setsudoshaさんの映画レビュー・感想・評価

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帰らない日曜日(2021年製作の映画)

3.9

とても優雅な作品。
名家の後継ぎポール(ジョシュ・オコナー)と秘密の関係を続ける天涯孤独のメイド、ジェーン(オデッサ・ヤング)。
どのシーンにも贅沢な余白がたっぷりとあり、彼女が味わうときめき、高揚感
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ベルイマン島にて(2021年製作の映画)

3.8

そこそこ地位のある監督と駆け出しの女流監督のカップルが、インスピレーションを求めてかつてイングマール・ベルイマンが暮らしたスウェーデンの島を訪れる。
数々の傑作が生まれた地でお互い意欲的に創作活動に取
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ニトラム/NITRAM(2021年製作の映画)

4.0

映画には結末を知らないタイプと(ほとんどはこちら)、すでに分かっている結末へ向かうタイプの2種類がある。
『NITRAM』は後者で、20代の青年が無差別銃乱射事件を起こすまでが描かれている。

オース
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ベルファスト(2021年製作の映画)

4.2

辛い歴史が描かれているはずなのに、思い出すのは登場人物の笑顔と前向きなセリフばかり。

アカデミー賞にいくつかの部門でノミネートされながらも、受賞はひとつのみに留まった本作。でも唯一の賞が脚本賞という
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DAU. ナターシャ(2020年製作の映画)

3.4

なぜ有休を使い、交通費とチケット代を支払ってまでこの作品を鑑賞する選択してしまったのか…という後悔と、これは目撃しなければならない…という妙な使命感との闘いが終始付きまとう。
鑑賞後も往生際悪く、なぜ
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TITANE/チタン(2021年製作の映画)

3.5

無機質の中にある一握りの有機質。

確実に万人受けしないであろう作品が最高賞(パルムドール)を受賞する、カンヌ国際映画祭の懐の深さがすきだ。

アネット(2021年製作の映画)

4.0

作品を発表するたびに生涯忘れたくないシーンを生み出してくれる、寡作な監督レオス・カラックス待望の新作。
まずは、今回も彼にしか作り得ない作品を放ってくれたことに感謝。最高のオープニングと余韻の長いエン
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ハッチング―孵化―(2022年製作の映画)

3.5

孵化して産まれてきたモノより何より、“女”を捨てきれない母親のほうがずっとずっと恐ろしい。

不穏な空気が薄~く続く感じは北欧チックであったけれど、「ぼくのエリ」「ボーダー 二つの世界」大好き人間とし
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DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)

3.9

“持って生まれた宿命”は時にムゴい。
ポールもそのムゴさをひしひしと感じている一人かもしれない。
覚悟を決めた者、運命を受け入れた者というより、アトレイデス家に生まれてしまった、能力が備わってしまった
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プリズナーズ・オブ・ゴーストランド(2021年製作の映画)

3.0

永遠くらい長かった…

これまでニコラス・ケイジが演じてきたキャラのほぼすべてに愛おしさを感じてきた。初期のロマコメケイジからクズな汚職警官、わが子を殺めようとするクレイジーパパ等々、どれも非常に微笑
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恋の病 〜潔癖なふたりのビフォーアフター〜(2020年製作の映画)

3.5

ポップでスタイリッシュなパッケージを期待して観ると、よくも悪くも裏切られます。(序盤の雰囲気は非常に好ましかった!)

最近の台湾映画は、新しい才能のカタチがいくつもあって面白いなあ。

うみべの女の子(2021年製作の映画)

4.0

久しぶりに自発的に見る邦画。

キツいストーリーだけど鑑賞後の気分は晴れやか。
海辺って時に寂寥感と解放感が共存するから怖い。

MINAMATAーミナマター(2020年製作の映画)

3.5

写真を通じて水俣病の惨状を世界に広めた実在の写真家ユージンの姿を描く伝記ドラマ。病の実情や元凶である工場と住民の対立なども見ごたえがあったが、それ以上に水俣病患者たちとユージンの触れ合いがじんわりと温>>続きを読む

サプライズ(2011年製作の映画)

3.0

■登場人物の行動が理解不能(あの状況下でなぜその行動を?なキャラ多数)。
■殺し方狙いすぎ(だがしかしエンターテインメントとしては正解)。
■長兄のキャラがナイス(不可能だけど幸あれ)!

Summer of 85(2020年製作の映画)

4.3

美と死は表裏一体。
オゾンの美学を胸いっぱいに感じられる作品だった。

アレクシ役のフェリックス・ルフェーブル君、垢抜け切れていないリヴァー・フェニックスみたいで目が離せなかった。
オゾンの審美眼にか
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オールド(2021年製作の映画)

4.1

シャマランが「映画館へおかえりなさい」と出迎えてくれるメッセージで始まるところからして、なんだか誇らしい気分。

内容もスリラーを熟知している感じの煽りと焦らしで、予告をリピートしてある程度仕掛けがわ
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アナザーラウンド(2020年製作の映画)

4.0

単なる吞んべえ賛歌、酔って騒いで楽しもう!…という映画では全くなく、中年の悲哀が凝縮された人間ドラマ。
マッツ・ミケルセンが主役ではあるけれど、メインはマッツとその同僚の3名を交えた4人のオジサン。そ
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イン・ザ・ハイツ(2021年製作の映画)

4.0

まさに、こういう映画が見たかった!
今誰もが精神的にも物理的にも抱えている閉塞感を、みごと打ち破った作品。
劇場にいる2時間30分の間は、今では貴重になった“解放感”ってやつを得られるはずだ。

「こ
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リトル・ジョー(2019年製作の映画)

3.8

自身が開発した植物に、息子と同じ名前を付けたシングルマザーの研究者。しかし植物の花粉を吸いこんだ息子や同僚たちの様子が次々におかしくなり…

もうずーっと居心地悪い感じがたまらない。
無機質な研究室と
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ザ・ビースト(2020年製作の映画)

3.1

ニコラス・ケイジ・ロシアンルーレット、今回は個人的にハズレでした。
ニコケイ演じる凄腕猛獣ハンター、逃げ場のない船内、ホワイトジャガーと暗殺者が同じ船に乗船…と、お膳立てはできているのに残念。
あんま
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ベスト・オブ・メン〜人間の最高〜(2012年製作の映画)

4.0

死を待つだけだった負傷兵のために最善を尽くす医者と、それに呼応するように生への希望を取り戻していく患者たち。
私欲のためではなく、誰かのために一生懸命になれる人が報われる世の中になってほしい。

最悪の選択 Calibre(2018年製作の映画)

4.2

緊張感が持続する映画は大好物なので、主人公と友人がジリジリと追いつめられていく様子など最後まで楽しめた。
原題の「口径」が表すように、最大の分かれ道は銃弾を忘れたことにあるのだろう。そして口径違いの弾
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ウィリーズ・ワンダーランド(2021年製作の映画)

3.8

いよいよ、vs人間ではなくロボットと戦い始めたニコラス・ケイジ。
対峙する相手よりニコケイのキャラがぶっ飛んでる場合は、概ねアタリという持論は今回も実証された。

しかも本作は理由は不明だが寡黙なオト
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映画:フィッシュマンズ(2021年製作の映画)

4.6

佐藤さんがいた“フィッシュマンズな日々”を、当時の映像を交えながら関係者が語る。一週間前あるいは昨日のことを話しているような雰囲気で。

かつて発した「10年後」という響きには期待が込められていたけれ
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プロミシング・ヤング・ウーマン(2020年製作の映画)

4.0

こ、これはスゴイものを見てしまった…
(『スーパーバッド』のマクラビンが、クズ男の一人として登場していた…!)

ライトハウス(2019年製作の映画)

3.8

終始、見る者の忍耐力を試されているような映画。
ヒッチコックの『鳥』と同系列の怖さを感じた。

デフォー&パティンソンの演技力は言わずもがな、クラシカルな雰囲気を現代に持ち込んで成立させたロバート・エ
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トゥルー・ヒストリー・オブ・ザ・ケリー・ギャング(2019年製作の映画)

3.6

ベストセラー本「人は見た目が9割」ならぬ「人は家庭環境が9割」。
そう思わざるを得ないほど、ネッド・ケリーは厳しい境遇にいたんだな。親は選べないのだから、せめて羽ばたこうとする子供の足は引っ張らないで
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スーパーノヴァ(2020年製作の映画)

4.0

同性カップルの出会いや蜜月を描いた作品は数あれど、破局ではない別れを扱った作品は珍しいのではないだろうか。
カップルを演じるコリン・ファースとスタンリー・トゥッチから、20年分のバックボーンがはっきり
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ピーターラビット(2018年製作の映画)

3.5

なんだかんだ5回以上見ている作品だが、間隔をあけて見たら若マグレガーさんのキャラクターのチャーミングさが際立っていた。まあ、ちょっとアレなところはありますが…。

(これはドーナル・グリーソンの代表作
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君の心に刻んだ名前(2020年製作の映画)

3.5

――追って追われて、また追って。
思い合っているのに痛いほどにぶつかり合い、思い合っていることを認めてはいけない時代。時に青春は激しくて瑞々しくて、痛い。

青年2人の関係性とそれを演じきった俳優が素
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Mr.ノーバディ(2021年製作の映画)

4.0

なんじゃ、この“大人版ホーム・アローン”みたいなワクワク感は!
Mr.ノーバディの父親がクリストファー・ロイドというキャスティングも絶妙。随所にほんのり香るジョン・ウィック風味を探すのも楽しい。

スポンティニアス(2020年製作の映画)

4.0

ある高校の3年生たちが前触れなく次々爆発するという突拍子もない恐ろしい設定ながら、なぜか幸福感で満たされる不思議な映画。
いつ誰が“死”に選ばれてもおかしくない…なんて現実味がないけれど、映画の中の状
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幸せの答え合わせ(2019年製作の映画)

4.0

主要人物は三人、助演は絶景(原題でもあるHope gapという入り江)。
アネット・ベニング演じる自己愛の強い女性が、長年連れ添った夫(ビル・ナイ)から突然、愛人の存在と離婚を宣言され…というストーリ
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スローターハウス・ルールズ(2018年製作の映画)

3.1

舞台は場末のホグワーツみたいな全寮制の学校。
転校生がフィン・コール君でルームメイトが黒髪ふっさりエイサ君、先生がサイモン・ペグ、いじめられっ子に「ロケットマン」で子供エルトンを演じてたキット・コナー
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ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから(2019年製作の映画)

4.0

主人公の二人が出会うシーンが本当にキュート。
ストーリーはそれはもうツッコミどころ満載だが、そんなことはどうでもよい。
だってラファエルとオリヴィアがあまりにもチャーミングだし、それより何よりフランス
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ドリームランド(2019年製作の映画)

3.5

この作品を見ていたら、庵野秀明氏の「構図がよければ動かなくてもいい」というような趣旨の発言を思い出した。(その時はアニメのこと指していた)

モーテルでのシャワーシーンの構図なんて、もう忘れられないと
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