ジジイさんの映画レビュー・感想・評価

ジジイ

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マリとユリ(1977年製作の映画)

4.0

歳若い夫婦の不器用だがまっすぐで情熱的な愛を目の当たりにして、長年連れ添った夫との関係を見直すことになる中年女性の物語。面白かった。1977年作。女性二人の友情を描いているが、仮にこれが男性二人だった>>続きを読む

七人の侍(1954年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

何度目かの鑑賞。観終わってもなお心があの村にとどまっているかのような感覚。圧倒的なリアリズムが、全て自分の眼前で起こっていることの(或いは日本人のDNAの記憶が呼び起こされる?)ように思わせるのだと思>>続きを読む

異人たち(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

死別によって奪われ、それを取り戻すかのように行われる両親との会話が切ない。しかもそこに同性愛が絡んでくるから、せっかく与えられた機会が楽しいだけの内容にはならない。特に父親と本音で交わされる会話には泣>>続きを読む

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

3.5

面白かった。終始ゲラゲラ笑いながら観ていたがまさか泣かされるとは。「架空OL日記」の時もそうだったけど坂井真紀は完全に気配消してて、全く分からなかった。

昼顔(1967年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

ラスト、ユッソンがピエールに真実をばらすのを何故セブリーヌは止めなかったのか。ピエールに対する贖罪の気持ちがあったからなのだろうか。しかしそもそもセブリーヌには「良心の呵責」という概念がないのだろうか>>続きを読む

プリシラ(2023年製作の映画)

4.0

プリシラプレスリー本人の回顧録「私のエルヴィス」を基に、彼女がエルヴィスと初めて出会ってから大邸宅グレースランドでともに暮らすまでの約10年間が描かれる。歳の差で言うと10歳であるが、当時まだあどけな>>続きを読む

ゴッドランド/GODLAND(2022年製作の映画)

3.6

「若きデンマーク人の牧師ルーカスが司教からの命を受けて植民地アイスランドへの布教の旅に出る。彼が成し遂げるべき最も重要な任務は辺境の村に教会を建てること」だった…という物語。終盤までは面白く鑑賞できた>>続きを読む

溶岩の家(1994年製作の映画)

4.2

「ヴァンダの部屋」のペドロコスタ監督作品。1994年。アフリカ最西端の島カーボヴェルデからリスボンに出稼ぎに来ていた男が仕事中に怪我を負って入院。意識が戻らぬ中、差出人不明の手紙の要請で、付き添いの女>>続きを読む

デリシュ!(2021年製作の映画)

-

記録。時代考証などはしているのだろうが、ストーリーにやや無理を感じた。「ポトフ」のようなクオリティを期待していたが、個人的には役者も演出も合わなかった。

私がやりました(2023年製作の映画)

4.0

フランス動員100万人超えのクライムコメディ。面白かった。よく練られた脚本が見事。監督はもともと文学界が舞台であった原作の戯曲を映画界に改編し、MeToo運動をきっかけにこの物語を書き上げたという。そ>>続きを読む

美と殺戮のすべて(2022年製作の映画)

4.1

写真家ナンゴールディンの生い立ちとその創作の歴史を辿りながら、同時に自身も死にかけたという鎮痛薬オキシコンチンの中毒性の告発と(それによって莫大な利益を得た)サックラー家糾弾活動を追うドキュメンタリー>>続きを読む

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.2

まだご覧になってない方々にひとつだけ言いたいのは、映画「オッペンハイマー」はオッペンハイマーだけの物語ではなく、彼を憎むルイスストローズ(ロバートダウニーJr)の視点の物語でもあるということだ。ルイス>>続きを読む

女は二度生まれる(1961年製作の映画)

4.0

九段界隈と言えば靖国神社、日本武道館、千鳥ヶ淵などのイメージであるが、昭和初期まで新橋、神楽坂に並ぶ花柳界として栄えた場所であったらしい。芸のない芸者として客に身体を売りながら日銭を稼いでいる小えんを>>続きを読む

クライムズ・オブ・ザ・フューチャー(2022年製作の映画)

3.3

この作品は20年前に企画され、ベストなタイミングを測って世に出されたのだという。監督が指摘するように、われわれの身体にはすでにマイクロプラスティックなどの合成樹脂が蓄積しつつあるようなのだ。加えて添加>>続きを読む

アイヌモシリ(2020年製作の映画)

3.5

とても興味深かった。「イヨマンテの夜」という古関裕而作曲の歌は記憶にあったが、これがアイヌ語であり何を意味するのかも全く知らなかった。出演者のほとんどが実際のアイヌの人たちで、教師役の三浦透子も北海道>>続きを読む

ともしび(2017年製作の映画)

4.2

夫の収監により日常を破壊された老いた妻の、日々強まってくる孤独と焦燥に息が詰まりそうになった。相手がいる場面でもカメラは基本シャーロットランプリングの能面のような表情をメインに捉えているので、これはも>>続きを読む

世界一キライなあなたに(2015年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

映画を観る直前、たまたま報道番組で安楽死を実行すべくスイスに渡った何人かの日本人のドキュメントを見ていた。ベッドに横たわり点滴を装着した患者に、医師がこれから起こることの確認をし、患者自ら点滴を開くと>>続きを読む

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.5

濃密な2時間46分。パート1が2時間35分だから、よくこの内容を詰め込んだなぁという印象。面白かった。でもやっぱり物語自体は体感ほど進んではいない。これから観る方はパート1をおさらいしておいた方がいい>>続きを読む

女系家族(1963年製作の映画)

4.0

米倉涼子のテレビ版も悪くなかったのだが、映画はそれを凌ぐ面白さだった。大阪船場の老舗木綿問屋の当主が亡くなり、残された三姉妹の間で熾烈な遺産相続争いが起こるが、意外な人物の存在が明らかとなり…という物>>続きを読む

ヘカテ デジタルリマスター版(1982年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

思えば出逢いの瞬間の会話が全てであった。「分かるよ」と言うジュリアンに対して、クロチルドは「なぜ人はいつも理解しようとするのかしら」と返す。言葉はいつも遅く、また早すぎる、と。直感に従って「永遠の今」>>続きを読む

清作の妻(1965年製作の映画)

4.2

吉田絃二郎の同名小説を新藤兼人が脚色、増村保造が監督した。1965年公開。主演の若尾文子は当時31歳くらいであろうか、脂が乗って演技にも磨きがかかっている。かなりハードな役で彼女自身も「転機になった作>>続きを読む

祇園囃子(1953年製作の映画)

4.0

ファーストカットから美しい。完璧な構図で切り取られた美しい京都の花街を舞台に描かれる、二人の芸妓の物語。姉妹のようで母娘のようで恋人のようでもある小暮実千代と若尾文子の醸し出す濃密な空気感に圧倒される>>続きを読む

青空娘(1957年製作の映画)

4.0

若尾文子出演の映画は「浮草」「赤線地帯」くらいしか観ていないが、U-NEXTの見放題が終了するらしいので、以前より秀逸なジャケットが気になっていた主演作を観てみた。伊豆の高校を卒業した主人公が上京し、>>続きを読む

季節のはざまで デジタルリマスター版(1992年製作の映画)

4.0

「デジャヴュ」の興奮がおさまらないまま、連続鑑賞。こちらは監督自身の少年時代の記憶から祖父母が経営していたホテルを基に脚本を執筆したという。面白かった。本作も過去と現在が絶妙に交錯するつくりになってい>>続きを読む

デ ジャ ヴュ デジタルリマスター版(1987年製作の映画)

4.2

初ダニエルシュミット。17世紀のスイスの英雄イェナチュの墓を発掘した学者を取材した記者が不思議な既視体験に飲み込まれていき…という物語。面白かった。イェナチュはいったい誰に殺されたのか?この謎に取り憑>>続きを読む

パリタクシー(2022年製作の映画)

4.0

原題は「美しき旅路」。自宅から老人ホームに移る高齢の女性と、彼女をパリを横断する形で運ぶことになったタクシー運転手の一期一会の物語。途中思い出の場所に立ち寄りながら、女性の過去が次第に明らかになってい>>続きを読む

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

4.0

家族のほとんどが医者で富裕層の黒人作家である主人公が、世間が執拗に求めてくるステレオタイプの黒人像に嫌気がさして、ヤケクソで書いた「暴力とドラッグと貧困に満ちた」黒人の小説が思わぬ反響を呼び…というコ>>続きを読む

ヴェルクマイスター・ハーモニー 4Kレストア版(2000年製作の映画)

4.0

初タルベーラ。ちょっと寝てしまったけど、思ったより楽しめた。2000年の作品だが、2024年の現実世界とリンクする部分もあり怖ろしくもあった。146分で37カットという驚異的な長回しで、観るものを否応>>続きを読む

リトル・リチャード:アイ・アム・エヴリシング(2023年製作の映画)

4.2

1950年代から草創期のロックンロールに決定的な影響を与えたアーティストの波瀾万丈の人生を追ったドキュメンタリー。素晴らしかった。のっけからオネエ全開でピアノを弾く彼の姿に圧倒される。名前と数曲のヒッ>>続きを読む

ドミノ(2023年製作の映画)

-

劇伴は「ダークナイト」、視覚効果は「インセプション」、物語の構造は「マトリックス」みたいなロバートロドリゲスのSF映画。確信犯だしツッコミどころ満載だけど案外楽しめた。監督によればヒチコックの「めまい>>続きを読む

サンドラの週末(2014年製作の映画)

4.0

ダルデンヌ兄弟監督作品。2014年。体調不良で休職していたサンドラ(マリオンコティヤール)が工場に復職しようとすると突然、解雇を言い渡される。社長に直談判して何とか週明けに、社員に提示されたボーナスを>>続きを読む

コヴェナント/約束の救出(2023年製作の映画)

4.0

2021年アメリカがアフガン撤収を発表したわずか数ヶ月後、タリバンは首都カブールを制圧した。その後米軍に協力したアフガン人数百人が処刑され、今なお1000人が国内で身を隠して生活しているという。本作は>>続きを読む

落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.5

カンヌパルムドール、ゴールデングローブ賞などの高評価に違わぬ傑作。面白かった。雪山の山荘で男が転落死、その妻に殺人容疑がかかり…という物語。主演のザンドラヒュラー(「希望の灯り」など)の圧巻の演技と法>>続きを読む

赤い河(1948年製作の映画)

4.0

1948年、ハワードホークス×ジョンウェイン。実話ベース。とにかく画面を覆い尽くす何千頭もの牛の群れの迫力がすごい。ダンソン役は当初ゲーリークーパーにオファーされていたらしい。これが映画デビューの若き>>続きを読む

正欲(2023年製作の映画)

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誰かのレヴューで「人は性癖だけで繋がっているのではない」という指摘があって、なるほどと思った。「普通」とされる性癖であっても細かく見ていけば、「フェチ」の対象は無数にあるのであって、それが完全に合致す>>続きを読む

めぐりあう時間たち(2002年製作の映画)

4.2

再鑑賞。公開当時も感動した記憶があるが、配信で観ても3人の女優の演技は素晴らしく、3つの時代が複雑に絡み合う構成も面白い。ヴァージニアウルフの写真を見ると確かに特徴的な鼻をしているが、付け鼻のニコール>>続きを読む

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