「頬に降り注ぐ雨が悲しい涙を拭い去る」
神の愛は顕現するものではない、映像を彩る微かな光、鳥の囀ずり、静寂、刹那の時に刻まれる安息、それは正に永遠に居ます神の愛。巧みな「映像の語彙」を紡ぎ、沈黙の痛苦>>続きを読む
沈黙せる神を描き、悪の重力、恐るべき混沌の世を残酷に示した作品。しかし、本作を観て、ベルイマンは神を信じていないと結論するのは拙速である。ラストシーンで湧き出た泉は沈黙せる神のほんの刹那なるしかし永遠>>続きを読む
「死は永遠の孤独だった」 安部公房の実存小説を読んだ後のような感覚になった。死への不安、顔を持たぬ存在、他人の砂漠、うすぼやけた輪郭線が彷徨う匿名都市の孤独、閉ざされた無限大。
日常が廃墟として目に映>>続きを読む
窓から射す一条の光は神が哀れな人間に捧げる愛の祈り、私たちは決して希望を失いはしない神は私たちの害いと怨みのすべてを御手におさめ、沈黙の光となって私たちに語りかけるからだ。人間の祈りに対し神はただ沈黙>>続きを読む
「部屋」を映画館で観られて最高に興奮した。死滅した経験の群れ、存在は比喩に過ぎず、魂は分解する諸形式、恐ろしい無への不安、嘔吐を催させるぼやけた輪郭線、閉ざされた無限大。しかし、ほんの刹那、廃墟の外に>>続きを読む
ベルイマンを無神論者であると考える人たちはキルケゴールや内村鑑三を無神論者と見なした人のようである。構造的に組織化された信仰の有り様を批判し、錯乱せられた神認識の欺瞞を攻撃することで真の信仰の何たるか>>続きを読む
希望半分、絶望半分
彼に必要だったのは開かれた愛だったのではないか。母は彼を愛そうとしたのだろうが、制度化された包括的反応の連鎖(社会的自我)を持たざる異邦人である彼は太陽を海を火を愛し、あらゆる意>>続きを読む
不条理の宇宙、卑猥な輪郭線と慄然たる分解作用。存在は比喩に過ぎず、死滅した経験の群れが遂に甦ることなく去って行く。
アントニオーニはこの実存の恐るべき真相を我々に突きつけたが、その解決策は示さなかった>>続きを読む
死滅した経験の群れ、無限遠までの冷却作用と魂の分離作用、終わりなき廃墟、いつかここから脱け出さなくては、きっかけさえあれば。
「非凡な人間になりたかった」この台詞を何度も頭の中で反芻した。
時空間を忘>>続きを読む
キルケゴール『反復』を思わせる名作。存在は皆追憶に過ぎぬというのなら、この人生に何の意味があろう? 始まったときにはもはや死せるものとなった俤を求めて、人生は苦痛であった。しかし、『ゲアトルーズ』>>続きを読む
「我は復活なり、生命なり、我を信ずる者は死ぬとも生きん。凡そ生きて我を信ずる者は、永遠に死なざるべし。汝これを信ずるか」「主よ然り、我なんじは世に来たるべきキリスト、神の子なりと信ず」
永遠にして唯>>続きを読む
キルケゴールの弁証法的戦慄を映像による表象へと結晶化させたような美しい作品、面白い!
沈黙、精神、不安。現実性の輪郭はやがて破られ、混沌とした無への不安が恐るべき深淵が夢見る精神を慄然たる罪禍の軌跡へと誘う。
ベルイマン『沈黙』に通じる作品。
映画館で観るとまた格別でした。
現代こそ果てなき廃墟といえないだろうか? 恥辱と汚穢に満ちた世界、神が沈黙せる荒野で、ほんの束の間射す光、罪深くしかあれない故の罪人の愛に希望を見いだしたとして、それは>>続きを読む
ここではない何処か遠い世界、暗澹たる灼熱の混沌が支配する世界へ、というような感動を抱きました!
また、キルケゴール『死に至る病』、『キリスト教の修練』を想わせる作品でもあります。「空虚が満たされ>>続きを読む
大島渚は我々の意識に革命的変容をもたらすべく、煮えたぎる殺意と燃え上がる愛を以て最前線で戦い続けてきた。本作は革命的芸術家の誕生を告げるものである。
死病に犯され、食い尽くせぬ自己を抱えてうすぼやけた人生を歩んでいる者にもう一度命を吹き込んでくれる作品です。