背骨さんの映画レビュー・感想・評価

背骨

背骨

映画(310)
ドラマ(0)
アニメ(0)

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

4.5

眼差しの加虐性、その視線に蔑みを感じた時、見る者と見られる者の立場は逆転する。

『NOPE ノープ』は見る事=撮る事(映画)にまつわる愛と自己批判の映画ではないか。撮る事、それは時に見世物にする事…
>>続きを読む

ファーザー(2020年製作の映画)

4.3

「当然のように世界はそこに在って、それを皆同じように共有出来ている」という唯物論的固定観念が打ち砕かれるとんでもない怪作

老いによる喪失を外からだけでなく内側から描く事で「認知症とは何か」に留まらず
>>続きを読む

野球少女(2019年製作の映画)

4.0

差別を訴える訳でも、女性初を目指す訳でもない。ただ、プロ野球選手になりたかった、その夢を絶対に諦めたくなかった…それだけ

なれる自分より、なりたい自分を選択する人生の物語であり、その姿に心動かされた
>>続きを読む

TENET テネット(2020年製作の映画)

4.2

途中までは「?」だったけど、伏線回収が始まる中盤からストーリーの全貌が見えてきて、後半のアクション展開は一気にアツくなる。

「時間の逆行」というギミックがストーリー展開上で我々にもたらされる驚きとエ
>>続きを読む

僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46(2020年製作の映画)

4.3

共にグループを愛しながらも、理想とのギャップに苦しみ孤立化する天才と、彼女を理解出来ず途方に暮れる残されし者たち…
誰も責められない、しかし起こるべくして起きた結末に感情の持っていきどころがないが、唯
>>続きを読む

ドロステのはてで僕ら(2019年製作の映画)

4.1

2分先の未来が見えるようになった事を悪用したしょうもない企みが予想もしなかった未来を巻き起こす…

「1階と2階のモニターが繋がって2分先の未来が見えるようになる」

それだけのSF設定なのに、そこか
>>続きを読む

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019年製作の映画)

4.4

150年以上前の原作を、完全に「今の映画」として再構成した見事なリブート版『若草物語』

この映画は決して安っぽいフェミ映画などではなく、もっと大きな視点、人種や性別、年齢や時代をも超えて、あらゆる価
>>続きを読む

母なる証明(2009年製作の映画)

4.1

知的障害を持つ息子は女子高生殺人の犯人か否か。

次々と明るみになる真相…と同時にそれまでの証言が一気に信じられなくなる新たな疑い。

人は誰も本当のことは話さない、肉親にさえ。

一応の決着を見せる
>>続きを読む

ラストレター(2020年製作の映画)

4.7

ほんのり甘く、せつなく、懐かしくて、苦しい…ファーストカットからその全てがまごうことなき岩井俊二の世界、でありながら歳を重ねた今だからこそ作れた集大成にして最高傑作。

この映画はこれからを生きる者、
>>続きを読む

“隠れビッチ”やってました。(2019年製作の映画)

4.1

タイトルや予告編から予想される内容を遥かに超える奥深い作品だった。

「隠れビッチやってました」なんてタイトル過少申告じゃねえか、と突っ込みたくなるようなシリアスな内容だったが「やってた」という過去形
>>続きを読む

ゴーストマスター(2018年製作の映画)

4.0

あふれるほどの映画愛でホラーと恋愛映画を融合させた最強壁ドン映画。

成海璃子のブチ切れアクション、映画に人生を捧げた者たちの叫びに泣く。

人生のラストシーンはテメエで書くしかねぇ!

今年『ホット
>>続きを読む

殺さない彼と死なない彼女(2019年製作の映画)

4.5

予想を遥かに上回る大傑作。
『ホットギミック ガールミーツボーイ』『いなくなれ、群青』と並んで2019年青春恋愛映画の三大傑作と呼びたい。

未だに日本のマンガ実写化映画、青春恋愛映画はつまらないと思
>>続きを読む

第三夫人と髪飾り(2018年製作の映画)

4.3

女に自由や権利などなかった時代に生きたベトナムの女性たちの物語。

美しい自然と渓谷に囲まれた北ベトナムの里に14歳で嫁いできた第三夫人メイ。

ここでは男子を生む事が妻として認められる唯一の方法だ。
>>続きを読む

ジョーカー(2019年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

☆このレビューは映画『ジョーカー』及び原作とされる『キリングジョーク』に関するネタバレがあります。☆

自分はこの映画を意外にも原作と言われるアメコミ『キリングジョーク』に忠実なジョーカー誕生譚なので
>>続きを読む

バーニング 劇場版(2018年製作の映画)

4.4

ある日突然姿を消してしまった、想いを寄せていた幼なじみの彼女…

不平等な生い立ち、不確かな記憶、繋がらない想い…謎を解くためのヒントは見えるが答えは見えない。

見えている不可解なものの先にある、見
>>続きを読む

デイアンドナイト(2019年製作の映画)

3.8

善だけでなく悪も孕んだそれぞれの「正しさ」がぶつかり合う。

善と悪との狭間で疑問を抱きながらも、自分の信じる「正しさ」と、その選択しか残されていない状況という両面から追い込まれていく主人公。

「正
>>続きを読む

サスペリア(2018年製作の映画)

4.1

ティルダ・ウィンストンとダコタ・ジョンソンのキレのある動き・ダンスがもたらす身体性。そして女性だけで生活し、酒やタバコを嗜み、芸術を追求する彼女達の自立性。肉体と精神と経済力…

前作も観てませんし、
>>続きを読む

ミスター・ガラス(2019年製作の映画)

3.5

シャマランの愛と執念を感じる“ヒーロー&ヴィラン論”最終章。

アニャ・テイラー=ジョイの美しさと包み込むような優しさと豊満なオッパイと…マカヴォイ演じるケヴィンを全肯定する彼女の凄まじい説得力。
>>続きを読む

がっこうぐらし!(2018年製作の映画)

4.0

これはスゴい…『マッドマックスFR』+『パーマネント野ばら』で『新感染』な学園ゾンビ映画。

マンガ原作モノのアイドル映画と侮る事なかれ。たしかにB級ではあるので細部に気になるところはあるけど、現実と
>>続きを読む

チワワちゃん(2018年製作の映画)

4.2

タイトルコールから最高でチビりそうだった♪

華やかで刹那的で空っぽだからこそ美しい。

スキスキ大好き超愛してる…今この瞬間だけを。
彼らはこの楽しい時間がもうすぐ終わるのを知っている…そして、その
>>続きを読む

パッドマン 5億人の女性を救った男(2018年製作の映画)

3.8

怖いのは“間違った知識による悪しき慣習”以上に“変化を恐れる人の心”

パッドマン、何が凄いって生理用品を普及させた事以上に、インドでの“女性という立場を蔑む考え方そのもの”に異議申し立てを行い、富を
>>続きを読む

暁に祈れ(2017年製作の映画)

3.8

常に命の危険に晒された地獄のような監獄でジャンキーボクサービリーがムエタイを通して取り戻していく人間性。

ヤク、暴力、アナルレイプなんでもアリのメッチャ怖い全身刺青の囚人達。その中で自分の凶暴性をな
>>続きを読む

青の帰り道(2018年製作の映画)

4.1

天才じゃない全ての者達に捧げるキラキラしてない青春群像劇。

希望を持って高校を卒業するも夢は叶わず、大人に利用され、自分を見失っていく彼ら。彼らの行く先はアイドル・ニート・詐欺・ブラック企業…ドラマ
>>続きを読む

来る(2018年製作の映画)

4.4

オープ二ングからエンドロールまで“最高”としか言えない、隅から隅まで計算しつくされた中島哲也ワールド。

一見ただ狂っているように見えて、実は人間の暗部を根こそぎ噴出させ、それを丸ごと飲み込んでしまう
>>続きを読む

人魚の眠る家(2018年製作の映画)

4.0

脳死した6歳の娘。…選択肢はふたつ。
臓器提供するか?
心臓停止するまで延命措置をし続けるか?

日本の法が映画通りであるなら、恐らくこれは身近にあり得る現実。

いい意味で全然泣けない…それは“受け
>>続きを読む

鈴木家の嘘(2018年製作の映画)

4.1

嘘は本当の反対語じゃない…母を守るための嘘が、家族みんなへ兄の死と向き合うまでの時間を与える。

死は常に他者の死。
生き残った者がその死の意味や価値を決めなけれなばならない。どんなに辛くても…

>>続きを読む

ギャングース(2018年製作の映画)

4.2

日本は表も裏もカースト社会。

その最底辺で一生搾取され続けるサイクルに追い詰められたヤツらの命を懸けた“窮鼠猫噛み”作戦!

日本の貧困社会をリアルに捉えながらも映画としてはひたすらエンタメ♪

>>続きを読む

(2018年製作の映画)

3.8

ある雨の日、河原で一丁の拳銃を偶然拾ったトオル。

銃という圧倒的力が、一見大人しかった男の隠していた本性を目覚めさせてしまう…

銃で人を殺すんじゃない、
銃が人を人殺しにするんだ。

眠って
>>続きを読む

斬、(2018年製作の映画)

4.1

殺し合いの連鎖を止めるための禅問答…無抵抗ならば殺され、斬れば連鎖に加担する。

葛藤の先にあったのは追い詰められた人間の論理を飛び越えた本能そのもの。
どこまでいっても人が殺し合う歴史は終わらない。
>>続きを読む

A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー(2017年製作の映画)

4.0

ある日突然、妻を残して交通事故で亡くなった夫。悲しさ、未練、怒り…魂となった彼に襲うさまざまな感情…しかしそれは時間とともに違ったものに変わっていく。

この世に未練を残す魂の視点から問う
「人は何を
>>続きを読む

アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダル(2017年製作の映画)

4.4

世間を騒がせた「ナンシー・ケリガン襲撃事件」

現実に起こった事件をもとに、映画的手法を駆使して限りなくフィクショナルに「この世界のリアル」を描く…この感じスゴく好き。

トーニャ・ハーディングの、才
>>続きを読む

犯罪都市(2017年製作の映画)

4.2

警察、韓国ヤクザ、そして中国から流れてきた朝鮮族マフィア 三つ巴の抗争。

この映画…兎にも角にもマ・ドンソク。

ナイフと斧でライバルを殺しまくる残虐な朝鮮族黒竜組に対して、あくまでも素手で対抗する
>>続きを読む

ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ(2018年製作の映画)

3.8

前作で妻と娘の仇をとったはずのアレハンドロだが、まだその仇は生きていた?…これは続編というより“IF”的スピンオフなのだろうか。

今回のミッションは、「麻薬王の娘誘拐」と「カルテル同士の争い」を起こ
>>続きを読む

生きてるだけで、愛。(2018年製作の映画)

4.3

躁鬱で凶暴な“もらとりあむ趣里”と“獣になれない菅田将暉”。

自分が嫌いで、自分を信じられない、“生きてるだけでもシンドい”2人が寄り添うのは“愛”か“依存”か?

全く共感出来なかった女が、最後こ
>>続きを読む

ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)

4.2

生涯自身のアイデンティティーを追求し続けたフレディ・マーキュリーの半生。

出自、外見、セクシャリティ…

‪フレディ・マーキュリーという偉大でありながも苦悩するひとりの人間に迫る伝記映画として素晴ら
>>続きを読む

The Witch/魔女(2018年製作の映画)

4.4

最恐サイキックヒロインここに降臨✨

施設から逃げ出し、平穏に暮らしていた10年間…追手に見つかった事をキッカケに親思いの女子高生から一転、覚醒し殺戮マシーンと化す人造人間ジャユン。

終盤の血飛沫に
>>続きを読む

>|