シュローダーさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

オールド(2021年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

映画が始まる前、シャマランが自ら映画館に来た観客に向けての謝辞を述べる映像が流れたが、その精神に偽りなく、シャマランのおもてなし精神が炸裂しまくった楽しい映画だった。全体のシチュエーションとしては、ジ>>続きを読む

べイビーわるきゅーれ(2021年製作の映画)

5.0

映画自体を恋愛対象として告白したいと思ったのは久しぶりだ。それ程までに愛おしい映画だった。阪元監督は「ハングマンズノット」と「ファミリー☆ウォーズ」で完全にファンになって、「最強殺し屋伝説国岡」のエキ>>続きを読む

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

今年ベスト1位の座を観る前から予約していた映画であるが、その期待をさらに上回るとんでもない映画に出会ってしまった。村上春樹作品の映画化としても、濱口竜介の映画としても完璧である。カンヌで脚本賞を取った>>続きを読む

孤狼の血 LEVEL2(2021年製作の映画)

4.5

前作より圧倒的に今作の方が好き。何故ならば、主人公を絶対的な正義として描かず、「正しくなさ」も孕ませたままに描いているから。前作で大上の意思を受け継いだ刑事、日岡。ヤクザをコントロールして抗争を収めた>>続きを読む

ひとよ(2019年製作の映画)

4.8

白石和彌監督作品では1番クセがなくウェルメイドにまとまった作品ではなかろうか。白石和彌は長編デビュー作「ロストパラダイスイントーキョー」から一貫して他人同士の疑似家族的関係性のもつれを描いて来たが、今>>続きを読む

麻雀放浪記2020(2019年製作の映画)

1.5

白石和彌監督のファンではあるが、流石にコレは面白くない。本当にびっくりするくらい面白くない。「サニー/32」とちがって低俗"げ"なだけで滑り散らかしている数々のディテールや物語が観てて非常に苦痛な上に>>続きを読む

止められるか、俺たちを(2018年製作の映画)

4.5

日本映画界の独立愚連隊にして、かつて白石和彌監督自身も師事していた事で有名な若松孝二監督。彼の作った若松プロで働いていた一人の女性助監督、めぐみの姿を通じて描き出されるのは、若松プロの人間たちの「疑似>>続きを読む

サニー/32(2018年製作の映画)

4.5

この映画のことは公開当時に観た時から今に至るまで「クソ面白いじゃん!」と思っている。なので世評の酷評ムードを目にした時には中々に疎外感を感じた。確かに話が荒唐無稽である事は否定しない。だが、それ故に全>>続きを読む

彼女がその名を知らない鳥たち(2017年製作の映画)

4.0

白石和彌作品の中では、正直あまり好きではない作品である。日活ロマンポルノ的な純愛の果てに引き起こされる悲劇の物語をやりたかったのはわかるのだが、それにしても尺が長い。恋愛物のストーリーテリングではなく>>続きを読む

牝猫たち(2016年製作の映画)

4.8

この映画に対してはフェティッシュな「好き」という感情しかないと言っても良い。どこがどう好きなのかという事を言語化するのは難しいのだが、とにかく映画全体の雰囲気、物語、オチの付け方、全てが僕の好みとピッ>>続きを読む

日本で一番悪い奴ら(2016年製作の映画)

5.0

今のところ、白石和彌監督作品の中では最も好きな作品。「凶悪」で培った実録犯罪映画の圧倒的エンタメ化の才覚が今作では全編通して爆発した最高に楽しくて最高に厭な映画である。「恥さらし北海道県警」にて告発さ>>続きを読む

凶悪(2013年製作の映画)

4.5

日本映画の伝家の宝刀「実録犯罪映画」の中に燦々と聳え立つ傑作。白石和彌監督作品の面白い所が最も大衆的なバランスで詰まった誰がどう観ても面白いという類の映画だと個人的には思っている。何故ならば、実際に起>>続きを読む

ロストパラダイス・イン・トーキョー(2009年製作の映画)

3.5

白石和彌マラソンをここ2週間ほどでやっていたのでまずは長編デビュー作であるこの映画から感想をまとめていく。そこまで好きな映画ではなかった。全体のドキュメンタリックな撮影や物語のテンポとは裏腹に登場人物>>続きを読む

フリー・ガイ(2021年製作の映画)

4.5

まさしく娯楽大作の王道とも言うべき楽しくも愛おしい映画。プロットはクリシェ的でありきたりな物。自分が生きてきた世界が実は仕組まれたまやかしの世界だったと気づく男の物語という基本的なプロットは「マトリッ>>続きを読む

アナザーラウンド(2020年製作の映画)

4.3

FansVoiceオンライン試写にて。血中アルコール濃度を0.05%に保つ人体実験にのめり込む冴えない高校教師4人。彼らは授業もほろ酔い状態でこなして上手く行ってしまう。その成功体験を噛み締め、どんど>>続きを読む

ハッピーアワー(2015年製作の映画)

5.0

早稲田松竹での上映にて。エンドロールに入った瞬間に、体に電流が走り、鳥肌を抑えられずに、暫く席を立つ事が出来なかった。こんな体験は生まれて初めてだった。僕が一番好きな日本人映画監督、濱口竜介は常に僕の>>続きを読む

THE DEPTHS(2010年製作の映画)

4.3

濱口竜介作品のエッセンスがもっともそつなくまとまっていると感じた作品。濱口作品は常に「すれ違い続ける人」たちの関係性のもつれを描いて来た作家であるが、基本的には男女の関係性を通じてそれを表現する事が多>>続きを読む

ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結(2021年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

Filmarks試写にて。ジェームズガンがやりやがった。絶対にディズニーには作りようのないトロマ映画魂に溢れた最高にブッ飛んだアメコミ映画が誕生した。ジェームズガン作品の常連俳優、マイケルルーカーが鳥>>続きを読む

スーサイド・スクワッド(2016年製作の映画)

3.0

公開当時に観て非常にガッカリした事を覚えている。ストリートで生きる悪の人間たちを描かせたら右に出る者は居ないデヴィッドエアーがスーサイドスクワッドを撮るという情報を聞いた時にはとても期待したのだが、B>>続きを読む

犬部!(2021年製作の映画)

2.0

監督本人とご縁があり、公開前に観ていた映画である。感想を投稿し忘れていたので監督本人の目の前でも言ったこの映画に感じた不満を書いていく。まず、この映画を観て最初に思ったのは「ドキュメンタリーで良くない>>続きを読む

スーパー!(2010年製作の映画)

4.8

「ザ・スーサイドスクワット」の予習に観直した。「キック・アス」の2匹目のドジョウを狙った作品かと思いきや、なんやかんやで原作よりヌルくなってなぁなぁなオチをつけたあちらより数段上のレベルに達した傑作で>>続きを読む

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

僕という人間は、基本的に細田守アンチと言って差し支えない人間である。「時をかける少女」のカルピスのCMの様な爽やかさが大林版信者の僕にとっては辛かったり、「サマーウォーズ」や「おおかみこどもの雨と雪」>>続きを読む

ライトハウス(2019年製作の映画)

5.0

貶す所が一つも見つからない完璧な映画である。本当に全ての要素が完璧過ぎてどこから褒めれば良いのかもわからない程だが、まずは画面そのものが凄い。1.19:1というほぼ正方形に近い画面サイズで作られている>>続きを読む

ブラック・ウィドウ(2021年製作の映画)

3.5

予告編を観て期待値を上げ過ぎた。MCU全体でもかなり好きではない映画だった。冒頭の「ジ・アメリカンズ」を連想させる非常にシリアスで胸を引き裂かれる様なナターシャの幼少期のエピソードが語られた後、Nir>>続きを読む

サイダーのように言葉が湧き上がる(2020年製作の映画)

4.5

Filmarks試写にて。正直に申し上げて、中盤までは全然ハマらなかった。だが、ラスト1発で5000億点を叩き出したのでオールオッケー。何故中盤まではノリ切れなかったのかを考えてみると、ポップな要素が>>続きを読む

ゴジラvsコング(2021年製作の映画)

4.3

近年稀に見る大バカ超大作。人間が出てる場面が全部つまらないが、ゴジラとコングがどつき合ってる場面が全部面白い、怪獣映画というかヤンキー映画の文法に沿った割り切りが良すぎる低IQな作劇が良くも悪くも目立>>続きを読む

Mr.ノーバディ(2021年製作の映画)

5.0

自分でも予想外のレベルでこの映画のことが大好きになってしまった。ここ数年の「ナメてた相手が実は殺人マシーンでした物」なアクション映画の中でも、トップクラスに洗練された素晴らしい映画だった。
まずドラマ
>>続きを読む

ハードコア(2015年製作の映画)

4.5

最初から最後まで暴力満載で突っ走るまさに「ハードコア」な快作。全編1人称視点で1本の長編映画を撮ってのけるという狂気の沙汰を、圧倒的に観やすく、圧倒的にカッコ良いアクション描写でやり切った時点でこの映>>続きを読む

機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ(2021年製作の映画)

4.8

3部作の1本目としてはかなり快調な出だしを決めてくれた。近年作られたどのガンダムよりも富野由悠季イズムが溢れていて大満足。先行公開されていた冒頭15分の映像含め、何も観ずに劇場へ向かったので、最初のハ>>続きを読む

ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット(2021年製作の映画)

5.0

まさしく「神話的」としか言いようのない、圧巻の映画体験。劇場公開されたジョスウェドン版よりも、幸福な形で世に送り出されたと思えるまでに、ファンダムの圧倒的な熱狂の中で迎えられたこの作品、とにかく凄い。>>続きを読む

映画大好きポンポさん(2021年製作の映画)

5.0

Fan's voiceオンライン試写にて。元々原作漫画の大ファンだったので期待して観たが、その期待を遥かに上回ってくれた末恐ろしい大傑作であった。まず驚かされるのが、アニメーションそれ自体の素晴らしさ>>続きを読む

PASSION(2008年製作の映画)

5.0

先日「親密さ」を観てオールタイムベストが変わったというのに、また更新しなければならなくなってしまった。およそ欠点という欠点が見つからない、圧倒的な大傑作である。物語としては非常にシンプル。男女7人のト>>続きを読む

ミッチェル家とマシンの反乱(2020年製作の映画)

5.0

上半期に現れた思わぬダークホース。年間ベストランキングがまたしても揺るがされてしまった。調べてみたら、あの天才コンビクリストファーミラー&フィルロードと、ソニーのアニメーション部門であるソニーピクチャ>>続きを読む

Seventh Code(2013年製作の映画)

4.5

黒沢清フリークの僕としては、映画にはこれ以上何もいらないと素直に思える様な至高の逸品である。前田敦子のシングルの曲のMVという体裁ながら、黒沢清がやりたい様に自身の作家性を爆発させた60分間。ウラジオ>>続きを読む

親密さ(2012年製作の映画)

5.0

オールタイムベスト。言葉ではとてもこの映画で味わえる感情を伝え切れる気がしない。255分の上映時間の間、観客が見せられるのは、ミニマムで小さな人々の物語。前半2時間の第一部では、「親密さ」という舞台劇>>続きを読む

ジェントルメン(2019年製作の映画)

4.8

Filmarks試写にて。とにかくクソ面白い映画でした。最近はハリウッドに牙を抜かれ、ヌルさが目立つ映画を撮っていたガイリッチーが遂に「ロック、ストック&トゥースモーキングバレルズ」「スナッチ」の頃の>>続きを読む