ヨツさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

ザ・スクエア 思いやりの聖域(2017年製作の映画)

3.8

いたたまれない気持ちになる映画だった。
誰にでもあるどうしようもない精神の倫理的弱点みたいなものを、ちょっとだけオーバーに表現したような感じ。

主人公が最たる例で、本当にすこしずついや〜な感じのする
>>続きを読む

アメリカン・ビューティー(1999年製作の映画)

3.9

コミカルな序盤も、哀切な終盤も、鑑賞前の想像をよい意味で裏切ってくれた。
登場人物たちの矮小さが、くだらなさが、人生ってままならないけど、でもやっぱりどこか愛おしいと感じさせてくれるような作品でした。
>>続きを読む

象は静かに座っている(2018年製作の映画)

3.8

長回しに引き込まれたの、初めて(意識したのが初めて?)かもしれない。冗長だと感じさせない長回しと、それを引き立たせる音楽。234分を感じなかったです。

絶望と希望の波間をたゆたうような作品だと感じま
>>続きを読む

BLACKPINK ライトアップ・ザ・スカイ(2020年製作の映画)

3.7

ずっとハマれなかったBLACKPINKのアルバムをふと聞いてみたらタイトル曲じゃない曲がめちゃめちゃよくて、マイリストに放りっこみっぱなしだった本作をついにみた。
もともと推しはジスかなと思っていたの
>>続きを読む

スケート・キッチン(2018年製作の映画)

3.7

スケートボード、絶対できないけどやってみたいことランキング上位です。帰属意識・仲間意識が強くて排他的になりがちなコミュニティも、自分には縁遠いものだけにキラキラ輝いてみえる。
こういう等身大の自然な感
>>続きを読む

デッド・ドント・ダイ(2019年製作の映画)

3.7

観るときのコンディションによって感想が結構変わりそうだなと思いました。私が観たタイミングは最高。眠れない夜のジムジームッシュ。

緊張感のないゾンビ映画。映画関連の小ネタも散りばめられていて、ジム・ジ
>>続きを読む

楽園の瑕 終極版(2008年製作の映画)

3.6

なかなか観る機会がなかった楽園の瑕をやっと。欲望の翼と2本立てで。
序盤は淡々と進むお話を淡々とただ観るだけだったけれど、段々やっぱりところどころ王家衛ぽいなあと思いはじめて、エンドロールのころには完
>>続きを読む

スパイの妻(2020年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

蒼井優が本当に昭和の方ですかと思うような話し方をしていてすごいなあと思いました。声の出し方がいまとは違って感じられます。

高橋一生演じるフクハラの真意は人によって解釈がわかれそうなのですが、大きな目
>>続きを読む

いつくしみふかき(2019年製作の映画)

3.9

旅先でたまたま鑑賞。ひさしぶりに邦画でヒットがきました。旅行に行ってなかったら観ていなかっただろうと思うと、不思議な気分になります。
ストーリーから予想するよりもずっとクスッと笑える部分が多くて、その
>>続きを読む

セント・オブ・ウーマン/夢の香り(1992年製作の映画)

3.6

友情の話。自分で幕を引くことを決意するような歳の重ね方をした男が、その最期に素晴らしい友情を得る話だと思いました。自分が正しい道を選びとってこなかったと自覚しているからこそ、その険しさを選びとる青年の>>続きを読む

グッド・タイム(2017年製作の映画)

3.7

物理的な意味でも精神的な意味でも痛い映画だった。いろんな人が殴り殴られ傷だらけで痛いし、ストーリーのなんとも言えない閉塞感が重たくつらく痛い。

コニーの弟への感情は愛情というよりもはや執着なのでは。
>>続きを読む

ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密(2019年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

予告編からもっと終始コメディな作品かと思っていたけど、テンポの軽さとは別に脚本がしっかりしていてとても楽しかった!ダニエルクレイグが好きなので、画的にも嬉しい。
ラストシーンの、私はあの家族を助けるべ
>>続きを読む

マティアス&マキシム(2019年製作の映画)

3.8

最高にロマンチックな映画でした。
君の名前で〜に感銘を受けた監督がつくったのがこの作品らしいですが、種類の違うロマンチックさを持った映画でした。

主人公2人の恋模様だけでなく、なかよしグループの友情
>>続きを読む

バーニング 劇場版(2018年製作の映画)

3.6

ちょっとまだ全然咀嚼できてないです。これは原作の納屋を焼くとは全然主題の異なる作品なのでは?とりあえずフォークナーの短編読みます。近くの本屋さんになくて悶えている。

「人生における夜の魔物を倒す話」
>>続きを読む

TENET テネット(2020年製作の映画)

4.0

作品のありとあらゆる要素において、"緻密な"、"妥協しない"という形容が相応しいイメージのノーラン監督ですが、いつも根底にあるのは割とシンプルで強固な人間模様だと個人的には思っています。そういう意味で>>続きを読む

窮鼠はチーズの夢を見る(2020年製作の映画)

3.6

原作が好き、というか原作を素晴らしい漫画だと思ってて映画も観ました。原作は"すべてのメンヘラに捧ぐメンヘラのバイブル"だと思っているんですが、映画はメンヘラバイブル感は薄れていました。

1番印象的だ
>>続きを読む

レオン 完全版(1994年製作の映画)

3.8

実は完全版初めてみました。完全版の方が評判良いのは知っていたけど、レオンの魅力がわからなかったこともあって延ばし延ばしになっていた。

当時はレオンの魅力が本当にわからなくて、美しい話だなあとしか思わ
>>続きを読む

ユ・ヨルの音楽アルバム(2019年製作の映画)

3.5

浪費される大味なラブストーリーという感じでした。2人に幸あれ!

レイニーデイ・イン・ニューヨーク(2019年製作の映画)

3.6

ウディアレン詳しくない私でもわかるウディアレン節なんですが、登場人物たちとあんまマッチしてなかったような印象を受けた。ギャッツビーが古いもの好きの大学生に思えない。君はひねた中年男では?
現代の王子様
>>続きを読む

ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから(2020年製作の映画)

3.6

善良さには善良さで返したいな、と思わせてくれる映画でした。愛は厄介だけど、計算抜きに、純粋に相手を想って行動するのも、とてもよいのでは?
エリーがポールの店を有名にするために何通も手紙を書いてて、しか
>>続きを読む

マリッジ・ストーリー(2019年製作の映画)

3.8

あたため続けてようやく観ました。
現代版クレイマー、クレイマーだと聞いてた気がするんだけど、全然違った。これは紛れもなく「マリッジ・ストーリー」ですね。

アダムドライバーとスカヨハの演技がすごくて。
>>続きを読む

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019年製作の映画)

3.6

若草物語、未読の自分を恥じました。絶対読もう。
世界的に有名で、数々の偉大な人々の愛読書である若草物語へのリスペクトと好意から作品が出来上がっているんだろうな、と感じると、もちろん映画は小説から独立し
>>続きを読む

はちどり(2018年製作の映画)

3.7

多感な少女時代を切り取った、といえばとても陳腐に聞こえるけれど、はじめから最後までどこか不安定で、どこか不安な感じがして、繊細な少女時代を描いた作品だなと思った。
描かれているのは劇的でドラマチックな
>>続きを読む

ジョン・F・ドノヴァンの死と生(2018年製作の映画)

3.6

いままでにないほど商業映画的な趣を感じさせつつ、家族/親子/セクシュアリティというテーマ、こだわり抜いた画づくりなど、いつものドラン監督だ、と感じさせる作品だった。

冒頭の方でルパートの、これはひと
>>続きを読む

フォロウィング(1998年製作の映画)

3.7

低予算でも白黒でも初期作でもノーランはノーランなんだなと感じる作品でした。
個人的にはあまりお話に入り込めず。映画鑑賞リハビリには向かない作品だったかな。

恋人たちの食卓(1994年製作の映画)

4.3

破茶滅茶に好きだ!

みんななんだかんだ身勝手だけど、なんだかんだお互いを深く思い合っていることが感じられる家族を描くから、アンリー監督が好きだと実感させられた作品だった。

現実にはあり得ないけど映
>>続きを読む

最高に素晴らしいこと(2020年製作の映画)

3.5

人の心に寄り添うってとても難しいことなのに、見事にやってのけたフィンチはすごくてとても素敵な人間だなと思う。
原題とても良いですね、そして最後の台詞も。
you can be that bright
>>続きを読む

ミッドサマー(2019年製作の映画)

3.9

監督の脳内世界ドーン!みたいな作品だと思って見にいったので、予想以上にストーリーがある作品で、純粋にエンターテインメント作品として愉しんでしまった感じがする。

逃れられない家族という呪縛から放たれて
>>続きを読む

his(2020年製作の映画)

3.6

ラブストーリーかと思ってたらクレイマー・クレイマーでした。卵いっぱい割ってるけど、フレンチトーストは作らない。
同性愛の難しさよりもシングルマザーとしての子育ての難しさに想いを馳せてしまった。
緒方さ
>>続きを読む

アマンダと僕(2018年製作の映画)

3.6

全然ストーリーを知らずにみたので、びっくりしたけど、そうかパリでもテロは起こってるんだよなって思わされたし、ニュースを見てしってるはずなのにピンときてなくていかに自分が平和ぼけして無知で傲慢になってい>>続きを読む

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

3.6

とっても悲惨な時に、悲惨な境遇にいるお話だけど、素敵で優しくて強い人ばっかり出てきてほっこりする映画だった。
スカヨハの衣装が可愛いのとインテリアが凝ってるのがとてもよかった。
個人的には、イマジナリ
>>続きを読む

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

3.8

中流階級ど真ん中の私は登場人物の誰にも共感する能力がなく、最後にはチクっと刺されるような気がしたものの、スリリングで愉しい作品だった。
映画館で観ている間はテンポのよい社会派コメディだなあとしか思わな
>>続きを読む

オアシス(2002年製作の映画)

3.8

私にとっては、愛の話なんかじゃなくて人間という存在の限界と悲惨さを描いた話だった。すごい熱量で130分目が離せなかったけど、この作品のタイトルが『オアシス』なのすごい皮肉に思える。

いろんなifを考
>>続きを読む

恐怖分子(1986年製作の映画)

3.9

どこを切り取っても美しくて、まるで写真集のよう。もちろん映画である意味がないってことをいいたいんじゃなくて、映画といえば伏線が回収されまくるとかスター俳優が大活躍とか、そういう愉しさがある作品もあれば>>続きを読む

A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー(2017年製作の映画)

3.9

人に見せるためじゃない、演出なんかじゃない、淡々とした哀しさをみたんだと感じた。死によって誰の目にも映らない彼は、誰のためでもない、自分のためでもない、ただの哀しさを抱いていて、そのシンプルな淡々とし>>続きを読む

ノロイ(2005年製作の映画)

3.6

ホラー映画って話の筋がどうこうというより恐いかどうか、が一般的には重要になると思っているのですが、この作品は恐怖とは全然別のところに面白さ(土着宗教?風習?の底知れなさみたいなところ)があってホラー映>>続きを読む