レクさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

ロー・タイド(2019年製作の映画)

3.7

盗みに入った対岸の家で金貨を見つけたことから関係に亀裂が入る仲間たちの不和。
潮が引いていくようにどん底に転がり落ちていくサスペンス、青春が絡むクライムは若さ故の危うい空気感に覆われる。

美しい風景
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フォルス・ポジティブ(2021年製作の映画)

2.5

不妊治療で婦人科名医の治療を受け三つ子を授かる。

現実と幻覚が交錯するマタニティ・ホラーに狭義のフェミニズム要素を足した男性優位社会への批判と女尊男卑思想。
それを男性監督が撮ってること且つその他の
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ファニー・ページ(2022年製作の映画)

3.2

16mmで撮られたオフビートな青春コメディ。
師匠の死をきっかけにカートゥーン作家を目指す高校生がおっさん2人と奇妙な共同生活を始める。

自身の感性や価値観の違いに困惑する思春期を奇人変人たちと織り
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スライス(2018年製作の映画)

3.0

田舎町キングフィッシャーでピザ配達員が殺されるホラーコメディ。
幽霊と人間が共存する独特な世界観、且つ容疑者はオオカミ男。
人外を偏見のメタファーとして描くことで笑いの中に皮肉を交える。

面白くはな
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オール・ダート・ロード・テイスト・オブ・ソルト(2023年製作の映画)

3.9

詩人・写真家の異業種女性監督の長編デビュー作ということで、台詞は最小限に映像で伝えようとする気概は感じる。

クローズアップで被写体との距離が近く、全体の輪郭を捉えきれない描写も多い。
それをどう読み
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ショーイング・アップ(2023年製作の映画)

3.9

個展のため彫刻に打ち込む芸術家が日常の些細な問題に振り回され、焦燥感を抱く中で不快を露わにする。

「こんなことしている場合じゃない」出来事が、時には新たな価値観を与えてくれる。
それはまるで羽ばたい
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エターナル・ドーター(2022年製作の映画)

3.4

人里離れたホテルで母についての映画を作ろうとするが、母の秘密が明らかとなっていくゴシック・ドラマ。

『スーヴェニア 私たちが愛した時間』ジョアンナ・ホッグ監督が親友ティルダ・スウィントンを母娘の一人
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ザ・キラー(2023年製作の映画)

3.4

見る見られる、殺す殺されるの立場が逆転する王道サスペンスに抑制の効いたノワールを加味する。
自己陶酔の語りから暗殺失敗はある種のコメディのよう。

"殺し屋"に密着するモキュメンタリー的な要素もあり、
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バービー(2023年製作の映画)

3.8

女の子たちの"夢"であると同時に、女性はこうあるべきだと"理想"を押し付けられる。
この性別間や世代間の物の見方、価値観の違いをシニカルに描いたことは素晴らしい。
現実と虚構の表裏や対比ではなく、逆転
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To Leslie トゥ・レスリー(2022年製作の映画)

3.7

人生の転落、酒に浸りながら絶望感や焦燥感を抱くシングルマザーを熱演したアンドレア・ライズボローは流石。

誰かの何かのせいにして自身を正当化する痛ましさ。
見限り切り捨てられた人間に寄り添うようなカメ
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コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)

4.5

最悪から始まる最高のロード・ムービー。

寝台列車の窮屈な空間と長回し、不器用ながら心を通わせていく同席者とのふたりの関係性が的確に表現される。
人生とは長い旅路、誰かの人生の一部になりたいと願うこと
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先生!口裂け女です!(2023年製作の映画)

3.6

エクストリーム配給の青春グロコメディ。

ヤンキーが口裂け女の原付を盗んだことから始まる斜め上を行くストーリー、都市伝説ものに大迫茂生起用とはコワすぎ!
ジャンルに囚われない自由な発想と型にハマった決
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ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい(2023年製作の映画)

3.0

刺さる人には「これは私のための映画だ」となる系統の映画なので、この映画が必要な人にこの映画が届くことを切に願う。

などと、綺麗事を並べて他人事のように言っている時点で、僕自身も他人に無関心で無意識の
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サバイブ 極限死闘(2022年製作の映画)

3.8

希死念慮を持った女性が機内で自殺を謀るも飛行機事故により極寒の地に不時着する。

洒落た演出と演技で見せる心情の変化、死を望むはずが生を願う逆転の構造。
「助けて」と心の声を上げながら、自然や野生と対
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VETERAN ヴェテラン リベンジ(2022年製作の映画)

2.0

PTSDを患った元軍人が退役軍人の集会に参加する。

ギャングに殺された仲間の弔い合戦、爺さんが頑張るという既視感の中でも胸熱展開なのにアガらない。
アクションかコメディかどちらかに全振りすれば楽しめ
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ブラック・サイト 危険区域(2022年製作の映画)

3.1

秘密軍事施設に夫娘の命を奪ったテロの首謀者が収容される。

敵が強いのか警備が弱いのか、密室となった要塞で容赦なく死人が出るテンポの良さ。
思った以上にアクションはしっかりして見応えはあるが、何がした
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スナイパー コードネーム:レイブン(2022年製作の映画)

3.9

ロシア軍が恐れる実在するウクライナ狙撃手の半生を描く。

元教師という経歴、軍人に志願した哀しき理由。
プロパガンダの側面が強く、映画的な脚色がされているにも関わらずエンタメ性は薄いが、地続きである今
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極道統一(2022年製作の映画)

3.0

極道の後継ぎ争いと潜入捜査を描いた香港ノワール。

韓国リメイクしたら傑作が生まれそうな題材ながら、演出のせいか盛り上がりに欠けていてキャラクター性も出色したものがないのが惜しい。
特に警察と極道の板
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マンイーター 捕食(2022年製作の映画)

3.0

クルージングに来た仲間たちがサメに襲われて傷心ねーちゃんが更に心に傷を負う話。

どこぞの数ある何とかシャークみたいなタイトルのサメ映画よりちゃんとサメが出てくるし、ちゃんと人が食われるグロ描写ありの
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ガンズ・アンド・キラーズ(2023年製作の映画)

3.0

ニコラス・ケイジが初挑戦したアクション西部劇、ニコケイ口髭が似合わない話。

過去に撮られた西部劇を今観ることと、現代で撮られた西部劇を今観ることは違うと改めて感じる。
西部劇としては凡庸なそれ。それ
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ザ・ローブ THE HEROES HIGHT VOLTAGE(2022年製作の映画)

3.0

超人が蔓延る世界で超能力を無効化する装置をつけられて収容される囚人たち。

設定とキャラだけは面白い"愛すべき"ダメ映画って感じ。
映画としては面白くないけど嫌いになれない。
引退したブルース・ウィリ
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ヒトラーの死体を奪え!(2022年製作の映画)

3.8

ヒトラーの死体をベルリンからモスクワへと運ぶ極秘任務を任されたソ連軍を描いた戦争アクション。

ヒトラーの遺体が燃やされてなかったら…フィクションならではの"if"が効いていてなかなか面白い。
コメデ
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アブソリュート/服従者(2021年製作の映画)

2.5

残忍な大学教授とストックホルム症候群の女性と新たに監禁された女性、3人の危うい共同生活。

事件を捜査する刑事の背景が御座成りとされるくらいなら、犯人や女性たちのやり取りや背景をもっと深く掘り下げれば
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地縛霊 5階の女(2020年製作の映画)

1.0

韓国の都市伝説から着想を得たベトナム産ホラー。

所謂"異世界もの"だがこれがまた酷い。
これをやっちゃうと何でもありでありながら、それまで描いてきたものが台無しというかどうでも良くなる最低の結末。
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CHASE チェイス 猛追(2022年製作の映画)

2.5

ガソスタで妻が姿を消したところがピーク。

実際には妻は攫われててずっとブチ切れてる割に地味なジェラルド・バトラー。
そもそも妻が行方不明になって20分足らずで警察が動くはずがなく。
アクションか胸糞
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ファミリー・プレイ(2022年製作の映画)

3.2

拐った女性を"娘"と呼ぶ奇妙な家族ごっこ。

16mmフィルムのザラついた画質と耳障りなヴァイオリンの音、食事シーンの不気味さ、雰囲気だけは一丁前なのに卓抜したものがなく。
ただ、この"家族"に待って
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VIRUS ウィルス:32(2022年製作の映画)

3.5

感染経路不明の感染者が生き物を襲ったら32秒間だけ動きが止まる謎設定を謎のままに、その設定がスリリングな展開を生むももっと使い方があっただろうに。

ツッコミどころは多々あるが、テンポ良く突っ走る潔さ
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リミテッド(2022年製作の映画)

2.5

ザック・エフロンが砂漠のど真ん中で金塊を見張るだけのサバイバル・スリラー。

欲に目がくらんだ人間の浅はかさをシニカルに描くも、長い。
ある程度のオチを予測できる物語が故にひたすら長く感じる。
またそ
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迷霊怪談集(2022年製作の映画)

2.5

男女が怪談を話し、その怪談話が映像化される3本立てオムニバス形式のベトナム産ホラー。

アジアンホラーの雰囲気含めて決して悪くはないんだけど、お決まりのパターンへの帰結と恐怖演出が一辺倒なのでオムニバ
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CONTROL コントロール(2022年製作の映画)

3.0

監禁された母親がタスクを完了しないと娘が死ぬと脅される。

キャッチコピー「POWER(超能力)を解き放て」はメインテーマではなく、裏テーマにあるのは「追憶」。
人の心を弄ぶクソ実験だが実に"未体験ゾ
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ミッドナイト・マーダー・ライブ(2022年製作の映画)

1.0

深夜の生放送中に掛かってきた脅迫電話から事件は思いもよらぬ方向へと動き出す。

ネタバレ厳禁。
この手の映画を見慣れている(特に連想される某有名映画)とオチも予想の範疇ではあるが、一言述べるとするなら
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スモールワールド(2021年製作の映画)

3.2

人身売買と小児性愛による犯罪をテーマに未体験ゾーンの映画たちの中での映画の完成度は高いと感じる。

世の中には知らない世界がまだまだあって、胸糞の類の中でも好きではない話ではあるが最後まで観せられた(
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キャプテン・ノバ(2021年製作の映画)

3.0

2050年の近未来から地球を救うべく過去へと遡るSFジュブナイル。

過去に戻ることで自身の体も若返る設定、タイムトラベルと環境問題を絡めたテーマは面白いが、良いところもなければ悪いところもない。
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スイート・マイホーム(2023年製作の映画)

3.2

冬の寒さが過酷な長野。エアコン一台で家全体が暖められる"まほうの家"を建てた一家を襲う恐怖。
"理想の家族"と"理想の家"の設定がミステリとホラーの機能を具して、読者の想像力を掻き立て引き付ける。
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ナポレオン(2023年製作の映画)

3.9

虚を突く戦略とバック攻め、愛国心と権力と愛。

銃剣よりも新聞を恐れたナポレオンの栄枯盛衰を戦争というマクロな歴史ではなくミクロな世界で描いたリドリー・スコットの視点、それを物語るラストのテロップの意
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怪物の木こり(2023年製作の映画)

3.4

サイコパスと連続殺人鬼の殺し合いと見せかけた刑事ドラマ。
プロット上、サイコパスへのアプローチが問題で難ありだが、ライト層へ向けた三池崇史の経験と上手さは感じられた。
二転三転する犯人の実像も軽薄なが
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