イワシさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

イワシ

イワシ

映画(3078)
ドラマ(7)
アニメ(0)

花つみ日記(1939年製作の映画)

4.0

高峰秀子らが合唱しながら校庭を掃く風景を校舎から見下ろす清水美佐子。高峰の顔を初めて視認する場面でも清水は階段の上にいるという高低差が演出される。仲違いした二人が再会する場面では、ケーブルカーと登山道>>続きを読む

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)

3.5

ゲゲ郎と裏鬼道との戦闘場面が作画的にもいちばんの力の入りどころ。一段高い展望台からの狙撃やリモコン下駄の立体的な動きで三次元的な動かし方をしていて面白かったが、バディムービーとしてよく出来ているだけに>>続きを読む

怪物の木こり(2023年製作の映画)

3.5

亀梨和也のリフティングからのボール投擲、放物線をフォローしたティルトアップといった役者のアクションとカメラの動線のマッチが気持ちいい。フレームアウトによる退場者の畳み掛けからのフレームに留まり続ける亀>>続きを読む

半魚人の逆襲(1954年製作の映画)

3.7

ロリ・ネルソン拉致からの夜の捜索場面での暗闇とサーチライトによる黒と白のコントラストが素晴らしい。海辺を走る自動車が砂浜に横たわる白いドレスの女を発見する際のトラッキングや警官たちが確認のために一斉に>>続きを読む

ドミノ(2023年製作の映画)

3.5

予想されていた『インセプション』の二番煎じというよりも『ペイチェック 消された記憶』の二番煎じというべきか。操車場で身を隠したベン・アフレックの背後からスルッと現れるウィリアム・フィクナーに笑う。変貌>>続きを読む

パンドラ(1950年製作の映画)

4.5

再見。ジャック・カーディフのアメリカの夜が素晴らしすぎ。猛牛の吐息とマントの飜る音だけが響くダンスのような真夜中の闘牛シーンは暗い夜に浮かぶマントの赤色が何とも美しいのだけど、最も印象的なのがこの唐突>>続きを読む

打鐘(ジャン)~男たちの激情~(1994年製作の映画)

3.8

食事を終えたあと、ゴミを投げ捨ててから走り出すことを欠かさかった西村和彦が空虚の果てに木材を抱えて移動させるだけの仕事に行き着く。虚無的なやり直しを要求される空間からの脱出劇で投げることが復活し、この>>続きを読む

ロワール渓谷の木靴職人(1956年製作の映画)

4.4

葬儀から帰宅した直後、木靴づくりに取り掛かる直前の固定ワンショットが素晴らしい。窓から見えるシーツ、ドアが開きフレーム内フレームが増え、職人の着替えに連動するように妻が風に揺れる洗濯物を回収していく。>>続きを読む

剣に賭ける(1962年製作の映画)

4.1

友田輝を反射的に斬り、そのときの反応を反芻するかのように刀を見つめる市川雷蔵。友田に斬られた万里昌代が這い縋っているのに、まったく気づかないのがやばい。ライバルの天知茂が斬る相手=市川に執着しているの>>続きを読む

Blood Rage(原題)(1987年製作の映画)

3.8

ゴア表現スゲー、シンセうるせー、ルイーズ・ラサーヤベーなど目を惹く面白さいっぱいあるけど、マーク・ソパーが背後からこっそり現れてうやうやしくローブを着せてあげる所作やJホラー的な立ち方と機械的な射殺を>>続きを読む

恐るべき訪問者(1980年製作の映画)

4.0

立てこもり中に発覚する毒蛇の誤配。限られた舞台ながら手前に人物を配置する立体的な画面設計の屋内、現場封鎖用のカーテン、スポットライト、狙撃手と経過に従い様相を変える屋外と画面を追うだけで超楽しい。スー>>続きを読む

ロスト・フライト(2022年製作の映画)

3.6

不時着のサスペンスを煽った細部が脱出の糸口となり、離陸寸前の獰猛な反撃にまで活用される。どこまでも原題『PLANE』に忠実な演出こそ活劇にふさわしいと言いたくなる。乗客をすべて降ろし終えたジェラルド・>>続きを読む

もどり川(1983年製作の映画)

4.0

萩原健一と樋口可南子の襖越しの情交の場面が素晴らしい。シルエットだけが浮かぶロングショットから、影の上に手を這わす萩原と拒みつつその場から去れない樋口、襖を破る互いの手の愛撫に耐えかねたのか、ついに顔>>続きを読む

アリックスの写真(1980年製作の映画)

4.3

アリックス=クレオ・ルーボーの写真を写真家本人とボリス・ユスターシュがコメントを加えながら眺めていく。印刷された写真をめくる手のアクションつなぎと写真を俯瞰するショット、そして写真そのものが見事でそれ>>続きを読む

ペサックの薔薇の乙女79(1979年製作の映画)

3.5

前作から11年後(78年にも撮影したが技術的ミスで素材が使用不可)、同じ場所での同じ行事、撮影スタッフもほぼ同じ。儀式の進行や撮影機材などの差異もあるが、最も目立つのは高層の集合住宅の存在か。薔薇の乙>>続きを読む

不愉快な話(1977年製作の映画)

4.0

単純な面白さではマイケル・ロンズデールが語り手の第一部が上か。演出も編集もジャン=ノエル・ピックが語り手の第二部に比べると劇映画的。とはいえ、ピックの語りもあくまで撮影が介入した現実=再現であり、フィ>>続きを読む

ぼくの小さな恋人たち 4Kデジタルリマスター版(1974年製作の映画)

4.8

再見。遠征した田舎町での姉妹を追跡する場面が素晴らしい。ヒッチコック的サスペンス。距離を縮めるまでの時間、合流したあとの戸惑い、逆に仲間が追跡してこないかという不安、希望を断念したかのような遅れと意を>>続きを読む

ママと娼婦 4Kデジタルリマスター版(1973年製作の映画)

4.6

再見。ラジオが嘆く現代の仕事ように座りっぱなしの映画。カフェで座り、車内に座り、マットレスに座る。必然的にバストショットが多様されるが、にもかかわらず生々しい迫力の画面。夜中に押しかけてきたフランソワ>>続きを読む

ナンバー・ゼロ(1971年製作の映画)

4.2

監督の祖母オデット・ロベールは自身の幼少期から青春期、結婚、子育て、戦争を語り継ぐ。その回想が孫ジャンの現在や曾孫ボリスの未来へ思いを馳せる瞬間の言い難い感動と寂しさ。カチンコのアクションつなぎ、ロベ>>続きを読む

(1970年製作の映画)

4.0

再見。喉から迸る血の黒さ、立ち上る蒸気の白さ、降り始めた雪の欠片が印象的だったが、劇場で観ると音響の凄まじさに圧倒される。豚を解体する場面でのナイフを研ぐ音、皮膚に注がれる湯の音、体毛を剃る音は部位と>>続きを読む

ペサックの薔薇の乙女(1968年製作の映画)

3.0

その年に選出された薔薇の乙女が過去に選ばれた乙女たちにいちごを渡していく場面があり、そこに92歳になる1900年時に薔薇の乙女だった老婆が登場するのだが、町長の話や行事の進行を押し留める話の行ったり来>>続きを読む

サンタクロースの眼は青い 4Kデジタルリマスター版(1966年製作の映画)

4.3

再見。『わるい仲間』が接触禁止の映画だったら(身体に触れる代わりにバッグをまさぐり財布を盗む)。こっちは接触解禁の映画。サンタクロースの衣装やダッフルコートなど、身に纏うものについての映画でもある。解>>続きを読む

わるい仲間 4Kデジタルリマスター版(1963年製作の映画)

3.7

再見。ドミニク・ジェールをナンパしたものの、ダンス=接触の機会を奪われ続けたアリスティド・ドメニコとダニエル・パールがついに業を煮やして財布を盗んで疾走する。最低な行いだけど最高の運動。往路は歩行、復>>続きを読む

海を待ちながら(2012年製作の映画)

3.8

ファーストショットの海面の揺めきを模倣するかのように踏み荒れた砂浜がつくる凸凹を映すクレーンショット、海を覆う大砂塵のような嵐、荒野を微々たる速度で進む船、ラストは到達でなく到来。海と大地が対立するの>>続きを読む

タンカー・アタック(2006年製作の映画)

3.5

これ以前のフィルモグラフィにあったフドイナザーロフ的な運動や細部がアクション映画というジャンルにことごとく接収されるというクライマックスのスリリングさ。ジャンル的な楽しさある程度保証されてるし、監督特>>続きを読む

スーツ(2003年製作の映画)

4.0

3人の少年がGUCCIのスーツを着て、それぞれ会いに行く相手との別れの場面がどれも素晴らしい。アレクサンドル・ヤツェンコと父アンドレイ・パニンとの岸と船とのカットバックと横移動撮影、列車を見送るアルト>>続きを読む

ルナ・パパ 4Kレストア版(1999年製作の映画)

5.0

町中を駆け抜ける馬の群れの疾走、何度も頭上を通過するセスナ機、慌しい自動車の走行(過激なロードムービー)、行手を遮る装甲車、ゆったりとした舟の渡航、制御の効かない長男、上演中の舞台からの役者拉致、暴動>>続きを読む

コシュ・バ・コシュ 恋はロープウェイに乗って 4Kレストア版(1993年製作の映画)

4.8

帰還を懇願されるダレル・マジダフとやたらと追放の憂き目に遭うパウリーナ・ガルヴェスのゴンドラ内での愛撫を捉えた俯瞰ショットが素晴らしい。強制移動を拒み続けた男女が真に通じ合った瞬間、ゴンドラは動き出し>>続きを読む

(2023年製作の映画)

3.8

首無し死体に始まり、首に終わる。斬首描写でそれなりに満足したのは荒川良々のそれくらいか(この場面も首の落下より家臣の落水に笑った感はあるが)。代わりにビートたけしの草履放擲の速度に大爆笑。影武者を使っ>>続きを読む

ドリアン・グレイの肖像(1945年製作の映画)

4.5

大傑作。パートカラーで映される肖像画の美しさ、悍ましさ。殺人場面の吊りランプが作り出す光と影のゆらめきのおそろしさ。ハード・ハットフィールドがローウェル・ギルモアを絵画のある部屋へ促す際の縦構図のトラ>>続きを読む

少年、機関車に乗る 2Kレストア版(1991年製作の映画)

5.0

西部劇的記憶が刺激される列車という装置だがそれを被写体にするというより、線路が通る村や駅の女性や子ども、遥かな山並みの稜線などを列車の視点から捉え、活劇とは異なる運動の瑞々しさが画面を満たす。走行中の>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

3.5

水平的な動線で描かれる逃避の行動がゴジラ誘導と駆除を目的とした旋回運動(逃げて戻るの繰り返し)を挟みながら最終的に生存を目的とした脱出装置の発射とパラシュート降下という垂直軸の運動へと変奏される。逃げ>>続きを読む

くるりのえいが(2023年製作の映画)

3.5

拾徳でのライブ場面、「尼崎の魚」「California coconuts」「東京」をフルで聴けて超サイコー!って感じだけど、そのあとの「In Your Life」レコーディング風景がもっと良い。各パー>>続きを読む

死霊館のシスター 呪いの秘密(2023年製作の映画)

3.3

終盤、とてもフィジカルに攻めてくる悪魔と豪快に吹き飛ばされるシスターたちに笑ってしまった。タイッサ・ファーミガの覚醒は少年マンガチック。大量に流れるワインが悪魔に対して有効になる理屈が良かった。

ザ・レイド GOKUDO(2013年製作の映画)

3.5

イコ・ウワイスとアリフィン・プトラを結び、そして分つナイフの存在感。運動場での救出劇では決してナイフを持つことのなかったウワイスがセセプ・アリフ・ラーマンとの戦闘後は狂ったようにナイフを振るう。累々と>>続きを読む

血を吸うカメラ(1960年製作の映画)

3.7

カールハインツ・ベームがガラスを割ってアパートに殺到する警察に殺人カメラを向ける場面に泣ける。あきらかにギャング映画を模した編集とアクションが滑稽なまでに相対化してしまうカメラという装置。マキシン・オ>>続きを読む