shxtpieさんの映画レビュー・感想・評価 - 14ページ目

マンチェスター・バイ・ザ・シー(2016年製作の映画)

5.0

あの『マーガレット』のケネス・ロナーガンの新作なのだから、間違いないだろうとは思ってたけれど、これほどとは……。映画館の暗闇の中から吐き出され、強い日差しの下で目を細め、湿気を孕んで膨らんだ空気を吸い>>続きを読む

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス(2017年製作の映画)

4.0

Vol. 2 はやくざ者の寄り合い所帯であるところのガーディアンズが家族という共同体へと成長していく物語で、いささか感傷的だけれど、そこは得意のユーモアで乗り切っており、前作に劣らぬクールな、感動的な>>続きを読む

機動警察パトレイバー2 the Movie(1993年製作の映画)

5.0

自衛隊の海外派遣、集団的自衛権、平和安全法制と憲法第9条、シヴィリアン・コントロール、市民の暴力を掌握する警察と軍隊ーー『機動警察パトレイバー2』は、近代国民国家が抱える問題に対する痛烈な批評で、未だ>>続きを読む

グレート・ウォリアーズ/欲望の剣(1985年製作の映画)

4.0

やっぱり最高! これはポップ版、あるいはヴァーホーヴェン版の『神々のたそがれ』だ。ペストが猛威を振るう中世ヨーロッパ世界、清純ビッチ(?)なお姫様を巡って知力を武器に戦う王子様と豪傑な傭兵のルトガー・>>続きを読む

パレードへようこそ(2014年製作の映画)

3.5

ぼくの精神は基本的に左翼なので、こういう映画にはダイレクトに心を動かされしまう。弱い。バッググラウンドを異にし、まったく無関係に見える者どうしが手を取り合い、連帯するーーバンドワゴンだ。それはもしかし>>続きを読む

二郎は鮨の夢を見る(2011年製作の映画)

3.0

先日の NHK スペシャルが観られなかったので……。

素晴らしい……が、ドキュメンタリー映画としては散漫で、完成度は高くはない。語りがあっちへ行ったりこっちへ行ったりと単線的でないためにわかりづらい
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機動警察パトレイバー THE MOVIE(1989年製作の映画)

4.5

ひさしぶりに観たんだけれど、やっぱりおもしろい。リアリスティックなロボットアニメであり、かつ、キリスト教的暗喩を散りばめた刑事ミステリーであり、また見事な人間ドラマだと思う。

「トロイの木馬」なんて
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GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊2.0(2008年製作の映画)

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オリジナル版を借りたつもりがまちがえてしまった……。追加された cg があんまりにもひどい(特に冒頭のシークェンス、ひどすぎる)。不調和で、あの素晴らしいオリジナル版を台無しにしてしまっている。音質や>>続きを読む

マトリックス(1999年製作の映画)

3.0

当時、小学生だったぼくに与えた衝撃は計り知れず……。いやー、だって、でもね、ひさしぶりに観たら、あんまりにもキリスト教的で驚いた。サイバーパンクのクリシェに則った世界観は 1999 年のリリース当時で>>続きを読む

スリ(掏摸)(1959年製作の映画)

4.0

特権的な地位、資格を持つ者は貧しければ盗みをはたらいてもよい、という持論のもと、スリを繰り返す青年ミシェル。彼の報われぬ、罪深い魂の彷徨が美しきジャンヌ(マリカ・グリーン)のもとへと辿り着くラストシー>>続きを読む

抵抗(レジスタンス)-死刑囚の手記より-(1956年製作の映画)

4.0

クローズアップによってなにかを映さないことで語ること、あるいは映っていないものを音によって語ることで途切れぬ緊張感を醸成している。『抵抗』は他のロベール・ブレッソンの作品同様、徹底して禁欲的である一方>>続きを読む

ポール・ヴァーホーヴェン トリック(2012年製作の映画)

1.5

つまらなさすぎてびっくり。予算の少なさをもろに感じさせる。ヴァーホーヴェンのフィルモグラフィーの中でも最低の作品では。前半のドキュメンタリーも 10 分で済みそうなものなのに無闇矢鱈と冗長で、相当に退>>続きを読む

闇のバイブル 聖少女の詩(1969年製作の映画)

4.0

ワイズ・ブラッドもフェイヴァリットに挙げる、チェコのゴシック・ロリータ/ソフトコア・ポルノ/ホラー映画の金字塔的な『少女ヴァレリエと不思議な一週間』。純白のワンピースを着た少女が裸足で歩いていると、股>>続きを読む

ファンタスティック・プラネット(1973年製作の映画)

2.5

議会が重視され、その描写に時間を割くあたりが実にヨーロッパ的。最終的に独立を得るも、結論はかなりディストピックな悲観主義である。

ヒート(1995年製作の映画)

3.5

刑務所上がりで、ダイナーの厨房の仕事を斡旋されたが劣悪な労働環境に辟易し、ニールの計画に加担して悲劇的な最期を迎えてしまうアフリカ系の青年、ブリーダンの悲しみ。両親や母親の再婚相手であるヴィンセントと>>続きを読む

ジョン・ウィック(2014年製作の映画)

1.5

キアヌ・リーヴスと車がセクシー。劇伴、音楽がダサいのがダメだと思う。

バットマン ビギンズ(2005年製作の映画)

2.5

以降のシリーズとはちがい、なぜかサイバーパンク風なゴッサム・シティーを舞台とした素朴なバットマン映画。シリアスぶってはいるが……。

ダークナイト ライジング(2012年製作の映画)

4.0

法を破り身勝手な私刑をくだすバットマンに対して、狂えるジョーカーをコインの裏表の関係として描いた『ダークナイト』の続編で、映画の半分は失敗に陥っているが、もう半分は輝かしい瞬間を湛えている。ジョーカー>>続きを読む

ダークナイト(2008年製作の映画)

4.5

ドラマ化も話題になった東村アキコの『東京タラレバ娘』の名台詞のひとつに「出た…『ダークナイト』…。男は大好きだけど女が観ても面白くない映画 No. 1 …」というのがあって、それに対しては様々なリアク>>続きを読む

わたしは、ダニエル・ブレイク(2016年製作の映画)

4.5

これはセルフ・リスペクト、尊厳についての映画だ。尊厳とは「顧客」やフードバンクの受給書やくだらない履歴書や健康保険番号に宿るものではない。あなたの名前と結びついた身体や生へのアティチュードに宿るのだ。>>続きを読む

トレインスポッティング(1996年製作の映画)

2.5

良くも悪くも B 級映画。ユーモアと美しきケリー・マクドナルドが救いになってる。高校時代を思い出すな……。

牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 デジタル・リマスター版(1991年製作の映画)

4.5

一度観たら忘れられない、奇跡のようなショットの連続。ライトや蝋燭、懐中電灯といったもののあまりにも象徴的な扱いかたに驚かされる。その長大さも含めてすべてが規格外だった。ハニーのバンカラっぷりは笑えた。

たかが世界の終わり(2016年製作の映画)

2.5

“♪マイアヒ〜”にずっこけた。いつもの色気(悪い意味での、ね)を出さずに安っぽいミュージック・ヴィデオのシークェンスさえ捨て去っていれば傑作だったのに……(あのミュージック・ヴィデオ風の演出こそがグザ>>続きを読む

ムーンライト(2016年製作の映画)

4.5

ラストカットの美しさに息を呑んだ。鑑賞後に残ったのは言い表し難いタイムレスな感触ばかりで、『ムーンライト』の痛ましい感傷の前では現在性、現代性が崩れ落ちる。物語の骨格を抜き出してみれば、実にシンプルで>>続きを読む

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー(2014年製作の映画)

4.0

ジェームズ・ガンの才気とマーヴェルの世界観がこの上ないかたちでマリアージュした最高のフィルム(終盤、ロナンがザンダー星に攻め込む一連の流れはぜんぜんダメだけどね)。銀河の除け者、はぐれ者、無法者たちが>>続きを読む

トウキョウソナタ(2008年製作の映画)

3.0

イラク戦争やシリアの内戦に対してなんとなーく想像するしかない日本の空気を如実に表している点で『親密さ』や『息を殺して』に似たところがある。ただ、全体としては「現代日本を映した」とか「リアルな家族ドラマ>>続きを読む

羊たちの沈黙(1990年製作の映画)

5.0

すべてのピースが完璧に嵌った、完全無欠の傑作。アメリカ映画史においてもジョナサン・デミのキャリアにおいても奇跡のような映画で、比較される類似作品はあれども(それさえ疑われるほどだが)並び立つものはない>>続きを読む

バード★シット(1970年製作の映画)

5.0

この歴史的なマスターピースが廃盤だなんて! 冒頭、 MGM のロゴが現れると共に「最初のセリフを忘れちゃったんだけど」というぼやきをわたしたちは聞くだろう。ロバート・アルトマンの手によってむりやりに縫>>続きを読む

パラノーマル・アクティビティ(2007年製作の映画)

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けっこうよくできてるんだけど、最終シークェンスでびびらせにかかってきたので興醒めししてしまった。禁じ手だけど、まあ、そうなるよなーと。「ファック!」「ガッデム!」の連発には笑った。エンドロールのないと>>続きを読む

ブレア・ウィッチ・プロジェクト(1999年製作の映画)

2.0

インダストリアル音楽の映画版といったおもむきの『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(サントラ盤の選曲を見よ)。かなりよくできてるのにおもしろくないのはなぜなのか。当時のメディアミックス前提、というところ>>続きを読む

回路(2000年製作の映画)

4.0

画がすごい(終始どんより)。音響がすごい(全編ホワイトノイズが鳴り続ける)。それ以外はめちゃくちゃ……(それにしてもちょっと説明的すぎる科白が多い)。車とかバスとか電車とか、乗り物の使いかたがうますぎ>>続きを読む

カリスマ(1999年製作の映画)

3.0

無意味と表層の『 CURE 』から一転、意味と深遠を追い求めすぎてる『カリスマ』。寓話なんだけど、あまりにも脚本が弱すぎて寓話足り得てない、失敗作だと思う。『カリスマ』が失敗作であるのは、「あれはこう>>続きを読む

CURE キュア(1997年製作の映画)

4.5

ほぼすべてが完璧な傑作。タイトでソリッド。一切の無駄がなく、まるでミニマルミュージックのよう。「あんた誰?」という問いかけのアクチュアリティーは、その表層をなぞっていく空虚さは、公開から 20 年を経>>続きを読む

女優霊(1995年製作の映画)

1.5

『リング』はヴィデオのシークェンスが最もおそろしいように、『女優霊』でもっともおそろしいのは未現像のラッシュフィルムの映像で、そこがある意味この映画の限界でもある……(ラストシークェンスの安っぽさよ。>>続きを読む

呪怨(1999年製作の映画)

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V シネ版はもうちょっとおもしろかったような気がしてたけど……(中学生のとき以来に観た)。映画もそうだけど、西武線沿線が舞台になってて、郊外の憂鬱というのも裏テーマなのかなー、なんて。俳優陣がいいね。>>続きを読む

呪怨(2002年製作の映画)

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90 分の尺すら長く感じられる退屈さ。幽霊系ではなくゾンビ系ホラーを幽霊系に応用したおもむきだなー(「暗黒舞踏のひとに失礼」って書いてるひとがいて笑った)。 J ホラーの凋落だ復活だなんだというけれど>>続きを読む