和桜さんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

和桜

和桜

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ミッドナイト・スペシャル(2016年製作の映画)

3.7

不思議な力を持った少年とその父親の逃走劇を描いたSFドラマ。置かれた状況や目的地すら観客に説明しないまま、誘拐犯としてFBIやカルト団体まで彼らを捕らえようとする。
ファーストコンタクト的な歴代のSF
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デイアンドナイト(2019年製作の映画)

3.2

大手自動車メーカーの庇護を受ける企業城下町を舞台に、不正を訴えた町工場の社長が自殺する。残された家族は被害を被った周囲から村八分にされ、その息子は父は間違っていたのかと自問しながら、犯罪によって施設の>>続きを読む

カリスマ(1999年製作の映画)

3.7

「カリスマ」という木を巡る様々な勢力の争い。ある者は木を守るために、ある者はその木を伐採するために、ある者は木を使って森すらも殺すために、ある者はお金を使って買収しようとする。そんな中でたった一人、中>>続きを読む

ストレンジャー/謎のストレンジャー(1946年製作の映画)

3.5

アメリカの田舎町に潜伏するナチ残党を追い詰める様子を描いた、オーソン・ウェルズによるサスペンス映画。彼の作品としては少し点数を低めにつけたけど、戦後すぐに現代でも指摘される問題を描いてしまう辺りはさす>>続きを読む

ザ・ピーナッツバター・ファルコン(2019年製作の映画)

3.9

映画スターを夢見るダウン症の青年が、監督にその想いを訴え爆誕したロードムービー。
プロレスラーを夢見て施設を飛び出す旅の始まりはそんな現実と重なり、出会いやプロレス演出を通して普遍的な寓話へと生まれ変
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追想(2018年製作の映画)

3.8

家柄の違う若い男女の恋物語。文字通りの恋物語で、結婚初日にお互いが抱えた秘密や不満が露見してしまう。各々が思い抱く恋と愛の違いからすれ違い続ける二人の人生を、どんな表情で見ていればいいのか分からなくな>>続きを読む

戦争のはらわた(1977年製作の映画)

4.1

初めて見たときに敵味方が分からなくなり混乱してしまったのがこの作品。当時はこの手の映画はドイツ側=ナチスくらいの感覚で見ていたから、ドイツ側であるはずの主人公達がナチスやヒトラーをボロクソ言っているの>>続きを読む

ちいさな独裁者(2017年製作の映画)

3.6

1945年4月、終戦間近のドイツでは敗戦を悟った兵士たちによる軍規違反が相次いでいた。主人公であるヘルトロもまた追われる身となった脱走兵の一人だったが、将校の車から軍服を見つけた事で大尉に成り済ます決>>続きを読む

ANIARA アニアーラ(2018年製作の映画)

3.1

ノーベル文学賞を受賞した詩人であり小説家ハリー・マーティンソン原作のスウェーデンSF。放射能汚染された地球から火星へと飛び立ったアニアーラ号が、事故によって軌道を外れ彷徨い続ける。
1950年代初頭に
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アンジェリカの微笑み(2010年製作の映画)

3.9

孤独なユダヤ人青年イザクが、亡くなった令嬢アンジェリカの最後の写真を撮って欲しいと頼まれる。カメラを介して自分に微笑んでいるように見えた事から、イザクは彼岸の存在である彼女に段々と魅入られていく。10>>続きを読む

読まれなかった小説(2018年製作の映画)

4.5

人が集えば会話が始まる。それは議論、口論、対話へと変貌していき、トルコの風景や日常の中で様々な形の会話劇が進んでいくヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督作。
一見哲学的にも見えるけど、ドストエフスキーやトルス
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テリー・ギリアムのドン・キホーテ(2018年製作の映画)

4.3

今作が完成するまでの30年近い年月と挫折の全てが、原作のメタ構造を更に加速させる。役者と脚本を何度も変えながらようやく完成した、個人的には最高傑作と評してもいいギリアム版ドン・キホーテ。
夢の中を生き
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勝手にふるえてろ(2017年製作の映画)

3.1

雪景色に佇む黒柴の可愛らしさ。。
マッキーペンのキュキュッて音や、隣から聞こえてくるオカリナBGMの秀逸さ。
個人的には周囲の人間がボロボロになってる事を忘れさせるくらい吹っ切れて欲しかったけど、そこ
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父の秘密(2012年製作の映画)

3.7

メキシコの新鋭ミシェル・フランコ監督。ハネケ系譜の若手監督としてカンヌ常連にまで登り詰めるだけあって、初期作から自身の作風が完成されてる。
決して登場人物の側には立たず、固定カメラからその日常を静かに
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グリーン・インフェルノ(2013年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

大学生の活動家サークルが森林伐採を止めるためアマゾンへ。帰りの飛行機が墜落してしまい、運良く生き残った者たちには更なる悪夢が待ち受けていた。
オマージュ元の『食人族』は見たことがないんだけど、そういう
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ゴッホ~最期の手紙~(2017年製作の映画)

4.0

長年の間、一般的には自殺したとされてきたフィンセント・ファン・ゴッホ。ただこれには不可解な点も多く、この映画は綿密な調査で提唱された新説に基づいて、ミステリー調にゴッホの死因を探っていく。
ゴッホの遺
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スペースウォーカー(2017年製作の映画)

3.7

人類初の宇宙遊泳を成功させたソ連の宇宙飛行士を描いた実話。地球でのシーンは多少の予算不足を感じるが、宇宙での映像や臨場感は中々のもの。宇宙空間の劇場体験では未だ頂点にあると思ってる『ゼロ・グラビティ』>>続きを読む

インヒアレント・ヴァイス(2014年製作の映画)

3.6

トマス・ピンチョンの小説を原作にポール・トーマス・アンダーソン監督が撮った探偵もの。PTA作品はあまりハマれないものもあるけどこの作品は好き。
『チャイナタウン』のフィルム・ノワールやレイモンド・チャ
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海底47m(2017年製作の映画)

3.2

このレビューはネタバレを含みます

サメを間近で見るためにワイヤーの付いたゲージに閉じこめられたまま海底で宙吊りにされる「シャークゲージダイビング」。こんなのよくやろうとするなとは思ってしまうけど、海底に落ちていく瞬間の絶望感は凄まじい>>続きを読む

若者のすべて(1960年製作の映画)

3.8

イタリア南部からミラノの大都会へ移り住んだ兄弟と母親の顛末を描くルキーノ・ヴィスコンティ監督作。ネオレアリズモ作品として南北イタリアの経済格差や当時の暮らしをドキュメンタリータッチで映してある。
原題
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ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

3.9

戦場ではなく戦時下の家庭や日常を、子供の想像力で彩りながら寄り添い見つめ続けるワイティティ監督。
我が子がナチに心酔していく姿に困惑し、見ていることしか出来なかった親は確かにいたわけで、現代でも同じ事
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エレファント・ソング(2014年製作の映画)

3.4

精神病院から失踪した医師の行方を探るため、院長は最後に会ったとされる患者と面談をする。
教える代わりに自分のカルテを見ないこと、先入観を持たずにありのままの自分を見て欲しい。そんな患者の条件を受け入れ
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Virginia/ヴァージニア(2011年製作の映画)

3.0

『コッポラの蝴蝶の夢』みたいなフランシス・フォード・コッポラ監督の幻想的な物語は好きなんだけど、これは少し微妙かも。スランプに陥ったオカルト作家、訪れた町には変死体、現れる亡霊たち、夢の中で小説の相談>>続きを読む

ダーク・スター(1974年製作の映画)

3.8

ジョン・カーペンター監督のデビュー作。
長年の宇宙開拓で疲弊した宇宙飛行士達とエイリアンやAIとのディスコミュニケーションが描かれる。縁の下の力持ち的なコンピュータちゃんやウキウキの爆弾19号に自問す
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水の中のナイフ(1962年製作の映画)

3.7

倦怠期の夫婦とたまたま出会った若者がボートの上で休暇を過ごす。90分近くそれを見せられているだけなのに全く飽きない。水上という閉鎖空間で次に何が起こるのかという緊張感、白黒で映し出される水面の美しさ。>>続きを読む

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

4.0

格差や階級社会の中で生まれる立ち位置の違い。視野の違いから互いに見えない現実を、五感に訴え痛快に示すポン・ジュノ監督作。
最近流行りの「見えない人々」と「見ようとしない人々」の話であり、監督の言葉を借
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生きてるだけで、愛。(2018年製作の映画)

4.2

主人公が突然走り出す系映画って大体が置いて行かれることが多いんだけど、この映画は見事に入りこめた。完全に一緒に走ってた。それくらいめちゃくちゃ好きな映画。
始めこそ登場人物たちへのマイナスの感情がうご
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青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない(2019年製作の映画)

3.9

題名はあれだけどかなり面白くSF(サイファイ)してる作品。
シュレディンガーの猫好きな日本アニメの中で、量子力学のあくまでワードや概念を組み合わせながら様々な現象を組み立ててきたTVシリーズの総決算で
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億男(2018年製作の映画)

3.2

川村元気原作らしいお金にまつわる自己啓発的な映画。宝くじで当たった3億円を親友に盗まれた男が、様々な人間と出会いお金との向き合い方を学んでいく。この展開だけでオチを言ってるようなものだけど手堅くまとま>>続きを読む

甘き人生(2016年製作の映画)

3.3

「どんなに怒りを感じたとしても、母親がいるのはそれだけで幸福なことなんだ」
幼い頃に母親を亡くした少年が、喪失感を抱えたまま大人になっていく。その悲しみや苦悩を描いたマルコ・ベロッキオ監督作品。
喪失
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私が、生きる肌(2011年製作の映画)

3.5

妻と娘を失った整形外科医は亡くなったはずの妻とそっくりの女性と暮らしている。軟禁状態の彼女の正体と秘密を暴くアフモドバル監督作品。
スペインは独裁政権下の影響からか、復讐映画のクオリティが尋常じゃない
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孤独なふりした世界で(2018年製作の映画)

3.8

原因不明のまま人類が死に絶えた世界。なぜか一人だけ生き残った司書は、街の住人の死体を土に埋める日課をこなしながら孤独な世界に満足していた。そんな日常に一人の女性が突如現れることで、自身の世界は乱されな>>続きを読む

スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け(2019年製作の映画)

3.6

全ての元凶はプリクエル(EP1-3)が過剰なまでに批判されたことにあると思う。あれさえ無ければルーカスが離れる事は無かったし、新体制であったとしてもここまで目配せして撮ることも無かったはず。だからこそ>>続きを読む

ザ・レッスン 授業の代償/ザ・レッスン 女教師の返済(2014年製作の映画)

3.9

年間数本しか映画が撮られないというブルガリアの作品。自国で映画を撮るという文化が根づきにくいとか読んだけど、その数本の中に良作が多いんだから面白い。
教室での盗難事件や唐突に知らされる夫の借金と自宅の
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羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来(2019年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

人間社会に様々な妖精が隠れて表面的には共存している世界。人間側の森林開発により住処を追われた猫の妖精が、自身の居場所を求めて放浪する。一旦は仲間や居場所を見つけたかと思えば敵に襲われ、その敵と旅をする>>続きを読む

心と体と(2017年製作の映画)

4.1

雪の降り積もる森の中で戯れる二匹の鹿。片方は自分であり、眠る度に何度も繰り返し見てしまう鮮明な夢。もう片方の鹿として同じ夢を見る女性に出会うことで、現実の見え方までも少しずつ変わっていく。
日中はお互
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