イワシさんの映画レビュー・感想・評価

イワシ

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旅と日々(2025年製作の映画)

4.1

投手の如く石を荒海に投げる高田万作と次カットで約束通り海に来た河合優実。「ジョン・フォードと『投げること』完結編」に紛れこんでそうな画面連鎖だが、吹き飛んだ帽子の回収、錦鯉捕獲、カメラ取得、果ては警官>>続きを読む

猿の惑星:創世記(ジェネシス)(2011年製作の映画)

4.0

再見。檻から解放されたゴリラが自由に駆け回る姿をシーザーが見下ろす様子を捉えた俯瞰ショット、バッチリ上下関係が構築されててスゲーカッコいい。見下ろし見通すシーザーに対し、見通しが効かない状況に霧のせい>>続きを読む

デッドリー・ドリーム/夢が殺しにやってくる(1988年製作の映画)

3.5

なかなか。幼い頃、両親を殺害した狐の顔を被った殺人者の悪夢に悩む青年にミッチェル・アンダーソン。既に死んだはずの殺人者が現実に姿を見せるも、その痕跡はすぐに消える。つなぎ間違いをあえて用いたフラッシュ>>続きを読む

悪魔のいけにえ(1974年製作の映画)

5.0

再見。ハンマー殴打の若者がビクビク痙攣してたが、マリリン・バーンズ屠殺未遂場面では全員が痙攣的身振り。台詞すら痙攣的反復。サリーは叫び仰け反り、ヒッチハイカーは首根っこ押さえ込み、グランパはハンマー落>>続きを読む

ポルターガイスト3/少女の霊に捧ぐ…(1988年製作の映画)

3.3

サバービアから打って変わって超高層ビルが舞台。ビル全体が『上海から来た女』の終盤みたく全て鏡張りで当然鏡を利用した演出ばかり。死体を突き破るララ・フリン・ボイルに唖然(ディック・スミスがコンサルタント>>続きを読む

ポルターガイスト2(1986年製作の映画)

3.1

ギーガーのクリーチャーデザインがクソキモい。地下の死体の汚らしさも伊ホラー的で良し。ジュリアン・ペック扮する牧師は『狩人の夜』が元ネタか?前作の女性同士の連帯感とは逆にクレイグ・T・ネルソンとウィル・>>続きを読む

シナリオ:予告篇の構想(2024年製作の映画)

3.8

プリンターを映す画面ではフレーム内の機械の作動音のほかに画面外でゴダールやバタジアが何やら作業をしているような音響が響くが、アラーニョは禁欲的にプリンターにカメラを向け続ける。出力が終わり、カメラが左>>続きを読む

シナリオ(2024年製作の映画)

4.0

ラストのゴダールには問答無用に涙ぐむ。『ホワイトハンター ブラックハート』のイーストウッドが重なった。

面長な白馬のクロースアップは「宇宙は一本の指であり、あらゆるものは一頭の馬だ」というゴダールの
>>続きを読む

新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に(1997年製作の映画)

4.0

冒頭、炎天下で汗をかくシンジのアップ。顎先の汗の滴が目立つが、次のカットで折れた電信柱から部品が落下し水面に波紋をつくる。冒頭が予告する水滴のイメージは人類がLCLと化す場面で最高潮になり(サードイン>>続きを読む

ルート 17 の遭難者たち(2001年製作の映画)

3.6

タイヤが影から落ちていくところが良かった。神経質な男がマチュー・アマルリックかと思ったらやっぱりそうだった。

ウニの陰謀(1992年製作の映画)

2.9

ボタ山を示す地図記号がウニみたいなんだけど、ラストのボタ山がまさにウニ

映画館の座席(1989年製作の映画)

3.5

おれって映画の中身じゃくて監督の名前で反応してるのかなあ?って悩みは全シネフィル共通。映画無料パスでキャッキャッしてたら、シネフィル仲間が恋人作ってて(まあある種のハニトラなんだが)絶望して自殺しよう>>続きを読む

開栓の試み(1988年製作の映画)

3.4

小賢しい開栓アクションの背後で容赦なく過ぎ去る時間。最初の開栓者と中盤以降の開栓者(ムレかあれ?)は別人かな?同一人物がメイクで老いてたら一貫してて笑えるんだが。

労働喜劇(1988年製作の映画)

3.8

轢かれかけたサビーヌ・オードパンの手の擦り傷から滲む血はアンリ・デウスが太腿に叩きつけるパンに塗られたジャムの赤さとして反復されつつ、オードパンの手によってデウスの身体にその赤が投げつけられる。その赤>>続きを読む

ランド・オブ・バッド(2025年製作の映画)

3.5

ラッセル・クロウがモニター越しに見つめるリアム・ヘムズワースの姿に『グリーン・インフェルノ』想起。ロバート・ラビアがある人物の長髪に触れることによって直後の黒髪の翻りが斬首の間接描写であることを予告す>>続きを読む

ウルフマン(2025年製作の映画)

3.0

家屋に侵入してきた人狼と半人狼化したクリストファー・アボットが戦っている最中、ジュリア・ガーナーに恐怖の演技をさせず即座に包丁を握らせるアクションをさせているのが良かった。あとはビニールハウス上のシー>>続きを読む

M3GAN/ミーガン 2.0(2025年製作の映画)

2.8

セガールギャグには笑ったけど、現状親露に大きく傾いているこの俳優を無邪気に笑いにするのはだいぶノイズなんじゃないか。遠隔起動するエクソスケルターの首絞めと放電が良かったが、アリソン・ウィリアムズの戦闘>>続きを読む

ジムの物語(2024年製作の映画)

4.2

若い時から一貫して老け顔のまま演じるカリム・ルクルーに三宅『Playback』を少し連想。冒頭はルクルーとその他人物に年齢的な齟齬が目につくが、その齟齬はラストで肯定的なものとして映る。ベッド前転や窓>>続きを読む

走り来る男(1988年製作の映画)

4.5

燃える牛はフランジュ『山師トマ』の馬に匹敵。帰還するジャン=フランソワ・ステヴナンが乗るバスの運転手の視線が映るバックミラーの振動、突如降り出す雨、跳ね飛ばされ血のように窓に付着した泥といった映画その>>続きを読む

グランドツアー(2024年製作の映画)

3.8

フィクションパートのセット撮影の素晴らしさ。長江遡行場面も嵐によってジャ・ジャンクーから見事に乖離。舞踏、バイク群の旋回、龍舞という回転運動の連鎖はオーヴァーラップによってスペクタクルと化す。クリステ>>続きを読む

ナイトコール(2024年製作の映画)

3.6

銃撃で部屋に充満した消火剤はふたたびジョナ・ブロケの銃撃でデモ隊に降り注ぐ催涙ガスとして変奏。ダクトテープが代表的な窒息の主題は鼻口を覆うリザーバーマスクとして回収されるが、エレベーターの場面等で見ら>>続きを読む

さよならはスローボールで(2024年製作の映画)

4.1

原題が示す変化球は野球の謂であると言及されるが、それは映画の謂でもある。速度に差異のある運動が同時多発は、完了した運動と未完了の運動を同一フレーム内に一斉に生起させに“Eephus”的な幻惑として視覚>>続きを読む

ファイナル・デッドブラッド(2025年製作の映画)

3.5

リチャード・ハーモンがいちばん良いキャラ。ショーン・ペン超えのズボンの膨らみ。死神挑発の性行ジェスチャーをそっくりやり返されるMRIのシーンが最高。まるで死神に後ろからファックされているみたい。コイン>>続きを読む

聖し血の夜(1974年製作の映画)

3.7

舞台となる屋敷から炎上する人物が飛び出してきて力尽きた次のカットが素晴らしい。暖炉の炎からトラックバックすると窓から炎に包まれた男が映り、さらにカメラが引くとオルガンの前に腰掛ける人物が映る。事故を語>>続きを読む

トロン:アレス(2025年製作の映画)

3.3

マクガフィンをめぐる古典的チェイスが中盤を占めるが、実体化したバイクの光跡が物質化しグレタ・リーのルートを狭め捕獲するように機能するチェイス場面はとても新鮮。俯瞰ショットで捉えた現実の都市に赤い光跡が>>続きを読む

秒速5センチメートル(2025年製作の映画)

3.0

松村北斗と木竜麻生の関係性がこれから深まっていくのかと思わせるように演出しながらベランダでのメールですでに交際済と開示する古典的な省略法が良い(多少匂わせもあったが)。雪景色の中の桜の虚構性が露わにな>>続きを読む

機動警察パトレイバー 劇場版 4K(1989年製作の映画)

3.8

劇場では初。例に漏れず松井刑事の東京廃墟散歩がとても良かった。『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』の西島秀俊の廃墟論(英単語「ruin=廃墟」の由来のラテン語には激しい崩壊の運動の相>>続きを読む