しんどうさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

しんどう

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孤狼の血 LEVEL2(2021年製作の映画)

4.2

マル暴の刑事、大上の魂が乗り移ったような変貌ぶりの日岡刑事のヤサグレ感が何とも良い味わい。対峙するヴィランとも言うべき上林の異常な非道ぶりも残酷であれば残酷な程、奮い立つかのよう。フィルムの質感もデジ>>続きを読む

ソウ(2004年製作の映画)

4.4

残酷さではそれまでのホラー、サスペンス映画では類を見ない。カラクリとしては単純だが、シンプルだからこそ思いっきり裏をかかれる。密室劇で恐らく低予算で作られているのだろうが、観客を引き込んで緊迫感、焦燥>>続きを読む

凪待ち(2019年製作の映画)

3.7

ギャンブル依存の主人公郁男の喪失と再生。そこから更に想いを馳せて映画の舞台石巻の人々の喪失と再生。これだけでもこの映画は傑作だが、主役を演じた香取慎吾の喪失と再生にも注目するとこの映画の深みが増すので>>続きを読む

最初の晩餐(2019年製作の映画)

2.8

配役がよくて期待していたのだが、やや残念。
亡くなった父の葬儀での食事をきっかけに父はどんな人物だったのか、少し秘密めいた家族が一体何だったのかを浮かび上がらせる。
何度見たようなテーマの既視感と
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ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

4.1

3時間の長尺。それなのに、長さを全く感じさせない。エピローグのあとにエンドクレジットが始まった時は、「あー、もっと見ていたいのに」と本当に思った。不思議な魔力に満ちた映画体験だった。

子供はわかってあげない(2020年製作の映画)

3.1

このレビューはネタバレを含みます

父親の正体が判明したときにシリアスな展開になっていくのかなと思ったら最後まで青春映画だった。
父親との距離、もじくんとの距離、高校生の複雑な心情と関係性が爽やかな夏模様と共に描かれていた。
2時間以上
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ザ・マスター(2012年製作の映画)

4.3

第二次大戦からの帰還兵であり酒浸りで放浪者の主人公と新興宗教の教祖で強いカリスマ性を持つ男との奇妙なつながりを描いたドラマ。二人の男を引き寄せたもののひとつに間違いなく孤独感があげられる。家族や友人も>>続きを読む

ゼア・ウィル・ビー・ブラッド(2007年製作の映画)

4.5

ダニエル・デイ・ルイスの映画。
と、言うか、出来上がった作品を観てしまうと、これだけのものを他の人が出来たか考えてしまう。 たぶん出来ないだろう。それぐらい役者の凄みを感じられる。
作品の冒頭、ひ
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楽園(2019年製作の映画)

3.0

限界集落で追い詰められる人間たち、役者さんたちがとても上手くて見応えあるが、2つの話の絡ませ方がこなれてなくてもうひとつ不完全燃焼。でも瀬々監督作品の中では好きな映画かな。全編痛々しくて救いがないけれ>>続きを読む

アンソニーのハッピー・モーテル(1996年製作の映画)

3.4

冒頭の精神病院というネタは、あまり生かされてないように感じた。
若い頃のデニス・ホッパーみたいなチョット危ないオーウェン・ウィルソンが、なぜか泥棒グループのリーダー格。
弟ウィルソンの純情な恋のシ
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ボーダー 二つの世界(2018年製作の映画)

3.6

全体的にグロテスクで衝撃だけど、とても綺麗なファンタジー、でも描かれている描写、痛みはあまりにもリアルで生々しく、思わず息を呑む展開の数々だった。
とにかく主人公ティナの存在感というかエヴァ・メラン
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在りし日の歌(2019年製作の映画)

3.8

中国の急速な近代化はこの映画の重要なファクターだ。一人っ子政策、経済改革に伴う集団回顧、経済大国化…かつての中国の行き過ぎた思想統制をちくりと描きつつ、ある夫婦の30年を追う。
濃密な人間関係、そして
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HOT SUMMER NIGHTS ホット・サマー・ナイツ(2017年製作の映画)

3.4

90年代のカルチャーと雰囲気にあふれた若者のひと夏の思い出青春映画。
ダニエルを演じるティモシー・シャラメの儚く頼りなさげな存在感がハマってた。
しかし、自分としてはどの人物にも感情移入できず、そのう
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EXIT(2019年製作の映画)

3.5

有毒ガスから逃れようとする主人公たち。ヒーロー然としたところがなく、いたって一般人の設定が良い。
山岳部出身は物語の性格上、やむなしとはいえ体力ありすぎないか笑?
残されたのは二人だけ?というのも気に
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浮草(1959年製作の映画)

4.0

小津安二郎が大映で撮った唯一の作品であり、宮川一夫のカメラを得て、美しい色彩と構図が冴えわたる傑作。
小津作品には珍しい俯瞰ショットがワンカットだけ出てきたり、松竹では考えられないような滝のような大雨
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転々(2007年製作の映画)

3.1

三木監督ファンであればきっとハマるだろうなあ。期待を裏切らないユルさに哀愁が同居している感じ。個人的には煮え切らないというか、本筋と小ネタどっちつかずの中途半端さも感じた。なにを見ても時効警察が浮かぶ>>続きを読む

イン・ザ・ハイツ(2021年製作の映画)

3.7

躍動感ある圧倒的なダンスシーン、人種差別に悩み苦悩する人々などミュージカルとしてもドラマとしても分かり易い映画だった。残念なのはその二つのシーンが絡み合って見えなかった所。特に差別化された人々の苦悩よ>>続きを読む

お早よう(1959年製作の映画)

4.0

テレビを買って欲しい子供たちを中心に主婦たちの人間関係のトラブルを描いていく。それがいくつものエピソードを織り成しながら展開していく。この入り組んだストーリーを表現するように、人物たちの住む住宅地の構>>続きを読む

麦秋(1951年製作の映画)

3.3

日常のさりげないひとコマひとコマを丁寧にすくい上げて描いていくといった徹底したディテールの積み重ねによって出来上がっている映画なのだなとつくづく思う。
大きなテーマとしては娘の嫁入りとそれを契機とした
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晩春(1949年製作の映画)

3.9

本当に小津安二郎という監督は凄いと再認識させられる作品だ。
27歳になってもまだお嫁に行こうともしない娘と妻を早くに亡くした父親。
自分が結婚してしまうことで父親の面倒をみる人がいなくなるという理
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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト(1968年製作の映画)

4.2

作品の内容は、さすがレオーネ、堂々とした演出。ゆったりとした余裕の演出で、スケールの大きさをさらに感じるものであった。
さらに、決闘シーンや銃撃シーンなど、大迫力である。モリコーネの音楽も格調高く、
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ペイ・フォワード 可能の王国(2000年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

人に手を差しのべることが如何に大事であるかを教えてくれる作品。その手がどれだけの人を勇気づけて、どれだけの人が必要としてるかを考えさせられる。オスメント君の好演が光ったが、ヘレン・ハントが母親として浄>>続きを読む

Arc アーク(2021年製作の映画)

2.7

とてつもない時間の流れをカラーとモノクロで使い分けるのはアイデアだと思うが、映される世界観に違いがなく、説得力に欠ける。一見、何もかも穏やかに進んでいくように見える分、インパクトなく、果たして生き続け>>続きを読む

鵞鳥湖の夜(2019年製作の映画)

3.6

「薄氷の殺人」に比べれば、ストーリーはいたってシンプルだが、シーン一つ一つの作り込みが半端ない。その人海戦術も中国ならではということか。それにしてもいずれも目に焼き付きそう。光のシルエットや音を効果的>>続きを読む

ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー(2019年製作の映画)

3.0

舞台はLA、優等生女子高生コンビモリーとエイミーが、卒業式前夜のパーティに乗り込む。
仲良し二人の会話が本当に楽しい。あけすけな表現を通して、高校生たちがリアルに見える。
同級生たちが多数登場する
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燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)

3.3

出演者はほぼ女性。
数名の男性が数カット出てくるが、女性目線で描かれている。
エロイーズとマリアンヌを演じた女優の凛とした佇まいが作品を厳格にしたと思う。
特に前半は2人とも笑顔をみせないだけに
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レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで(2008年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

「タイタニック」以来のレオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットの共演だが、同じようなラブストーリーを期待していると肩透かしを食らう。主人公は同じでも「タイタニック」のロマンスとは対極にある生々>>続きを読む

ザ・ライダー(2017年製作の映画)

3.8

地味だけど、この映画最高。馬への愛、自身の決着、同じくロデオ界のスターでありながら事故により今や1人で歩くこともできない兄貴分的存在の友人、妹や父親との関係。様々な感情がその映像からジワジワと内出血し>>続きを読む

カンバセーション…盗聴…(1973年製作の映画)

3.9

導入部の様々な盗聴テクニックで、映画に引きずり込まれた。掴みが上手い。
出演も、ジーン・ハックマン、ジョン・カザール、ロバート・デュバルなど豪華メンバー。
自分は盗聴などしたことないのだが、この映
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ジェイコブス・ラダー(1990年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

悪夢よりも辛い現実の描写、ベトナム戦争で使用されたと噂される幻覚剤など興味深く鑑賞した。陰気でくすんだ映像も雰囲気が出ていて良かったと思う。天国と地獄の演出も斬新。

心的外傷なのか軍の実験なのか・・
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街の上で(2019年製作の映画)

4.1

今泉力哉監督の作品では一番だと思う。
いくつもある長回しのシーンでは撮影・録音・演出などのスタッフの仕事と役者の演技が素晴らしく、彼らの生活をじっと見つめている感覚になり、それが共感につながっていく。
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ノマドランド(2020年製作の映画)

3.7

悲しみや喪失や病気など、色々な背景を持つ老齢者の皆が、「ノマド」という生き方を進んで選んだわけでは無いのだろうが、火を囲み仲間と語り合い、自然の中で眠る姿に、アメリカ的良き時代の郷愁と、老齢ゆえの束縛>>続きを読む

BLUE/ブルー(2021年製作の映画)

4.4

試合の勝ち負けだけが全てではない。そんな監督の思いと登場人物への温かい眼差しを感じた。これまで邦画でも幾つかのボクシング映画があったが、どちらかと言えば、サクセス・ストーリーでないところにこの作品の味>>続きを読む

JUNK HEAD(2017年製作の映画)

4.1

ダークだがユーモアのある独自の地下世界を創り上げた創造力と工夫満載のセットや細かい小道具の創作力、そしてストップモーション撮影をほぼ独力でやり遂げた強い意志に驚かされ圧倒された。
続編にお目にかかれる
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サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~(2019年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

「音」が聞こえることが全てではないということを学んだことで前向きになれると希望を持ったラストはとてもよかった。

主人公の苦悩を感じられる音の演出が秀逸。耳鳴り、無音、ノイズ、かすかな音、聞こえないこ
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セイフ ヘイヴン(2013年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

サスペンスタッチの恋愛ものだと思って観ていたら、最後に意外なオチが付いていて吃驚。まさかそっちに行くとは思わなかった。どこかで見たことがあるような感じもしたけど、この作品に関しては素直に感動。ヒロイン>>続きを読む