レクさんの映画レビュー・感想・評価 - 63ページ目

Ray/レイ(2004年製作の映画)

3.5

盲目というハンデを背負いながらも成功を収めたレイ・チャールズの人生を綴った伝記。
家族と裕福な暮らしを得ても、弟の死をトラウマに抱えてドラッグと女に溺れる。
綺麗事だけではない人間臭い彼の半生の中でブ
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シングルマン(2009年製作の映画)

3.5

16年間を共に暮らした同性愛のパートナーを交通事故で亡くし、日々積み重なる深い悲しみを自分の手で終わらせるべく自殺を企てた男の最期の一日を描く。
圧倒的な芸術的世界観、色褪せたセピア調から転ずる彩りは
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クラッシュ(2004年製作の映画)

4.0

事故による人同士の衝突。
そこに物語を見出し、人種差別や偏見に焦点を当てた群像劇。
感情や思考の相対。
それは善悪の根底にある無意識な差別意識。

各々のエピソードは独立しているように見えるが、ひとつ
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ボーイズ・ドント・クライ(1999年製作の映画)

4.0

LGBTに理解がない時代に閉鎖的な街で起こった衝撃の実話。
自分のアイデンティティを確立する一方で、世間の目は冷たく、性同一性障害と同性愛、マイノリティへの偏見を呈する。
重い内容に胸が痛くなり、目を
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フェンス(2016年製作の映画)

3.0

人種差別、社会風刺を絡めつつ、ひとつの家庭内の壁を柵"フェンス"の比喩で描く。
戯曲が原作故にほぼほぼ閉鎖的な会話劇となるのだが、デンゼル・ワシントンとヴィオラ・デイヴィスの演技に尽きる。

作中でも
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タリーと私の秘密の時間(2018年製作の映画)

4.0

この作品の素晴らしいところは何と言ってもシャーリーズ・セロンの役作りと演技。
そしてジェイソン・ライトマン監督の演出。
「ヤング≒アダルト」でもこの二人はタッグを組んでますね。
今作では少し重い話を優
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チョコレートドーナツ(2012年製作の映画)

4.0

まだLGBTの理解がなかった1979年。
ゲイとダウン症というマイノリティを題材に差別や偏見、社会の不条理さの中で血の繋がりだけが家族ではないという強い想い、暖かく心を打つ愛の形を描いた作品。
愛に決
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天使のくれた時間(2000年製作の映画)

3.5

もしあの時、違った道を選んでいたら人生は変わっていたのかもしれない。
"愛はお金で買えない"
そんな普遍的なテーマを基にもう一つの人生を描いた作品。
幸せにも様々な形があるが、自分に素直に生きようと思
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私の中のあなた(2009年製作の映画)

4.1

白血病を患ったケイトへの臓器提供を目的に人工授精で作られたアナ(所謂、救世主兄弟)が、己の身を守る為に親に訴訟を起こす。
親や家族の思念、子供達が抱え切れる度量を超えた感情の越流。
各々の視点から映し
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心と体と(2017年製作の映画)

4.2

ふたりが見た同じ夢はまるで寓話のようで、夢と現実の対比から移ろう心模様は詩的な童話のようでもある。
神秘的で美しい夢と、生と死を強く印象付ける生々しい現実を描き出した不思議なラブストーリー。
人を愛す
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この森で、天使はバスを降りた(1996年製作の映画)

4.0

自然に囲まれた閉鎖的な小さな村。
そこにバスから降り立つ一人の素朴な女性。
変化を求めない調和、現状維持の傾向は、いい意味で平凡であり平和なのだろう。
一方で、排他的な視線で外部を受け入れようとはしな
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プレシャス(2009年製作の映画)

4.0

16歳のプレシャスは父親からの性的虐待で二度目の妊娠。
母親からも逆恨みの虐待を受け、友達や恋人も出来ず、読み書きもできない。
妊娠を理由に退学させられたプレシャスはここで人生のターニングポイントに差
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ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション(2015年製作の映画)

4.0

5作目、最高潮だと思われたアクションを更に上回る。
そしてアクションと遜色ない脚本は過去シリーズ最高峰。
本当にシリーズを重ねるごとに進化していっている感じ。
クリストファー・マッカリーとの相性も良い
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ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル(2011年製作の映画)

4.0

4作目にしてアクションは最高潮。
しっかりと続編を匂わせつつ、イーサンのスパイとしての腕を改めて見せつける構成。
ここからトムの生身アクション全開のミッションが一つ上のステージに上がったと言っても過言
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ミッション:インポッシブル3(2006年製作の映画)

3.5

3作目より、ベンジーとジュリアの登場で大筋はフォールアウトへと繋がる人間関係。
1のサスペンス要素と2のアクション要素を上手く取り入れた今作。
しかし、JJらしさはあるもののどちらかに振り切ることもな
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ミッション:インポッシブル2(2000年製作の映画)

3.5

デ・パルマからジョン・ウーへ監督のバトンタッチ。
二番煎じは作らないぞ、というジョン・ウーらしいアクション。

やたら多い回し蹴りやスローモーションで見せる二丁拳銃と鳩は言わずもがな。
サスペンス色は
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ミッション:インポッシブル(1996年製作の映画)

3.3

シリーズの原点、不可能な任務を可能にする。
シリーズを通して最もサスペンス色は強い作品だと思う。
シリーズを重ねるごとに新しいもの、ド派手なアクションへと進化していっている。

今作の見せ場はCIAに
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アバウト・タイム 愛おしい時間について(2013年製作の映画)

3.5

もう二度とあの日には戻れない。
あの時に戻れたら…そんな後悔はきっと、その時を大切に、そして全力で生きてなかったから起こるものなのかもしれない。
何気ない言葉や仕草、些細な出来事、何も特別な1日でなく
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スライディング・ドア(1997年製作の映画)

3.5

人生とは無数の選択肢の上に成り立つ。
"if"の物語から始まり、α世界線とβ世界線、所謂パラレルワールドを並行させながら魅せるアイデア溢れる脚本。
そして運命の分岐点と巡り合わせを描いた変わり種の恋愛
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アリスのままで(2014年製作の映画)

3.5

若年性アルツハイマーと診断された女性とその周りで彼女を支えた家族を描く。
単語や日常生活、家族の名前でさえも。
次第に記憶を失っていくことへの恐怖や苛立ち、切なさが募る。
言語学者であった彼女の進行し
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ゴースト/ニューヨークの幻(1990年製作の映画)

4.0

命を落とした銀行員が幽霊となって愛する恋人を守ろうとするラブストーリー。
所々で笑いもあり涙あり、そしてサスペンスフルな展開とバランスの取れた作品でもある。

最も有名な轆轤シーンは間接的な濡れ場であ
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ビューティフル・マインド(2001年製作の映画)

4.0

統合失調症による幻覚と現実の区別がつかない恐ろしさ、そして人を愛し愛されることの美しさ。
精神病に犯された実在する一人の天才数学者の苦悩と愛の半生を描いた人間ドラマ。
繊細な演技は心を揺さぶられ鷲掴み
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オーシャンズ8(2017年製作の映画)

3.0

ソダーバーグ監督作である前作とはまた異なった爽快感と華やかさ。
しかし、どうしても脚本の粗さや軽さか目立つ。
軽いトラブルを乗り越え大金を掻っ攫う。
もう少しスリルとラストの種明かしにインパクトが欲し
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ミッション:インポッシブル/フォールアウト(2018年製作の映画)

4.0

過去作の散りばめられたオマージュと5作目からの続編としてシリーズ最高峰。
単なる続編ではなく1作目の世界観をしっかりと活かし、リスペクトされていることも好感が持てる。
エンターテインメントの最高到達点
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未来のミライ(2018年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

鑑賞後、端的に言って混乱しました。
なぜなら作品内の設定を自ら崩した脚本となっているから。
整合性のないストーリー展開となっているため、自分の中で想像した過程と結果というレールを大きく脱線してしまった
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BLEACH(2018年製作の映画)

3.0

実写化映画としてはそこまで悪くはないんじゃないですかね。
原作の設定を上手く使った改変、尚且つ原作へのリスペクトも忘れず死神代行編をいい意味で映画仕様に纏めています。
原作からの臭い台詞回しをそのまま
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ジュラシック・ワールド 炎の王国(2018年製作の映画)

3.5

エンターテインメント映画としてはいいと思う。
ただ、その脚本、演出自体に不満があると言えばある。
予告編でもあった見せ場はほぼほぼ前半に集約されており、後半は転調し続編への布石として新たな方向へと向か
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カメラを止めるな!(2017年製作の映画)

3.5

巧みな脚本、仕上がった作品と現実との融合は見ていてとても心地よい。
笑いを誘う上手い見せ方と役者陣の熱意、そして疾走感は撮影現場の疑似体験へと昇華して観客をも巻き込んでいく。
多重構成にも関わらず上手
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ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア(1997年製作の映画)

4.0

生きるとは何か?そんな小難しい考えは捨て、今残された時間で何がしたいか。
生き様と死に様はこうありたいと思わせてくれるように人生の最期を爽快に描く。
細かいことは気にするな、これは理屈ではなく魂の映画
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ドラゴン・タトゥーの女(2011年製作の映画)

4.2

スティーグ・ラーソン原作『ミレニアム』三部作の第一部をスウェーデン版に次ぎ、デヴィッド・フィンチャー監督がハリウッド映画化。
凄惨で重厚な物語に伴う拠り所のない辛酸、その物語を引き立て装飾する暴力描写
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帰ってきたヒトラー(2015年製作の映画)

4.0

排他的独裁主義と過去の過ちを繰り返さないというドイツの自虐にもとれるが、不謹慎で辛辣なブラックジョークのスパイスが効きすぎたコメディは笑いと恐怖が見事に調和している。
現代とヒトラーという不協和音は無
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ダーク・スター(1974年製作の映画)

3.0

ジョン・カーペンター監督デビュー作のカルト的映画。

低予算の緩すぎるSFコメディだが、しっかりとカーペンターのセンスが光る。
驚きは7割が「何だこれw」なのに、何故か全てが意味のあるものと思えてしま
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隠された記憶(2005年製作の映画)

3.5

ミヒャエル・ハネケ監督が描く不安をかき乱す不穏な空気感。
非常に分かりづらい、理路整然とした映画を求める方は置いてかれるほどの日常を壊す不条理さ。
白を基調とした色合いは無自覚な罪と人間の負の部分の深
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ゼア・ウィル・ビー・ブラッド(2007年製作の映画)

4.0

底無しの欲望の果てにあるものは潤いか、もしくは渇きか。
一人の男の血で渇きを潤す人間の欲望とその生き様、孤高に見える陰翳とその末路。
そして、その映像が成せる極限を描ききったこの作品を賞賛せずにはいら
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明日、君がいない(2006年製作の映画)

4.1

冒頭で誰かの自殺を示唆させ、学生達ひとりひとりの悩みや葛藤がどのようにその死に直結していくのかが描かれる。
心の苦痛は時に人生を間違った方向へと歩ませる。
そして、生きるということはそんな痛みを乗り越
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ズートピア(2016年製作の映画)

4.3

この作品は差別や偏見を単に描いた映画ではなくて、差別や偏見は意識的か否かだけでなく無自覚に人の心にあるという更に一歩踏み込んだ所までを描き出してるところがすごい。
一見、動物園ズーとユートピアを掛けて
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