レクさんの映画レビュー・感想・評価 - 20ページ目

ドリームプラン(2021年製作の映画)

3.0

姉妹を世界最強のテニスプレイヤーに育てあげたテニス未経験の父親の実話を基に描く。

原題『King Richard』の通り父親視点故に美談で描かれた点と結果論で語られる違和感は拭えない。
が、我々日本
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君が落とした青空(2022年製作の映画)

3.5

交通事故をキッカケに同じ日を何度も繰り返すタイムリープ・ラブストーリー。

運命は変えられないかもしれない。
それでも自分自身を変えることならできる。
何度もタイムリープすることで気づき、成長していく
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GAGARINE/ガガーリン(2020年製作の映画)

3.2

パリ郊外に実在するガガーリン団地を舞台に、老朽化による取り壊しとそれを阻止しようとする少年の青春を描く。

宇宙飛行士に由来する名前と主人公ユーリの思い描く虚構世界のリンクは美しく、映像に頼りすぎた演
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白い牛のバラッド(2020年製作の映画)

4.3

イランは死刑執行数が中国に次いで世界第2位の国。
イランの懲罰的な法制度を背景に、愛する夫を死刑で失い、生きづらさや理不尽さに直面するシングルマザーを描く。
冤罪という不可逆的な過失による重大さ、一過
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ナイル殺人事件(2022年製作の映画)

3.2

"人は愛のためなら何でもする"
人物相関図など一部改変点は見られるものの概ねミステリに改変点はない。

ただ、オリジナル版よりも更に愛に主題を置いているために、主役であるポアロの推理があっさりとしてい
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ナイル殺人事件(1978年製作の映画)

3.4

アガサ・クリスティ原作『ナイルに死す』。
ミステリとして多少の強引さはあるものの、当時のトリックの使い方や見せ方、登場人物の思惑は流石と言える。

これはあくまでポアロの盗み聞きから推察されるポアロに
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ブルー・バイユー(2021年製作の映画)

4.6

国際養子縁組と人種問題による不条理さが純粋な家族の想いを引き裂く。

物語を丁寧に紡ぎ、フィルム撮影で捉える表情で語る雄弁さたるや。
知るべき現実の厳しさを叙情的に描き出した"あの声"が今も耳に残って
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スターフィッシュ(2018年製作の映画)

4.0

人々が消え怪物が徘徊する世界を救うため、亡くした親友が残したカセットテープを探す。
現実逃避や喪失感、後悔や苦悩、そんな繊細な感情を様々な形で映像化する創造性と想像性。
単純な物語だからこそ見えてくる
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スケート・キッチン(2018年製作の映画)

3.5

NYを舞台にガールズスケーターの仲間意識や思春期を介して学び成長していく姿を描く。

ドキュメンタリーに近いテイストで映し出す彼女たちの青春は輝かしくもほろ苦く、彼女らのバックグラウンドが見えることで
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サバイバル・シティ(2021年製作の映画)

1.5

農場に住む男の家を舞台に勃発する麻薬組織と刑事の緊迫感の欠片もない銃撃戦(と呼べないほどお粗末)は、まるでエアガンで行うケイドロ。

70分ほどずっと捕まったままのブルース・ウィリス、おバカすぎる敵の
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真・事故物件 本当に怖い住民たち(2021年製作の映画)

4.0

TOCANAの角由紀子編集長が原案を手掛ける本作『真・事故物件 本当に怖い住民たち』の物語は
事故物件に実際に住んで幽霊を撮影するまで帰れませんという企画に無理やり参加させられた3人の女性が、事故物件
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牛首村(2022年製作の映画)

3.3

清水崇監督による村シリーズ第3弾。

大枠やカメオ出演では『犬鳴村』を、家族に焦点を当てたストーリーで『樹海村』を踏襲したプロット。
民俗学的な風習と神隠し、映り込みを利用した恐怖演出と役者陣の演技は
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マザーズ(2016年製作の映画)

3.6

代理出産するシングルマザーの恐怖を描いたアリ・アッバシ監督の長編デビュー作。
ポランスキー監督『ローズマリーの赤ちゃん』などが挙げられる所謂マタニティホラーのジャンル。

子を妊ることと心身の変化、マ
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エンドレス・エクソシズム(2018年製作の映画)

2.9

遺体安置所の夜勤に就いた元警官が、悪魔祓いで死亡した女の子の遺体を受け入れたことから起こる怪奇現象。

幾らでも面白くなりそうな設定を生かしきれてない中途半端なプロットに加えて、マニュアル人間か?と思
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インターンシップ(2013年製作の映画)

3.7

Googleにインターンとして参加した中年男性2人が社員を目指し奮闘するコメディ。

チームによる団結力、人が人の心を動かすということがどれだけ素敵なことなのか。
変化や失敗を怖がらず、前に進むことの
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優しき罪人(2018年製作の映画)

4.0

交通事故で両親を亡くして困窮する姉弟。
弟が窃盗事件を起こして示談金が必要となり、姉は交通事故の加害者家族に近づく。

心を許し相手を想うが故の葛藤、優しさは時に痛みにも変わる。
余白ある演出に観客の
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人狼ゲーム 夜になったら、最後(2021年製作の映画)

3.4

大雪によって隔離された町で起こる不可解な事件、疑心と恐怖心で追い詰められていくクセのある住人たち。
人狼は一体誰なのか?

ミステリとしては不出来だがコメディとして許せてしまうポップさ。
まあまあ楽し
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愛すべき夫妻の秘密(2021年製作の映画)

3.3

公私の危機が絡む番組の舞台裏を描いた実話に基づくドラマ。

シットコムのドラマや赤狩りなど予備知識は多少必要だが
アーロン・ソーキン監督・脚本による本筋と劇中劇と回想の入れ子構造、本音と建前、台本と台
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ドント・ストップ(2020年製作の映画)

3.6

高校で銃乱射無差別テロ事件が起こり、救急車がハイジャックされる。

ポスタービジュアルのようなエンタメ性はなく、真摯に反テロリズムに向き合うと同時に爆破テロを起こそうとした少年の心の傷を炙り出す。
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キラー・セラピー(2019年製作の映画)

2.5

内にある怒りが殺意となって、静かに膨れ上がり外へと向かっていく。

殺人を悪とした上で、家庭環境だけでなく、大人たちが子を抑えつけようとするエゴ及び排他的な思想に対する警鐘でもあると感じる。

加えて
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アクセル・フォール(2021年製作の映画)

2.0

超高層ビルのエレベーターに監禁され、繰り返される急降下。
外では父が拷問されていて、誰かを匿っているらしい。

脱出不可能と言いながら何度かエレベーター外に出るし、結局なんだったのか謎は解けてもしっく
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マーシー・ブラック(2019年製作の映画)

3.8

アメリカで実際にあった刺殺事件をモチーフに想像力を掻き立てる都市伝説的ホラー。

願望と恐怖、信じることで可視化される悪夢。
『キャンディマン』や『ババドック』のようにある種の人間の弱みを利用した語り
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ザ・ビーチ(2020年製作の映画)

3.2

恋人関係の修復のために訪れた人里離れたビーチで過ごす日常から一転、未知の恐怖に侵食されていく黙示録的SFホラー。

『ザ・フォッグ』と『ボディ・スナッチャー』の良いところを掻い摘んで、カタツムリくらい
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私たちの偽装結婚(2018年製作の映画)

2.5

親からの財産と圧力、利害の一致による男女の偽装結婚を描いたコメディ。

悪い意味で予想を裏切る凡庸さとテーマ性の薄さ。
それをイイ感じに纏めようとして結果的には何も残らず。
もう少し笑いか感動のどちら
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マジック・ロード 空飛ぶ仔馬と天空の花嫁(2021年製作の映画)

3.1

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のVFXスタッフが放つ、正直者と喋る仔馬の大冒険。

ロシアの童話『せむしの仔馬』を映画化ということで王道ストーリーながら、ロシアの美女と視覚効果は相変わらずすご
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小さな聖女(2021年製作の映画)

3.2

妹が奇跡を起こし守護聖女と崇められたことで環境が変わり、兄が新たな扉を開いていく。

神聖と通俗、耽美と卑俗、相反する事柄を混濁させながら同性愛に対する葛藤と苦悩を描き出す。
ヴェネツィア国際映画祭主
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ナイト・オン・ザ・プラネット(1991年製作の映画)

4.0

同時刻の5つの都市を舞台にタクシー運転手と乗客のドラマを描いたオムニバス。

ジム・ジャームッシュらしい独特なリズムで見せる一期一会のユーモア性とエピソードを重ねていくことで刷り込まれるテーマ性を寓話
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ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)

4.0

「過去があっての今の自分」を体現するように過去へと遡る手法が存分に生かされている。
タイトルに帰結する些細なキッカケ、二人の何気ない日常や関係性から感じられる温度。
ふとした瞬間に馳せる想いを、やんわ
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ウエスト・サイド・ストーリー(2021年製作の映画)

3.0

50年代のアメリカを舞台に、移民問題を中心に若者たちの躍動感溢れる歌とダンスが名曲で彩られる。

暴力は大切なものを守るためではなく、愛を奪うもの。
元々『ロミオとジュリエット』を下敷きとした『ウエス
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ゴーストバスターズ/アフターライフ(2021年製作の映画)

4.0

次世代へと受け継がれる意志、失われた時間を取り戻す家族の再生、そして失敗を重ね奮闘する少年少女たちの成長譚。

今、作られた続編が成功だと思わせる幽霊退治屋を知らない子ども視点による話運びは監督自身の
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鹿の王 ユナと約束の旅(2020年製作の映画)

3.8

物語としては尺の足りなさを感じる。
ただ、種族と国、戦争と疫病、マクロな問題に疑似親子や肉体と魂というミクロな関係を充てる意図とそれぞれの中立を多方面から描くことで、生きるとは何か?まで視野を広げる作
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ゴーストバスターズ2(1989年製作の映画)

3.4

『ゴーストバスターズ』から5年後、帰ってきた彼らが幽霊退治屋を再結成する。
話運びは強引ながら、目に見えるものだけを信じがちな人間への具体的な霊の存在というアプローチは良い。

赤ちゃんを起点とするこ
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ゴーストバスターズ(1984年製作の映画)

3.7

子供の頃に鑑賞ぶり。
思い出補正もあってか、大人になったら色々と見えてきてしまう。

とはいえ、80年代に一躍ブームとなった幽霊退治もので今観ても面白い…というか愛くるしいのは確か。
「ややや ケッタ
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オシュラガ 魂の地(2017年製作の映画)

3.1

モントリオールの陥没事故をキッカケに、カナダの知られざる歴史を紐解く。

現代と過去を交錯させながらそのルーツを映像を以て見せる、映画ならではの描き方。
ただ、カナダの歴史に詳しくないので補足の意味で
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フレッド&ドードー(2019年製作の映画)

3.3

熟年夫婦を描いたイギリスの17分短編映画。

定年退職した夫に苛立つ妻、二人の結婚生活に初めて亀裂が入る。
ユーモアを交え、幸せを取り戻そうと奮闘するおじいちゃんの愛くるしさ。
笑顔の前後で見え隠れす
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戦場のエルナ(2020年製作の映画)

3.7

第一次世界大戦下、ドイツに徴兵された知的障害の息子を見守るために、母が男装して部隊に潜入する。

デンマークの誇りと母親の愛の力強さ。
戦争映画というよりは、戦場の過酷さや残酷さを通して母子ともに変化
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