レクさんの映画レビュー・感想・評価 - 18ページ目

必殺! 恐竜神父(2018年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

ブレンダン・スティアー監督にとっては今作が初めての長編となるが、アイデアは偶然やってきたらしい。メールで“Velociraptor(ヴェロキラプトル)”と打とうとしたところ、誤って“VelociPas>>続きを読む

カマリ(2019年製作の映画)

3.7

イギリスの24分短編ドキュメンタリー。

インドの漁村を舞台に、家庭に縛られて生きてきたシングルマザーの母親と外で伸び伸びと育つ娘を対照的に捉える。
宗教や男尊女卑の悪習からそれぞれに違う形で抗う母子
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箱舟(2020年製作の映画)

3.4

クロアチアの15分短編アニメーション。

旧約聖書の創世記に登場するノアの方舟をモチーフに、人間の堕落からの無関心、無抵抗さといった現代的な風刺を描いている。
独特なアニメーションがユーモアさを、劇伴
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クラウンの葬式(2021年製作の映画)

3.9

「葬儀屋は笑うな」
父の教えで笑いを忘れた男が笑いを取り戻すべく奮闘する姿をユーモラスに描く。

堰を切ったようにあふれる笑いと涙はこれまで抑えてきたものからの解放。
純粋だった子どもの頃の行動って大
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子供のあそび(2011年製作の映画)

3.8

ドイツの18分短編映画。
ある夫婦の家に忍び込んで子供を誘拐した少年の目的とは。

従来のこの手のストーリーでは女性を主役とすることが多いが、本作ではそれが男性であることの意義が大きい。
子役の可愛さ
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エスケープ・ルーム(2017年製作の映画)

2.8

このレビューはネタバレを含みます

男女6人が脱出ゲームに参加したら命をかけたデスゲームだった。

「観たかった映画だ!」と思ったらじゃない方だった件。
この映画のキモは正解者が死んでいく理不尽さと最後の二択の答えと結果。

結局どうい
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アンダーカバー(2016年製作の映画)

3.8

ネオナチの放射能汚染爆弾によるテロ計画を阻止すべく潜入したFBI捜査官の実体験ベースで映画化。

淡々とした話運びの中に些細な駆け引きや小さな嘘を忍ばせ、歴史が積み重ねてきた鬱憤、被害者意識が齎す問題
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ききたいことば(2018年製作の映画)

3.0

スウェーデンの13分短編映画。

愛に素直になるには、若く、愚かで、勇気がなくてはならない。
傷つくことを怖れて踏み出せない。
好きになっても相手が振り向いてくれない。
タイトルがぶっ刺さる人もいるの
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カット・カット(2020年製作の映画)

3.7

フランスの9分短編映画。
擬似言語で字幕なし。
美容室を舞台に型にハマった世界から解放される女性を描く。

オシャレした姿も素敵だけれど、ありのままの姿はその人にしかない魅力になる。
飾る飾らないでは
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美味しい美女/グルメな歯医者(2017年製作の映画)

3.5

フランスの15分短編映画。
グルメな人食い歯医者が隣人の菜食主義者に恋をした。

グロさを際立たせないアニメーションのミキシングとティム・バートンみあるポップで可愛らしい世界観が魅力的。
正直、中身は
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ロボットの恋物語(2016年製作の映画)

3.4

スペインの5分短編アニメーション。
ロボットたちの世界でロボットの修理を毎日機械的に行うロボットが、ある日恋に落ちる。

シュールな絵柄と世界観の良さ、好きな人のために行動に移すことの大切さ。
ガイウ
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向かいの窓(2019年製作の映画)

4.0

アメリカの21分短編映画、第92回アカデミー賞短編実写映画賞受賞作品。

観客が部屋を覗き見るように家族の時間の一部分しか見えない短い本編の中で、家庭の状況と心情の変化を伝えることに長けた作品だ。
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Z Inc. ゼット・インク(2017年製作の映画)

3.1

人間の本能を剥き出しにするウイルスの蔓延によって暴徒と化す社員たち。
縦社会への皮肉とバディ・ムービーの合わせ技一本。

なにより、サマラ・ウィーヴィングがエロかっこいい。
おバカをやる内容の映画を変
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ホステージX(2017年製作の映画)

1.5

言葉の通じない男たちに監禁された記憶を失った男を描いたワンシチュエーション・スリラー。

男は何者でなぜ拉致されたのか?
ただただ同じことを繰り返しているだけで話が全く動かない70分。
ワンシチュエー
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アブノーマル・ウォッチャー(2015年製作の映画)

3.2

大家の変態爺さんが借家に越してきた新婚夫婦を盗撮する。

ただ夫婦の営みやいざこざを監視しているだけで何も起きないのにハラハラするのは、腐ったマヨネーズ臭い爺さんがド素人だからこそ。
監禁もボコボコも
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ドバットマン(2010年製作の映画)

1.0

全米ポルノ映画のアカデミー賞「AVNアワーズ」で最優秀セールス作品賞他、8部門で受賞した超人気パロディ作。

日本輸入版の編集が酷すぎる…これで金を取るのか。
カットとトリミング、必要な部分を切り短く
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トラジディ・ガールズ(2017年製作の映画)

3.8

ネットセレブに憧れて殺人鬼になっていくJK2人組を描いたスプラッタームービー。

様々なホラー映画をパロりながら恋愛と友情、キラキラとした青春映画に仕上がっている。
とはいえ、ゴア描写はあるので苦手な
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バックトレース(2018年製作の映画)

2.5

記憶喪失の銀行強盗犯が7年後に脱獄し、金の在り処を探す。
それを追う警官役のスタローン、事件は現場で起きているが会議室から動かない。

その上、駆けつけたスタローンが無双、粋な計らいで感動に持っていき
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ザ・ハロウ 侵蝕(2015年製作の映画)

3.4

森の調査のためロンドンからアイルランドへと引っ越してきた森林保護主義者の夫と妻子が森に潜む悍ましい妖精と対峙する。

アイルランド民話『取り替え子』に冬虫夏草の特性と自然環境保護を掛け合せたメッセージ
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見上げた空とマスク(2020年製作の映画)

3.4

コロナから2年後の空は何色ですか?
2022年の夏、コロナ対策徹底の有無で二分化された東京が舞台。

格差社会とコロナ禍をリンクさせ、主人公自身のコロナに対する葛藤を親子のドラマとして落とし込み、マス
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アフターマス 余波(2021年製作の映画)

2.0

結婚生活をやり直すために心機一転、事故物件を格安で買った夫婦の身に起こる不可解な出来事。

夫婦喧嘩の不調和を軸に心理的な不安定さと怪現象の不安が入り乱れる。
面白くなかった。

ジャッジ・ドレッド(1995年製作の映画)

3.3

近未来を舞台に荒廃した世界を取り締まる治安警察を描いたSFアクション。

『デモリションマン』と通ずるディストピア感がとてもいい。
秩序と混沌、超法規的措置が正義とされるシステムが齎す兄弟の対立。
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イン・ハー・シューズ(2005年製作の映画)

3.7

対照的な姉妹を描いたヒューマンドラマ。
人生に迷って喧嘩別れした姉妹が自分自身を見つめ直し、家族の絆と人生の価値を見出していく。

自己主張、相手の立場になって考える、踏み出す一歩。
靴をメタファーに
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ケープタウン(2013年製作の映画)

3.5

殺人事件と子どもたちの失踪、南アフリカ・ケープタウンの闇に飲み込まれていく。

対立の中で流された血の赤、海と自然の青と緑、天然資源の黄、黒人と白人の黒と白。
この南アフリカの国旗に込められた意味と9
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猿ノ王国(2021年製作の映画)

4.0

コロナ禍にテレビ局で起こる隠蔽事件を社会の縮図に擬える。

地位や権力、自衛と正義感、責任の所在に同調圧力。
不確実性が拡大する社会で俯瞰図から抽出された憎しみの背景を知った時、観客へと跳ね返ってくる
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アネット(2021年製作の映画)

2.0

コメディアンとオペラ歌手の栄枯盛衰。

ダダ滑りのスタンダップ・コメディ、退屈に繰り返されるシーン、没入を促す冒頭からの感情移入を一切許さないラストシークエンス、悲劇を描く上で余韻を帳消しにするエンド
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英雄の証明(2021年製作の映画)

4.0

善意と疑い、名誉と欲望が絡む選定。
美談の裏側にある些細な嘘、社会的な制裁と体裁、イランの厳罰化とSNS。

ミニマムな個人の問題から技巧を以て広がりを見せるアスガー・ファルハディの上手さ…盗作疑惑の
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ベルファスト(2021年製作の映画)

4.2

北アイルランドのベルファストを舞台にケネス・ブラナーの幼少期の経験を重ね描く。

宗教間の対立と内戦、今も繰り返される人類の過ち。
そこに対抗すべく描かれる故郷への愛と選択、生命の輝きと回顧。
夢や希
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映画 オッドタクシー イン・ザ・ウッズ(2022年製作の映画)

3.0

アニメは未見。
アニメの総集編ということで節々に端折られた形跡が感じられ、世界観に入り込む隙がなく、物語だけが流れていく。

個性溢れるキャラたちの掛け合いとノワール的な闇に魅力は感じられたのでアニメ
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やがて海へと届く(2022年製作の映画)

3.4

近づくほど見えなくなる矛盾点と行き場を失った感情の流れ。
「世界の片面しか見えていない」の可視化はまどろっこしさはあるものの、これは観客自身にも言えることで。

真摯に向き合う中川龍太郎監督の人間性を
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愛について書く(2019年製作の映画)

3.9

映画企画でラブコメを執筆することになった女性脚本家がベテラン男性脚本家と共作することに。

アスペクト比を変えてスタンダードサイズの現実世界とビスタサイズの劇中劇を絡ませ、恋愛経験があまりなく地味なヒ
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トゥ・ヘル(2018年製作の映画)

2.5

首を絞められると生死の境を越えられる女性と出会った借金男が交通事故で昏睡状態の娘を蘇らせる手伝いをするが、娘に憑依したのは借金男の妻の魂だった。

官能小説を朗読しながらセックスするニコケイがハイライ
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タイム・トラップ(2017年製作の映画)

3.4

若返りの泉を求めて行方不明となった考古学教授を探すために教え子たちがその洞窟を探索する。
彼らは時の洞窟から脱出することができるのか?

時間の歪み、未来人と原始人。
設定としてはとても面白いが、大風
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ザ・モンスター(2016年製作の映画)

3.2

夜の森で未知の怪物に襲われるスリラー…と見せかけて母娘の関係を描いたヒューマンドラマ。

主軸の合間に挿入される回想が親子の愛と憎悪を浮き立たせ、襲い来るモンスターは大人へと成長していく通過儀礼として
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オッズ(2018年製作の映画)

2.5

生死と金を賭けたデスゲーム。
ゲームマスターの男性とプレイヤーの女性の駆け引き、ほぼ二人芝居。

「この映画は最後まで観ていいのだろうか?」
映画が鑑賞者に問いかけてくる。
最後まで観ることができたの
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TITANE/チタン(2021年製作の映画)

4.2

自動車事故で頭にチタンプレートを埋め込まれた少女が、成長し車と愛を交わす。
性的倒錯からの想定外、常軌を逸する展開に釘付けとなった。
聖書やギリシア神話のメタファーを散りばめ、マイノリティやジェンダー
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