和桜さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

和桜

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ソムニア 悪夢の少年(2016年製作の映画)

4.0

不慮の事故で息子を亡くした夫婦が養子を迎え入れる。その男の子はとても良い子なんだけど、見ている夢を無意識に具現化してしまうという秘密を抱えていた。夢を通して本当の息子に会いたい母親、それを勇める父親、>>続きを読む

たまこラブストーリー(2014年製作の映画)

4.1

「たまこまーけっと」の劇場版。
京アニの中でも賛否分かれたこのテレビシリーズを、山田尚子監督&吉田玲子脚本のコンビが再び映画として賛多めの評価にまで引き上げた。
個人的にはテレビ版で見せた謎世界観も好
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ピカソ-天才の秘密/ミステリアス・ピカソ(1956年製作の映画)

3.9

ピカソの製作過程を様々な角度から撮影し、彼の思考を探ろうとする実験的なドキュメンタリー。ここで描かれた絵の殆どは処分されたため、この映像はフランス政府から国宝にも指定されている。ここでしか見られない、>>続きを読む

イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり(2019年製作の映画)

3.7

カンボジアで気球に乗った事があるんだけど、その時は景色を楽しむ余裕すらないままに怖い思いをしただけで終わってしまった。
そんな自分でも、気球に乗って世界記録に挑戦している気分になれるのが映画の素晴らし
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街の恋(1953年製作の映画)

3.3

「この作品はきらめく愛のような感動的な物語ではない。主役は映画俳優でなく大都市に住む市民たち。彼らの記録である。」
「我々が求めていたのは身近にある現実のみ、かつて無い映画表現を徹底的に追及したのだ」
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キャビン・イン・ザ・ウッズ(2012年製作の映画)

3.8

ジャスティン・ベンソン&アーロン・ムーアヘッド監督コンビの長編デビュー作。改めてこの二人にはセンスしか感じない。
若手監督の中でもこのコンビと『マジカルガール』のカルロス・ベルムト監督はめちゃくちゃ推
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ロスト・イン・ラ・マンチャ(2001年製作の映画)

3.3

数々のアクシデントによって撮影中止に追い込まれたテリー・ギリアム監督の『ドン・キホーテを殺した男』。この舞台裏を写したドキュメンタリー。
ただしこの作品はギリアムの嘆きそのものなので、ゴタゴタのあった
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キングダム(2019年製作の映画)

3.2

原作ファンとしては、序章とも言えるこのパートに二時間以上費やしてくれた事が本当に嬉しい。原作を細切れにして無理やりまとめられる映画が多いなかで、これは本当に有り難いこと。予算含めて本気でシリーズ化して>>続きを読む

誰でもない女(2012年製作の映画)

4.2

第二次世界大戦後、ノルウェーではドイツ兵と関係を持った女性達が迫害され強制収容所へ送られた。そしてその子供たちもまた過酷な人生を歩まされた。この歴史に対する裁判の過程で明らかとなる一人の女性の半生と秘>>続きを読む

サイド・エフェクト(2013年製作の映画)

4.0

新薬の副作用で夢遊病となった鬱患者が夫を殺害。薬を処方した医師は責任を問われるも、不可解な出来事の数々に納得いかず真相を突き止めようとする。

あまり相性のよくないスティーブン・ソダーバーグ監督作品。
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サマー・オブ・84(2017年製作の映画)

3.6

田舎町で発生した連続殺人事件。オカルト好きな少年は隣の警察官が殺人犯ではないかと疑い、親友たちと共に調査を始める。
経験したことなんてないはずなのに、どこか懐かしさを感じるひと夏のジュブナイルホラー。
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オペラハット(1936年製作の映画)

3.8

田舎の若者が大富豪の遺産を相続することに。マスコミや大衆はどんな人物がやってくるのかと騒ぎ立てるが、彼は遺産に興味無し。群がる人間や噂に嫌気がさす中、一人の女性と出会い恋に落ちる。

自身のアカデミー
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山河遥かなり(1947年製作の映画)

3.7

第二次世界大戦後、ドイツに強制連行された子供たちの救出に苦戦する連合軍。助けにきた兵士の軍服を見て、また同じ目にあわされるのではと恐怖を感じた子供たちは幾度となく脱走を図っていた。
冒頭でそんな背景が
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ペパーミント・キャンディー(1999年製作の映画)

4.1

ある男の人生を遡っていく列車。
人生を時系列順に見ていけば、様々な変化はあれど一人の人間の同一性は保たれているように見える。
だけどこれを逆から見ると、時間が飛ぶ毎に別人とも思える性格や姿が現れてくる
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コーヒーをめぐる冒険(2012年製作の映画)

3.8

大学を勝手に辞め、仕送りも打ち切られた放蕩息子の一日。原題『ベルリンのコーヒー』に対して、行く先々でコーヒーを飲もうとするのになかなか飲めない姿を上手く表した邦題だと思う。英題『Oh Boy』も内容的>>続きを読む

ジャングル・ブック(2015年製作の映画)

3.5

狼に育てられた少年モーグリ。彼以外は全てCGであり、そのクオリティの高さにまず驚く。
これからどんどん求められていくであろう、リアルさを追及しながら違和感を与えない映像の追及。このバランスに四苦八苦し
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ゲームの規則(1939年製作の映画)

3.3

上流階級のあれやこれやの世界。
彼彼女らにとって不倫すらゲームであり、いたるところでそんな関係が結ばれている。ただしゲームなのでルールはあって、バレたら激しい争いが勃発する。
どの口が言っているんだろ
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蛇のひと(2010年製作の映画)

3.5

wowowシナリオ大賞受賞作。
優秀で人徳もある上司が横領の容疑をかけられたまま失踪。永作博美演じる部下がその行方を追う。様々な人物に話を聞いていくうちに、彼と関わった人間が悉く不幸になっている事に気
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ハーフ・ア・チャンス(1998年製作の映画)

3.7

ルコント監督お得意の、違う人生を歩んできた人間同士の出会いと友情。ただ今回はそのきっかけが「娘」を名乗る存在によって引き起こされる。
二人の男を同時に愛したと、さも美しい事のように語る母の遺言から始ま
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死の谷間(2015年製作の映画)

3.0

放射能によって地上での住みかを失った地球。奇跡的に核汚染から逃れた谷で孤独に暮らす女性のもとへ、防護服を着た一人の男がやってくる。二人が打ち解けた頃、さらにまた別の男がやって来る。

原作はロバート・
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見えない目撃者(2019年製作の映画)

3.7

点字ブロックを確認した瞬間、一心不乱に全速力で駆け抜けていく盲目の女性。この画が力強すぎて感動してしまった。
警察学校を優秀な成績で卒業し、元々は目が見えていたという設定が前提だけど、見えない制約と見
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ママの遺したラヴソング(2004年製作の映画)

4.0

疎遠だった母の訃報。親の喪失や確執を抱える娘が故郷へ帰り、母の友人たちと出会い暮らすことで立ち直っていく。よくある話だけど、台詞や風景がとにかく美しい。

スカーレット・ヨハンソンという女優の名前を強
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オアシス(2002年製作の映画)

3.9

他人の価値観では図りきれない二人の関係。だから当てはまる言葉が見つからないし、これも自分の勝手な押し付けなのかもしれないけど、想像と呼ぶにはあまりに美しい二人の姿は他人から見えない形で確かに存在してい>>続きを読む

震える舌(1980年製作の映画)

3.4

ホラー的な評価が先行するものの、実際は作者の体験に根差して一つの病気の恐ろしさを伝える社会派映画と言っても良い。耳を塞ぎたくなる叫び声、体は何度も痙攣をおこし、顔面は血だらけ。原因が分からなければより>>続きを読む

泣きたい私は猫をかぶる(2020年製作の映画)

3.6

父親の再婚で自分の居場所がなくなったと感じるムゲ。好きな男の子にアタックするも毎回避けられ、学校では無限大謎人間とからかわれる。そんな彼女の秘密は猫に変身できる事で、その時だけはなにも知らずに遊んでく>>続きを読む

Visit(英題)(2020年製作の映画)

4.0

コロナ禍の日常を描いたジャ・ジャンクー監督の短編映画。以前の世界を、そして自身がこれまで撮ってきた映画すらも懐かしむような寂しさ。それでいて監督の柔和な眼差しは変わっていなくて安心した。コロナ後の世界>>続きを読む

フレンチアルプスで起きたこと(2014年製作の映画)

3.9

スウェーデン映画界の中でも異色の才能を放つリューベン・オストルンド監督作。ある家族が雪崩に巻き込まれそうになり、その時とった父親の行動が原因で夫婦の関係に亀裂が走る。雪崩に巻き込まれた話ではなく、巻き>>続きを読む

裸のキッス(1964年製作の映画)

3.8

ジャズのリズムに合わせて娼婦のケリーが元締めの男を徹底的に殴りまくる。男が倒れると華やかな音楽と共に鏡へ向かい、カツラと化粧を直して二年後の本編へ。冒頭からとにかく最高すぎるフランク・ミュラー監督作品>>続きを読む

エヴォリューション(2015年製作の映画)

3.3

女性と少年だけが暮らす島で、謎の薬や検査を施される少年たち。違和感を感じた一人の少年は、その謎を明らかにしようと大人達の世界を覗き見る。大人の秘密にろくなものはないのかという、多少SFチックな一応は少>>続きを読む

皆殺しの天使(1962年製作の映画)

4.0

宴の後、屋敷の外へ出ることが出来ないと気づくブルジョア達。屋敷に細工はなく、誰かに閉じ込められているわけでもない。ただ「出られない」という認識だけを共有しパニックに陥っていく。
集団心理から政治/文明
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ルパン三世 グッバイ・パートナー(2018年製作の映画)

3.8

劇場一作目で行われたトンデモ展開とSF要素を踏襲するかのような流れは好き。あれに比べると時勢をパロったようでチープなんだけど、小さい子達にも楽しめる派手さはあったと思う。なによりタイトルにあるルパンと>>続きを読む

ベルリン・シンドローム(2017年製作の映画)

3.5

五月に公開される『ブラック・ウィドウ』のケイト・ショートランド監督。この監督さんは女性監督として徹底して暴力に晒される女性を描き続け、そこからの反撃を描いてる。精神的にも肉体的にもかなり痛々しい描写や>>続きを読む

RAW〜少女のめざめ〜(2016年製作の映画)

4.1

この手のテーマや映像は設定の奇抜さだけで乗り切ろうとする作品が多くて飽きてくるんだけど、この作品には最後まで惹かれてしまった。
相反する存在同士の共生を謳って、男女のロマンチックな交わりで乗り越えよう
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セブン・サイコパス(2012年製作の映画)

4.2

ある種の自己犠牲や死に様を描き続けてきたマーティン・マクドナー監督。今作は北野武作品が大好きな彼の趣向が最も込められたノンストップなサイコパス映画。毎度のことながら劇作家だけあって脚本が天才的でタラン>>続きを読む

グレート・ビューティー/追憶のローマ(2013年製作の映画)

3.6

嫌みを言いながらセレブコミュニティに入り浸る初老の元小説家。初恋相手の訃報を聞いた彼は動揺し、空虚となった世界を彷徨いながら人生の意味を見い出そうとする。まさにイタリア上流階級の贅沢な悩み。
人生の終
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蛇イチゴ(2003年製作の映画)

3.9

嘘の中にこそ真実を見いだしてきた西川美和監督のデビュー作。彼女の名前を知らしめたのは次作『ゆれる』だけど、この映画も西川監督らしい「嘘」を基調にした完成度の高い作品。ちなみにプロデューサーには師匠であ>>続きを読む