そば茶さんの映画レビュー・感想・評価

そば茶

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凪の憂鬱(2022年製作の映画)

4.1

「素晴らしき平凡な日常」とあるけれど、日常と非日常の境目のような1週間だと思えた。

東京に出た友人たちが大阪に戻ってきたこと、彼氏に別れを告げられたことから始まる1週間。

それぞれの場所でそれぞれ
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エル・スール(1982年製作の映画)

4.0

娘と父の物語。

油絵のような映像で、明かり(特にオレンジ色の光)と、漆黒の影のコントラストがとても印象的だった。

どことなく一般的な父親とは違うんだろうなと思いながらも、父の孤独になかなか踏み込む
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瞳をとじて(2023年製作の映画)

3.6

失われた過去にじっくりと手を伸ばしていくような映画だった。

ビクトル・エリセという監督の作品はとてもいいらしい…という情報だけを引っさげて映画館に行ったのだけど、消化不良なところがあるので、勉強しま
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夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.4

優しさという言葉で片付けるべきではないのかもしれないけれど、こういう世界であったらいいなと思える、優しさ溢れる映画だった。

心の傷や症状を抱えている人のことを理解しよう、力になろうとしあえるような関
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グリーンブック(2018年製作の映画)

4.5

裕福で上品な黒人天才ピアニストのドクター・シャーリーが、貧乏でガサツな白人運転手兼用心棒のトニーを雇い、人種差別が色濃く残っているアメリカ南部への数週間のツアーに出かけるというもの。

コメディ要素も
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ホーム・アローン(1990年製作の映画)

4.1

久しぶりにがっつりとしたコメディをみた。

ケビンがかわいい。わがままで、ちょっと生意気。でも、家にひとりぼっちになれば、だんだん寂しくなるよね。ほっぺに手を当てて大声で叫びながら驚くケビン。

なに
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枯れ葉(2023年製作の映画)

4.2

この監督の作品は初めて。

割とシンプルな30〜40代くらい男女のラブストーリーのような気がするんだけど、変わった映画のようにも見えた。 

二人は貧しい労働者。表情はあまり動かず、言葉は少なく、ラジ
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戦場のピアニスト 4Kデジタルリマスター版(2002年製作の映画)

4.5

人の命が驚くほど軽く扱われ、死と隣り合わせの日々を生き抜こうとするピアニスト。

ナチスに占領されたワルシャワ。ユダヤ人たちはゲットーへの強制移住に始まり、さまざまな迫害を受けていく。この作品では、ユ
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ストレイト・ストーリー(1999年製作の映画)

4.7

ゆったりと、あたたかくて、やさしさあふれる映画だった。10年前に仲違いしたきりの兄が病気で倒れたと聞いた弟(73歳)が芝刈り機に乗り、350マイルの離れた兄に会いに行くというロードムービー。

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ローマの休日 4K レストア版(1953年製作の映画)

4.1

名作中の名作とのことなので、せっかく映画館で上映されるならと思い鑑賞。

オードリー・ヘプバーンが有名になるのも納得した。

モノクロなのがより一層ローマの街並みや雰囲気、二人の関係性の特別さを引き出
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サーチライト-遊星散歩-(2022年製作の映画)

4.3

青春映画としての真っ直ぐさと、ヤングケアラーの苦しさが重ね合わせられた映画。

その2つの側面のバランスが好きかどうかでこの映画が好きかどうかが左右されそうだなと思った。気になるところもあるけど、自分
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.7

これは自分の好きな要素がたくさん盛り込まれている映画だった。

僧侶のようにあまりに淡々とした日々をおくる無口なトイレの清掃員が主人公だけど、その生活にしっかりと幸福を感じていて、多少風変わりな他人に
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スモーク(1995年製作の映画)

4.2

嘘と本当と秘密。人生は時に甘く、時に苦い。

人は善い一面も、悪い一面も持っている。そういったことを超えて、誰かと向き合い、誰かを受け入れようとするが、つかめそうで掴めなせてくれない。タバコの煙のよう
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(2023年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

どこかいまいち乗り切れず…

自分の鑑賞の姿勢がよくないのかもしれないけど、社会への問題提起の側面も強い映画で、だからこそあまりにも頭で考えながら見てしまったせいか、ストーリーや登場人物の感情にいまい
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市子(2023年製作の映画)

4.7

人によっては普通の幸せかもしれないけれど、そのささやかな幸せが背伸びをしても手が届かないようなところに生きている人もいて、それでも、どんなに苦しくても、手をのばすことをやめない力強さに心を揺さぶられた>>続きを読む

お茶漬の味(1952年製作の映画)

4.3

以前に観た『東京物語』もそうだけど、全く押し付けがましくない、控えめな優しさに溢れた人はとても魅力的だ。

育ちが全く違う夫婦。正直なところ、ぶつかり合っても当然だなと思うし、倦怠期に入ってきたら、反
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はこぶね(2022年製作の映画)

4.3

身体障害を抱えた人の映像作品はたくさんあるけれど、目の見えない男性が主人公のこの映画は、同情を喚起しようとか、感動的に見せようというものではなく、静かで、抑制されていて、淡々としているのがよかった。>>続きを読む

正欲(2023年製作の映画)

4.1

周りにも、家族にも、この世のどこにも、自分のことを理解してくれる人はいないと感じながら送る人生は、どれほど孤独なのだろう。

理解されることは望まないから、せめて放っておいてくれ、自分のひとりの世界に
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グラディエーター(2000年製作の映画)

3.5

ローマ帝国を舞台にした作品。ある将軍が失脚し、奴隷となり、剣闘士として命をかけた闘いで、頭角をあらわしていく。政治や権力と、彼の誠実さと剣の技量の高さが重なり合い、物語が動く。

映像の迫力がすごい。
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アナザーラウンド(2020年製作の映画)

4.2

中年男性の4人が、血中アルコール濃度を一定に保つことで、うまくいっていない仕事やプライベートを好転させようとする。あらすじだけだとコメディぽいけど、それほど笑いは多くない。

身近なところでこんなこと
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愛にイナズマ(2023年製作の映画)

4.1

タイプはそれぞれ違うけど、登場人物たちはある意味でとても純粋で、その純粋さに笑ってしまうエンターテイメント的なところもあれば、理不尽でご都合主義な世の中に対する反抗のようなところもある。

折村家の人
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セント・オブ・ウーマン/夢の香り(1992年製作の映画)

4.0

わがままで欲望に忠実、荒っぽいけれど、深い洞察力があり、心の奥に優しさを持ち合わせている。盲目の元軍人。

めんどくさい、迷惑な人だけど、それと対になるように、内側から溢れる魅力もある。彼の心が徐々に
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こわれゆく女(1974年製作の映画)

3.8

精神を病む妻。彼女を愛する粗暴で不器用な夫。妻が壊れゆくに連れて、夫もまた、混乱していくように見える。

愛情はたしかに存在するけど、愛情の示し方や、大切にするための具体的な方法、自分自身との向き合い
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世界のはしっこ、ちいさな教室(2021年製作の映画)

4.3

タイトルも、ポスターも、どことなくかわいらしく、たしかにこのドキュメンタリーに登場する子どもたちは、かわいらしさもたくさん見せてくれる。

でも、それはあくまで映画のひとつの側面にすぎなかった。とても
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658km、陽子の旅(2023年製作の映画)

4.5

父の死により長年帰っていなかった青森へ向かうことになった陽子。ちょっとしたトラブルにより、ヒッチハイクで青森に行くことに。

とてもよかった。淡々と進む映画だと思っていたけど、想像していたよりも物語の
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誰も知らない(2004年製作の映画)

4.0

父は離婚しずっと前に出ていき、母には見捨てられ、狭いアパートの部屋の中、子どもたち4人のみでの生活を送る。

子どもたちは、母親を求めながら、必ずしも不幸なだけではなく、日々の生活をある程度楽しんでい
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東京物語(1953年製作の映画)

4.0

おじいさんおばあさんの背中から優しさが滲み出ている。

熱海の海岸に腰かける二人の背中と輝く海が、モノクロの画面でも、とてもきれいだった。

個人的には子どもたちの両親への複雑な感情も理解できる。
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ドロステのはてで僕ら(2019年製作の映画)

4.3

『リバー、流れないでよ』を観た勢いでこちらも。

テレビを通じて2分前、2分後がつながるという話。時間のループが複雑になって途中で訳がわからなくなった。

2分前と2分後で辻褄をあわせようとしてるのも
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さらば、わが愛/覇王別姫 4K(1993年製作の映画)

4.2

Filmarksのレビューの平均点4.4なんて初めて見た気がして、近くの映画館で鑑賞した。

軍閥の時代、日本軍による占領、国民党、共産党というように、支配体制が大きく変わる激動の時代の北京を、京劇の
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リバー、流れないでよ(2023年製作の映画)

3.9

2分間をずっと繰り返す。前の2分間の記憶は残るが、2分前の状態に戻ってしまうというコメディ。

ドタバタ劇を見るのは楽しい。この設定でこんなこと起こるかなぁと少し疑問に思うところもあったけど、ループす
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逃げきれた夢(2023年製作の映画)

4.1

物語は淡々と進んでいくけれど、見終わった後で感想を書こうとすると、いろいろ考えさせられる。

周平は人あたりもよく、おそらく周囲からもいい人だと思われている。ただ、悩みや苦しみを共有できるような一歩深
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あなたの顔の前に(2020年製作の映画)

4.1

ホン・サンス監督作品を観るのはこれで3作目。今まででいちばんよかった。

アメリカから帰国してきた女性の1日。ありふれていそうな会話の中に見え隠れする過去とノスタルジーがいい。

何気ない風景や服や部
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イントロダクション(2020年製作の映画)

3.6

何も起きない映画というか、何か起きそうな気配が満ちたら次のシーンに移ってしまう。

何が起きていく時間よりも、起きる予感が膨れていく時の方が、感情の揺れ動きはあるかもしれないなぁとこの映画を観て思った
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線は、僕を描く(2022年製作の映画)

3.7

原作が好きで、好きな俳優さんも多く出演していたのに、映画館で観ることができず、ようやく観た。ただ、原作を読んだのは数年前なので、どこからが映画の創作なのかまではわからなかった。

ずっとMVを見ている
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逃げた女(2019年製作の映画)

3.6

先日観たロメールと同様に、今泉監督が「日本のホン・サンス」とも呼ばれていると知り観た。ホン・サンス監督も「韓国のロメール」とも言われているらしい。ただ、この映画は男女を描いてきた監督が、男性をほとんど>>続きを読む

海辺のポーリーヌ(1983年製作の映画)

3.6

今泉力哉監督が「日本のロメール」と呼ばれているらしいと知り、ロメールってどんなものだろうかと気になったので観た。

たしかに今泉監督っぽい、どことなく滑稽で、でも本人たちはとても真剣な、恋愛をめぐる群
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