とても重要な対話篇。過去と現在、言いたかった言葉と言われたかった言葉が魔法のように溶け合った時間がある。これが空想や妄想だとしても、大事なのはあなたの瞳に私が映ること、私の瞳にあなたが映ることだよと言>>続きを読む
SFは未来のことを描くものみたいなイメージってある。さらに未来は希望の象徴みたいに扱われることが多い。そのイメージがあって、退廃的な絶望を描くディストピアがある。マトリックスのような日常が異化するよう>>続きを読む
画面上に人を配置する時、奥行きに三層ほどのレイヤーを感じる。密集しているようで豪華かつ深みがある。
親殺し子殺し。勝手に作り上げて、恐れ、断罪する人間の愚かさが普遍で、もの悲しい。本当のモンスターとは>>続きを読む
デス・チル復活までをセットアップしていく展開がワクワクしない。解体、分離、再構築の話で、気候変動と陰謀論のアナロジーを感じるが、よく見るやつだなー。
娘が見る、父の影。影は光がなければ出来ないし、光は影を際立たせる。それを踏まえて窓からの外光で部屋の中が浮かび上がってくるような画作り、絵画か。天才か。エストレリャが南へ行った後の物語の続きも見たかっ>>続きを読む
目の前の相手を純粋に見つめること。エリセの映画はそれこそがすべてなんじゃないか。作中の人物と、観客であるわたしたちが見つめているものは、いつしか同一になっている。それは失われた時間、失われた記憶、失わ>>続きを読む
好奇心が世界の外側を覗きこむ。夜と死の香りが誘う。純粋な黒い瞳が世の不条理の断片を見つめている詩情。
仏教的な前世や巡り合わせの縁。坂元裕二的なあり得たかもしれない未来への慈しみ。それらを会話の中で横断しながら、辿り着いたこの場所こそが自分の人生だと言う。それでも記憶の中の少年少女が目の前で実像を結ぶ>>続きを読む
本当に世界を変えてしまった者の歴史と業。オッペンハイマーは神のようにも愚者のようにも見える。映画としての完成度に非のうちどころはない。ただ、自らの価値観が揺さぶられるものではなかった。
恐怖よりも生理的気持ち悪さへの比重。世界の不条理さと、そのことに対するスタンスの表象。血染めのフーディーで奥から手前に歩いてくる古川琴音のショットの映画的強度。など分かるのだが、あの家とあの村に出入り>>続きを読む
終わりを感じながら、その先を眼差す森七菜の視線の先が気になった。
今村圭佑の撮影がよかった。
浅野いにお、あのちゃん、幾田りらを平凡なアニメーションの想像力に閉じ込めててつまんないなと思っていたら、モードチェンジがあったのでよかった。ディストピアなドラえもんなのか。社会や類型的な人物の風刺は物>>続きを読む
光と音に隷属せざるを得ない圧倒的な体験。
これが映画だ。神話だ。
ポール・アトレイデス自身と世界は、正義と信仰と復讐に囚われて複雑になっていく。神話だからSFだから現実に写しとれるともいえるし、現実>>続きを読む
まず筋書きがおもしろい。ステレオタイプを求めてくる世間を描くことで、人種の中にも多様性があることが見えてくる。
見下していた人間に「ざまあみろ」と突きつけるのでなく、融和のポイントを探すような終盤も>>続きを読む
映画が瞬間をとらえるアートフォームだとして、杉田協士がつかむ範囲はより狭くタイトに、例えばひと部屋の中の人の動きをつぶさに見る。その場面では境遇や悲しみが具体的に語られることはないのだけれど、その奥に>>続きを読む
これはミステリーではなくて、ダニエルがしたように判断材料が不確かな中でも、なにかを決めるという生き方についてなのだと捉える。「テレビやネットを見ればすべて分かる」現在において何を選び取るのか。
それ>>続きを読む
設定も画面も言っちゃあどこかチープなのだが、2003年という時代設定や3人の少女の境遇、親心みたいなものから今に続く後悔と希望が見えてくると興味深かったです。ガールズたちかわいい。
ガイ・リッチー、ソリッドな映画を撮りなさる。義理と契り。任侠映画のそれのようでもあった。
不安が具現化したような作品だった。しかして、それを生むのはある種の抑圧であると理詰めで作られていて納得してしまう。アリ・アスターは変わらず変だけど、なんじゃこりゃと見終わって思いたかったり。
第3セットだけ別作品のようにいい。試合終了までの研磨視点のアニメーションやば。1、2セットもこのトーンで作られていたら傑作だった。
第3セットが身体の運動でドラマを進めるのに対し、第1、2セットは試>>続きを読む
子供時代に実際にあったトラウマと、思い出の中にあるような可愛いキャラクターが襲いかかってくるというイメージの相乗効果は活きていた。
ラスボスをがメタ的な存在になっていることでミステリーとしての話運びの>>続きを読む
トンデモウエスタンとしての題材は魅力的だし、そこに深いテーマ性は必要がない。アクションも悪くない。となれば、もっとコンパクトに仕上げて欲しかったのが正直なところ。所謂邦画的な冗長な演出に興が削がれる。>>続きを読む
生活を映しとるのが上手すぎる。松村北斗が光の中で自転車を漕ぎ出すだけで、なぜあんなに美しいのか。部屋で髪を切るシーン、停電の後、重要なことを平熱で話しながら歩いていくシーンの豊かさ。都市の孤独と孤独が>>続きを読む
剥き出しになった音楽の本質。意味なんてないさ。めちゃ気持ちよかった。
エマ・ストーン最最最高。
ヨルゴス・ランティモス映画の奇天烈さは従来通りながら、衣装や美術、撮影、役者が華やかでポップになっている。ティム・バートンやジャン・ピエール・ジュネが描くようなフリークスの>>続きを読む
おもしろかった。呪術廻戦じゃん。心霊を題材にしたSFで、編集が上手くて入り込みやすかったな。
ヘンテコ。二幕までの二重構造が、むしろ映画の緊迫感や豊かさを損っている。
“嘘”が持つ光と闇を描き出したかったのだろうが、精彩を欠く。森川葵の演技だけが作品の本質に応えているか。
ドッグヴィルやパ>>続きを読む
能とか歌舞伎とか、鈴木清順の映画、ケレン味の演出が隔世の果てに辿り着いたのが今作だというような仮説を立てたくなる。すごく見応えがあった。
阿良々木くんは理屈っぽいキャラクターに一見見えるが、献身の愛>>続きを読む
掌編。中学生を描くのに通過儀礼を描いてしまうのは、それだけ必要なことだってことなのだろうか。今作の大人たちはみんな適当で、綺麗なままじゃなくてもいいといったメッセージには説得力があった。合唱とカラオケ>>続きを読む
ツチヤの社会性のなさが面白くなってくるばかりか、なぜか映画をドライブさせていく。お笑いのトラヴィス・ビックル。岡山天音がすごかった。
「笑いと叫びはよく似てる」
フランスから見た韓国。ウェットで気味悪く、嘲るように見ていた視点は、いつの間にルーツに引き寄せられている。初めての初見演奏(即興合コン)は、その場をコントロールした気になっていただけ。エピローグの演奏>>続きを読む
カウリスマキの文体。哀情と詩情。言葉少なな会話の妙なリアリティと人間性。暗い部分のある画面。
アルコールに溺れてしまう不安は何も説明がないのだけど、世情を参照すると腑に落ちてしまうところがある。>>続きを読む
カメラの距離感が絶妙だ。糾弾も断罪もせず、芸術と愛(と苦しみと憎しみ)を映している。映像も詩的で美しい。ブラッドリー・クーパーはキュートで、キャリー・マリガンは悲壮感があるのがいっちゃんよい。
冒頭>>続きを読む
仕事の、恋愛の、性別の関係値の不均衡が炙り出されていく。すごい。今作の主人公の立場が逆だったら、もどかしいすれ違いの悲恋みたいに見えるのだろうか、女性側から見たらスリラーだ。一方で美男美女を眺めるロマ>>続きを読む
情報が遮断された状況で、世界情勢の不安定さ、侵略戦争の可能性、テクノロジーの暴走、自然災害などあらゆる可能性が想起され、つまり世界にそれだけの問題が存在することが浮かび上がってくる。そのことがまず恐ろ>>続きを読む