ブルームーン男爵さんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

4.0

子供の取り違えを描いた「そして父になる」、犯罪で繋がった家族を描いた「万引き家族」に続く擬似的家族がテーマの作品。名匠是枝監督による韓国映画だ。

赤ちゃんの売買から社会の暗部を描く作品かと思ったが全
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FLEE フリー(2021年製作の映画)

3.9

アフガニスタン難民の同性愛者の青年を主人公にした実話ベースのアニメ映画(一部実写)。匿名性のためにアニメになっているが、ドキュメンタリーであり、アカデミー賞でも国際長編映画賞、長編ドキュメンタリー賞、>>続きを読む

エリザベス 女王陛下の微笑み(2021年製作の映画)

3.4

現在、英国ではエリザベス女王のプラチナジュビリーを祝っているが、即位70年におよぶ(ちなみに、昭和天皇の在位は62年だった)。ちなみに、エリザベス女王は英国だけではなく、カナダ・オーストラリアなど16>>続きを読む

しろばんば(1962年製作の映画)

3.8

小学生の時に読んで以来すごい記憶に残っている小説「しろばんば」。井上靖の自伝的小説である。続編で「夏草冬濤」「北の海」がある。以前、湯ヶ島の実際に井上靖が暮らした場所も訪れたことがあるので、とても懐か>>続きを読む

マージン・コール(2011年製作の映画)

3.8

米国ニューヨークのウォール街の大手投資銀行(リーマン・ブラザーズがモデル)にて、金融危機を起こしかねない事象が発覚した。その会社内での経営層や従業員の行動が描かれる。Filmarksでの評価はあまり高>>続きを読む

ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男(2019年製作の映画)

3.7

実在の公害事件を扱ったサスペンス映画であり、主人公の弁護士のロバート・ビロットも実在する。化学企業のデュポンが、化学物質による環境汚染・健康被害を認識しながら隠蔽していた事件を扱う。デュポンは日本での>>続きを読む

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

3.6

約2時間の尺にしては、ウルトラマンを現代に置き換えてよくまとめたと思う。特撮禍威獣(カイジュウ)映画の面白さは維持しつつ、ウルトラマンへ依存する人類の弱さというテーマも込めつつ、ウルトラマンの正体の謎>>続きを読む

メイド・イン・バングラデシュ(2019年製作の映画)

3.8

バングラデシュはファーストファッションの製造工場が多い。低賃金で劣悪な環境で、立場の弱い女性が酷使される。本作は、そんな逆境の中で立ち上がり労働組合を設立しようと奮闘する女性の物語。バングラデシュ発の>>続きを読む

ボストン市庁舎(2020年製作の映画)

3.9

ボストン市は全米でも歴史ある大都市であるが、そのボストン市における行政の取り組みに頂点を当てたのが本作である。なぜボストン市なのかというと、いくつかの自治体に打診をして、唯一返信してくれたのがボストン>>続きを読む

ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス(2016年製作の映画)

4.0

ニューヨーク公共図書館のドキュメンタリー。3時間半の長編である。以前自宅で観て挫折したため、早稲田松竹で鑑賞してきた笑。以前、ニューヨークに行ったときに訪れたことがあるが、こんなにいろんな取り組みをし>>続きを読む

ベルファスト(2021年製作の映画)

4.0

北アイルランドの過激派が、カトリック教徒への弾圧を開始。大人の事情で故郷が二分され、移住が否かを迫られる。まだ幼い主人公の目から北アイルランド首府ベルファストの動乱を描いている。監督はケネス・ブラナー>>続きを読む

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)

4.5

多くを語る必要もない。ほんとシンプルに良い作品。タイトルのコーダは、聴覚障害者の両親をもつ子供のこと。4人家族で唯一聾唖ではない少女の話だが、家族も音楽教師も彼氏さんも、みんないい人。温かい気持ちにさ>>続きを読む

皮膚を売った男(2020年製作の映画)

4.2

想像以上にエキサイティングでコントラバーシャルな作品。難民問題、モダンアート、現代資本主義システム、人権問題など様々な問題を告発する想像以上の傑作だ。監督は、チュニジア出身の女流監督のカウテール・ベン>>続きを読む

ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密(2022年製作の映画)

3.2

本作ではニュートがもはや脇役で、ダンブルドアがほぼ主役。ニュートよりコワルスキーが目立つ始末。そしてファンタスティックビースト感がなくなり、魔法界のグリンデルバルドの勢力拡大のお話。そしてグリンデルバ>>続きを読む

英雄の証明(2021年製作の映画)

4.0

巨匠アスガー・ファルハディ監督の最新作。「彼女が消えた浜辺」でベルリン国際映画祭で銀熊賞(監督賞)、「別離」でベルリン映画祭で金熊賞・キャスト全員に銀熊賞 (女優賞)・銀熊賞 (男優賞)・アカデミー外>>続きを読む

ニトラム/NITRAM(2021年製作の映画)

4.0

オーストラリアのタスマニア島のポート・アーサーで起こった無差別銃乱射による大量殺人事件「ポート・アーサー事件」を、犯人マーティン・ブライアントを主人公に描いたクライム映画。主人公役のケイレブ・ランドリ>>続きを読む

アネット(2021年製作の映画)

3.8

本作でカラックスはカンヌ国際映画祭で監督賞を受賞した。オペラ風のロック・ミュージカルとでもいおうか。とてもユニークで実験的で不思議な作品。どこか夢想的。初めて観るタイプの映画。

もともとヘンリーのコ
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英国総督 最後の家(2017年製作の映画)

3.7

最後の英国総督として、インドのにやってきたルイス・マウントバッテンを主人公に、英国からの独立前のインドを舞台にして時代に翻弄される人々を描く。

前半は英国の善良な統治からの独立という温厚な映画かと思
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TITANE/チタン(2021年製作の映画)

4.5

本作でデュクルノーは女性監督2人のパルムドール賞受賞監督となった。もう二度と観ないし観たくもないけど、想像のはるか上を行く奇作・怪作。バイオレンスシーンがきついので苦手な人はやめたほうがいい。私は目を>>続きを読む

オートクチュール(2021年製作の映画)

3.0

フランスの名門ラグジュアリーブランド「ディオール」のアトリエを舞台に2人の女性の交流を描いたヒューマンドラマ。

みんな感じることは同じのようで、他の方のレビューに被りますが、感想は次の通りです。。
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クーリエ:最高機密の運び屋(2020年製作の映画)

3.6

東西冷戦下における英米とソ連のスパイのサスペンス映画。 彼らスパイの情報もあり、キューバ危機は危機のまま終息したという。ただのセールスマンが最高機密情報の運び屋をやっていたというのに驚く。ただ実話なの>>続きを読む

モーリタニアン 黒塗りの記録(2021年製作の映画)

3.9

9.11テロの関係者として冤罪をかけられた、実在の人物モハメドゥ・ウルド・スラヒの体験談に基づく社会派映画である。突然警察に連行され、その後、確たる証拠もなく、それゆえ起訴もされずに14年間も身柄を拘>>続きを読む

シラノ(2021年製作の映画)

3.8

不朽の名作「シラノ・ド・ベルジュラック」をミュージカル映画として再構築。米国のロッテントマトでは批評家85%支持、観客86%支持で評価が高いのだが、日本では前評判があまりだったのでさほど期待せずに観た>>続きを読む

金の糸(2019年製作の映画)

3.8

日本の割れたお皿などを金を使って修復する「金継ぎ」にインスパイアされたジョージア(グルジア)の映画。あまり馴染みがない国かもしれないが、ジョージアは世界最古のワイン生産地であったりする。

主人公は作
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THE BATMAN-ザ・バットマンー(2022年製作の映画)

4.3

想像以上に良かった。フィルム・ノワール調のディテクティブ・サイコクライムサスペンス。クリストファー・ノーラン監督の「ダークナイト」トリロジーはアメコミ的だったが、本作はかなりタッチが異なり、見事に新し>>続きを読む

ナイル殺人事件(2022年製作の映画)

3.7

アガサ・クリスティの推理小説「ナイルに死す」の映画版。想像以上に楽しめた。キーワードは「愛」。途中で犯人はこの人かなと思っていたが、アリバイのトリックが分からなかった。最後にポアロの推理を聞いて納得。>>続きを読む

運び屋(2018年製作の映画)

3.7

イーストウッドの作品は様々な示唆があり、格調高いものが多い。世間体ばかり気にして家族をないがしろにしてきた元造園家で退役軍人の主人公が、お金に困り麻薬の運び屋になるが、その一方で家族との関係を修復しよ>>続きを読む

ハドソン川の奇跡(2016年製作の映画)

4.0

「ハドソン川の奇跡」を巡る上質な社会派ドラマ。ハドソン川の機長の功績を一面的に褒めたたえる単なる”頭お花畑”映画とは全く違う。機長を英雄視する報道、国家運輸安全委員会による機長・副機長の過失の追求、機>>続きを読む

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

4.5

本作は村上春樹の短編を3時間の長編映画に再構築しているが、素晴らしい作品だった。なお、本作のタイトルはビートルズの同名曲からとられている。それにしても、濱口竜介監督はすごい才能であり、日本映画界のホー>>続きを読む

355(2022年製作の映画)

3.6

美しき女性スパイ映画。アメリカのレビューサイトRotten tomatoでは、観客支持86%だが、批評家支持が25%で「何事?!」と思うほど乖離が大きいが、観て納得。深く考えないで観ると、テンポが良く>>続きを読む

ウエスト・サイド・ストーリー(2021年製作の映画)

3.9

ミュージカル史に燦然と輝く金字塔「ウエスト・サイド・ストーリー」。これをスティーブン・スピルバーグがリメイクしたというから早速観てきた。さすがスピルバーグ。不朽の名作を現代的エッセンスも加えて見事に蘇>>続きを読む

ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ(2021年製作の映画)

3.7

ビリー・ホリデイの大ヒット曲「奇妙な果実」。それは黒人の悲惨な窮状を告発する歌であり、公民権運動にも影響を与えていた。その歌は大衆を扇動するとして、政府は麻薬を理由に彼女を投獄しようとする。当局に追わ>>続きを読む

ザ・ホワイトタイガー(2021年製作の映画)

4.0

イギリスで最も栄誉ある文学賞ブッカー賞を受賞したアラヴィンド・アディガのベストセラー小説の映画版。インドの貧しい村出身の低カースト出身の青年バルラム・ハルワイは、裕福な一族の運転手となり、徐々に一族の>>続きを読む

シェルブールの雨傘(1963年製作の映画)

3.9

カトリーヌ・ドヌーヴの出世作。カンヌ映画祭ではグランプリを受賞している。戦争に引き裂かれた若き男女の悲哀を描く。

フランス映画よろしく色彩やファッションがオシャレ。全編のセリフが歌という当時としては
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ダ・ヴィンチは誰に微笑む(2021年製作の映画)

3.2

ダヴィンチ作「サルバトール・ムンディ」はオークションで約500億円で落札されて話題を集めた。落札者は匿名だったが、サウジの皇太子だと特定された。しかし、「サルバトール・ムンディ」は、ダヴィンチ作なのか>>続きを読む

クライ・マッチョ(2021年製作の映画)

2.8

クリント・イーストウッドだからなんとか観れたが、脚本や演出が微妙。公開から1週間ちょっとだが劇場の客の入りも微妙で、一番盛況なはずの時間帯なのに半分も埋まっていない。アメリカの辛口映画レビューサイトの>>続きを読む