イワシさんの映画レビュー・感想・評価 - 35ページ目

イワシ

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劇場版 ひみつ×戦士 ファントミラージュ!~映画になってちょーだいします~(2020年製作の映画)

3.5

「4人でいい映画にしよう」「いや5人だ」「6人でしょ」という台詞の良さ。撮影所の内側を見せること、黒沢ピヨシが演者を気遣い、キャストスタッフの前ではっきり所信表明したり、映画の集団芸術性にとても意識的>>続きを読む

レインメーカー(1997年製作の映画)

3.8

アンドリュー・シューの室内バット振り回しアクションに心奪われたが、法廷内で細かいアクションの積み重なっていく描写も良かった。特にダニー・デヴィートが投げたファイルをマット・デイモンが見向きもせずにキャ>>続きを読む

半次郎(2010年製作の映画)

3.8

冒頭の西南戦争の描写は、『宮本武蔵』の冒頭での関ヶ原の戦いを時代劇の合戦ではなく戦争映画として描写した内田吐夢の演出を思い出す。

中島みゆき 夜会VOL.20「リトル・トーキョー」劇場版(2019年製作の映画)

3.8

真っ当な幽霊出現の前触れ(風で開くドアと入り込む雪片)を『悪人伝』のマ・ドンソクの如く身体ひとつでぶっ壊す中島みゆき。余りにも生者のままに振る舞う中島みゆきに「生ってなんだ……死ってなんだ……」と宙吊>>続きを読む

愛すれど心さびしく(1968年製作の映画)

3.8

アラン・アーキンとチャック・マッカンの場面はほぼ常にサイレント喜劇的だが、ソンドロ・ロックとの場面では初めこそ喜劇的だったズレが、花火の場面で決定的な不理解として突きつけられる。視線は交差しているのに>>続きを読む

マニトウ(1978年製作の映画)

3.5

サンフランシスコ映画としてペキンパー『キラー・エリート』に並ぶ素晴らしさ。背中からの出産に『エイリアン:コヴェナント』を連想していたら、宇宙並のスケールに膨張していくクライマックスに唖然とした。

悪魔の棲む家PART3(1983年製作の映画)

4.0

突然停電になり暗くなった家の中をキャンディ・クラークが寒さに凍えながら地下へ向かおうとする場面のワンカットだが、カサカサという音が耳に入り気を取られていると不意に窓から風に揺れる木が見え、音の正体が分>>続きを読む

東京公園(2011年製作の映画)

4.1

再見。三浦春馬が坂を駆け下り井川遥を被写体に決めると、素早くバッグを地面に置きレンズを取り出して的確にカメラに装着させていくアクションがまるで拳銃を扱っているかのようでとても興奮した。

フォードのよ
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悪人伝(2018年製作の映画)

3.3

まあまあ。犯罪組織が連続殺人犯を探すって『M』みたいだなって思ってたけど、最後の方で法廷まで登場させてた。

マリヤのお雪(1935年製作の映画)

4.0

夏川大二郎が要求する酌を言葉巧みに躱した山田五十鈴が、今生の別れと覚悟していたにも関わらず薩摩から逃げ延びてきた夏川に再会した瞬間、水入れを手に取り男の腕の傷を洗い流す。この演出の繊細さが素晴らしかっ>>続きを読む

プリテンダーズ ふたりの映画ができるまで(2018年製作の映画)

2.5

ジェームズ・フランコ監督作品。いまどき『女は女である』や『はなればなれに』のオマージュやるのかー。ジャック・キルマーがゴダールのリメイクを作ったと言われててジム・マクブライドかよって思ったり。

もののけ姫(1997年製作の映画)

4.0

劇場で再見。エボシとサンの決闘だが、殺陣の振り付けが細かい。

透明人間(2019年製作の映画)

3.5

透明人間のスーツの肌に張り付いた夥しいカメラ=眼の気味悪さ。これほど露骨に『裏窓』的な透明人間は初めて見る(クライマックスも『裏窓』を踏襲している)。サスペンス演出自体は古典的だが、女性への加害とその>>続きを読む

アップグレード(2018年製作の映画)

3.5

AIに身体を操作されたローガン・マーシャル=グリーンのアクションシーンの独特なカメラワークによって運動と意識の乖離が演出され、三人称視点ではあるもののまるでこちらの視点も操作されているように感じる。こ>>続きを読む

ソニック・ザ・ムービー(2020年製作の映画)

3.3

走る/逃げるというアクションから逆算されたかのようにホーム/家族についてのドラマが展開される。ゴー・ウェストの映画であり、ロードームービーであり、つまりはアメリカ映画である。

この映画のソニックはア
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インフェルノ 蹂躙(1997年製作の映画)

4.0

ざらついたビデオ映像が被害者のマンションを映した次の瞬間、由良よしこがフレームインする。そのとき不吉さを纏う映像が決定的な禍禍しいものになる。加害性と支配欲以外まったく空虚な由良と若松武の殺人鬼夫婦の>>続きを読む

ヒッチコックのゆすり(1929年製作の映画)

4.0

サイレントで始まりトーキーとして終わる。無言の視線劇で幕を開けたサスペンスは嘲笑うような声が響く中、ひっそりとアニー・オンドラの視線が道化師の絵画と切り返され、ノワールめいた結末を迎える。

冒頭の犯
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アス(2019年製作の映画)

3.2

白人の友人一家の別荘でのシーンは一通りの状況説明が済んだからか、テレビの見た直後の俯瞰ショット、ルピタ・ニョンゴが双子の分身にとどめを刺すのを息子に目撃されるところ、車のロックが外れる所など演出にユー>>続きを読む

ペット・セメタリー(2019年製作の映画)

3.3

長年後悔とともに孤独に生きてきた老人をジョン・リスゴーが好演してた。この老人の善意から悲劇が起こるだが、その説得力は十分ある。葬式のシーンは『ヘレディタリー/継承』の影響か(別エンディングでもその形跡>>続きを読む

香港発活劇エクスプレス 大福星(1985年製作の映画)

3.5

富士急ハイランドのお化け屋敷でジャッキー・チェンが敵と戦うのだが、おどろおどろしい赤青緑の色彩と日本家屋の室内、お化けや落ち武者との活劇はシュールレアリズムそのもので、鈴木清順の映画のようでもあった。

女系家族(1963年製作の映画)

4.0

証文、写真、最後の遺言状という散らばる紙片のバリエーション。

夢の丘(2019年製作の映画)

3.7

死体が起き上がる瞬間の生々しくも非現実的なショットはエドガー・G・ウルマーの『恐怖の回り道』を思い起こさせる。

カンフー・カルト・マスター/魔教教主(1993年製作の映画)

3.4

ジェット・リー主演のカンフー映画だが、ノリが完全に『ドラゴンボール』。手からエネルギー弾が出てくるし、唐突に戦闘力の概念まで登場するから笑った。おもしろかったです。

ナイト・オブ・ザ・リビングデッド/死霊創世紀(1990年製作の映画)

3.0

トム・サヴィーニによるリメイク。墓場から家に逃げ込んだパトリシア・トールマンが滴り落ちてくる血を見上げると二階の手摺りから蠢く手が見えたかと思うと、その手が千切れて落下してくる。その時間の焦らしかたが>>続きを読む

Chasing Dream(英題)(2019年製作の映画)

3.8

「よくできたごく普通の映画」(by蓮實重彦)。MMAでの格闘シーンは非常に見やすく、ショットは安定してるしアクションを的確に繋いでいく編集も見事。しかし一番良かったのは現在の風俗が映ってるのに、撮影所>>続きを読む

マニラ・光る爪(1975年製作の映画)

4.0

経済成長の中で搾取される若い男女のメロドラマと復讐劇。

原作の解説に書いてあったんだけど、フィリピンの男性は日常的に爪の手入れをするらしく(美容院で手入れすることもあるそう)、『運び屋』でブラッドリ
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ラスト・タイクーン(1976年製作の映画)

3.5

メンツが豪華すぎる。デ・ニーロとジャック・ニコルソンがピンポンするシーンが好き。

ランボー ラスト・ブラッド(2019年製作の映画)

3.5

今こんな映画撮っていいのかという思いと今じゃないと撮れない映画だという思いが入り混じってる。地下トンネル(ベトナム)と炎による壁(メキシコ国境線)が暗喩する時代を隔てた暴力の記憶が接続されたとき、ラン>>続きを読む

神様のパズル(2008年製作の映画)

3.0

市原隼人の演技に内面というものがまったく無くて清々しい。クライマックスに叫ぶ「スシ食いねぇ!」に意味とかまったくないもん。この内面の無さをサイコパスとして演出したら『悪の教典』になるのか。

囚われの女(1968年製作の映画)

3.5

アンリ=ジョルジュ・クルーゾーの遺作。小沼勝が褒めてた。モダンアートと性的妄想が切れ目なく入り混じるラストが圧巻。

WASP ネットワーク(2019年製作の映画)

3.3

まあまあ。物語の構造が明らかになるシークエンスのドライブ感が良かったがその後にサスペンスが生まれているかというと微妙。セスナから目撃するミグ戦闘機のスピードの表現(一瞬で画面に飛行機雲の直線が現れる)>>続きを読む

ソフィー・マルソーの刑事物語/ポリス(1985年製作の映画)

4.0

取調べのシーンと留置場の扉の開閉が映画の前半1時間くらいを占めるのだがそれが超面白い。刑事は事あるごとに立ったり回り込んだり顔をぐいと近づけたり怒鳴りつけたりするし、カメラはそれらのアクションを捉える>>続きを読む

アメリカの友人(1977年製作の映画)

5.0

再見。ブルーノ・ガンツが空港のエスカレーターで上階に移動しているシーンで突然倒れる男が彼の視点ショットで挿入されるが、後に行うダニエル・シュミット殺害場面を完全に予告している。