しろくま74さんの映画レビュー・感想・評価

しろくま74

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J・エドガー(2011年製作の映画)

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『J・エドガー』というタイトルは、西郷隆盛なら『吉之助(きちのすけ)』と題する感覚かもしれない。

薩摩藩の下級藩士でありながら、藩主・島津斉彬(なりあきら)に取り立てられ、幼馴染の大久保利通とタッグ
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白い家の少女(1976年製作の映画)

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『羊たちの沈黙』のレクター博士を、少女時代のジョデーがやっているのか?とワクワクしたものの、少し当たっていて、だいぶ違っていた。

普通に楽しめるローティーンの青春ドラマ。近代国家以降の、13歳を生き
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LION ライオン 25年目のただいま(2015年製作の映画)

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逆説的だけれど、実話に基づくこの映画を通して、フィクションの素晴らしさを感じることになった。

ものごころが芽生え、母親への思慕(しぼ)を自覚した頃の、あの独特の揺らぎが素晴らしく表現されていたからだ
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シェイプ・オブ・ウォーター(2017年製作の映画)

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驚くほど、何も感じられない映画で、ぼうぜんとしている。こんなことってあるんですね。好きも嫌いもなく、共感はおろか違和感すらない。

まるで自分が、半魚人になったようだった。あ、でも、彼はいろいろと反応
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スリー・ビルボード(2017年製作の映画)

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面白く観たあとに残る、なんだろう、この違和感は。

その正体を突きとめるには、映画的語法をちゃんと吸収して、紐解(ひもと)いていかないと無理な気がする。

映画、オレ好きですって言えない理由がこの作品
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パリ、ジュテーム(2006年製作の映画)

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出不精(でぶしょう)を、フランス語で言うと“de vous chaud(ドゥ ヴ ショー)”になるらしい。直訳すると“太って暑苦しい君”。

というのは嘘です。太ってはいないけれど出不精な私に、妻は旅
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カッコーの巣の上で(1975年製作の映画)

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こう言ってしまうのもなんなのだけれど、俺、アメリカ映画を喜んで観ていていいのかな、と少し疑ってしまうような作品だった。

というのも、この映画が、あまりにもアングロ・サクソン的な精神の称揚(しょうよう
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アバウト・シュミット(2002年製作の映画)

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先日『サイドウェイ』を観て大感激して、『ネブラスカ』の静かな感動とつながり、アレクサンダー・ペイン監督をはじめて意識した。

文章を書くときは、ちょっとしたトランス状態になっているので、自分が何を書い
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マグノリアの花たち/スティール・マグノリア(1989年製作の映画)

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妻にたずねた、彼女のオールタイム・ベストからの一本。パッケージから女子映画かと思ったものの、さにあらず。面白かった。

ブロードウェイの戯曲が原作となっている作品らしく、話の展開や、人物の掘り下げ方(
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サトラレ TRIBUTE to a SAD GENIUS(2000年製作の映画)

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映画のミックスジュース現象を続けて。

『ハート・オブ・ウーマン』が、女の心の声が聞こえてしまう男の話だったなら、こちらは自分の心の声を、他人に聞かれてしまう男の話。

とはいえ、安藤政信くんの心は、
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ハート・オブ・ウーマン(2000年製作の映画)

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最近、映画の記憶が溶け合って、ミックスジュースのような味わいになっている。

息子が幼稚園に通っていたころ、一緒にテレビで「ぼくのミックスジュース」という歌を聴いて大感動した。色んな思いがあるけれど、
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Lie Lie Lie(1997年製作の映画)

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学生時代のギリギリ最後のころにこの映画を観て、妙にリアリティを感じたのは、未来の(今の)自分が描かれていたからだと、はっと気がついた。

思えば、10代から20代はじめにかけて心ひかれたものは、ほぼ未
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もののけ姫(1997年製作の映画)

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ロマンティシズムが食い殺されることで生きていく道は、そのロマンを食い殺した相手と、共に生きていこうとする新しいロマンだと、青春時代の終わり近くに思った。

前のレビューでそう書いてみたら、『もののけ姫
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恋愛寫眞 Collage of Our Life(2003年製作の映画)

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男のロマンティシズムが、どのように成り立っているのかがよく分かる映画で、初見時、ちいさく赤面しながら観た覚えがある。『腑抜けども』が"女スプラッター"なら、こちらは"男イリュージョン"。

常々、表現
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腑抜けども、悲しみの愛を見せろ(2007年製作の映画)

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『桐島』の吉田大八つながり、と言ってはちょっとアレなんだけれど、この”女スプラッター映画”についても、少し書いておこうと思った。

吉田大八氏の監督としての魅力がどこにあるのかは、私は知らない。けれど
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桐島、部活やめるってよ(2012年製作の映画)

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『Pay It Forward』の思い出しレビューをしたら、連鎖的にこの映画が、心にぽっかり浮かんだ。

オスメントくん → シックス・センス → 幽霊 → ゾンビ → 生が死を追いこす → 価値の転
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ペイ・フォワード 可能の王国(2000年製作の映画)

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毎日、妻と顔をあわせれば、しゃべっている。かつてNHKの連ドラ『芋たこなんきん』で、藤山直美と國村隼が、ほぼ毎回おしゃべりしてたけれど、私たち夫婦のことかと思って観ていた。

だから『ビフォアシリーズ
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舟を編む(2013年製作の映画)

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数年前に観た記憶で、自分のために何かを書きたくなった。細やかなシーンは覚えていないけれど、辞書(つまりは言葉)がモチーフのこの映画ならば、きっと許してもらえると思って。

This movie is
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愛に関する短いフィルム(1988年製作の映画)

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『殺人に関する短いフィルム』と同様に、こちらも『デカローグ』のなかの『第6話 ある愛に関する物語』をロングバージョンにしたもの。

キェシロフスキの核心をつかむならば、まずは『デカローグ』から観た方が
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殺人に関する短いフィルム(1987年製作の映画)

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あるひとの名前を声に出してみる。

好きな人、憧れの人、怖い人、憎い人、不思議な人、少しだけ触れ合った人、遠い人、近い人、親、兄弟姉妹、親戚、祖父母、先輩、後輩、上司、部下、もう関わり合いたくない人、
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カイロの紫のバラ(1985年製作の映画)

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ウディ・アレンを意識的に観たのはこれで二作目。一作目は『ミッドナイト・イン・パリ』。

幻冬舎の見城徹氏が、作家としての必要条件に「今まで見たことのない原色を見せてくれること」と、かつて言っていたのが
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マルコヴィッチの穴(1999年製作の映画)

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失恋男のグダグダをさせたら、右に出る者がいないジョン・キューザック。そこにいるだけでラブコメのハートがとんでいるキャメロン・ディアス。

パッケージのおっさん仮面集団が怖くって、長いこと手が出なかった
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007 スカイフォール(2012年製作の映画)

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『世界一キライなあなたに(Me Before You)』のなかで、ふたりがDVDを観て、はじめて仲良くなるシーンがある。

フランス映画の『神々と男たち』(私は知らない)。観終わったあと「その歳になる
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グッドフェローズ(1990年製作の映画)

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レイ・リオッタ演じるヘンリー・ヒルが、彼女を伴って、行列で賑わうレストランの裏口から、長回しワンショットで中へ入るシーンがある。

すれ違う従業員に多額のチップを渡しながら、特別席につき、ふたりで酒と
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ストーカー(1979年製作の映画)

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いきなりであれですが、私のIDを”しろくま”としているのは、妻にそう呼ばれているからだ。黒いパジャマと白いパジャマをわざわざ揃え、”クロクマ”と呼んだり”シロクマ”と呼んだりして、彼女は喜んでいる。手>>続きを読む

惑星ソラリス(1972年製作の映画)

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2つ前のレビューで、ピアノ映画に対する不満を縷々(るる)述べているうちに、タルコフスキーが観たくなった。過去にふれた3作品ほどを通して、映画というよりも音楽を感じていたからだ。

学生時代に観た『鏡』
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アビエイター(2004年製作の映画)

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ディカプリオについては、40歳を過ぎて好きになった。同い年ということもあり、自分の歳の取り方が彼を通して確認できるためだ。あんなにキレイな人がそれでもこんな感じなんだから、まぁオレもしょうがないよな…>>続きを読む

シーモアさんと、大人のための人生入門(2014年製作の映画)

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いつしかピアノの音に魅せられ、聴くのも演奏するのも大好きなので、映画のテーマがピアノだったりすると、すわ、これは観ねばとなってしまう。

ある日湖に行くと、美人な女神が現れて尋ねたとする。「あなたが落
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12モンキーズ(1995年製作の映画)

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トニー・スコット監督の『デジャヴ』よりも、こちらが正しくデジャヴな映画だった。科学者集団が『未来世紀ブラジル』を思わせるところがあり、ん?と思ったら監督が同じだったんですね。

私なりのSF作品の定義
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サヨナラの代わりに(2014年製作の映画)

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大真面目なギャグ映画を立て続けに2本観た。これはもう、そういうジャンルで良いと思う。

でもヒラリー・スワンクは、ほんとうに凄い女優さんだと思う。いつも彼女を観ると、はじめは女装したマット・デイモンに
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デジャヴ(2006年製作の映画)

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この映画そのものが既視感のみで構成されているという、SFサスペンスアクションラブコメディ映画だった。ラブコメは違うか。まぁいいや。

大真面目なギャグ映画って、避けられないジャンル(?)なのかもしれな
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セールスマン(2016年製作の映画)

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ファルハディ作品に触れたのは『ある過去の行方』がはじまりで、絵画でいう筆致や、小説でいう文体のようなものに好印象を持っていた。

それを妻が覚えていてくれて、ツタヤ準新作100円の日に、「この監督好き
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別離(2011年製作の映画)

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巧妙なレールに乗せられてある種の感動をえたとき、そのレールの巧妙さを注目することに、私はどうしてもためらいを感じてしまう。

巧妙であることは、それ自身が確かにひとつの技能(art)であり、表現とは、
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ダンケルク(2017年製作の映画)

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おかしな言い方だけれど、自分が"物理的に"年をとったんだなと痛感した。

戦争とは、なんといっても若者たちの命を大量に奪うことであると理解しているものの、ノーランの描く群像は、圧倒的に青年、青年、青年
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ジョン・ウィック:チャプター2(2016年製作の映画)

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何ひとつシュッとできないキアヌが、愛しくてたまらない。まったく死神になりきれてない。

脚本がカッコつけようとするほどに、Mr.Wickがドンくさくなる。

けれどそこが、期せずして役柄の哀愁とシンク
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エル ELLE(2016年製作の映画)

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西川美和・再鑑賞の旅を終えたばかりで、少しばかり変な覚醒をしているせいかもしれない。男が描くことのできる"女のすべて"の、これが精一杯なんだろうなと思った。

イザベル・ユペール演じるミシェルは、妙齢
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