shxtpieさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

人狼 JIN-ROH(1999年製作の映画)

3.0

押井守色が濃いんだろうな、と思っていたら、予想どおりだった。とはいえ、沖浦啓之は相当にこだわって、時間をかけ、力を注いだようで、『人狼』のアニメーションとしての鋭さは沖浦の押井作品への貢献度の高さも逆>>続きを読む

ペルセポリス(2007年製作の映画)

3.0

原作のバンドデシネが有名で、読みたいと思っているのだけれど、まだ読んだことがない。

20世紀に入って反共的な締めつけが強まり、アメリカとイギリスの暗躍によって白色革命、西洋化がなされたイラン。西洋的
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バービー(2023年製作の映画)

3.0

思っていたよりもブラック寄りのコメディで、とても戯画的で、いささか単純すぎるけれども、現代の寓話としてよくできていると思った。私はめちゃくちゃ笑ってしまったけれど、同時にかなりハイコンテクストであり、>>続きを読む

ウォーターシップダウンのうさぎたち(1979年製作の映画)

3.5

昔、Pitchforkがやっていた映画サイトのThe Dissolve(短期間で終わった)で高く評価されていたなー、と思い出した。

最近、NetflixとBBCが3DCGでリメイクした『ウォーターシ
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名探偵ホームズ2 海底の財宝の巻(1984年製作の映画)

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『青い紅玉の巻』について書いたとおり、『風の谷のナウシカ』と併映された『名探偵ホームズ』の一編『海底の財宝の巻』。劇場ではまとめて上映された作品なので、Filmarksで作品を分けて登録されている意味>>続きを読む

名探偵ホームズ1 青い紅玉(ルビー)の巻(1984年製作の映画)

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東映の要望で、『風の谷のナウシカ』と二本立てで上映された『名探偵ホームズ 青い紅玉の巻/海底の財宝の巻』。『ルパン三世 カリオストロの城』から『ナウシカ』に至るまでの、いわば宮崎駿の不遇時代の作品で、>>続きを読む

ホーホケキョ となりの山田くん(1999年製作の映画)

4.0

ユーリー・ノルシュテインやフレデリック・バックを尊敬し、古臭く表現が限定されたセルアニメーションからの解放や脱却を志向した高畑勲の壮大な実験作。画に、アニメーションに圧倒される傑作、怪作だと思う。『お>>続きを読む

セロ彈きのゴーシュ(1982年製作の映画)

3.0

あたたかく優しい音楽漫画映画。

予想以上に音楽劇だった。ベートーヴェンの「田園」をふんだんに用いて、『太陽の王子 ホルスの大冒険』や『火垂るの墓』で高畑勲と仕事をしている間宮芳生が作曲。特に激しくミ
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柳川堀割物語(1987年製作の映画)

3.5

ちょっと昔の日本の景色botというX(ツイッター)のアカウントがあって、好きでよく見ている。この20、30年ほどで日本からうしなわれた何かがそこにはあって……。後ろ向きな微香のノスタルジーだ。

『柳
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かぐや姫の物語(2013年製作の映画)

4.0

公開前に予告編を劇場で見て、かなり衝撃を受けた記憶がある。が、なぜか劇場では見ずに(当時は貧乏だったからかもしれない)、 Blu-ray Discのレンタルが始まって、ようやく見たはず。けれども、予告>>続きを読む

劇場版 アーヤと魔女(2020年製作の映画)

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放送前か公開前に予告編を劇場で見て、「こりゃあ、やべえな」と思った記憶があったのだけれど、これほどとは。びっくりするくらいよくない。

3DCGで思っていた以上に繊細な演技を見せてくれた一方で、質感の
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太陽の王子 ホルスの大冒険(1968年製作の映画)

3.0

のちの高畑勲作品、宮崎駿作品のみならず、特撮や戦隊ヒーローもの、『ガンダム』や『エヴァ』にまで通じる要素を含んだ、先駆的なアニメ映画。

しかし、高畑が3年もかけてこの作品をつくったというのは、当時と
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On Your Mark(1995年製作の映画)

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オタキング(岡田斗司夫)いわく、宮崎駿の最高傑作。私は嫌われ者の岡田斗司夫の解説をインストールしてしまったので、そういう視点からしかもう見られない。

以前見たのは10年ほど前だっただろうか、大学生の
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ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE(2023年製作の映画)

3.5

いや〜。「最高」をまたしても、さらに更新してみせたトム・クルーズの胆力、根性、執念、そしてアホさに平伏。特に終盤、アクションのあまりのすごさ、強烈さに呆気にとられて、「まいりました〜」とこぼすしかなか>>続きを読む

じゃりン子チエ(1981年製作の映画)

2.5

今週、やたらと忙しくて、深夜に見ていても寝落ちしてしまうので、途切れ途切れに見てしまった。

通天閣と緑色の鉄道、木造のホルモン焼き屋やうどん屋などが連なる夜の街。そこまで緻密な画ではないものの、あた
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赤毛のアン グリーンゲーブルズへの道(2010年製作の映画)

3.5

キャラクターデザインは近藤喜文、場面設定・画面構成は宮崎駿、他に井岡雅宏、保田道世や山本二三といった、錚々たる作家たちがスタッフとして参加している。

この『赤毛のアン グリーンゲーブルズへの道』は、
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おもひでぽろぽろ(1991年製作の映画)

3.5

恥ずかしながら、実は見たことがなかった。

小津安二郎っぽくはないのだけれど、小津っぽいというよりも、小津に限らず、うしなわれた日本映画をやりたかったのだろうな、とオープニングクレジットからびしばし伝
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火垂るの墓(1988年製作の映画)

4.5

はじめて見た時は、陳腐な表現をすれば、めちゃくちゃトラウマになった。こんなにも暗く痛ましいアニメーション映画は、世にも稀だろう。

高畑勲は、容赦がない。おそろしいほどに冷徹、冷酷で、ドライだ。繊細で
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

見るのに、こんなに緊張する作品もない。坂本龍一の『12』やデイヴィッド・ボウイの『★』のようなものだ。

ところがどっこい、見ていて中盤からは退屈して、ちょっと眠くなってきて、3回もあくびがでてしまっ
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ザ・フラッシュ(2023年製作の映画)

3.0

序盤で出てきたベンアフがガリガリになっていて、心配になってしまった。大丈夫?

ともあれ、前半の半ジャスティス・リーグの集結は、かなり蛇足であるような……。サイボーグの不在は、映画の外の諸々を思い起こ
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TAR/ター(2022年製作の映画)

3.0

「早く見たい」と、もともと、ずっと思っていたのだけれど、機会を逃してしまって、そのままに。けれど、昨日、宇野維正さんのトークイベントを聞き、『ハリウッド映画の終焉』を読み、いてもたってもいられなくなっ>>続きを読む

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(2023年製作の映画)

4.5

スパイダーマンインディアことパヴィトル・プラパカールが中国ゴマを武器にしているのは、なんでなんでしょうか? かなり気になってしかたなかったので、ご存知のかたは教えてください(あまりにも情報量が多いので>>続きを読む

モービウス(2022年製作の映画)

2.5

It’s Morbin’ time!

意外とおもしろかった。べつに大きな瑕疵とかはないし、「だって、アメコミ映画なんて、もともとこんなもんじゃないの」(超失礼)という感じで見ていたから、なにがそんな
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ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー(2023年製作の映画)

3.0

吹き替えの IMAX 3D で。ユナイテッド・シネマとしまえんだからだいぶ空いていたけれど、周りは子どもたちばかり。いや〜。よかった。たのしかった。

ダムゼル・イン・ディストレスの類型を乗り越えるた
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ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3(2023年製作の映画)

2.5

『ミズ・マーベル』の視聴が途中で止まっている、 MCU ファンを引退した者です。『ホリデー・スペシャル』は見ていない( Disney+ は、数か月前に解約したし。でも、そこまで見たんだから、けっこう偉>>続きを読む

名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)(2023年製作の映画)

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映画から離れちゃってひさしいけれど、妻が見に行くっていうからついていった。最近、ろくな映画を見ていない……。

予告編で画も音も迫力があるなって思っていたのに、通常の上映だったからか、画も音もかなり微
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WANDA/ワンダ(1970年製作の映画)

3.0

高い前評判や期待を上回るほどではなくて、スコアは 3.0 でもいいと思ったのだけれど、それでも冒頭とラストにはかえがたい魅力があるし、バーバラ・ローデンがドレスに着替えた鮮烈なシークエンスだけでも、と>>続きを読む

ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマン(1975年製作の映画)

5.0

スクリーンを見つめているあいだは、「なんなんだ、これは!」、「わたしはなにを見せられているんだ!」、「とんでもない映画だ!」、「すさまじい映画だ!」、という驚きで頭と心の中がいっぱいになっていて、エン>>続きを読む

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

3.0

三宅唱の映画は、やはり青い。比喩表現ではなく、色が青いのだ。ケイコは青いTシャツを着て、試合では青コーナーに立つ。ネイルもブルー。荒川ジムでの画も、リングをはじめ、青が印象に残る。ミヤケ・ブルー。>>続きを読む

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

2.5

7か月ぶりに映画館に行った。映画を見ること自体も、相当ひさしぶり( Filmarks もまったく更新していなかった)。ひさびさの映画館は、観客のマナーがけっこうひどくて、ひいた(隣の若者は携帯が鳴るた>>続きを読む

はだかのゆめ(2022年製作の映画)

3.0

以下、メモ。ロングショットとミドルショットが中心。せりふはほとんどない。死んだ者を悼むこと、弔うこと。甫木元空のプライベートフィルム、私小説。さすがBialystocks、音楽がいい(ピアノ、バイブ、>>続きを読む

闇動画9(2014年製作の映画)

3.5

『告白』。撮影者の顔のアップから始まるが、ひじょうに失礼だけれど、やけに大きな口と歯列矯正で整いすぎた歯なんかのアップが、まずけっこう怖い。そして、ドッキリが始まってからは、ものすごい勢いで手持ちカメ>>続きを読む

闇動画(2012年製作の映画)

3.5

『闇動画』って最初からこんなにこわかったのか! というファースト・リリースにして快作。いや〜、こわい。

中編の『晩夏の夜に誘う者』、『墓参り代行』、『復讐』と掌編の『通りすがりの女』(これがまたけっ
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犬鳴村(2020年製作の映画)

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美しすぎる臨床心理士・三吉彩花(ルッキズム)!? いや〜な支配的な父・高嶋政伸!? 霊にはいい霊と悪い霊がいる! ゾンビ化する霊! 犬化する人! 犬化する霊! と忙しい。

都市伝説の犬鳴村をホラー映
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闇動画2(2012年製作の映画)

2.5

やはり『闇動画』の真髄は廃墟探検にあり。ラストの『思い出の校舎』が評判がいいだけに、別格の存在感を放っている。曇天のもと、うらびれた体育館裏の雰囲気からしていいのだけれど、遠くに佇んでいる「土井先生」>>続きを読む