shxtpieさんの映画レビュー・感想・評価 - 18ページ目

暗殺の森(1970年製作の映画)

5.0

デジタルリマスター版(って言いかたはいつから映画に流用されるようになったんだろう。“リストア”だと伝わらないから?)を武蔵野館にて。

数年ぶりの、そしてはじめてのスクリーンでの鑑賞です。とはいえ、ど
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激突!(1971年製作の映画)

3.0

ワンアイディア、ワンシチュエーションの不条理ホラー。まるで『鳥』みたい。カメラワークと編集によって単調さを克服しようとする試みが感じられる。

ドライバーとしては悪夢のような状況。と素朴な感想。

裁かれるは善人のみ(2014年製作の映画)

4.0

浜辺に打ち上げられた、鯨のものとおぼしき巨大な白い骨。崩れたまま打ち捨てられた教会。かつて栄華を誇ったそれらは、無へ帰するまでの緩慢な死という名の惰眠をむさぼっている。ロシア北部のうらびれた郊外で生き>>続きを読む

レイダース/失われたアーク《聖櫃》(1981年製作の映画)

3.5

またも少年時代に観た映画への再訪、みたいな感じですが、いま活力とかやる気とか、そういった生を駆動させるポジティヴなパワーがまったくないので、こういう映画しか観る気が起きません。やる気ゼロ。

というわ
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愛と哀しみのボレロ(1981年製作の映画)

3.0

デジタルリマスター版上映。恵比寿ガーデンシネマで。ハイがきつかった……。とハイがきついおじさんになりました。

後半、戦後にはいってからがダメダメだと思います。歓喜のシーンと悲劇的なシーンを恣意的にな
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スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還(1983年製作の映画)

2.0

うーん。本題に入るまでの助走が、なんと長いことか。序盤のジャバ・ザ・ハットとの対決、中盤のイウォーク族との共闘で約 90 分を費やしています。あとの 40 分がおまけみたいじゃん。ルークがシスの暗黒卿>>続きを読む

スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲(1980年製作の映画)

3.5

なんというかスター・ウォーズ・サーガって観ていると難しいことが考えられなくなりますね(笑)。メタに立つことが不可能な映画かも。よくも悪くも。奥行きがありそうでない映画です。スター・ウォーズのすぐれた批>>続きを読む

スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望(1977年製作の映画)

3.5

2015 年はおそろしい年ですね。『ジュラシック・パーク』、『ターミネーター』、『ミッション:インポッシブル』と、少年時代に(テレビや vhs で)どっぷりと浸かった映画たちの続編が公開されているので>>続きを読む

バーニー みんなが愛した殺人者(2011年製作の映画)

3.5

ジャック・ブラックの演技は見事。彼が演じると漂白不可能なうさんくささが役に染みついて、そこがまた映画にユーモアを加えています。シャーリー・マクレーンのど腐ればばあっぷりもすごいです。染みだらけの腕にび>>続きを読む

僕と彼女とオーソン・ウェルズ(2008年製作の映画)

4.0

真のクリエイターでありイノヴェイターでありながらもその才能に見合った評価を生涯得ることのなかった巨人、オーソン・ウェルズの、映画を撮りはじめる以前、マーキュリー劇団時代を切り取った傑作。原作は小説だが>>続きを読む

スクール・オブ・ロック(2003年製作の映画)

3.5

ちょっと泣きました。愉快痛快で、申し分のないエンターテイメント。 AC/DC はだいすきです。でもセックス・ピストルズのその先にはパブリック・イメージ・リミテッドがいるんだよ、とも言いたくなる『スクー>>続きを読む

狼たちの午後(1975年製作の映画)

4.5

アル・パチーノとジョン・カザールの濃密な演技、リアリズムに徹した脚本、そして 1975 年のニューヨークにおける真夏の日の空気をそのまま感じられる映像(実際に撮影されたのは冬であったらしい)。まるでパ>>続きを読む

アントマン(2015年製作の映画)

4.0

文句なしの傑作! ミクロの世界を表現した映画は数あれど、 1.2cm に縮む、しかももとの大きさに戻ることも自在、なスーパーヒーローがアリたちを操りながら超絶アクションを繰り広げる実写映画、という映画>>続きを読む

ファーストフード・ネイション(2006年製作の映画)

4.0

この映画の主人公は、メキシコからの不法移民による低賃金でハイリスクな違法労働、屠畜、食品の安全管理問題、エコロジー、グローバル資本主義と搾取、といったアクチュアルで社会的なイシューそのもの。それらすべ>>続きを読む

スケアクロウ(1973年製作の映画)

4.0

捨ておいた妻子に会うためにデトロイトへ向かうフランシス(アル・パチーノ)と、刑期を終えたばかりで、ピッツバーグて洗車業を立ち上げてアメリカンドリームをつかもうとする粗暴なマックス(ジーン・ハックマン)>>続きを読む

スキャナー・ダークリー(2006年製作の映画)

3.5

『ウェイキング・ライフ』同様のロトスコープ技法によるアニメーションで、フィリップ・K・ディックの『暗闇のスキャナー』を映画化。麻薬の覆面潜入捜査官が中毒となり、自身の監視を命じられるというウロボロス的>>続きを読む

ウェイキング・ライフ(2001年製作の映画)

4.0

夢のなかで目を覚ますと、そこもまた夢のなかであった――という入れ子状になった多層の夢の世界で、ピアソラふうのタンゴが流れるなか、入れ替わり立ち代わり現れる登場人物たちが主人公の青年に哲学的な議論を一方>>続きを読む

ハンナだけど、生きていく!/ハンナはいつも、アイされたい(2007年製作の映画)

2.0

まず、マヘル・シャラル・ハシュ・バズのような半壊したトランペットの多重奏のオープニングにずっこける。つまづき、どもり、音程を外しているふにゃふにゃとしたテーマ・ソングがこの映画のすべてを語っていると言>>続きを読む

チャルラータ(1964年製作の映画)

4.0

マドビ・ムカージの美しい瞳がスクリーンに大写しになるたび、魔法にかけられたように映画の深層へと深く深く引き込まれていく。そして、目もくらむほどきらびやかな衣装、家具や調度品、内装に埋めつくされながらも>>続きを読む

首相官邸の前で(2015年製作の映画)

4.0

川内原発が再稼働し、反原発/脱原発運動が拡大していった 2011 年から 2012 年のあのころの空気すらもはや忘れられてしまったような 2015 年のいま。ネット上の当時の映像を編集してあの小熊英二>>続きを読む

セルピコ(1973年製作の映画)

3.5

映画の進行とともに緊張感を増していくアル・パチーノの演技が見もの(だが終始過剰なサウンドトラックがフィルムの緊張感を削ぎとっていく)。ヒッピー崩れのようなパチーノのファッションがユニーク。『ミーン・ス>>続きを読む

テープ(2001年製作の映画)

4.0

ある安モーテルの 1 室を舞台に、再会する高校時代の旧友たちーーイーサン・ホーク、ロバート・ショーン・レナード、ユマ・サーマンーーが過去に起きた事件をめぐって会話劇を繰り広げるリアル・タイム・ムーヴィ>>続きを読む

ニュートン・ボーイズ(1998年製作の映画)

3.5

アメリカ史上もっとも成功したという銀行強盗、ニュートン兄弟の伝記映画『ニュートン・ボーイズ』。その有り様はリチャード・リンクレイター、アメリカ(映画)史に挑む、といった具合で、語り口や演出、ゴージャス>>続きを読む

ヒューマン・ハイウェイ(1982年製作の映画)

3.0

ニール・ヤング監督(!)の幻の放射能コメディ(?)、『ヒューマン・ハイウェイ』。ぼくはニール・ヤングのファンなので心底怯えながら公開を楽しみにしていたのだけれど、いやあ、これは想像を絶するひどさ(笑)>>続きを読む

キートンの大列車追跡/キートン将軍/キートンの大列車強盗(1926年製作の映画)

4.0

キートン映画では最も有名かもしれない本作ですが、いまいちノれず。何度も停滞し、失速し、後退する機関車の追跡劇/逃走劇を観ていると、『セブン・チャンス』の止まらぬ疾走を思い出し、退屈を覚えてしまう。とは>>続きを読む

スカーフェイス(1983年製作の映画)

2.5

ははは。虎を飼ってるシーンは腹抱えて笑えますね。 2015 年の今聞くジョルジオ・モロダーの音楽はかなりキツいっす。アル・パチーノとオリヴァー・ストーンのスクリプトとあらゆるヒップホップに影響を与えた>>続きを読む

バニー・レークは行方不明(1965年製作の映画)

3.5

『トラウマ映画館』は読んでいたものの、それもだいぶまえですので、映画の内容はすっかり忘れてました。なので、これはしてやられた! という感じ。なんとも秀逸なサスペンスです。ラスト 30 分、それまでほぼ>>続きを読む

6才のボクが、大人になるまで。(2014年製作の映画)

5.0

なんだかんだ言ってやっぱり映画は映画館で観ないと、って、そう思います。映画という未だ見ぬ神の影が投げかけられるメディアであるところのスクリーン。その上で踊るように移ろいゆく光と影を見上げる敬虔かつ不誠>>続きを読む

イヴ・サンローラン(2014年製作の映画)

2.0

衣装や美術のゴージャスさに対し、内容はと言えば、伝記映画としてはどうも描写が希薄で、緊張感に欠け、退屈。語られるのはサン=ローランの天才性より、その繊細さや脆さ、危うさばかり。こういう“呪われた天才”>>続きを読む

セインツ -約束の果て-(2013年製作の映画)

3.5

詩的で巧みなカメラワークとモンタージュ、繊細かつダイナミックな俳優たちの演技には舌を巻きつつも、歯切れの悪いシナリオにモヤモヤ感が……。

後半のアクション・シーンは素晴らしいです。こういうのを作らせ
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(1974年製作の映画)

4.0

自身の少年時代の回想、というパーソナルな動機で作られた作品とはいえ、タルコフスキーの作品中その語り口は最も複雑に感じられた。

『鏡』において時間軸は奇妙にねじくれている。少年期のタルコフスキーと現在
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懲罰大陸★USA(1971年製作の映画)

3.0

うっ、これは……。

1971 年という制作年の“早さ”を鑑みれば、かの傑作『ハーツ・アンド・マインズ』に匹敵する初期のアメリカ内部告発映画だが、しかしこれは……。まあ、単純に映画として全然おもしろ
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ナイトクローラー(2014年製作の映画)

4.0

ははは。いやー、ひどい。そしてすごい。もうこれ、笑うしかないじゃないですか。『セッション (Whiplash) 』といい、アメリカの映画はホラーなモードなんでしょうか。

興奮が冷めやらないのでひとま
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EDEN/エデン(2014年製作の映画)

3.5

うーん、なんなんでしょう、このドラマとしての牽引力のなさは。とても期待していただけに、残念です。フレンチ・ハウス・シーンを駆け抜けた DJ (フレンチ・ハウス・シーンのただ中でなぜかシカゴ・ハウス/ガ>>続きを読む

ディオールと私(2014年製作の映画)

3.0

個の天才的な才能に頼るのではなく、チームによって発揮されるクリエイティヴィティは、文化においても産業においても、現代におけるもっとも重要なものづくりの方法論である。構成メンバーたちの自由なアイディアと>>続きを読む

クロニクル(2012年製作の映画)

2.5

おもしろい! だけどなー。惜しいなー。なにがって、脚本が。ドラマとしてつっこみどころが多すぎるんだもん。デイン・デハーンの家庭環境とか、マイケル・ B ・ジョーダン(『フルートベール駅で』の彼)の○○>>続きを読む