そば茶さんの映画レビュー・感想・評価

そば茶

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こわれゆく女(1974年製作の映画)

3.8

精神を病む妻。彼女を愛する粗暴で不器用な夫。妻が壊れゆくに連れて、夫もまた、混乱していくように見える。

愛情はたしかに存在するけど、愛情の示し方や、大切にするための具体的な方法、自分自身との向き合い
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世界のはしっこ、ちいさな教室(2021年製作の映画)

4.3

タイトルも、ポスターも、どことなくかわいらしく、たしかにこのドキュメンタリーに登場する子どもたちは、かわいらしさもたくさん見せてくれる。

でも、それはあくまで映画のひとつの側面にすぎなかった。とても
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658km、陽子の旅(2023年製作の映画)

4.5

父の死により長年帰っていなかった青森へ向かうことになった陽子。ちょっとしたトラブルにより、ヒッチハイクで青森に行くことに。

とてもよかった。淡々と進む映画だと思っていたけど、想像していたよりも物語の
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誰も知らない(2004年製作の映画)

4.0

父は離婚しずっと前に出ていき、母には見捨てられ、狭いアパートの部屋の中、子どもたち4人のみでの生活を送る。

子どもたちは、母親を求めながら、必ずしも不幸なだけではなく、日々の生活をある程度楽しんでい
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東京物語(1953年製作の映画)

4.0

おじいさんおばあさんの背中から優しさが滲み出ている。

熱海の海岸に腰かける二人の背中と輝く海が、モノクロの画面でも、とてもきれいだった。

個人的には子どもたちの両親への複雑な感情も理解できる。
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ドロステのはてで僕ら(2019年製作の映画)

4.3

『リバー、流れないでよ』を観た勢いでこちらも。

テレビを通じて2分前、2分後がつながるという話。時間のループが複雑になって途中で訳がわからなくなった。

2分前と2分後で辻褄をあわせようとしてるのも
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さらば、わが愛/覇王別姫 4K(1993年製作の映画)

4.2

Filmarksのレビューの平均点4.4なんて初めて見た気がして、近くの映画館で鑑賞した。

軍閥の時代、日本軍による占領、国民党、共産党というように、支配体制が大きく変わる激動の時代の北京を、京劇の
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リバー、流れないでよ(2023年製作の映画)

3.9

2分間をずっと繰り返す。前の2分間の記憶は残るが、2分前の状態に戻ってしまうというコメディ。

ドタバタ劇を見るのは楽しい。この設定でこんなこと起こるかなぁと少し疑問に思うところもあったけど、ループす
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逃げきれた夢(2023年製作の映画)

4.1

物語は淡々と進んでいくけれど、見終わった後で感想を書こうとすると、いろいろ考えさせられる。

周平は人あたりもよく、おそらく周囲からもいい人だと思われている。ただ、悩みや苦しみを共有できるような一歩深
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あなたの顔の前に(2020年製作の映画)

4.1

ホン・サンス監督作品を観るのはこれで3作目。今まででいちばんよかった。

アメリカから帰国してきた女性の1日。ありふれていそうな会話の中に見え隠れする過去とノスタルジーがいい。

何気ない風景や服や部
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イントロダクション(2020年製作の映画)

3.6

何も起きない映画というか、何か起きそうな気配が満ちたら次のシーンに移ってしまう。

何が起きていく時間よりも、起きる予感が膨れていく時の方が、感情の揺れ動きはあるかもしれないなぁとこの映画を観て思った
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線は、僕を描く(2022年製作の映画)

3.7

原作が好きで、好きな俳優さんも多く出演していたのに、映画館で観ることができず、ようやく観た。ただ、原作を読んだのは数年前なので、どこからが映画の創作なのかまではわからなかった。

ずっとMVを見ている
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逃げた女(2019年製作の映画)

3.6

先日観たロメールと同様に、今泉監督が「日本のホン・サンス」とも呼ばれていると知り観た。ホン・サンス監督も「韓国のロメール」とも言われているらしい。ただ、この映画は男女を描いてきた監督が、男性をほとんど>>続きを読む

海辺のポーリーヌ(1983年製作の映画)

3.6

今泉力哉監督が「日本のロメール」と呼ばれているらしいと知り、ロメールってどんなものだろうかと気になったので観た。

たしかに今泉監督っぽい、どことなく滑稽で、でも本人たちはとても真剣な、恋愛をめぐる群
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カッコーの巣の上で(1975年製作の映画)

4.5

重苦しい話だと予想して、覚悟して観たけど、思いのほか笑ってしまう場面が多かった。精神病院の患者さんたちの日常なので、笑っていいのかわかりませんが…

とはいえ、登場人物たちはそれぞれ個性的で、意外性も
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ファーザー(2020年製作の映画)

4.2

認知症を介護する側の視点から見ることはあるけど、認知症になる側の視点で見ることはほとんどなく、記憶が無くなるという漠然としたイメージしかなかった。

自分の認識では何も変わっていないはずなのに、いま見
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ぼくたちの哲学教室(2021年製作の映画)

4.5

北アイルランド・ベルファストの小学校で行われている哲学対話。ベルファストはカトリックとプロテスタントが激しく対立していて、内戦状態だったこともあり、その爪痕が残っている。映画『ベルファスト』の約50年>>続きを読む

ベルファスト(2021年製作の映画)

4.0

1960年代の、ベルファストという北アイルランドの街と、そこに住むある家族を描いた映画。ベルファストは北アイルランドの首都らしい。

カトリックとプロテスタントの対立で街は内戦状態。そんな中だからこそ
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ダークナイト(2008年製作の映画)

4.0

『ジョーカー』がとてもよかったのでこちらも鑑賞。

映画をよく観るようになる前の自分の映画のイメージはこんな感じだった。アクションがあって、派手な爆発とかがあって、スリリング。

でも、それだけはなく
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はじまりのうた(2013年製作の映画)

4.2

ニューヨークの街並みがとても魅力的に撮られていた。音楽がなくても、何気ない風景でも、すてきな街だなあと思えるような映像だった。

たくさんの音楽が流れる映画で、音に乗せて感情が真っ直ぐ伝わってくる。音
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フォレスト・ガンプ/一期一会(1994年製作の映画)

3.7

フォレスト・ガンプの純粋さに心があったかくなる。映画の説明でも「知能指数は低いけど」とあるけれど、そういった人にしか出せない魅力もあるよな…と思う。

エビの話しかしない軍隊での友人バッバも、勇敢で少
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グリーンマイル(1999年製作の映画)

3.6

死刑を執行する看守がある死刑囚に抱えるジレンマ。

その死刑囚は、癒しの能力そのものよりも、その人柄と、置かれた環境にグッとくる。

そして、自分勝手な生意気コネ坊やの方にムカムカした。

こういう作
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ジョーカー(2019年製作の映画)

4.7

コメディアンになりたい母親思いの青年が「ジョーカー」になっていくまで。

障害を抱えてはいても、心優しい青年だったアーサー。あれほどまでに世界の残酷さを浴びせられ続けられると、狂っていくだろうし、それ
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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ(1984年製作の映画)

4.1

モリコーネのドキュメンタリー映画がよかったので、彼が関わっている作品を観たかった。

同じくモリコーネが音楽を担当している『ニュー・シネマ・パラダイス』では主人公が映画を通じた過去の友情を懐古している
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怪物(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

男の子2人のパートはとてもよかった。どこまでが友情で、どこからが恋愛なのかわからないけど、ノスタルジックなところもありつつ、みずみずしい。

憶測に基づいて突っ走ってしまうことの危険を自戒できる映画で
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

4.4

離婚して離ればなれになっている父と娘のある夏休みのバカンスの記憶とビデオテープの断片が集まったような映画。説明もほとんどなく、とても余白が多い。

映画中にも似たような言葉があったけど、大切な人と過ご
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最強のふたり(2011年製作の映画)

4.6

ずっと気になっていた映画。最初から最後まで笑いっぱなし。

自由奔放で明らかに場違いな振る舞いをするけど、素直で明るく根はいいやつのドリスがチャーミング。そんな彼が半身不随の雇い主フィリップが引き起こ
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パリタクシー(2022年製作の映画)

4.4

ポスターや予告の雰囲気で想像していた内容とはいい意味で違っていた。パリの街中はやっぱりきれいで、乗客のおばあちゃんのマドレーヌは魅力あふれる素敵な人で、笑って泣いて楽しい映画だった。

この映画の場合
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燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)

4.2

とにかく美しい。絵画のようなシーンばかり。これに尽きると思った。

静寂に包まれていて、会話も静かで言葉が少ない。少しだけ流れる音楽は強く印象に残る。最後のシーンは特に凄みを感じた。

自然の風景がと
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アダマン号に乗って(2022年製作の映画)

4.6

パリのセーヌ川に浮かび、精神疾患もつ患者が来るデイケアセンターであるアダマン号という船の中での人々のドキュメンタリー。

映画にはなっていない暗い部分もたくさんあるだろうとは思う。

でも、個性の尊重
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ちひろさん(2023年製作の映画)

4.3

劇中にもあったように、ちひろさんはつかみどころのない人で、それでいて魅力的だった。

彼女のやさしさにたくさんの人を救われているんだと思うけど、押し付けがましさもなく、好きなように振る舞うことで気がつ
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ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい(2023年製作の映画)

4.7

「優しさの意味を問いなおす」とあるけど、そのとおりの映画だった。

弱さを肯定してくれるような映画で、誰かがこの映画に救われるのだろうな。でも、必ずしも共感できるわけでもなければ、無批判に弱さを肯定し
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丘の上の本屋さん(2021年製作の映画)

3.5

おじいさんが店主をしている古書店。そこでの出来事をいくつかスケッチしたような映画。

丘の上の街並みや明るい日差し入る古書店の立地がよく、こんなところがあれば行ってみたいなと思う。店主とは性格が違いそ
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生きる LIVING(2022年製作の映画)

4.6

「生きることなく生を終えたくない」というフレーズを見て興味を持って鑑賞した。

そこよりも惹かれたのは画面や音楽から溢れ出ているかっこよさとおしゃれさだった。もちろん俳優さんたちも素晴らしいけど、歴史
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ワンダー 君は太陽(2017年製作の映画)

4.5

人の弱さを置き去りにしない映画が好きなんだなぁと改めて思った。

オギーはたしかに普通の人ではないかもしれないけれど、オギーだけでなく、誰もが自分のことが大切で、自分を守るための弱さや醜さを抱えている
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いつかの君にもわかること(2020年製作の映画)

4.1

死を目前にしたシングルファーザーによる、4歳の息子の新しい親探し。

ジョンは窓の清掃員という設定がとても好きだった。純粋にいい画だなと思えたのもあるけど、窓の外から中を覗いて見える部屋にもいろいろあ
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