最高。大橋裕之先生のファンからすれば、これはまさに大橋漫画の世界。かろやかで、やさしい。余白のあるあの独特な世界観は、ほんとうに映画に向いていると思う。
マヒトゥ・ザ・ピーポーも劇中で歌っていた>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
好きなものが同じでも、見えているものはことなっている。LとRはべつの曲。ほんとうはその差こそがひととなりで、個性なんだけど。
出自から来るふたりのちがいは、社会との関係性のなかで少しずつ剥き出しにな>>続きを読む
綱渡りで生きる男の人生を、そのまま映すとサスペンスのかたまりになる。ボタンをかけ違いつづけ転落するさまはノワール映画のようだけど、追いつめられていく会話があまりに速すぎてスクリューボール・コメディにも>>続きを読む
冷凍都市の暮らし、あいつ姿くらまし(チケットはずれました)、とはこのことか。ポップ中毒者=ドラッグ中毒者は目の前にある現実に興味がない。でも、レコードのメッセージを解読しているだけじゃ、とうぜんのよう>>続きを読む
主人公マイルスの部屋には誇らしげにチャンス・ザ・ラッパー『Coloring Book』のポスターがかざれている。それだけでもうね。ぼくはヘッズじゃないけれど、ニッキー・ミナージュやリル・ウェイン、Vi>>続きを読む
IMAX。ほとんど全てのショットが聖典。やっぱりこれが60年代ポップカルチャーの到達点なんじゃないか。『映画の見方がわかる本』は読んでいるし、『エヴァンゲリオン』は観ているわけで、物語にもはや謎はない>>続きを読む
元書店員としてはぜんぜん冷静に観られない。あそこまで、ではないにしろ、ぼくもきっと「おまえ、酒くさいぞ」と思われていたはず。コンビニでのあの会話を、たしかにぼくらはしていた。
冒頭とラストに2回挟ま>>続きを読む
すごい。ドッペルゲンガーものの古典、ヒッチコック『めまい』の優雅さ、不穏さがよみがえったような映像。照明がやたらにくらい。ここでおわらないんだ、が延々とつづいてゆく脚本は、フィンチャー『ゴーン・ガール>>続きを読む
2006年に『時をかける少女』を観たときはほんとうに参ってしまって、いまだに人生であんなにくらった映画はないと思う。当時のぼくは世界からまったく孤立していて、まっとうに”前をみて走る”あの映画は、スク>>続きを読む
劇場で観たとき、「これは最高の新婚映画だなあ」と思ったので、配信を機に妻と鑑賞。正直、ジャームッシュでいちばんいいんじゃないか。
ここでのショットの美しさはかっこつけじゃなく、詩をとおして世界を捉え>>続きを読む
パリ行きの列車に乗っていたのはぼくかもしれないし、あなたかもしれない。ということを伝えるための素人キャスティングなのだろうけども。再現された人生の断片をここまでゴロンと提示されちゃうと戸惑いますね。あ>>続きを読む
めちゃくちゃいい。家を飛び出したパディントン(めちゃくちゃかわいい)が隣人の自転車に飛び乗り、パンをわたし、あいさつをかわし、ゴミ収集車に飛びうつる。彼がこの世界でなにを為すのか、を冒頭のアクションだ>>続きを読む
ベルイマンは映像で語る作家だ。ゴダールが”もっとも美しい映画”と評した、という『夏の遊び』はもう半世紀以上前の映画だけど、心象を映像にするその手腕は少しも古びていない。光にあふれ透き通った過去の夏と、>>続きを読む
おれたちのチャンス・ザ・ラッパー激推しのホラー映画。おもしろいのは確実なんだけど、何にも言えないので困った。言えない理由は2つあって、1つはプロット。細かく揺れつづけるカメラと同じように、どこへ向かう>>続きを読む
言葉はつかえ、間が持たず、ずっとすれちがう。こんなに会話がうまくいかない映画ってなかなかないよ。雪におおわれた風景の寒々しさ。列をなし飛んでいく鳥たち。フィックスの動かないカメラ。他人の心になどたやす>>続きを読む
書く、という行為をめぐる後半を観ているとき、ああ、このシリーズはほんとうに『長距離走者の孤独』なんだなと腑に落ちた。”もしかりに読んだところで、いったい何が書いてあるのか、奴にはどうせわかりっこないだ>>続きを読む
まあもともと、2017年に『イット』を(それもわざわざ舞台を80年代にうつして)やるのは分が悪い。スティーヴン・キングの諸作を含め、あらゆる80'sの記憶をつなぎ再構築した『ストレンジャー・シングス』>>続きを読む
いちおう断っておくならば、ぼくはそれなりのたけし信者である。日本の映画監督としても、相米慎二とならぶ天才だと思う。だから、「ディス・イズ・北野映画!」てショットがあるだけでまあ満足なんだけど(海からは>>続きを読む
かの甲本ヒロトが「生き方をえらぶときはBGM」と歌っていたけれど、その思想を過剰に映像化したかのよう。ほとんど発明に近い音楽と音の同期で、映画的なグルーヴが全くもって途切れない。スコセッシが『グッドフ>>続きを読む
わかったようなことはなにも言えない映画なので、困った。たとえばトマス・ピンチョンの小説がそうであるように、まったくもって全体が把握できないある種の’’巨大さ’’がここにはあって、メインのお話を語ったと>>続きを読む
絶妙なお湯加減。というかまあ、ほかの映画にくらべれば明らかにぬるいのだけど、30超えるとこのくらいのがしっくりくる、といいますか。20代の時にもこの映画を借りたことがあったけど、その時は途中で完全に寝>>続きを読む
“人をくったようなという表現”というものにどうやらひかれる傾向があって、ここだけの話、部屋にポスターをかざっているくらい好きだったりする。とにかくめちゃくちゃな映画なんだけど、とにかくめちゃくちゃにポ>>続きを読む
「シネマスコープ」のフォントだけで泣けてくる、オープニングのシークエンス。こう言っちゃなんだけど、ここだけ別の映画みたいにすばらしいと思う。車の渋滞からはじまるのは『81/2』のようだし、役者の動きに>>続きを読む
『この世界の片隅に』にドンバマってしまい、まったく他の映画を観る気になれずはや2ヶ月。呉のことばかりが気になってしまうこの状況を打開するにはもう、世界最高の映画を観るしかあるまい、ということでこちらを>>続きを読む
積み重ねられるその日常描写の細やかさと大胆さ。「物語」より「生活」に軸足をおく語りの正しさで、すずさんが生きる世界そのものの再構築に成功してる。ああ、『君の名は。』にもこれがあればなあ、なんて。>>続きを読む
たのしいのがいちばんなんだよ。ってのはいい。ほんとうにそうだと思うし、泣いちゃう。けどなあ。ショットも細部もプロットも、どうにも緩みきっていて。あるはずの熱量が、こちらに伝わる前で削がれているように思>>続きを読む
かれこれ10年以上探しつづけてようやく観れたこともあるんだけど、めちゃめちゃ感動した。ネットフリックスさんありがとう。おれ1000円払いつづけます。
ライヴドキュメンタリーは通常、画面外の意味付け>>続きを読む
これはなんといいますか、主題は就活ではあるけれど、実質的には『桐島』の語りなおしだ。(悪い意味で)オルタナティヴすぎて就活の経験がないぼくですが、桐島的なテーマには人一倍グッとくるわけで。虚構と現実の>>続きを読む
こちらも友人(ていうか親友)企画の映画祭にて。まったくノーマークだったのだけど、これは傑作。まだ知られていない人々の情熱をだれかに伝えるのがドキュメンタリーであるならば、こんなに正しいフィルムはないと>>続きを読む
友人(ていうか親友)が企画した映画祭にて鑑賞。もともとぼくもどついたるねんのファンなので、まあ冷静な判断はできないんだけど。
なんてかっこいいバンドなんだと思う。企画が企画なだけに、セットリストもパ>>続きを読む
最高。だってビートルズが出てくるんですよ。いつも4人で肩を寄せ合って、軽口を飛ばしながら。「カメラがなにを捉えているか」という点において、これ以上の素材ってないでしょう。ジョン・レノンのギャグセンスは>>続きを読む
RADWIMPSの楽曲が全面的にフィーチャーされてる時点で、自分に向けられた作品じゃないことくらいわかるでしょうに。彼らの楽曲のエモさに乗せられる感覚はそれなりにわかるけど、ぼくが音楽に惹かれる理由は>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
なにを語ってもネタバレになってしまいそうなので、とりあえず。
ここまで庵野秀明の作家性が全開だとは夢にも思わなかった。たぶん、セリフ回しと編集感覚が大きいのだろうけど、びっくりするくらいにどこを切>>続きを読む
夏休みはこれでしょ、ということで。ファンファーレと熱狂な1984年生まれのぼくにとって、完全に同時代のジュブナイル映画。これはもう、あまりにジャストなティーンエイジ・フラッシュバック。おれたちの96年>>続きを読む
まっとうなサスペンスとして観てしまうと完全に面食らうことになると思う。なぜならこの映画、いわゆるふつうのシーンはただのワンカットもないからだ。
画面、照明、セリフ、演技にいたるまで、すべてのチューニ>>続きを読む
上映日をまちがえて劇場で観逃したことをほんとうに後悔してしまう(代わりに観た『ストレイト・アウタ・コンプトン』はそれはそれですばらしかったんだけど)。
ホラーとしてもセンス・オブ・ワンダー。あのルー>>続きを読む