしたときに、真っ先に口をついて出た言葉が、妻が客にどこまでの行為を許しているのか(=嫉妬心/猜疑心からくる挑発)を問うものであったことを振り返って、>>続きを読む
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台詞を排することの映画的必然性はわかるけど、子どもが釣った魚を売るための交渉をする場面で、言葉を介したやり取りを近くでうつさないためにカメラが遠くで様子を見守る子どもの位置まで下がるのは少し強引さを感>>続きを読む
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相手を挑発してその気のない「殺してやる」の言葉を引き出すことで自身の説を裏付ける8番のやり口がオシャレやなと思った。「ベッドで眼鏡を掛ける人間は1人だっていない」理論は、夜神月の「コンソメ味は家族で僕>>続きを読む
手コキされる主人公が画面に向かって射精するシーンが3D公開されていた劇場では観客席に向かって精液が飛び出して見えていたのだとしたらじわじわくる。プラトニックだけが純とまで言うつもりはないけど、セックス>>続きを読む
娘に嫉妬した母親が若い男と娘の密会をあの手この手で妨害するだけのアホみたいな話なんだけどこれがめちゃくちゃ面白いから不思議。こいつらどんだけセックスしたいんだよってくらい主要人物がセックスに囚われすぎ>>続きを読む
ロケ地が近所すぎて、あそこのミニストップってこんな前からあったんだなあとか、そんなことばっかり注目していました。それと、酒飲んでたのが悪いけどマジックマッシュルーム的なサイケな映像が続くシーンで普通に>>続きを読む
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主人公(と、もう1人)だけが感じる恋の光を可視化させる演出だったり、交換日記が互いの手元を行き来する中でペンを走らせる描写だったり、映画的に昇華できる素材はあったはずなのに、そのどちらもがあくまで説明>>続きを読む
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チャンドラーとの共同脚本だけあってストーリーが面白いのは勿論として、ドアを隔てた見つかる/見つからないの古典的なサスペンス演出が冴えててよかった。銃撃を喰らうもかろうじて急所は避けた主人公がフィリスに>>続きを読む
ブレードランナーでいうレプリカント的な存在の実存を人間側がどう受容するかみたいな話であってる?
『ブラックスワン』の元ネタって聞いてたけどその手の心理スリラー全部の祖と呼んでもいいくらいにあらゆる映画と既視感を覚える演出があった。アロノフスキーの『マザー!』とかもこれの系譜。ショットの美しさは言>>続きを読む
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人間から固有性が奪われた先にあるのは冒頭の台詞にある「孤独であることが当然な社会」でもあるんだけど、それは同時に他人の視線を感じることにより発動される自制心のようなストッパーの消失をも意味していて、最>>続きを読む
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『カビリアの夜』的な終わりを予想していたから精神的な独立云々でなく実際にパパへ報復をしてしまうのは意外ではあったけど、じゃあそれでしたたかな復讐譚に映るかと問われれば一貫してバカだよねとしか答えようは>>続きを読む
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扉を開いた先に叶えられる願いは表層的な欲求ではなく根源に潜む意識的な欲求であり、そこで己の矮小さが露呈する。旅路の果てにそのことに気づき絶望した面々が自死を選ぶことで帰還者がいないバミューダ・トライア>>続きを読む
誰一人として仲良くないグループの飲み会で地獄の時間を過ごす感覚に似ている。間男逃亡のシーンのバカバカしさだけちょっと好きだった。
Do you love me?の重み。2階へ続く階段に一人また一人と吸い込まれるように消えていき、誰もが不在となった居間のショットが数秒続くシークエンスが象徴的。
車が衝突する場面、現実にぶつかる瞬間をショットに納めるのが難しい時代にそういうモンタージュで表現するのかと感動があった。
聖なる鹿殺しやら家族ゲームやらああいう系統の映画の始祖っぽさがあるけど、ダントツで難解。
危うく飲食はやめとけおじさんになるところだった。キッチンの視点だとホールの人間がありえないくらい暇そうに見える。
停滞の期間を無為に消費してしまったものとして切り捨てずに、現在への貯金として前向きに捉えるこの映画の優しさに僕は救われました。こういう映画で素直に感動できる感性が残っていてよかった。
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自身の潜在的価値に無自覚な女性が下心を持った大人に利用される筋書きから安直に『哀れなるものたち』を連想し内容を重ねながらの鑑賞となったのだけど、どちらも主人公の精神的自立という見え透いたところに着地し>>続きを読む
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ああはなりたくないよな…の嫌な見本としてひょうたんとその娘さんが例に挙げられたまま誰も突っ込まずに会話が進んでいたけど、仮にも恩師に対してちょっと失礼すぎるなと思うし、そのことを客観視できているがこそ>>続きを読む
不在の少年を常に視線の先で探すようなフラついたカメラワークが、主人公の内面で湧き上がっていく感情を透明に思わせてしまうほど純粋な好意に見せて、成就しないもどかしさをより引き立たせる。提示されるショット>>続きを読む
下心を隠した理解のある彼くんムーヴは一度取ってしまったが最後、素の自分を受け入れてもらう機会を逃す諸刃の剣だと全ての男が自覚せねばならない。この映画のソン・ガンホは無自覚的な自身の振る舞いを省みるきっ>>続きを読む